2017年4月29日 (土)

1番人気受難の春

プロ野球は開幕して1か月が過ぎたが、セ・パ両リーグのチャンピオンチームが明暗を分けている。セ・リーグは広島カープが10連勝の快進撃を続ける一方で、パ・リーグでは日本ハムが泥沼の10連敗を経験してしまった。主力選手に故障者が相次いでいるとはいえ、この時期に首位と12ゲーム差は厳しい。

連敗といってもいろいろあるが、野球になくて競馬にあるのは1番人気馬の連敗だ。かつて、「秋の天皇賞で1番人気は勝てない」と言われた時代が長く続いたことを思い出す。

1966年秋、野平祐二が手綱を取るセフトウエーが6着に敗れてからというもの、リユウフアーロス、フイニイ、マーチス、アカネテンリュウ(2年連続)、キームスビィミー、ハクホオショウ、ホウシュウエイト、キクノオー、イシノアラシ、トウショウボーイ、リュウキコウ、メジロイーグル、カツラノハイセイコ、カツアール、サンエイソロン、そして1983年タカラテンリュウまで1番人気馬が18連敗である。府中の本命党たちには、厳しく辛い秋が長く続いた。

距離が2000mに短縮された1984年にミスターシービーが1番人気で勝つと、本命党たちは「2000mなら堅く収まるゾ!」と喝采を叫ぶ。だが、1988年のオグリキャップから1999年のセイウンスカウイまでまたも1番人気が12連敗。すると本命党は掌を返したように「外枠が極端に不利な東京2000mでGⅠをやるべきではない」と主張するようになるのだが、その12連敗の中には最内1番枠からスタートした馬が3頭も含まれていた。

もちろん本命馬だって負けることはある。それが競馬だ。しかし、天皇賞・秋の1番人気馬は、能力とは無関係の理由で敗れ続けているように思えてならない。「ジンクス」と呼ばれる所以はそこにある。こうして、天皇賞に関しては「堅い春、荒れる秋」というイメージが植え付けられた。

そう、「堅い春」なのである。シンボリルドルフ、ミホシンザン、タマモクロス、スーパークリーク、メジロマックイーン、ビワハヤヒデ、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、そしてディープインパクト―――。春の天皇賞といえば、チャンピオンが人気に応えて結果を残す舞台だった。

なのに、あらためて振り返ってみれば、2006年から1番人気馬が10連中だったりする。その間、チャンピオンの参戦が無かったわけではない。オルフェーヴルもゴールドシップも着外に沈んだ。

Gold 

同じ10年間の天皇賞(秋)における1番人気馬の成績は(5,2,2,1)。春と秋の立場はすっかり逆転してしまっている。今朝の時点ではキタサンブラックが1番人気だったのが、先ほど確認したらサトノダイヤモンドにとって代わっているではないか。サトノダイヤモンドは17頭の相手だけでなく、1番人気受難のジンクスとも闘わなければならない。

 

***** 2017/04/29 *****

 

 

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2017年4月28日 (金)

銀行レースと物価統制令

一部ウインズで実施された天皇賞金曜日発売が、先ほど19時に終了した。単勝の1番人気はキタサンブラック。2番人気はサトノダイヤモンド。両者の馬連は180円と発表されている。

たしかに一騎打ちムードは漂う。どちらも菊花賞馬。これといって強力な馬も見当たらない。有馬記念のこの2頭の馬連配当は260円だった。ならば今回それより低くなったところで驚くこともなかろう。GⅠレースでの馬連最低配当記録は1999年宝塚記念の200円。今回はその記録を更新するかもしれない。もちろん、この2頭で決まれば―――の話だが……。

先日行われた桜花賞で、ソウルスターリングの単勝に3000万円(一説では4000万円とも)を注ぎ込んだ人がいたという。漂うオッズは140円。むろん銀行に預けるよりも割が良い。なにせ空前の低金利時代である。しかし、それでもせめて複勝にできなかったか。それでもたった94秒で300万の利ざやがあったのに……。我々庶民は、そう考えてしまう。いや、そもそも3000万円の馬券を購入することなど、庶民は考えたりしない。

Brian 

天皇賞はその格式の高さに加え、現在では特殊領域とも言うべき距離設定によって、実力以上に人気が偏ることがある。それが「一騎打ち」とか「銀行レース」などという事前の風評を呼び、増します本命サイドが売れるという傾向が長く続いてきた。

1992年
メジロマックイーン&トウカイテイオー
馬連オッズ1.6倍 1着→5着

1996年
ナリタブライアン&マヤノトップガン
馬連オッズ2.0倍 2着→5着

1998年
メジロブライト&シルクジャスティス
馬連オッズ2.0倍 1着→4着

とはいえ、銀行だって低金利や合併で苦しむ現代である。「銀行レース」という言葉を耳にしなくなって久しい。なのに、1998年の天皇賞でも前々日発売で2強の馬連を5000万円買った人が出て、1.1倍の馬連オッズが翌日の紙面を飾る騒ぎになった。バブル以降、長引く不況のさなかとはいえ、お金はあるところにはある。福岡の強盗事件を持ち出すまでもない。

3連単がなかった当時、JRAは「2強対決」を歓迎しなかった。数千万を動かすビッグプレイヤーならともかく、我々庶民は2倍のオッズには手を出しにくい。メジロマックイーンとトウカイテイオーの一騎打ちに沸いた92年春の天皇賞では、馬券売上が前年に比べて20%以上もダウンしたという記録が残る。

しかし「世紀の対決」と騒がれている以上、馬券は買わずともレースはナマで見ておきたいと思うのがファン心理。92年の天皇賞当日の京都競馬場は11万の大観衆で膨れ上がった。しかも、入場てきたのは前売り入場券を持っていた人のみ。そこに目を付け、前売り入場券を定価の10倍で売るダフ屋も現れた。銀行レースに大金を投じるより、その方が確実に儲かる。むろんあえなく御用となった。

驚いたのは、その罪状が「物価統制令違反」と聞いたから。物価統制令は戦後間もない1946年3月に施行された勅令。てっきり死語かと思っていた言葉が、突然息を吹き返すこともある。あさっての天皇賞で「銀行レース」という言葉は復活するのだろうか。

 

***** 2017/04/28 *****

 

 

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2017年4月27日 (木)

新緑賞の緑帽

先週土曜の東京9レース・新緑賞の話を再び書く。

春の東京開幕週の3歳500万条件。芝2300mという舞台設定から、古くはサニースワローやリアルバースデーが、近年でもハギノハイブリッドがここを勝ってダービーの舞台へと向かっていった。

Capoti 

しかし私が注目するのはそこではない。2010年ブレイクアセオリー、12年カポーティスター、14年ハギノハイブリッド。いずれも6枠緑帽で勝っているのである。ほかにも13年と16年で6枠が2着。7年で5連対は凄い。そこは「新緑賞」たる所以か。そこで6枠総流しの馬券を買ってみた。

最近はすっかりマイナーな存在になった枠連だが、競馬初心者が買いやすい馬券として、今も独特の存在感を漂わせている。レース観戦において、初心者が真っ先に戸惑うのが、自分の買った馬を見失ってしまうこと。勝負服で判断ができるようになるまでは時間がかかるだろうし、密集した馬群の中で、ゼッケン番号を視認するのは実況アナウンサーでも難しい。

だから枠連。自分が買った馬は、騎手の帽子の色で判別がつくから、レースが追いやすい。しかも代用的中というオマケも期待できる。

「枠番」というシステムのない欧米では、勝負服と同じように、馬主に帽子の色を決める権利がある。我が国でも、かつては枠とは無関係に馬主独自の色を用いていた。

帽色が採用されたのは、戦後の4枠制から5枠制を経て6枠制に移行した1957年のこと。この時の色は、1枠から白、赤、青、緑、黄、水だった。配色の根拠となったのは、「一白・二黒・三碧・四緑・五黄・六白・七赤・八白・九紫」の「九星」とされる。さらに1963年の8枠制移行に伴い、7枠の茶、8枠の黒が追加されたが、「茶色は見にくい」という大井のファンの声がきっかけとなり、色相学の専門家などの意見を基に現行の配色に落ち着いたという。オレンジとピンクという蛍光色は確かに見やすく、結果それを中央競馬がマネる形となった。

さて、緑帽が圧倒的に強いはずの新緑賞を勝ったのは1枠のビービーガウディで、2着は4枠ミッキーロイヤルであった。残念。でも、かつてなら4枠は緑帽だったから当たっていたのに……、なんてアホなコトで真剣に嘆いているようだから、馬券が当たらないんだよなぁ。

 

***** 2017/04/27 *****

 

 

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2017年4月26日 (水)

GⅠ馬の兄弟

先週土曜の東京6レースは芝マイルの未勝利戦。道中は中団で脚を溜めたディーグランデが、直線で馬群を縫うように進出すると、最後は逃げるサイレントサードをゴール寸前できっちり差し切って嬉しい初勝利を挙げた。

6r 

続く7レースはダートの1400m。1番人気のレレマーマが警戒に飛ばすと、直線に向いてもルメール騎手の手綱はピクリとも動かない。この時点で勝負あり。終わってみれば6馬身差の圧勝だった。

7r 

私の馬券はどちらもハズレ。まあ珍しいことではない。でも、そこで私、ハタと気付いたのである。6レースを勝ったディーグランデはディーマジェスティの弟。そしていま逃げ切ったばかりのレレマーマはマカヒキのお兄さんということになる。この流れなら、次の8レースもGⅠ馬の兄弟が勝つのではないか?

そう思いつつ出馬表を眺めてみると……、おお、いたいた。

Yoku 

1枠1番ヨクエロマンボは、一昨年のチャンピオンズCを勝ったサンビスタの弟。休み明けではあるが、あえて得意の東京を待っていたのだから、不安要素にはなるまい。しかもGⅠ馬兄弟連勝中の流れが来ている。これは確勝であろう。へっへっへ。馬券なんて簡単なモンだ―――と、ほくそ笑みながら迎えた8レースを勝ったのは、

8r 

なんと12番人気ボールドアテンプト。どっひゃー! 単勝万馬券じゃないか!

ヨクエロマンボは追い込み及ばず5着。あれれ、おかしいな。でもよくよく見れば、ボールドアテンプトにしてもお母さんがタイプパラドックスの妹だから、まあ誤差みたいなものか。さあ、気を取り直して次。えーと、新緑賞だから芝の2300mだな。えーと、GⅠ馬の兄弟は出ているかな?

おっ!

End 

エンドゲームのお母さんはタイキクラリティ。つまりNHKマイルCを勝ったクラリティスカイの弟である。例の流れはまだ続いているに違いない。よーし、今度こそ!

9r 

あらら……。

勝ったのばビービーガウディ。大野君、人気薄で連勝ですよ。エンドゲームは直線でズルズル後退。10着に敗れてしまった。

やはり例の流れはもう止まってしまったのかもしれない。いや、むしろ逆流しているとみるべきであろう。つまり、GⅠ馬の兄弟は「来ない」のである。ならば次の10レースのレアリスタ(リアルインパクトの弟)も消し。ようし、豪快に蹴飛ばしてやるぞ。さあ、どうだ!

10r 

どっひゃー! もう、勘弁してくれーい!crying

大阪杯とホープフルSがGⅠに昇格し、いまやGⅠレースは年間36を数える。さらに、リアルスティールやサトノクラウンのように、海外でGⅠタイトルを獲得してくるケースも今や珍しくはない。その兄弟姉妹となれば、かなりの頭数になる。平場のレースに1頭や2頭いても不思議ではない。

血統だなんだと騒ぐのはしょせん人間だけのこと。個々の馬たちは兄弟姉妹がGⅠを取ってることなどとは関係なく、ただひたすら勝利を目指して走っている。まず目の前の馬をきちんと見よう。馬券は散々だったが、セリや1歳馬募集が始まる時季を前に、大事なことを思い出させてもらった。

 

***** 2017/04/26 *****

 

 

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2017年4月25日 (火)

写真の流儀

商売柄他人の撮った写真にケチをつけるような真似は謹しむようにしている。むろんそれを、それをいちいちブログに取り上げることもすべきではない。だが、それにしても限度と言うものがある。

News 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170422-00000108-sph-horse.view-000

土曜東京9レースの新緑賞の結果を伝えるネットニュースを見て絶句した。

勝ったのはビービーガウディ。しかし、その写真は被写体ブレが激しくゼッケンも判読不可能。しかも、ゴール写真においてあってはならぬ「ケツ撮り」である。

写真撮影の流儀というものは様々で、10人いれば10通りの作法が存在すると言っても差し支えない。私はと言えば、若い時分に新聞流のやり方を叩き込まれたこともあり、首尾一貫「分かるように撮る」を仕事上の眼目としているつもりである。

そも“写真”とは何か―――?

哲学的な話を始めたらキリがないが、私はごくシンプルに「情報伝達のためのいち手段」という考えを第一義に置いている。したがってそれが何を表しているのかが一見して分からないようでは身も蓋もない。すなわち、良い写真というものは誰が見ても分かりやすいのである。

中には写真芸術論を引っ張り出してきて「分かる奴にだけ分かればよい」というような主張を唱える輩もいるが、これは大きな間違いで、完全なる自己満足の世界にほかならない。古今東西、絵画、彫刻、小説から映画に至るまで「名作」と呼ばれるものに理解しづらい作品など存在せず、どんなに高度な技術を注ぎ込んだとしても、見る人が理解できなければそこには何も生まれない。結果、過大な自己表現に終わるのみとなる。

話がデカくなってしまったが、馬の写真にたとえると、見た人が「あぁ、これは良い写真だな」と思う写真は二流で、「あぁ、これは良い馬だな」と思える写真こそが一流なのである。ただ、そう思っていても、なかなかその領域に踏み込むことは難しい。冒頭に紹介した写真はそれ以前の問題。三流の誹りを免れなまい。

実はこのレースの発走直前、東京競馬場は突然の激しい雨に襲われていた。それで芝コース脇のカメラマンに何らかのトラブルが発生し、やむなくスタンドにいた別のスタッフが撮った―――。

私はそんな可能性を疑っている。角度からしてゴール手前50m付近、おそらくスタンド8階の記者席からスマホか何かで撮ったものを、可能な限り画像処理したのであろう。いずれにせよカメラマンが使う機材で撮ったものではない。とはいえ仮にも大手のスポーツ新聞のしたことである。なぜそんな写真を載せたのか? ネットだからと軽く見ていたのかもしれぬが、見ても分からぬ写真なら載せないという判断もあった。

 

***** 2017/04/25 *****

 

 

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2017年4月24日 (月)

未勝利馬のダービー制覇

今週土曜の東京メインはGⅡ青葉賞。なんとここに未勝利馬のアグネスウインが登録してきた。

JRAにおいて未勝利馬が出走可能な重賞は限られている。2歳重賞と3歳春シーズンに行われるクラシックのトライアルレースのみ。だがさすがに、それを勝ったという例を私は知らない。そもそも、たいていの未勝利馬は除外されてしまうもの。だが今回、青葉賞の登録頭数はフルゲートに届かなかった。出ようと思えば、アグネスウインは出られる。

かつては、やはり未勝利のロイスアンドロイスが出走してきたり(3着)、未出走のジュネーブシンボリがここでデビューを果たすという離れ業(4着)を演じたこともあるレースだが、当時の青葉賞は重賞ではなくオープン特別だっため、未勝利馬は1着にならなければダービー出走は叶わなかった。ダービーの出走条件には「未勝利馬・未出走馬を除く」の一文がある。

しかし現在の青葉賞は重賞なので、仮に2着に敗れても優先出走権と収得賞金の両方が手に入る。JRAの定義では「未勝利馬」とは「収得賞金が0円の馬」であるから、ダービー出走に障壁はない。アグネスウインには、「1着を経験したことのない馬によるダービー制覇」の偉業(?)への、大きな期待がかかる。

ただし海外に目を向ければ、未勝利馬によるダービーやオークスの優勝が過去になかったわけではない。長い歴史を誇る英国では、1887年に未勝利のメリーハンプトンがダービー馬の栄光に輝いているし、1983年の英オークスは2戦未勝利のサンプリンセスによる大差独走だった。

このサンプリンセスはやがてバレークイーンという牝馬を産む。説明の筆頭はあるまい。フサイチコンコルドの母である。キャリア2戦でのダービー制覇。常識を覆す快挙の背景には、少なくとも血統的伏線はあった。

Fusaichi 

同じくバレークイーンを母とするボーンキングは、初勝利を記録した直後の3戦目に京成杯を勝ち、その弟アンライバルドもわずか4戦のキャリアで2009年の皐月賞を制している。さらに2007年の皐月賞をたった3戦のキャリアで勝ったヴィクトリーは、その母グレースアドマイヤがバレークイーンの娘だ。

Victory_2 

この一族がとりわけ春のクラシックに強いことは一目瞭然。加えてキャリア不足をまったく問題にしない。冬場に開催がなく、春の開幕からいきなりトップシーズンを迎える欧州のクラシック戦績では、サンプリンセスのようにキャリア3戦目でいきなりエプソムの12ハロンを克服できるような、そんな完成度の高さが求められる。

そんなことを考えていたら、青葉賞に登録してきた別の一頭に目が留まった。アドミラブルは4代母がサンプリンセス。キャリアはまだ3戦と少ないが、それがマイナスになる血筋ではない。むしろ好材料。ここが通過点になるようなら、ついに青葉賞からダービー馬が出るかもしれない。

 

***** 2017/04/24 *****

 

 

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2017年4月23日 (日)

かすうどんがやって来た

開幕週の競馬場には新たな発見もある。フジビュースタンド5Fレストランエリアの『トラットリア デラ・コルサ』の跡地が「UMAJOスポット」になって驚いたりもしたが、まずはこちらのお店。

Kasu 

当ブログのコメント欄にギムレット氏から情報をお寄せいただいた『KASUYA』です。

大阪ではポピュラーな「かすうどん」のお店を東京で見かけるようになったのは、この数年のことであろう。それでも新橋の『みなと屋』のように、いつの間にか閉店してしまう店もなくはない。その理由は様々あろうが、東京における認知度の低さもひとつの要因であろう。そういう意味では、かすうどんを世間に広めた『KASUYA』の東京競馬場進出は、いろいろな意味で期待が広がる。

Udon1 

東京の人間からすれば、やはり「かす」という語感に抵抗があるのだと思う。だって“カス”ですからね。しかし実際には牛の小腸を油で揚げたもの。「油かす」とも呼ぶらしい。外はカリッとしていいながら、中はホルモン特有のぷるぷるとした食感。しかも旨味たっぷり。なのに脂っこさやしつこさはあまり感じない。なぜだろう。理由を尋ねると「よーく揚げて油を抜いてあるから」という答えが返ってくるのだが、揚げたら余計に脂っこくなりそうなものだ。まあ、私としては美味ければどうでも良いのだけど。

Udon2 

かすの脂をまとったうどんは留保なく美味しい。旨味が溶け出たダシも、美味しいからつい最後まで飲み切ってしまう。そういう観点からすれば、このカップの形状はダシを飲み干すのには向いているかもしれない。でも正直、うどん一杯としての物足り無さは起こる。競馬場の食べ歩きルーティンの中において、この一杯をどのような位置付けに置くべきか。各人、思案のしどころであろう。

Horumon 

もうひとつ、ホルモン丼も頼んでみた。地方競馬で見かけるホルモン丼は、汁っぽい煮込みをジャバッとごはんにかけた代物だが、こちらのは濃い味付けのホルモンがどさっとご飯に載せられて出てくる。これも美味い。

Menu 

ただ気になったことがひとつ。実は『KASUYA』は阪神競馬場にも出店しているのだが、以前そこで食べたかすうどんは確か一杯500円ではなかったか―――?

それで調べてみると、やはりその通り。しかもホルモン丼も阪神では600円ではないか。なぜ東京は100円増しにしたのか。

ひょっとしたら、今ごろ阪神競馬場の店舗でも値上げが実施されているのかもしれないが、東京にかすうどんを広めるという期待を寄せているだけに、画竜に点睛を欠いている気がしてならない。

出店場所はフジビュースタンド2階東側。メモリアル60スタンドとの連結通路付近で、以前はハンバーガーの『ロフトハウス』があった場所。正直言ってあまり良い立地とは言えないのだが、かすうどんがどれだけお客さんを集めることができるのか。注目していきたい。

 

***** 2017/04/23 *****

 

 

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2017年4月22日 (土)

サウスポーたちの季節

JRAは今日から開催替わり。関東の舞台は東京に移る。しかも来週からは今年最初の新潟開催もスタート。サウスポーたちの季節がやってきた。

Tokyo 

馬にも「利き手」ならぬ「利き足」がある。それに関係があるのが手前脚。左回りのコーナーでは右トモ→左トモ→右前→左前の順に脚が地面につく。これがいわゆる左手前。この時、推進力を生み出すのは左トモである。

最終コーナーを回って、直線を迎える。しかしコーナリングの時と同じ左手前で走り続けていては、左トモに疲労が溜まってスピードが落ちてしまう。そこで騎手は直線に向いてから、手前を替えるよう馬に指示を出す。そこからが本当の勝負。「左回りが得意」という馬は、コーナーリングの得手不得手というよりは、「右手前で走るのが得意」な馬だったりする。

ディープインパクトは坂路調教でも右手前ばかりで走るほど右手前が好きだった。直線だけで後続を5馬身千切った日本ダービー。33秒5の脚で突き抜けたジャパンカップ。生涯2度の左回りでのレースが圧勝だったことと無関係ではあるまい。

Deep 

手前を替えるのが得意な馬もいれば、苦手な馬もがいる。シンボリルドルフは上手な代表。一方、オグリキャップは下手だった。有終の美を飾った1990年の有馬記念。以前からこの癖に気づいていた武豊騎手が、根気よく手前の替え方を教え込んだというのは有名な話。そして迎えた本番、オグリキャップは最後の直線で武豊騎手の指示通りに手前を替え、1着でゴール板を駆け抜けた。

人間の「右利き」「左利き」は先天的なものだろうが、競走馬はふだんの調教で矯正が可能。また、新潟は得意でも、東京ではさっぱりという馬もいる。「右回り得意」「典型的なサウスポー」。そう言われる馬たちがいるのは事実だが、その理由は単にコーナーリングの問題に留まらない。馬場の特徴、滞在競馬か当日輸送か、気候の問題もある。それを単に「右利き」「左利き」に喩えるのは無理があろう。しかしその一方で、コースごとに得意不得意があるのも間違いない。

Swave 

先日の皐月賞で6着に敗れたスワーヴリチャードは、直線も右手前のまま走り続けて伸びを欠いた。ひょっとしたらディープインパクトのように右手前が好きなのかもしれない。共同通信杯圧勝の舞台で、再びその末脚は爆発するだろうか。

 

***** 2017/04/22 *****

 

 

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2017年4月21日 (金)

日本で2番目に早い新馬戦

火曜の道営門別に続き、日本で2番目に早い新馬戦が間もなくここ大井で行われる。

昨年は取消などもあって4頭立て。今年はこれまでに二度に渡って行われた能験の合格馬がすべて出走してきた。とはいえ、それでも7頭でしかない。しかも馬主単位で数えれば4馬主であり、厩舎単位で数えても4厩舎のみ。2歳競馬のスタートがこの時季に前倒しされて3年目だが、南関東の関係者の間では、早過ぎるデビューに慎重な声がなお根強い。

そうこうするうちにファンファーレが鳴った。私はゴール前のラチ下にしゃがんでスタンバイ。大型ビジョンには最初にゲートに誘導される3号馬が映し出されている。

ところが、その馬がなかなかゲートに入ろうとしない。勢いをつけてもう一度。やはりダメ。今度は後ろ向きにゲートに近づけて、クルリと反転。しかしゲートを見ると途端に後ずさり。あとはその繰り返し。3分が経ち、4分が過ぎた。当然ながらまだゲートは空っぽ。

「曇ってはいますが、にわかに雨が降りそうな空ではありません」

「父はロージズインメイ、母の父はリンカーンです」

実況アナも必死に繋ぐが、それでも5分は長い。そんな時、不意にスタンドから歓声が挙がった。3号馬がゲートに収まったのである。よし! あとは残る6頭をさっさと入れてしまおう。でないと私の膝が限界。これ以上しゃがんでられない。

しかし、それが入らないのである。5号馬はすんなり入ったが、あとは全滅。こういうのは伝染するもの。みんなイヤイヤして入らない。ようやくゲートインが完了した頃には、ファンファーレから10分が過ぎていた。あぁ……、もう両足が痺れて立ち上がれそうもない。

最初にゲートインした3号馬は自業自得だからまだいい。気の毒なのは、おとなしくゲートに入ったのに、5分以上待たされた5号馬である。果たしてこれを「真正な発走」と言い切れるのか。2歳のデビュー戦だからと笑って済ますわけにはいくまい。

大井が新馬戦の開始時期を4月にしたのは、むろん道営を意識してのこと。しかし、その道営では既に240頭もの2歳馬が能検に合格している。先日の門別の新馬戦は8頭立てだったが、大井とは母数が違う。選りすぐりの8頭である。しかも道営は能検を受ける前に、「ゲート練習」と呼ばれるゲート試験を二度合格しなければならない。それぐらい徹底しているのである。道営の関係者は、今日の大井の新馬戦をどう見ただろうか。

大井で4月に新馬戦が行われるようになって2年。そこでデビューした11頭のうち7頭が、実は1年以内に引退に追い込まれている事実がある。4月の新馬戦は機能しているのか。今日のゲートの一件も検討材料に加えたい。

Kurosuke 

ところで今日のレースを勝ったのは、すんなりとゲートに入ったのに、ずーっと待たされた5号馬・クロスケ。ゲートに5分間も押し込められていたのに、直線だけで5馬身差だから凄い。それがせめてもの救いだった。

 

***** 2017/04/21 *****

 

 

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2017年4月20日 (木)

タケユタカの玄孫

新幹線を止めるほどの強風が吹き荒れた昨夜、砂塵舞う大井競馬場ではダートグレードの東京スプリントが行われた。ドリームバレンチン、ブライトライン、レーザーバレットといったベテランの重賞ウイナーたちを押しのけて1番人気に推されたのは、なんと5歳にして重賞初出走のキタサンサジンである。

とはいえ、馬名のサジンは「砂塵」ではなく「砂神」らしい。直線で後続に迫られた時は、「あぁ、砂塵と共に馬群に飲まれるか……」と思わせたが、そこから粘ること粘ること。これは逃げ切るかもしれない。

それでも最後に大外から猛追してきたブライトラインの脚色は、誰の目にも差し切る勢いだ。ほとんどのカメラマンが外に照準を合わせ、場内ビジョンもブライトラインを映し続けた。にも関わらず、なんとゴールではまだアタマ差も残していたのだから不思議というほかはない。最後まで交させぬその脚は、まさに神掛かっていた。

Kitasan1 

北島三郎オーナー仕事を終えてから大井に駆け付けたという。体調が万全ではないようで、両脇を支えられて記念撮影に収まっていたが、終始笑顔だった。その行動力に感服の念を禁じえない。たしかキタサンチャンネルがニュージーランドトロフィーを勝ったときも、前日まで入院していたにもかかわらず、「どうしても競馬場で応援したい」と中山に駆け付けていらしたはず。きっとその愛情が馬に伝わるのだろう。そうでなければ、キタサンサジンの最後の脚は説明ができない。

Kitasan2 

キタサンサジンの母・キタサンヒメも、その母・キタサンクインも、その母・パーセントも、いずれも北島オーナーの所有馬である。この母系からは、キタサンフドウ、キタサンテイオー、キタサンチャンネル、キタサンヒボタンといった馬たちが活躍している。配合理論も玄人はだし。どの馬も自らが手塩にかけて育てた子や孫のような存在に違いない。

長い年月をかけて馬を作り上げる夢を追い続け、こうして結果を出すことは簡単ではない。繁殖を持つとそれを痛感する。しかしその情熱が、競馬の神様の心を動かし、キタサンブラックという名馬と巡り会わせてくれたのかもしれない。

来週はそのキタサンブラックの連覇がかかる天皇賞。キタサンサジン重賞初勝利の勢いに乗りたい。ちなみに、キタサンサジンの4代母の名は「タケユタカ」という。1971年生まれのパーソロン牝馬。宇都宮の名馬・カネユタカオーの母としても知られている同馬だが、少なくとも北島三郎さんとタケユタカとの縁は、既にこの頃から始まっていたこということになろう。

 

***** 2017/04/20 *****

 

 

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