2017年3月23日 (木)

グレート・ギャツビー

村上春樹氏の新作「騎士団長殺し」を読了したら、今度は久しぶりにこの一冊を読みたくなり、本棚の奥から引っ張り出してきた。なぜそんな気持ちになったのか。それは「騎士団長殺し」を読んでいただければ、お分かりいただけると思う。

Great 

実を言うと―――というほど重大な話ではないが―――私はこの小説が大好きで、大学時代の講義のテキストとしてこの原書に出会ってからというもの、「一番好きな小説は?」と聞かれれば、迷わず「グレート・ギャツビー」と答えることにしている。

10年ほど前、調べものをする中で小説の中のとあるシーンを読み返す必要がでてきた。ほぼ同じタイミングで、村上春樹氏がその訳を世に問うたことは、偶然というにはあまりに出来過ぎの感がある。すぐさま書店に走り、手に取ったことは言うまでもあるまい。今回10年ぶりにその頁を開いた。

突然だが、ケンタッキーダービーと聞いて、皆さんは何を想像するだろうか?

「マイ・オールド・ケンタッキーホーム」の大合唱や、優勝馬の首に掛けられる深紅の薔薇のレイが大多数を占めるだろうけど、ミントジュレップもこれらに負けぬほど得票を集めると思う。10年前に私が調べていたものこそ、その「ミントジュレップ」についてであった。

ミントジュレップは、バーボンにグラニュー糖とミントを混ぜた甘いカクテルで、ケンタッキーダービーには欠かせない飲み物。

昔、ケンタッキー人の船乗りがミシシッピ川を船で進んでいた時、ふとバーボンを飲みたくなった。そこで陸に上がって湧き水を汲もうとしたときに、そばに生えていたかわいらしい草の葉を一緒に入れてみたところ、これがことのほか美味い。そのケンタッキー人は、その草を故郷のルイヴィルに持ち帰り、そこからミントジュレップが広まったと言われている。

そのミントジュレップが「グレート・ギャツビー」のストーリーのどこかに登場してきたような気がする。あれはどこだったか―――?

そんなことを悩み出したら、もうその一冊を読まずにはいられない。そこに村上春樹氏の新訳が上程されたのだから、やはりこれは天恵としか思えぬのである。

で結果から言うと、物語の最大の山場とも言うべきシーンでミントジュレップが登場していた。ニューヨークのホテルに、主要な人物が集まり、ジェイ・ギャツビーとトム・ブキャナンがついに直接対峙する場面の直前、デイジー・ブキャナンがホテルのサービスにバーボンとミントを注文して、ミントジュレップを作ると言い出すシーンだった。実は物語の中でのデイジーの出身地はルイヴィルだったのである。

そのルイヴィルではケンタッキーダービーの1週間前から「ケンタッキーダービー・フェスティバル」が行われ、実に10万杯ものミントジュレップが飲まれるという。果たしてデイジーは、チャーチルダウンズ競馬場に足を踏み入れたことがあったのだろうか?

 

***** 2017/03/23 *****

 

 

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2017年3月22日 (水)

世界を舞台に

残念ながら侍ジャパンは敗れてしまったが、明日の深夜にはサッカーW杯2次予選UAE戦が、そして土曜の夜にはドバイでワールドカップミーティングと世界の頂点を目指す戦いが続く。しかも国内では高松宮記念を含む4重賞の週末。睡眠時間の確保には気を配りたい。

昨年のラニやリアルスティールのように、今では毎年のように日本馬が活躍するドバイミーティングだが、むろんかつてはそうではなかった。先鞭をつけたのは今を遡ること16年前、当時はGⅡ格のドバイシーマクラシックを勝ったステイゴールドである。GⅡとはいえ1着賞金1億5千万円。負かした相手が前年の世界チャンピオン・ファンタスティックライトだったことを思えば、日本競馬史における快挙であることは間違いなかろう。

Stay1 

ところで、ステイゴールドは4歳時から3年連続で日経賞に出走していたことをご存じだろうか。4歳時がテンジンショウグンの4着、5歳時はセイウンスカイの3着、そして6歳時がレオリュウホウの2着。成績としては悪くない。しかしなかなか勝ちきれない。でもそれは仕方ない。なにせステイゴールドである。ともあれ着順が④→③→②とくれば、次は①を期待してしまうもの。なのに、明け7歳を迎えたステイゴールドは日経賞の同日に行われるドバイシーマクラシックにエントリーした。

しかし招待馬の発表日とされた2月10日になっても、肝心の招待状が届かない。翌日も、その翌日も、さらに1週間待っても招待の連絡はない。ひょっとして選ばれなかったのか―――?

GⅠの2着は捨てるほどあるが、なにせ未勝利。やはり無理だったか。それなら阪神大賞典に……。

そんな話も出始めた2月21日、待ちに待った招待の知らせが届いた。いま思えば、なんと大きな意味を持つ報せであったことか。もしこれが届かなければ、オルフェーヴルもゴールドシップもいなかったかもしれない。

ステイゴールド不在の日経賞をメイショウドトウが勝ったその夜、ドバイからの国際電話で快挙を知った。それはゴドルフィンマイルのノボトゥルーではなく、デューティーフリーのイーグルカフェでもなく、ましてやワールドカップのトゥザヴィクトリーでもレギュラーメンバーでもない。まさかまさかのステイゴールド。受話器の向こうの声は涙に震えていた。

Stay2 

今年もドバイミーティングが行われる土曜日に、中山で日経賞が行われる。ショウナンバッハ、ツクバアズマオー、レインボーラインの産駒3頭に加え、孫にあたるミライヘノツバサもエントリー。この4頭から勝ち馬が出ても不思議ではない。3月の最終土曜日になるとステイゴールドの血が騒ぐ。そう思えてならないのである。

 

***** 2017/03/22 *****

 

 

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2017年3月21日 (火)

白毛の挑戦

白毛馬初のクラシック出走を賭けて先週土曜の若葉Sに出走したシロニイだが、4着に敗れて皐月賞の優先出走権を得ることはできなかった。しかし、負けたとはいえバッタリ止まったわけではない。手綱を取ったシュタルケ騎手も「ダートなら走る」とコメントしている。

シロニイの兄弟姉妹たちは、JRAとダートグレードで5頭が19勝をマークしている。この数字だけで母シラユキヒメが名繁殖牝馬であることは疑いようがない。が、その16勝のうち15勝がダートで挙げたもの。父が変わっても同じようなタイプの子を出すというのも、この母の特徴なのかもしれない。

ホワイトベッセル(3勝)
ユキチャン(5勝)
マシュマロ(2勝)
マーブルケーキ(3勝)
ブチコ(4勝)
シロニイ(2勝)

芝での唯一の勝利は2008年3月29日の中山9R。ユキチャンが勝った芝2000mのミモザ賞だった。

ちなみにこの日のメインレースは歴史と伝統を誇る日経賞。だが、最終コーナーを回って早々にマツリダゴッホの独走状態となった同レースに比べ、直線坂下3番手という位置取りから、真っ白な馬体のユキチャンが一完歩ずつ先頭との差を詰め、ゴール寸前でついに差し切るというレース展開も手伝ってか、この日一番の大歓声はむしろこちらのミモザ賞の方だったように思う。

Yuki 

JRAの芝レースを白毛馬が勝ったのは初。ついでに特別競走の勝利も初めて。すなわち快挙である。

「白毛」というサラブレッドではきわめて珍しい毛色の馬の誕生が、日本で初めて確認されたのは1978年だが、”正式な毛色”として「白毛」が正式認可されたのは1991年。同じ白馬(はくば)でも芦毛は年齢とともに白さを増すが、白毛馬は生まれた時から真っ白なのが特徴で、地肌がうっすらと透けて見えるので淡いピンク色にも見えることもある。特に雨の日はそれが分かりやすい。

海外においては、この毛色はかなり前から知られていた。19世紀アメリカにはホワイトクロスという白毛のサラブレッドが存在したし、フランスにはモンブランという白毛の種牡馬すら存在したという。

「白毛馬は体質的に弱い」という説を唱える向きもあるが、白毛の発生要因はメラニン色素を産生させる遺伝子の一部に突然変異が生じたものと考えられている。そうした遺伝子を片方の親から受け継いだ馬でも正常に成長すれば、メラニン色素が産生されない点以外は競走能力も含めて他のサラブレッドとなんら変わらない。

ただ、他の毛色に比べ体毛が薄いため皮膚が弱いことは確かなようだ。つまり、陽射しの強い夏場の体調管理は難しくなる。芦毛馬は「夏場に強い」という馬券学的な”定説”があるが、白毛馬には必ずしも当てはまるとは限らない。

それにしてもミモザ賞は立派な勝ち方。あの差し脚は決してフロックではなかろう。むろんオークスへの期待も膨らんだわけだが、それを聞かれた金子真人オーナーは高らかに笑った。真意は測りかねるが、「そんなに甘くはないよ」といったところだろうか。実際、次走のオークストライアルでは7着に敗れた。やはりクラシックはそんな甘いものではない。金子オーナーは誰よりそれをよく知っている。

結果的にユキチャンは白毛馬初のクラシック出走を逃した。それから9年。今度は弟のシロニイが皐月賞を目指したが、やはりあと一歩及ばなかった。しかし諦めるのはまだ早い。むろんダービートライアルというルートは残されているが、ここは兵庫チャンピオンシップでどうだ。1着賞金2800万円。獲得賞金としてダービー出走に申し分ない。しかも得意とするダート戦。なくはなかろう。次走にも注目だ。

 

***** 2017/03/21 *****

 

 

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2017年3月20日 (月)

中山の異変

この中山開催でちょっとした異変―――というか気になること―――が起きている。ディープインパクト産駒の苦戦が目立つのである。

2回中山8日間で挙げた勝利はカデナの弥生賞、グレーターロンドンの東風S、そして今日のジッパーレーンとファンディーナの4勝のみ。アンビシャスも、ヴィブロスも、リアルスティールも、ビッシュも、そして昨日のサトノアレスも勝てなかった。稼ぎどころの下級条件で勝ち星を量産できないのも珍しい。ちなみに現在行われている1回阪神8日間で、ディープ産駒は10勝をマークした。普段のディープインパクトならこれくらい勝ってもおかしくない。

逆にこの中山ではステイゴールド産駒が8勝の大活躍。昨日のスプリングSはそれを象徴していた。1番人気で敗れたサトノアレスはディープ産駒の2歳チャンピオンで、5番人気で勝ったウインブライトはステイゴールド産駒である。

昨日のスプリングSには朝日杯の1、2着馬と、ひいらぎ賞の1、2着馬が揃って出走してきた。どちらも同じ週に行われる芝のマイル戦。ただし、前者はGⅠで後者は500万条件戦に過ぎない。格が違い過ぎる。むろん朝日杯の1、2着の方が強い。普通はそう考える。しかし当たり前の結果にならないのも競馬である。勝ったウインブライトと2着アウトライアーズは、ひいらぎ賞の1、2着が逆転しただけ。朝日杯組はサトノアレスが4着。モンドキャンノはあろうことかブービーに敗れた。

Spring 

ひいらぎ賞は、実質的には朝日杯に抽選で漏れた馬たちの残念レースである。だから朝日杯と同じくらい歴史も深い。消えたり復活したりが当たり前の特別戦でありながら、そのレース名は半世紀近い歴史を誇る。コーネルランサー、カブラヤオー、プレストウコウ、ミスターシービー、ダイナガリバー、メジロライアン、サクラチトセオー、シンボリインディ、アサクサデンエン、マイネルホウオウ、ミッキーアイル……。ひいらぎ賞の連対馬を列記すれば、その重要性は朝日杯と大差ないように思える。

それを思えば、朝日杯組よりもひいらぎ賞組が成績で上回ったスプリングSの結果にいちいち驚く必要はないのであろう。その2頭の馬連配当が1350円でしかないのが何よりの証。ファンは分かっている。

それにしてもサトノアレスの敗因は何であろうか。出遅れの原因ははっきりしているが、最後の脚に特に見るべきものはなかった。スタートで滑ったことだけではあるまい。

6年前のグランプリボスは朝日杯を勝った翌年の始動戦をスプリングSに定めたが、4着に敗れた。同じ道を辿るサトノアレスに距離の不安はないのだろうか。全兄2頭はどちらかと言えば短距離指向にある。

一方で、ディープ産駒にフィットしない中山の馬場状態が影響した可能性も否定できない。だが、皐月賞が行われるのは間違いなくこの中山である。

今年の牡馬クラシック路線は、前哨戦が進むにつれ混迷の度合いを増すばかり。ソウルスターリングやファンディーナあたりは、日本ダービー参戦を本気で検討すべきかもしれない。

 

***** 2017/03/20 *****

 

 

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2017年3月19日 (日)

新馬戦が終わって

今日の中山4レースは、現3歳世代最後の新馬戦。そのせいか13頭もの除外馬が出た。経験馬相手の未勝利戦よりは相手関係が楽なこと。さらに「多少無理してでも新馬に使いたい」という関係者の気持ちもあろう。たいていの競走馬は新馬戦を目標にするものだ。

そんな一戦を勝ったのはナスノカンザン。エンパイアメーカー産駒の牡馬。後続に4馬身差を付ける圧勝だった。

Nasu 

昨年6月4日の阪神5R、レッドラシーマの勝利で幕を開けた新馬戦は、これにておしまい。これ以後にデビューする3歳馬は未勝利戦に回ることになる。

続く5レースはその未勝利戦。どれどれ……と出馬表を見れば、経験馬に混じって3頭の初出走馬がデビューを迎えるではないか。これは注目せねばなるまい。

3頭の出自を見れば、社台ファーム産が2頭に白老ファーム産が1頭。いずれ劣らぬ良血ではあるが、さすがに人気は経験馬に集まっている。そりゃあ、走ったこともない馬よりは、2戦連続2着の馬を信用したくなりますよね。

初出走の中でもっとも人気を集めたグローリーハンターにしても、スタートからの加速はいまひとつ。1周目のスタンド前での位置取りは最後方である。あらら……

「調教て動いたと聞いていたが、やっぱり調教と実戦は違うんだよな―――」

その時はそう思った。

すると、向こう正面でグローリーハンターがぐんぐん進出を始めたではないか。中団から好位へ。なんと4コーナーでは先頭に並びかける勢い。いくらなんでもそりゃ無茶だ。中山は最後に坂がある。そこでバッタリ止まるに違いない。百戦錬磨の戸崎圭太騎手がそれを知らぬはずもあるまいに……。

しかし、そのスピードは坂に削がれるどころか、ますます勢いを増して人馬は坂を駆け上がってきた。結果、キャリア5戦目のマイネルヴンシュをクビ差競り落としてゴール。驚きのあまり、その快走を称賛する適当な言葉が見つからない。さらに調教師から「(馬体は)まだグニャグニャのユルユル」と聞かされて再び驚いた。もはやその素質は底知れない。

Glory 

初出走馬が経験馬相手に未勝利戦を勝つことは、決してないわけではないが、簡単なことではない。とくにこの時季は、まだ未勝利にも強い馬が残っている。このレースでデビューを果たした他の2頭は、掲示板にも載ることができなかった。

春の未勝利戦でデビュー勝ちした馬といえば、タイキシャトルやエイシンヒカリが思い浮かぶ。今日の9レース幕張特別を勝ったキャンベルジュニアも、4月の未勝利でデビュー勝ちしていた。彼らのその後の活躍を思えば、グローリーハンターの展望は明るい。なんでもない未勝利戦から、唐突に注目の一頭が現れた。

 

***** 2017/03/19 *****

 

 

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2017年3月18日 (土)

競馬が消える日

今日3月21日は年間を通じて唯一関東地区で競馬が行われない一日。JRAはもちろん南関東公営競馬も開催されない。逆に言えば、今日を除く364日間は、東京近郊のどこかしらで競馬が行われているということになる。

好天の土曜日だというのに、なんともったいないことか。とはいえ中京まで出向く元気はない。仕方なくやってきたのは東京スカイツリーにほど近い―――

Skytree 

こちらの建物

Wins 

ウインズ錦糸町ですね。

場外で中京の馬券を仕入れたら、うどんを食べよう。錦糸町には『五郎』や『あ季』など、美味しいうどんを食べさせてくれる店がたくさんあるが、残念ながらどちらも土曜日はお休み。さあどうしたものか。

Noren 

駅の北側に暖簾を掲げる『しゅはり』は、神楽坂の名店『蕎楽亭』出身の若き店主が営む一軒。2013年にオープンしたときは「朱葉離」という蕎麦店だった。その後、いろいろあってうどん店になり、店舗が移転し、ランチ営業も今月からスタート。土曜の昼に営業してくれているのは、場外帰りの私のような人間にはありがたい。

うどんが茹で上がるのを待ちながら考えた。なぜ年に一日だけ「競馬の消える日」が生まれてしまうのだろうか。

春分の日の3連休に、JRAはしばしば「中京・阪神」「中山・阪神」「中山・中京」の日割りを組む。3場の開催を3日間に割り振る工夫だとは思うのだが、その結果、関東から競馬が消えてしまうのがどうも納得できない。去年もそうだし、3年前もそうだった。3年前はそれで中京まで出かけたような気がする。

Falcon 

ちなみに明後日は中山と大井が揃って開催する。大井がナイターならまだ分かるのだが、がっつり昼間開催。ナイターにはまだ寒いし、J-PLACEの売上も見込める。それは分かるが、私は開催重複は「もったいない」としか思えない。しかもこの日、園田開催の無い関西では「競馬が消える」ことになる。

JRAが3連休の日割りを、「中山・中京」「中山・阪神」「中京・阪神」とでもしてくれれば、関東からも関西からも競馬が消えることはなかったはず。ちょっと考えれば分かること。でも現状ではそれができない。なぜだ?

Udon 

8分ほど待って出てきたうどんはご覧のように褐色に輝いていた。実はこの店、店内の石臼で挽いた小麦を使ってうどんを打っている。麺の表面に見えるフスマの粒がその証。これが小麦の香りを際立たせ、かつ特有の甘味を引き出している。つけ汁も上品な味わい。考え抜かれた味がする。ひと言でいえば隙がない。それに比べて競馬の日割りときたら……、いやもうやめよう。せっかくのうどんがマズくなる。

 

***** 2017/03/18 *****

 

 

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2017年3月17日 (金)

2歳能検はじまる

昨日の門別競馬場で、ホッカイドウ競馬の競走能力・発走調教検査、いわゆる「能検」が実施された。ゲート入り、駐立、発馬、そして800mを57秒以内で走ること。これらをクリアしない限り、どれだけ良血であろうが、どれだけ素晴らしい馬体を誇ろうが、「競走馬」になることはできない。それゆえレースよりも緊張するという関係者もいる。

昨日は87頭もの2歳馬が「競走馬」への関門に挑んだ。ひとレースあたりの出走馬は5~6頭。「第14レース」が行われるのは能検ならではであろう。結果、87頭全馬が合格と聞いて多少驚いた。もっとも遅いタイムでも56秒0だから、合格ラインぎりぎりという馬もいない。2歳馬育成技術の進歩には目を見張るものがある。

年の初めの能検で話題となるのは新種牡馬の産駒であろう。今回合格した87頭の中にも、ヘニーヒューズ(4頭)、エイシンフラッシュ(2頭)、エスポワールシチー(2頭)、マコトスパルビエロ(1頭)、ローズキングダム(1頭)と10頭の新種牡馬産駒が含まれている。むろんみんな合格。エイシンフラッシュとローズキングダムの産駒同士が対戦すると思うと、早くもアツい。あのダービーから7年になる。

Derby 

実はこの87頭の中に、私の関係馬が含まれていた。昨年のオータムセールでお買い上げいただいたアッミラーレ産駒の牡馬。好発から3番手で折り合い、外々を回りながらも直線で抜け出し51秒5で1位入線してくれた。

嬉しい……。

仔馬の頃からずっと可愛がってきた馬が、能検とはいえ1着でゴールすりゃあ、そりゃあ嬉しいですよ。親バカと言われようとかまわない。馬体重が486キロと聞いただけで泣きそうになった。あんな小っちゃかった馬が……うぅ(涙) ありがたい。すべての関係者のおかげです―――って、まだ正式にはデビュー前なんですけどね(笑) 4月18日のホッカイドウ競馬開幕が待ち遠しい。

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     ―――【撮影:田中哲実氏】―――

ところで、例年の2歳競馬は全国に先駆けて道営で始まるものなのだが、今年に限っては南関東でスタートするかもしれない。

4月の大井開催で新馬戦が予定されている。それはいつものことだが、新馬戦は例年最終日に実施されてきた。が、今年の番組では開催初日に1000mの新馬戦が2鞍割り振られている。初日は4月17日。つまり道営開幕の前日なのである。

先週金曜日には、全国のトップを切って大井で2歳能験(※南関東では「能力試験」)が行われた。受験したのは3頭。うち1頭はタイムオーバーで不合格となり、2頭がめでたく「競走馬」となった。だが、2頭では競馬はできない。能験は来週3月24日にも予定されているから、そこで何頭合格するかがレースの成立を左右する。それを考えると、やはり道営の87頭は凄い。レベルが違う。

 

***** 2017/03/17 *****

 

 

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2017年3月16日 (木)

失点率と抽選

先週の木曜日は、たしかJBCの話を書いたはずだけど、今週木曜はWBCの話。侍ジャパン、ベスト4進出ですね。私としてもサムライハート産駒の馬券を買い続けたかいがあった……かどうかは定かではないが、ともあれおめでとうございます。

それにしても昨日はやたらと「失点率」という言葉を耳にした。仮に日本が負けて、オランダ、イスラエルと2勝1敗で並んだ場合、失点率の争いにより1位チームが2次ラウンドトップ通過。2位と3位が今日プレーオフを行うという。ただし、WBC主催者サイドは、そのスコア条件をあらかじめ明らかにすることを拒んだ。サヨナラゲームや延長戦にもつれた場合など、野球の場合は考え得るケースが多岐に渡る。先日も、いったんは2次ラウンド進出が発表されたメキシコが、一転敗退となるドタバタ劇があったばかり。そもそも、日本では馴染みが薄いルールでもあり、「(失点率は)分かりにくい」という声も少なくない。

関係者の間でさえ「失点率より得失点差を重視すべき」と賛否両論あるものの、失点率のルール自体は国際野球連盟の規定にのっとったものだ。失点を最小限に留めれば道は開けるというシンプルな考え方は、投手力を中心とした守りの野球を旨とする日本にも味方している。さらにこのルールが、序盤で大差がついた試合に一定の緊張感を与えている点も見逃せない。同じ「1敗」でも、そこに微妙な差が生じるからだ。

それが大きくモノを言ったのは、2006年に行われた第1回WBCの2次ラウンド。4チームの対戦が終了した時点で、3戦全勝の韓国を除き、日本、米国、メキシコの3チームが1勝2敗で並んだ。結果、失点率の争いとなったのである。

まず18イニングで7失点のメキシコは失点率3.89で脱落。17イニングで5失点の米国は失点率0.29。そして日本は17回2/3を5失点だから0.28。わずか0.01差で米国を上回った日本が決勝トーナメント進出を果たし、その勢いのまま世界一へと上り詰めた。

実はこの2次予選で日本は米国にサヨナラ負けを喫していたのだが、9回2アウトまで進んでいたことが大きい。実際、今回のWBCで涙をのんだメキシコにしても、イタリア戦で9回無死からサヨナラ打を浴びたわけだが、これがもし1アウトからであれば、失点率でベネズエラを上回って2次ラウンド進出を果たしていた。アウト一つと言えど、バカにはできない。

だが、巷間騒がれているように、このルールには欠陥がある。「延長10回で1-0勝利なら失点率で勝ち上がれる」というチームは、9回まで点を取ろうとせず故意に凡退するだろうし、「9回1失点なら試合に負けても失点率で勝ち上がれる」というチームが0-0で9回ウラの守備を迎えれば、4者連続敬遠の暴挙に出るかもしれない。幸いにも、これまでそういうチームは表れていないが、現在米国で行われている2次ラウンド(F組)で、ついにそういう事態が起きる可能性だってある。

その点、我が国の競馬には「抽選」という麗しき伝統手法がある。明瞭簡潔であり、なおかつ故意に負けるようなルール上の抜け穴もない。必要とされるのはただひとつ。「運」のみ。そこからノーリーズン(皐月賞)、トールポピー(阪神JF)、ゴスホークケン(朝日杯)のように、頂点に上り詰めた馬もいなくはない。

Noleason 

一方で、こうした抽選組の活躍は、GⅠを勝つだけの力を持ちながら抽選で涙をのんだ馬が多くいた可能性を示唆している。2013年の朝日杯ではモーリスやミッキーアイルが除外の憂き目を見た。いま思えば、JRAも思い切ったことをする。でも、公平な抽選の結果である以上、主催者が文句を言われることにはならない。そこがミソ。「麗しき」というのは精一杯の皮肉だ。分かりにくいと揶揄される失点率でも、少なくともそこには関係者の努力の跡を感じ取ることができる。ルールの欠陥を突くような真似をするようなチームは、きっとWBCの舞台にはいないのであろう。

 

***** 2017/03/16 *****

 

 

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2017年3月15日 (水)

待ちに待った舞台

JRAのオーブンクラスには2100mを超える距離のダート戦は用意されていない。1600万条件でも同じ。ない。重賞ではシリウスSの2000mが最も長い。だが、これにしてもスタート地点は芝コース上にあるから、「ダート1922m+芝78m」と表記したほうが正しい。

だからJRAで走るダートのステイヤーたちは、逆の意味での「距離の壁」に早晩ぶつかることになる。それならと1800m戦線で頑張る馬もいるが、地方への移籍を選択する馬もいなくはない。

今宵のダイオライト記念に出走するユーロビートもそんな一頭。JRA時代はダートの2100~2500mで4勝をマークしたが、準オーブンで「壁」にぶつかった。5歳の夏に大井へ移籍。ここには金盃と東京記念の二つの長距離重賞が用意されている。ユーロビートはこの二つのレースに5回出走して(3,2,0,0)だから凄い。今夜のダイオライト記念、たとえ相手がGⅠホースであっても、2400mでは譲れぬ思いがあろう。

Yuro 

JRA時代のクラージュドールに関して言えば、準オーブンを首尾よく勝ち上がることができたが、オーブンで頭打ちになった。彼が東京の2100mで負けた時、手綱を取ったライアン・ムーア騎手が「2400mなら勝てる。(そんな番組は)ないだろうが……」と言って周囲を笑わせたことを思い出す。JRAはダートのステイヤーに優しくない。そんな話題で盛り上がった。それからしばらくして船橋に移籍してきたクラージュドールは、昨年のダイオライト記念4着。先月の金盃では3着。長距離ではやはり崩れない。彼も今夜の舞台を待っていたに違いない。

Dole 

なので、こんな馬券を買ってみた。

Baken1 

あと、こんなの。

Baken2 

結果は2着と5着だからはずれ。でも人気を考えれば悪くない。3着ウマノジョーも含め、ダートグレードで3頭の地方馬が掲示板に載るなんて、いつぶりだろうか? なにせ昨日の黒船賞ではJRA勢が掲示板を独占した。たとえ勝てなくても上位争いに加わることが大事。いずれ勝つチャンスは巡ってくる。

Yutaka 

もちろん勝ったのはクリソライト。今日が誕生日の武豊騎手は、引き揚げてくるなり3本指を立てて3連覇をアピールした。「7歳だけどまだまだ勝てる」とは武豊騎手。6馬身差の圧勝を見せつけられては、否定のしようもない。この舞台を待っていたという点では、ユーロビートにもクラージュドールにも勝るものがあった。早くも来年の4連覇が気になって仕方ない。

 

***** 2017/03/15 *****

 

 

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2017年3月14日 (火)

プラスマイナス悲喜こもごも

先週日曜のJRA競馬では、前走からの体重変動が大きな馬の活躍が目立った。中山3Rを勝ったタイセイマルスは+22キロでの出走。中京でも、アースライズが+20キロで、シシオウが+22キロで勝つと、4Rのマジェスティハーツに至っては+30キロで優勝をさらってみせた。馬体重をことさら重視する向きの方には、辛い一日だったかもしれない。

Vision 

馬の仕上がりは「馬体重」という客観的な3桁の数字だけで量れるものではないということは重々承知しているが、実際に数字を見れば動揺せずにはいられない。

馬の体重は1日に10キロ以上変動する。20キロ変わることも珍しくはない。それを指標に馬の体調を推し量るのは無意味だという見方もある。パドックで筋肉の状態を見極め、かえし馬で心肺の状態を見極めるのがあるべき姿なのだろうが、それでも具体的な数字というものは、頭の片隅から離れないもの。だから、私は意識的に馬体重には関心を持たぬようにしている―――のだが、それでも+30キロで勝たれるとさすがに気になる。よもや別馬じゃあるまいな。

JRAでは、通常のレースでは出走80分前に、GⅠレースでは90分前に各馬を集めて馬体重を量る。それは発育測定のためではなく、実馬検査や馬装のチェックの一環にすぎない。もし体重が前走から50キロ以上も異なっていれば、それが本当に出走登録している馬であるのかどうかを疑うべきだろう。

最近の馬体重計量の位置付けは、ファンサービスの一環へとシフトしているようだ。GⅠ出走馬の馬体重は女性の声で丁寧にアナウンスされ、上位人気馬の数字に大きな増減があれば、場内にはどよめきが起こる。これはGⅠレース当日にJRAとファンとの間で交わされる一種のセレモニーにも近い。10年ほど前から実施されている「調教後馬体重」の発表なども、ファンサービス拡充を目的に定着した。

だが、調教現場の一部はこうした方向性に懐疑的なようだ。もっとも問題視されているのは、調教後馬体重が各厩舎の自己申告に委ねられている点。出走馬体重はJRA係官立ち会いのもとで行われるが、調教後馬体重は、計測せず見た目で判断してもいいということになっている。中間と当日で体重があまりに違えば、逆にファンの混乱をきたしかねない。客観性にこそ存在価値がある馬体重という指標が、実は曖昧な面を残しているとなれば問題は大きくなる。

実際、馬体重の増減から体調を推理し、馬券購入の参考にするファンは決して少なくはない。私の周囲には「二桁増減は黙って消し」というスタイルを貫く人もいる。そんな人にとって先週日曜は厄日でしかあるまい。なにせ全36レースで馬券に絡んだ108頭のうち、25頭が二桁増減。しかも、その25頭のうちの8頭が、20キロ以上の馬体増減を記録していたのだから。

ちなみに私は馬体重だけでなく、自らの体重もさほど気にしない。それが今の我が身に繋がっているのだとすれば、もう少し体重に興味を持った方が良いのだろうが、それができないらこのザマなのである。

 

***** 2017/03/14 *****

 

 

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