2017年10月17日 (火)

レープロ

先週月曜、「体育の日」の東京競馬場でのこと。あまりの暑さに音を上げて、エアコンの効いた岩手競馬コーナーに逃げ込んだところ、こんなものを手渡された。

Nanbu 

中身は南部杯のレーシングプログラム。コパノリッキーのクリアケースに入れて配るとは、岩手競馬さんも太っ腹ですね。しかもコパノリッキーの連覇達成で、このクリアケースの有り難みも増した感がある。

JRAがカラー装丁のレーシングプログラムを大レース当日のみに限定して久しい。売り上げ減少が続き、経費削減の一環としてレープロをモノクロ化したのが2011年のこと。ただ、売り上げが回復した現在も、モノクロ印刷は変わっていない。おそらくファンサービスとしての費用対効果を考えてのことであろう。

知られているように海外の競馬場では、プログラムは買うのが当たり前。邦貨にして数百円を支払って手に入れることができる。

それが日本ではタダ。しかもGⅠレースに限ればその装幀は立派で、美しいグラビアまで掲載されているとあり、ジャパンカップで日本を訪れた競馬関係者が驚きの声を挙げることも少なくない。さらに、それがレース終了後に大量のゴミとして競馬場にうち捨てられている光景を見て、彼らは再び驚くこととなる。

レープロの作成費用もさることながら、一方でゴミとなったレープロの回収・リサイクル費用もバカにはできない。新聞、マークカード、馬券と異なり、背中をホチキスで留めているレープロのリサイクル作業は結構ホネが折れるのである。

Program 

それまでペラ1枚で配布していた出馬表を、豪華な冊子にしたのは1986年だから、レープロの歴史自体はそれほど深いものではない。むろんファンサービスの一環から始まったもの。だが、折からの競馬ブームの影響で売り上げは増大の一途を辿り、経費の使い道を無理矢理にでも探し出すような時代でもあった。

しかし、売り上げ低迷期を経験した現在、レープロそのものの役割を考え直す時期に来ている。一般スポーツ紙に全レースの馬柱が掲載されるのも珍しくはない現代において、レープロを頼りに馬券を買うファンも多くはないだろうし、JRAの公示を掲載するオフィシャル媒体としての役割も既にWEBサイトに移行している。

無料のサービスというのは決して悪いものではないが、なんでも無料にすれば良いというものでもない。お金を払って手に入れたものなら、レース後においそれと捨てるわけにもいかぬはず。私自身、媒体が減ることを良しとする立場ではないのだが、単なるコレクターズアイテムに成り下がったレープロにもはや経費をかける必要もあるまい。JRAには「無料」に頼らず、本当に価値のあるサービスを考えてもらいたいところではある。

 

***** 2017/10/17 *****

 

 

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2017年10月16日 (月)

スプリントに挑んだ怪物

JBC3競走の選出馬が発表になった。驚いたのはコパノリッキーのJBCスプリント参戦。申し込み手続きのミスを本気で疑ってしまったが、どうやらそうではないらしい。

Copa 

2014年、15年とJBCクラシック2連覇。3勝目を挙げればアドマイヤドンやヴァーミリアンの最多記録に並ぶ。ことさら距離に対する不安が大きいとも思えない。強さは認めるが、1200mではむしろペースの違いが落とし穴になりやしないか。

ここまで書いて、ナリタブライアンの高松宮杯を思い出した。

前年までGⅡだった高松宮杯が1200mのGⅠに昇格した1996年。天皇賞(春)で2着に敗れたナリタブライアンの出走が発表されて大騒ぎになった。三冠馬のスプリント戦出走は前代未聞。前走から2000mもの距離短縮である。とはいえヒシアケボノやフラワーパーク相手なら役者が違う。中京競馬場には競馬場レコードとなる入場者が押し寄せ、レースそのものは大いに盛り上がった。だが、結果はフラワーパークの4着。このレースで屈腱炎を発症したナリタブライアンは、この高松宮杯を最後にターフを去ることとなる。

「賞金狙いの無謀な出走―――」

ブライアンを管理した大久保正陽調教師へのバッシングは苛烈を極めた。もし高松宮杯を勝っていれば、当時の通算獲得賞金記録を更新する状況もマスコミの反感を買ったに違いない。だが大久保師は「本当に強い馬は長距離も短距離も勝てる」という信念に基づいて高松宮杯を使ったと、のちに回想している。

かつて「怪物」と呼ばれたタケシバオーは、3200mの天皇賞(春)を制した半年後にスプリンターズSを勝ってみせた。62キロを背負わされながらレコード勝ち。本当に強い馬は、芝やダートにも、斤量にも、そして距離さえも問わず常に強い。それこそが「怪物」たる所以であろう。

四半世紀を経て「シャドーロールの怪物」を管理した調教師も同じ思いを抱いていたのかもしれない。仮に賞金狙いの気持ちがあったにしても、それも含めてプロの判断である。

翻ってコパノリッキーのJBCスプリント参戦はどうか。なにせ1200m戦に勝ち鞍があるどころか、出走した経験すら持たぬ一頭。とはいえGⅠを10勝もした猛者である。他の出走予定馬とは明らかに格が違う。もしGⅠ11勝なら日本記録。考えるほどにナリタブライアンの高松宮杯が重なって見える。

今年のダート短距離路線が、確たる主役不在のままJBCを迎えてしまったことも忘れてはならない。トウケイタイガー(かきつばた記念)、ブルドッグボス(クラスターC)、キタサンミカヅキ(東京盃)と地方所属馬の活躍が目立つのも、JRA勢が小粒であることの裏返しであろう。そのせいか、今年のJBCスプリントにはネロやレッツゴードンキなどダート未勝利馬の名前も目につく。

「そんな状況なら、距離適性には多少目をつぶっても、ダート適性で勝てる―――」

そういう考えがあったとしても私は驚かない。JBC史上初となるクラシック・スプリント両カテゴリの制覇とGⅠ最多勝記録。それが同時に達成されれば、のちに伝説と呼ばれる一戦となる可能性もある。例年クラシックの前座感も漂うスプリントだが、今年はクラシックを凌ぐ注目を集めることになるかもしれない。

 

***** 2017/10/16 *****

 

 

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2017年10月15日 (日)

気分は新潟競馬場

神保町からウインズ後楽園へと向かう道すがら、白山通りから一本入った路地裏を歩いていると、「タレかつ丼」と書かれた看板が目に飛び込んできた。

Mise 

レンガの壁にステンドグラスのペンダントライト。外見も内装も、昭和の雰囲気を残す喫茶店にしか思えない。しかしメニューを見れば、そこは間違いなくトンカツ専門店。しかも新潟名物のタレカツ丼に特化したお店だという。その店名はズバリ『タレカツ』。日曜の14時近くだというのに、カウンターのみの12席は既に満席で、空席待ちで3人が列をなしていた。

今週から秋の新潟開催がスタートしているが、今年は新潟に行くことができていない。来週、再来週も無理であろう。ここでタレかつ丼を食べ、ウインズで馬券を買えば、少しくらいは新潟遠征の気分を味わうことができるだろうか。

Tarekatsu1 

我々が知るカツ丼は玉子でとじたカツ煮をご飯の上に載せたものだが、タレかつ丼は揚げたてサクサクのトンカツを甘辛い和風のタレにくぐらせてご飯の上に載せただけ。他には何もない。その潔さが良い。そういう意味では鰻丼に似ている。なるほど卓上には山椒の用意も。タレも鰻丼のそれに近いが、ほんのりと香る生姜の風味が豚肉の味を引き立てる。

ご飯を食べ進めるうち何かに箸が当った。周囲を掘り進めると、ご飯の中から更に2枚のカツが姿を現したではないか!

Tarekatsu2 

―――なんて、この二段構造が新潟タレカツの醍醐味。ご飯に埋もれていたというのに、なぜか衣のサクサク感は失われていない。その食感がさらに食欲をかきたてる。

すっかり新潟名物として定着したタレかつ丼の歴史は意外と古く、実は昭和初期にまで遡るらしい。新潟市内に店を構える『とんかつ太郎』の店主が、当時はモダンな料理だったカツレツを大胆にもしょうゆダレに浸したのが始まり。しかしそれが新しいモノ好きの新潟の旦那衆にウケた。古町界隈では花街へ繰り出す前に、一杯の酒と共にタレかつ丼で小腹を満たして出かけるのが粋だったという。

そういう意味では、場外馬券売り場に出かける前に食べるのも悪くはなかろう。もとより「カツ」は勝負前のゲン担ぎにもってこい。すっかり新潟競馬場に来ている気分になって購入した秋華賞の馬券はコチラ。

Baken 

これ以上悲しい馬券はありませんな(笑)

いやあ、モズカッチャンが抜け出してからというもの、短い直線で何度も夢を見てしまいましたよ。あとは何でもアタリだから、どうせなら人気薄来い!なんてね。それでバチが当たったのだろうか。よりによって最後の1完歩で3着に敗れるとは……。

まあ、私の馬券下手はタレカツ丼一杯程度では治らないということ。この問題ばかりは根が深い。それにしてもタレかつ丼は美味しかったです。

 

***** 2017/10/15 *****

 

 

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2017年10月14日 (土)

アイルランドトロフィーの行方

明日の東京メインはオクトーバーS。あれ? 例年なら秋華賞当日の東京メインはアイルランドトロフィーじゃありませんでしたっけ?

アイルランドトロフィーは古馬のオープン特別。かつてはトロットサンダーがこのレースでオープン初勝利を飾り、近年ではエイシンヒカリが外ラチ沿いにぶっ飛びながらも大楽勝してデビューからの連勝を「5」に伸ばしたことでも知られている。そんな隠れた出世レースはいったいどこへ行ってしまったのか?

Hikari 

その答えは今日の東京メインにあった。なんと今年から重賞・府中牝馬Sに「アイルランドトロフィー」の冠が付けられたのである。アイルランドとの外交関係樹立60周年を記念しての名称変更とのこと。ふーむ。それなら、馬券はアドマイヤリードでよかろう。彼女のお母さんのベルアリュールⅡはアイルランド生まれ。出馬表をざっと見る限り、ほかにアイルランドに縁のある馬は見当たらない。

Baken 

しかし勝ったのはクロコスミア。残念ながらアイルランドとは関係がない。だが、あらためてその血統表を調べてみれば、4代母に Park Appeal の名があるではないか。言わずと知れたアイルランドの名牝。なぜここに気付かなかったのだろう。アイルランドのキルダンガンスタッドを訪れた私が、彼女を間近に拝ませていただいたのは20年前のことだ。いつも私はあとになって大事なことを思い出す。

Park 

それにしても「アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス」というレース名は長過ぎる。馬券の印字は「アイルランド府中牝馬」。スペースの都合で省略せざるを得ないのはわかるが、これではもはやレース名としての体を為してない。かつて「ニュージーランドトロフィー4歳ステークス」が「ニュージーランドトロフィー」に改称されたように、そのうち府中牝馬Sも「アイルランドトロフィー」で定着してしまうのだろうか。

ちなみに、関東のベテラン横山典弘騎手は府中牝馬Sを勝ったことがない。18回も騎乗して優勝はゼロ。その一方で2着は4回もある。カワカミプリンセスやスマートレイアーでも勝てなかった。不思議としか言いようがない。

ところが「アイルランドトロフィー」となれば、一転して横山典弘騎手のレースとなる。なにせ冒頭のトロットサンダーやエイシンヒカリを含め4勝という相性の良さ。なのに今年は残念ながら騎乗馬が無かった。来年に期待しよう。

 

***** 2017/10/14 *****

 

 

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2017年10月13日 (金)

釜玉行進曲

通常、うどんは釜で茹で揚げた直後に冷水で締める。こうすることで表面のぬめりが取れると同時に、麺のコシが格段にアップする。

だが、釜揚げうどんの場合は、この「水で締める」という工程がない。釜から茹で揚げて、そのまま客の前に出される。なので、うどんは幾分柔らかめで、麺自体の余熱で延びるのも早い。だが逆に小麦の風味はいっそう際立つ。その刹那的な美味さを味わうなら、釜揚げうどんに玉子を落としただけのシンプルな釜玉をおいてほかにあるまい。

Maruka1 

こちらは神保町の人気店『丸香』の釜玉。

Maruka2 

多くの店の釜玉がそうであるように、注文してから10分ほど待たされる。茹で揚げを提供する以上、これはやむを得まい。しかしごく稀に、茹で置きの麺をお湯にくぐらせてから丼に移し、その上から生卵をポイとかけて「ホラよ」と出される店に遭遇することもある。これはいただけない。釜玉は月見うどんとは違う。

ところで、この釜玉をTVや雑誌などが取り上げるに際し、「カルボナーラ風うどん」と紹介されることが多いような気がするのだが、これは果たして正しい表現なのであろうか。

確かにどちらも玉子を使った麺料理には違いあるまい。だが、あくまでも麺の美味さ際立たせるために使われるのと、チーズや黒胡椒などと織りなす濃厚かつパンチの効いたソースのために使われるのとでは、やはり終着駅が違うような気がする。

麺料理にこだわらなければ、むしろ「玉子かけごはん」に近いのではあるまいか。湯気があがる炊きたてのご飯に生玉子を落として、醤油をひと垂らし。純白から黄金色に染まった米粒の艶。ふんわり炊けたご飯に絡む濃厚な玉子の甘さ。いずれも釜玉に通ずるものがある。どちらも一気に掻き込むのがいちばん美味い食べ方であることは言うまでもない。

そんなことを考えている玉子かけごはんが食べたくなるのだけど、そんな思いをグッと押し殺して旗の台へ。名古屋うどんの名店『でらうち』のすぐ近所に、なんと釜玉専門店がオープンしたのである。その名も『功刀屋』(くぬぎや)。旗の台は一転うどん激戦区となった。

Kunugi1 

注文から提供まで時間がかかる釜玉をメインに据えては客の回転が悪かろうと心配したら、なんと麺は圧力鍋で茹でるという。サービスの揚げイリコをつまみながら待っていると、厨房から圧力鍋のゴトゴトという音が聞こえ、しかるのちに肉釜玉が運ばれてきた。

Kunugi2 

外目がふんわりしていながら、内目にはしっかりコシがある。内外の状態差が気になるのは競馬の見過ぎかもしれないが、ともあれ釜玉に合うことは間違いない。聞けば、こちらのご主人は神保町『丸香』で修業されたとのこと。なるほど、うまいわけだ。

 

***** 2017/10/13 *****

 

 

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2017年10月12日 (木)

芦毛のロマン

今週の秋華賞には3頭の芦毛馬が出走を予定している。アエロリット、タガノヴェローナ、そしてポールヴァンドル。秋華賞の初代優勝馬、ファビラスラフイン以来となる芦毛の女王が誕生するかもしれない。

Aero 

原則として両親のどちらか一方が芦毛でなければ、芦毛の子は生まれてこない。芦毛の父親であれ、芦毛の母親であれ、その子に芦毛を伝える確率は50%。むろん隔世遺伝もしない。仮にこの地球上から一度でも芦毛馬が消えてしまったら、二度と復活することはない。

加えて芦毛馬はいわれのない迫害を受けてきた。「芦毛は能力に劣る」という迷信はまだ序の口。ナポレオン登場前の欧州では「芦毛が生まれたら悪魔にくれてやれ」とさえ言われたという。

我が国でも江戸時代は「芦毛は悪し毛なり」と武士に嫌われた。その理由は芦毛馬にありがちな弱い白爪にあったとされるが、明治期に入ると今度は敵の標的になりやすいという理由から馬政局は芦毛馬の競馬出走を禁止する命令を出す。芦毛は絶えず消滅の危険にさらされながら、今日まで生き延びてきたのである。

アエロリットやタガノヴェローナの芦毛は父クロフネ譲り。その母ブルーアヴェニュー、さらにその母エルザブルーと遡ると、6代前には伝説の芦毛馬ネイティブダンサーが登場する。

一方、ポールヴァンドルやファビラスラフインの芦毛はともに母系に流れるカルドゥンから伝わった。その父カロ、その父フォルティと遡れば、近代サラブレッドにおける芦毛中興の祖と言われるグレイソヴリンへとたどり着く。

Porl 

昨日付の本稿で、アングロアラブを対象とした血液型による親子判定で不正種付けが疑われる事例が多数指摘されたことを書いた。実は、同時期にサラブレッドを対象に同じ検査が行われている。1973年の検査では3頭の親子関係が否定された。これはいったい何を意味するか。

そう、それはすなわち、サラブレッド300年の歴史の中には事実と異なる血統が存在することを示唆している。アングロアラブの“てんぷら”とは事情が異なるから、すべてが故意ということはあるまい。だが故意であれ偶然であれ結果としては同じこと。国際血統書委員会も、初期の時代に血統の証明は技術的に不可能であったとした上で、「全てのケースを訂正することは不可能である」という見解を示し、不正血統の存在を事実上認めている。

すべてのサラブレッドの父系を遡ればわずか3頭の始祖に辿り付くことから、「血のロマン」が謳われるサラブレッド。だが、その血統表が真実であるという保証は、実はないのである。

だが、芦毛はそんな人間側の都合とは無関係に、その不思議な毛色を細々と伝えてきた。

ネイティブダンサーもグレイソブリンも、いやそれだけでなくすべての芦毛馬の芦毛は、1704年生まれのオルコックアラビアンという芦毛のアラブ馬に到達する。これが真実であることは芦毛の遺伝子が証明済み。「血のロマン」を謳うなら、むしろこちらであろう。

幾度にも及ぶ消滅の危機を乗り越え、何代も何代も一本の糸をつなぐように伝わってきた芦毛には、生命の不思議な力が秘められている気がしてならない。初めて競馬場を訪れたビギナーや女性ファンは無条件に芦毛馬を応援することが多いが、それは自然な流れ。むしろ正解であろう。

 

***** 2017/10/12 *****

 

 

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2017年10月11日 (水)

てんぷらの話

「ブラッドスポーツ」と呼ばれる競馬だが、実際に現場で血液の話をすることはあまりない。だが、JRAには「馬の血液型を教えてほしい」というファンからの要望が年に数回あるのだそうだ。

そんなものを聞いてどうするのか? そう、それは血液型占いである。日本人の占い好きもここまで来れば立派なものだと感心するが、残念ながら馬の血液型は人間と同じA、B、AB、Oの4種類にとても収まらない。馬の血液型は、赤血球型と血清蛋白質型、酵素型を組み合わせて分類されており、その組み合わせの数は数万単位に及ぶ。とても占いに使える数ではあるまい。

とはいえ、現在のDNA鑑定が登場する以前は、馬の親子判定の現場で血液型が重宝されていた。端的に言えば不正種付けの検出。この手法が用いられるや、アングロアラブで数多くの“てんぷら馬”を洗い出してきた歴史がある。

かつてJRAでも行われていたアラブ系競走には、25%以上のアラブ血量を持つ馬しか出走できなかった。ちなみにアラブ血量が少ないほど、すなわちサラブレッド血量が多いほど、一般的にスピードに勝るとされる。

たとえばアラブ血量50%の繁殖牝馬にサラブレッド種牡馬を付けて誕生した産駒のアラブ血量は25%だから、アラブ系競走に出走はできる。だが、アラブ血量25%の繁殖牝馬にサラブレッド種牡馬配合すると、産駒のアラブ血量は12.5%だからアラブ系競走には出走できない。とはいえ、アラブ種牡馬を付けても速い馬は生まれそうもない。さて、どうしたものか。

そこに悪知恵を働かせる輩が現れる。表向きはアラブ種牡馬を付けたことにして、こっそりサラブレッド種牡馬を付けてしまうのである。書類上はアラブ血量を25%を持つとされながら、実際には12.5%しか持っていない馬を、俗に“てんぷら馬”と呼んだのである。馬肉に衣をつけて揚げたわけではない。

血液型が親子判定に利用されたのは、子の血液型は必ず両親の血液型の組み合わせであるため。すなわち、両親が持っていない血液型形質を子が持っているとすれば、それは親子ではない。この検査が“てんぷら”を炙り出すのにひと役買うこととなった。1971年にアングロアラブ540頭を検査したところ、そのうち211頭で親子関係が否定されたという記録も残る。

“てんぷら率”3割9分と聞けば、だれもが顔をしかめるに違いない。私としてはてんぷらの話はうどんで十分。写真は水道橋『とんがらし』の「もりあわせうどん」。その“てんぷら率”は、ゆうに5割を超える。しかも揚げたてアツアツ。もちろんこれは悪くない。

Tenpura 

 

***** 2017/10/11 *****

 

 

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2017年10月10日 (火)

競馬場のロメスパ

茹で置きのスパゲティをフライパンで具材と炒め合わせて食べる「ロメスパ」。

Koiwai 

路面の立ち食いそば屋のように、注文から間を置くことなく提供されて、忙しいサラリーマンでも気軽にサッと食べることができることからそう呼ばれている。有楽町『ジャポネ』と大手町『リトル小岩井』がその双璧。どちらの店も昼どきは大行列。開店直後から閉店まで客足の途絶えることがない。

特徴は直径2.1ミリもの極太麺にある。加えて強力粉も配合されているその麺は、茹で置きにもかかわらず、実にむっちりした歯応えで、喉越しはうどんにも引けをとらない。ひと口頬張るたびに満足感に浸ることができる。

この太さの麺を調理するには独特の技が必要だ。中華料理並みの強い火力で一気に炒め上げるのがポイントらしい。『リトル小岩井』では、二人の屈強なコックが大きなフライパンをジャッジャッと振り続けている。なにせ客足が途切れないから休む暇もない。見るからに重労働であろう。それが一皿540円から。行列が絶えない理由が分かる。

都内に5店舗を展開する『ロメスパ・バルボア』は、自ら「ロメスパ」を標榜するだけあって、「味の濃さ」と「満足感」がウリ。そのこだわりのロメスパを東京競馬場の馬場内で味わえるのだから行かぬ手はない。なんと春開催に引き続き、この秋も「メガグルメフェスティバル」に出店してくれた。

Spa1 

メニューは「しょうゆアサリ」のみ。準備や客の回転を考えれば、単一メニューになるのは仕方ない。それが1番人気の「ナポリタン」でないことを嘆くバルボア・ファンもいるかもしれないが、そこは大人の事情。場内の他の飲食店の手前もある。とはいえ「しょうゆアサリ」は美味い。この機会に味わってみるのも悪くなかろう。なにより、この店舗形態こそ正真正銘の“路面スパ”ではないか。馬場内の店舗は次週(10/15)までの営業だそうだ。

Spa2 

 

***** 2017/10/10 *****

 

 

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2017年10月 9日 (月)

サイアーランキング秋の陣

10月の声を聞けば新馬戦は早くもクライマックスを迎える。ひと昔前は、クラシックを狙うような大物は12月の阪神でデビューしたもの。だが、6月1週目から2歳戦が始まるようになり、2歳重賞も増設された近年では、10月までにデビューしていないと、クラシックまでのローテーションがキツい。今年の春のクラシックを制した4頭も、すべて昨年10月までにデビューを果たしていた。

今日の東京5Rは芝1600mの新馬戦。ゴールドギアが1番人気に応えてデビュー戦を飾った。

5r 

父のロードカナロアは、これがJRA15頭目の勝ち上がり。新種牡馬でこれに次ぐのがエイシンフラッシュの8頭だから、ダントツの勝ち上がり率を誇る。むろんファーストシーズンサイアーランキングの首位。全体の2歳サイアーランキングでもディープインパクト、ダイワメジャーに次ぐ3位につけている。あとは早いとこ重賞タイトルが欲しい。おとといのステルヴィオは惜しかった。

今日の東京は未勝利にも注目馬が登場。2Rのマイル戦を勝ったのはディープインパクト牝馬のプリモシーン。中山でのデビュー戦は好位から競馬を進めながら差されてしまったが、今回は一転して後方から競馬を進め、33秒2の脚でまとめて差し切ってみせた。

2r 

ディープインパクトの2歳はこれが19頭目の勝ち上がり。例年にないハイペースは、やはり早めにデビューを果たさないとクラシックに間に合わないという事情があればこそ。母は豪州GⅠ4勝のモシーン。その良血もクラシック路線に乗れなければ、宝の持ち腐れになりかねない。

今日の東京の2歳戦5鞍はすべて1番人気が勝った。3Rの芝1800mの未勝利も1番人気のギルトエッジが快勝。惜敗続きにピリオドを打った。

3r 

ギルトエッジは新種牡馬ノヴェリストの産駒。今日は京都でもノヴェリスト産駒が勝ち上がったのだが、この2勝でファーストシーズンサイアーランキングでも2位にランクアップしたはず。獲得賞金でも、勝ち上がり頭数でも、さらに今年の種付け頭数でもロードカナロアにダブルスコアを付けられているノヴェリストだが、これから2歳競馬は高額賞金レースが目白押し。逆転のチャンスは、まだ残されている。

 

***** 2017/10/09 *****

 

 

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2017年10月 8日 (日)

社台だらけの新馬戦

今年の毎日王冠はGⅠ並みの豪華メンバーで盛り上がったが、5レースの2歳新馬戦も注目せずにはいられない。この世代初めての東京芝2000m戦。敢えてそこをデビューの舞台に選ぶ以上、どの馬もクラシックを見据えているに違いない。ちなみに昨年の毎日王冠当日、ここで新馬勝ちを果たした馬を覚えているだろうか? そう、それはレイデオロ。説明するまでもない。今年のダービー馬だ。

2016 

今年の出走馬は11頭。そのうち、実に9頭が社台グループの生産もしくは育成馬であることは決して偶然ではあるまい。1番人気は追分ファームのブラゾンダムール。2番人気はノーザンファームのコズミックフォース。3番人気は白老ファームのスワーヴアラミス。以下、9番人気までを9頭の社台グループの関係馬が占めている。つまりそういうレースなのである。

Padock 

レースはスタートから飛び出した6番人気ジェシーの逃げをブラゾンダムールが離れた2番手から追い掛ける展開。コズミックフォースは後方、スワーヴアラミスは中団につけた。だが、大方の予想通りペースは遅い。馬順に変化の無いまま4コーナーを回ったところで勝負あり。ブラゾンダムールが逃げるジェシーを余裕たっぷりに交わしただけでレースは終わった。

2017 

ディープインパクト産駒がこの時季の東京芝2000mで新馬を勝った意義は大きい。スタートセンスも折り合いも申し分ない。ただ、「クラシック級」と喝采を贈るには、いかんせんペースが遅過ぎた。負けた馬にしても着差ほどの力量差はあるまい。なにせノーザンや白老の良血馬ばかりである。

特にゲートが今一歩ながら、メンバー最速33秒2の上がりで3着に入ったコズミックフォースの次戦には注目したい。直線で前が壁になり、真剣に追えたのは正味2ハロンほどだった。馬体も見るからに成長途上。底知れぬポテンシャルを秘めていそうな予感がある。

Cosmic 

同じ厩舎の先輩・アパパネも新馬戦3着からGⅠ5勝のキャリアをスタートさせた。デビュー戦で負けたからと言って悲観することはない。3年前の毎日王冠当日の、この新馬戦で2着に敗れたのは、あのドゥラメンテである。

 

***** 2017/10/08 *****

 

 

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