2018年5月17日 (木)

どろの味

某一口馬主クラブの関係者と「クラシックの展望でもしながら食事をしましょう」と約束をしたのはAJCCの中山競馬場だったか。あれから4か月を経て、ようやく実現の運びとなった。今から「クラシックの展望」といったところで、オークスとダービーの単なる予想になってしまうが、それもまあ良かろう。

Osaka 

東銀座の『OSAKAキッチン』は、関西風お好み焼きがウリの鉄板焼きのお店。一歩店内に足を踏み入れると、「どろソース」が焼けた香ばしいにおいが漂う。

今では家庭料理でも普通に使われるようになった「どろソース」は、工場でウスターソースを作る際にタンクの底に沈殿する澱を「どろ」と呼んでいたことに起源がある。おそらく、本当に泥のように見えたのであろう。あまり大量にできるものではないが、戦前から隠し味調味料として一部のお好み焼き店に安く提供されていたらしい。それが口コミで人気となり、「どろ」の部分を製品化したのが始まりだ。

「どろ」の商品化は、ソース作り全体のレベルを引き上げる効果をもたらした。生レモンを果肉のまま使ったり、粒子の大きい香辛料をふんだんに入れたりするなど、理想的なウスターソース造りができるようになったのである。「どろ」の割合は増えたが全体の品質は底上げされ、上澄みであるウスターソースの味も良くなったという。

Doro 

「全体の質が高ければ、安い“どろ”の部分でもこんなに美味しいもんなんだなぁ」

この発言がクラブ関係者から出たものと思えば意味深長に過ぎやしないか。折しも、社台・サンデーの募集馬の価格が発表になったばかり。会員たちは募集馬リストと真剣に向き合っていることであろう。上澄みには目もくれず、泥をかきわけるようにして買えそうな馬を探す私にとっても決して無関心事ではない。

Doro2 

今週はオークス。そして来週はダービー。カタログが届けば、息つく暇もなく牧場ツアーだ。一年でもっとも忙しい1ヶ月間かもしれない。いいかげん私も美味しい“どろ”を探し当てないと、そろそろ家族から本物の泥が飛んできそうだ。

 

***** 2018/05/17 *****

 

 

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2018年5月14日 (月)

霜降りから赤身へ

先週木曜の大井10レースは「初鰹賞」。大外枠をものともせず、キタノカミカゼが勝ってみせた。

10r 

レース名に教えられるまでもなくカツオの美味しい季節である。秋の脂の乗った戻りガツオと違って、今の時期のカツオは鮮烈な色合いの赤身と、モハメド殿下の服色にも似た血合いのコントラストが目にも鮮やか。厚目に切られた刺身を頬張れば、しっかりとした旨味とともに、ほんのりと鉄のような血の香りを感じることができる。

「初夏の初カツオよりも秋の戻りカツオの方が脂が乗って旨い」

「エサをたっぷり食べてきた戻りガツオに比べ、初ガツオは栄養価で劣る」

寿司屋のカウンターに座っていると、通ぶってそんな講釈を垂れる人と隣り合わせになって面倒くさい思いをすることもあるが、秋のカツオは脂だけでなくあの独特の香りも強すぎて、身上とも言うべき清々しさに欠けるような気がしてならない。しかも、タンパク質の含有量は、むしろ初ガツオの方がやや多いとされる。

Sashimi 

ちょうどいま頃の、ほんの気持ちだけ脂が乗ってきた頃合いのカツオが、やはり日本人の舌に合っているのではないか。牛肉であれマグロであれ、なんでもかんでも脂が乗っていた方が美味いとする「霜降り信仰」は、そろそろ捨てた方が良い。

まあ、そんな話はさておきカツオである。晴れて飲酒が解禁されたから、酒と一緒に味わいたい。せっかくだからワインでも開けようか。一般に「肉は赤で魚は白」と言われるが、ことカツオに限れば「赤」に限る。単に色が同じだからではない。赤ワインにも鉄のような風味を感じることができ、それがカツオの血の香りとほどよくマッチする。詳しい能書きは控えるが、カツオの風味そのものが肉に近いのかもしれない。高知名物のカツオの藁焼き(たたき)は、牛肉でやっても同じように美味い。

牛肉といえば、初鰹賞が行われた先週木曜の大井ではこんなお弁当を売っていた。

Akaushi 

「土佐あかうし」のすき焼き風弁当だという。あかうしはその名の通り赤身に定評のある高知のブランド牛。かつての霜降り信仰華やかなりし当時は、市場からまるで相手にされず、絶滅の危機に瀕したこともあったそうだが、最近の赤味肉ブームに乗っかって、カツオに並ぶ高知の名産品にしようと官民一体で推しているらしい。ならばひとつ食べてみようか。

Bento 

千円の分量には足りないと思うが、イベントごとならば仕方ない。赤身は肉本来の旨味と歯応えが楽しめる。火を入れすぎると硬くなるのが難点だが、そこは調理法次第であろう。カツオといい、あかうしといい、高知は赤身が美味しい。

 

***** 2018/05/14 *****

 

 

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2018年5月10日 (木)

内視鏡なんかに負けないぞ

早朝から築地の病院を行ったり来たりした。午前中は人間ドック、午後は耳鼻科と眼科のハシゴである。つまり昼食を挟んで、眼圧や聴力を二度検査することになる。かなり面倒くさいが、待合室で過ごす時間など競馬新聞を読んでいればあっという間に過ぎよう。むろん全ての診療が済めばただちに大井に移動して東京プリンセス賞。今日は忙しくなりそうだ。

Machiai 

人間ドックの山場はふたつ。中盤に聳える胃の内視鏡と掉尾を飾る結果発表の面談。どちらも手強い。

最近の内視鏡は鼻から通すタイプが浸透しているが、こちらの病院で使用されているのは呪わしき口挿入型。看護師さんに背中をさすられ、涙を浮かべながら嗚咽と戦い、終わったら「よくがんばりましたね」と誉められるのである。いい歳こいて恥ずかしい。今年もその戦いに挑む日がやって来た。

ただし、今年はひとつ作戦を考えたのである。ファイバーケーブルだと思うから、オエッとなってしまうのではないか。ならば、うどんだと思えば良い。ちょっと太目のうどん。京都あたりの「一本うどん」と比べれば大差はあるまい。それを噛まずに飲み込む。いつもやっていることではないか。せっかくだから、内視鏡ケーブルの喉越しを味わってやろう。

そう思っていざ検査開始。すると……。

やっぱ無理crying。オエーーッ!ゲホッ!

メソメソ泣きながら残りの検査を終え、軽い食事をとって着替えも済ませると、いよいよ最後の関門「面談」が待ち受けている。結果を見ながら、医師や看護師があれこれ指摘するのである。例によってこれが長い。

「A判定の項目のほとんどは上限ギリギリですからね。来年は全部D判定でもおかしくないですよ!」

……とまあ、そんな具合。特に今回は、これまで問題のなかった中性脂肪と尿酸の数値が悪かったらしい。

「炭水化物と魚卵の摂り過ぎに注意すること! わかりましたか!?」

「ハイハイ」と生返事をしながら、さて昼は何を食べようかと考えているのだから救いようがない。とはいえ、これ以上持病が増えると、さらに病院のハシゴをしなくてはならなくなる。それは避けたい。気を付けよう。

その後、耳鼻科と眼科の診察も無事終了。飲酒のお墨付きももらうことができた。これで来月の社台ツアーも万全。

となればまずは祝いの一杯。と言っても酒ではありませんよ。大井競馬場隣の『瀬戸うどん』の前を通ったら、うまそうだったので、つい注文してしまった。

Udon1 

炭水化物に魚卵じゃねぇか!

Udon2 

そんなお叱りは甘んじて受けねばなるまいが、ほら、こうしてみると内視鏡に見えないこともない。まずはこのうどんで特訓。来年の内視鏡との戦いはすでに始まっている。

 

***** 2018/05/10 *****

 

 

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2018年5月 9日 (水)

羽田の穴子

大井競馬場に到着するなり、「さて何を食おうか……」と考えた。

競馬よりメシを優先しているわけではない。実は明日、年に一度の人間ドックを受診する。明日の朝食抜きは当然。今日の夕食も早めに済ませなければならない。次の食事は明日の昼。そう思えば少しでも美味しいものを食べたいと考えるのが、人間の性(さが)というもの。大袈裟だと言われそうだが、愛しの朝食の代わりに胃カメラを食わされるのだと思うと、今から憂鬱で仕方ない。

さて今宵は羽田盃。羽田と言えば穴子であろう。ならば『つるまるうどん』の大穴子天うどんが良い。いくらなんでも羽田沖の穴子ではあるまいが、この大きさにはテンションが上がる。万一、明日の検査で変なモノが見つかったら、しばらく揚げ物とは無縁の生活を送ることになるかもしれないから、今のうちにたっぷり味わっておくことにする。

Udon 

穴子の天ぷらを食べながら考えた。「穴子」といえば「穴5」。つまり5番が穴なのである。羽田盃の5番が誰なのかは分からんが、ここは目をつむって5番を買ってやろう。

んで、買った馬券がこちら。

Baken 

んで、結果はこちら。うーむ、当たってはいないようですな(笑)

Haneda 

スタートから逃げたヤマノファイト、その2番手に付けたリコーワルサー、さらにその直後から競馬を進めたハセノパイロ。1周目の馬順とほぼ同じ順番のままゴールに飛び込んできた。ヤマノファイトはこれが5つめ目の重賞タイトル。逃げた馬に上がり最速をマークされては、他馬はどうしようもない。

気になる5番ワグナーコーヴは、3番人気の支持を集めながら、なんとシンガリに敗れた。聞けば社台オーナーズの持ち馬だったらしい。それはご迷惑をおかけしました。深くお詫びします。だが、私が単勝買ったせいだけでシンガリ負けはあるまい。いちばんの好スタートを決めたにもかかわらず、ハナを奪うことができなかったのはなぜか。ジョッキーは初めてのナイターを原因に上げたが、不良馬場が合わなかっという可能性もある。ともあれ消化不良のレースふまりだった感は否めない。

気になるのは次走。もしワグナーコーヴがダービーを目指すのだとしたら、ヤネはどうするのか。御神本騎手は明日の東京プリンセス賞で圧倒的人気を集めるプロミストリープでダービーを目指す公算が大。となれば、ここで満を持して大井の神様の出番というシナリオはどうだ。「的場に乗り替わって一変」というのはよくある話だぞ。

そんな話題でレース後は盛り上がった。ダービーが近いことを実感する。それにしても的場さんはさすがだ。乗らないレースでも主役を奪ってしまう。

 

***** 2018/05/09 *****

 

 

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2018年5月 4日 (金)

ダイエット中のカツ丼

「メチャメチャ道路が混んでて……」

Padock 

パドックで会った知り合いがゲンナリしていた。京葉道が大渋滞で、目当てのレースに間に合わなかったという。いやはや、つくづくゴールデンウィークは怖いですね。船橋競馬場に面した道路も車でビッシリ埋め尽くされている。

時計は間もなく18時。しかし、この状況では簡単に食事をとることも難しい。人で溢れる「ららぽーと」は論外。「ビビッドスクエア」も無理。競馬場に隣接する2軒の回転寿司にも駐車場の空きを待つ車が列を為している。驚くことに競馬場正門向かいの『すき家』ですら、店外に並ぶ客がいるではないか。

愛馬ポップレーベルの応援のために船橋にやって来たはいいが、その前に飢え死にしては意味がない。コンビニのオニギリで済まそうか……。諦めかけたそのとき、奇跡的に空いている一軒を見つけた。

Katsuan 

『かつ庵』は、かつてここにあった和食レストランの跡地に最近オープンしたばかり。ダイエット中の身にトンカツは本来忌避されるべきだが、愛馬のレースを前に飢え死にしている場合ではない。

先客は4組。うち3組は競馬場の客と思われる。空いていると書いてはお店に失礼だが、競馬場から食事に出る立場にしてみれば、こんなにありがたい店はあるまい。なにより「かつ」は縁起モノ。自分のことではゲン担ぎを好まぬ私も、こと馬のこととなると、ありとあらゆるゲンを担ぐ。愛馬の勝ち負けは私の力ではどうにもならない。ならば神にも仏にも喜んですがろうではないか。

Katsudon 

パドックに姿を現したポップレーベルは、前回のように頚をぶんぶん振り回すような仕草は見せていない。そこはヨシ。その一方で、馬体重がプラス15キロとはどういうことか。しかし、牧場スタッフは「太くは見えませんけどね」と気に留める様子はない。プラス体重がことさら気になるのは、ダイエット中にカツ丼を食ってしまった負い目かもしれないが、「太く」はなくても「緩く」見えるのである。

結果は5着。

Pop 

ジョッキーは「太い感じはしなかった」と振り返った。私としても525キロを太いと言うつもりはない。だが、前々走マイナス13キロ、前走マイナス12キロ、そして今回はプラス15キロ。7歳にもなってレースのたびに10キロ以上減ったり増えたりされると、厩舎サイドの「迷い」を疑いたくなるのである。ひょっとして、馬もカツ丼を食って来たのではあるまいな。自力で解決できることに、ゲンを担ぐ必要はないぞ。

 

***** 2018/05/04 *****

 

 

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2018年5月 3日 (木)

GWの休日

盆も正月もゴールデンウィークもない生活を送っている私だが、ここへきてようやく世間並みに休みに恵まれた。ただし連休ではない。明日も明後日も仕事が入っているから、今日の休みは貴重である。

撮りためた写真のファイルを整理し、溜まった洗濯物をクリーニング店に持っていき、犬の散歩を済ませたのち、いよいよ10年以上ほったらかしにしていたクローゼットと対峙。溜まりに溜まった不用品の整理は今日しかできない。

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すると出てくる出てくる。大量の紙焼き写真。謎の8ミリビデオテープ。使用済ゼッケン。使用期限を数年経過したフィルム。20年前に開催した個展の作品。行方不明だった三脚もその作品をくるんだ包装紙の中で息をひそめていた。そのひとつひとつを確認していると時間があっという間に過ぎる。ああ、いかん。もうこんな時間か。整理作業は途中のまま、慌てて人形町に向かった。

Chochin 

甘酒横丁から一本入った路地に、一風変わった提灯を掲げる『呑舟之魚』は、新鮮な魚料理を格安で食べられる人気店。今日のところは太刀魚と金目が美味い。

Sashi 

先に到着していた二人はいずれも小学校の同級生。五十近くになって小学校の同級生と会って飲むこと自体は珍しいとまでは言い切れないが、その二人がいずれも写真を生業としているというのは稀な光景だと思う。高校も大学もそこから進んだ道もまるで異なるのに、人生は不思議だ。

ただそのうちの一人は放射線技師である。とはいえレントゲンもエコーも写真には違いないし、仕事の話をしても我々の会話と変わるところはあまりない。レントゲン技師になるために進んだ大学では「写真学」というカリキュラムも取ったという。要は印画面を感光させるのに可視光を使うかエックス線を使うか程度の差でしかないわけだ。

「こないだの実家の押入れを整理していたらさ、奥にあったコレクトールの袋が出てきたんだよ」

「おおっ! それは凄い。他にもフジフィックスとか出てこなかったのか?」

みたいな会話が成り立つのだから申し分ない。

今どきの若いカメラマンはコレクトールを溶かした経験もないのであろう。それに文句をつけるつもりはないのだけど、現像という写真の中でもっとも心躍る部分を知らないのだとしたら、それはそれでちょっと気の毒な気がするものである。

ちなみに「コレクトール」とは現像液のこと。んで「フジフィックス」は定着液。私と同じ世代の写真部出身者には説明の必要もあるまい。ひょっとしたら我が家のクローゼットの奥にも、まだコレクトールが眠っているかもしれない。

 

***** 2018/05/03 *****

 

 

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2018年5月 2日 (水)

ダイエットは明日から

実はうどんを断っている。4月26日付「隠れ家」で書いた清澄白河『どいち』を最後に、うどんは口にしていない。たかが1週間。されど1週間。私の食生活においては珍しい。

もちろん理由がある。端的に言えばダイエット。先日体重計に乗ってみたら、これまで見たことの無いような数字が表示されたのである。「んなワケねぇだろ!」と、おもわず体重計に膝蹴りをくれたことで、オノレの膝を壊しかけた。

しかし思い当たるフシはある。今年の2月、めまいを患った私は2週間ほど自宅療養を強いられた。その間、何をするでもなく、ただひたすらTVで五輪中継を見続けたのである。さらに何故だか分からんが、急に甘いものを欲するようにもなった。草餅や今川焼きを食べつつ、ごろ寝でTVの日々。これで太らぬはずがない。

社会復帰を果たした後にも落とし穴が待ち受けていた。治ったわけではないから酒は飲めない。しかし立場上断れぬ酒席というものもある。それでどうするかというと、酒が飲めない腹いせで、ひたすら食うのである。中華料理店で催された先日の宴会でも、乾杯の挨拶が終わるやいきなり五目やきそばとチャーハンを注文して周囲の顰蹙を買った。

体重計の奴は間違ってはいなかったのであろう。とにかくこの体重をどうにかせねばならない。それでもっとも効果的なダイエットとして思い浮かんだのが「うどん断ち」であった。いわゆる炭水化物ダイエットである。

しかし、困ったことがある。うどんを食べないと馬券が当たらないのである。「いやいや。うどん食ったって当たんねぇだろ!」というお叱りは甘受しよう。だが、そうではない。「馬券を考えられない」という表現の方が近い。

炭水化物が脳のエネルギーに使われるのは周知の通り。それを控えているせいか、なんとなく朝からぼんやりする。頭が回らない。馬柱を見ても何も考えられない。ブログのネタも思い浮かばない。天皇賞の週末はそんな状況だった。

やはりうどんが足りないのかもしれない。すると身体は正直なもので、土曜に訪れた大井をふらふら歩いていたら、いつの間にか『つるまるうどん』の前に立っていた。だが、GWのお昼ということで、店の前は大行列。ハッと我に返り、危うくその場を離れた。

そして今日は、かしわ記念の馬券を買いに水道橋へ。残念ながら現場に行く時間の余裕はない。ならばせめて馬券だけでも。ただ、何を買えば良いのか。まったく思い浮かばない。「コレ!」という馬が、5頭も6頭も浮かんで、それを整理できずに、アレもコレもと買い目を増やした結果、全滅。それがいつものパターン。それすらも浮かばないのだから、どうかしている。

もう、うどんを食べるしかない―――。

追い詰められた私は、水道橋に向かう手前の神保町で地下鉄を飛び降りた。目指す先は『丸香』。極限状態で食べるうどんなら、ここ以外あるまい。

だが店の明かりが見えぬ。行列の人影も見えない。近づいてみると……、

Maruka 

むむっ!

Gw 

がびーん!coldsweats02 またGWにやられた。

これでは、かしわ記念の馬券も買うこともできない。もうダメだ……。

何も考えられぬまま、周辺をぼんやり歩いていると「うどん」と書かれた幟が目に入ってきた。

Shiro 

街灯に吸い寄せられる蛾のごとく、ふらふらと店内に入り、反射的にぶっかけを注文。出された一杯を、一気呵成に吸い込んだ。

Udon 

『直白』と書いて「ひたしろ」と読むらしい。うどんはまごうことなき讃岐で、店の名の通り純白。珍しいことにネギも白い。ひと口啜るごとに、小麦の甘味がダイレクトに脳を刺激する。すると途端にかしわ記念の買い目も見えてきた。なんだかんだ言って、このレースはフェブラリーS優勝馬が強い。それはコパノリッキーが証明している。なら、モーニン、ゴールドドリーム、ノンコノユメの3頭BOXでよかろう(注:もちろんハズレ)。これで一件落着。ダイエットは明日からだ。

 

***** 2018/05/02 *****

 

 

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2018年5月 1日 (火)

蕎麦屋で一杯

神保町の『満留賀静邨』は蕎麦の美味さもさることながら、蕎麦屋ならではのアテが豊富で、酒を控える身だというのについつい足が向いてしまう。うどんばかり食べているようで、実は夜になると蕎麦っ喰いに変貌していたりする。

Seison 

蕎麦というのはワインなどと同じく薀蓄の温床であるので、あまりうかつなことは書けないのだが、蕎麦屋で飲む時のアテについてならば、それほど神経質になることもあるまい。先週末に『満留賀静邨』を訪れた夜は、立派な鯵が入ったということで、そのまま塩焼きにしてもらった。これをつついてさえいれば、しばらくアテに困ることはない。

Aji 

最近では「蕎麦屋で一杯」というのが大人の飲み方という具合にもてはやされて、夜の蕎麦屋が存外混み合って驚かされたりする。ただ、見ていると、席に着くなりとりあえず出汁巻を注文する率が多くないか。むろんそれも悪くはないのだが、まずは焼き味噌や叩き海苔といった軽めのアテでお酒を一本飲んでみてはいかがだろう。しかるのちに、出汁巻や鴨焼き、あるいは天ヌキでもう一本を飲む。そして最後に、蕎麦を手繰りながらもう一本。それでシメる。

Miso 

焼き味噌を最初に当てるのは、それ自体が酒を恋しくする味わいだからだ。大井競馬場から歩いて10分。大森海岸駅のほど近くに店を構える『布恒更科』の焼き味噌は、蕎麦の実を混ぜた練り味噌をしゃもじ塗りつけ、こんがりと焼いて出されてくる。味もさることながら、その香ばしさが素晴らしい。盃の合いの手程度にちょいと舐めれば、その後の酒の進み方が断然違ってくる。

むろん、こちらの店では美味い蕎麦を味わうこともできる。

メニューのひとつ「御前更科蕎麦」は、蕎麦の実の芯の部分だけを挽いた粉を使った真っ白な蕎麦。蕎麦特有の香りも控え目だ。だが、もともと更科というのは、香りよりもきめ細かな口当たりと喉越しを楽しむもの。それゆえ、つゆは江戸前の濃い目で、その主張も強い。

Soba 

若くして亡くなられた江戸風俗研究家の杉浦日向子さんも、大の蕎麦好きだった。「東京のソバ屋のいいところは、昼さがり、女ひとりふらりと入って、席に着くや開口一番、『お酒冷やで一本』といっても、『ハーイ』と、しごく当たり前に、つきだしと徳利が気持ち良く目前にあらわれること」と著書に残されている。さらには「究極の酒のアテは蕎麦湯である」とも。

杉浦さんの境地に達するにはまだまだだなぁ―――。

そんなことを思いつつ、今日の昼は築地『布恒更科』の暖簾をくぐった。実はここ、大森のお店の支店である。見れば店内には女性の一人客。ちょうど徳利を片付けて、ざるで締めているところだ。既に仕事終わりということは、市場で働いている方かもしれない。その格好良さにほれぼれした。

 

***** 2018/05/01 *****

 

 

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2018年4月26日 (木)

隠れ家

競馬とは無縁の仕事で清澄界隈に行くことになった。自宅から半蔵門線を使えば一本で行けるが、実は行ったことはない。見知らぬ土地を訪れる時はその土地のうどん屋を訪れるのが、うどん好きとしての礼儀であろう。そこでまずは水天宮前駅で降りて、歩いて清洲橋を目指した。

Kazu 

その途中に佇む隠れ家風の一軒が『谷や 和』。水天宮の名店『谷や』の2号店とのことだが、その外観は一見してうどん屋には見えない。あえて喩えれば隠れ家的な寿司店のよう。実際、店内も落ち着いた作りで、1階は白木のカウンター席のみ。ぶっかけうどんを食べるだけだというのに、なぜか多少の緊張感を覚える。

Kazu2 

『谷や』同様うどんはコシが強めで、のど越し爽快。口に入れるとプンと小麦の香が漂う。麺の完成度が高いせいかツユが弱く感じてしまったが、追加をもらえたので問題なし。正直『谷や』よりおいしく感じた。

店を出て清洲橋を渡る。隅田川を渡る風が心地良い。

River 

仕事を終えて、清澄通りをぶらぶら歩いていると、今度は見た目でも分かり易いうどん店を見つけた。提灯には『麺工房どいち』とある。

Doichi 

驚いたのは店内に入ってから。カウンター主体のつくりは先ほどの『谷や 和』と同じ。だが、それ以外はまるで違う。こちらはとにかく店内がウマだらけなのである。私の部屋でもここまではしない。

Table 

店内の壁という壁には競走馬の写真や競馬のカレンダーが貼られており、奥のテーブル席付近には額装されたゼッケンが誇らしげに飾られている。カウンターの上には馬の置物。並んでいる酒はブラントン。楊枝入れまで馬だから徹底している。よもや、と思ってトイレを借りたらご覧の通りであった。

Wc 

競馬好きが集まる店というのは珍しくないが、それがうどん屋であるという例を私はほとんど知らない。それが競馬とはかけ離れた場所にあるから、なお驚くのである。

Udon 

とはいえいつまでも驚いていられないので、温かいぶっかけを注文。うどんも先ほどの店と違う。ふわっとしたタイプでツユの絡みも申し分ない。揚げたての鶏天はあらかじめ下味がついていて、酒にも合いそう。ずらりと並んだ酒瓶を見れば夜の繁盛ぶりも伺える。ひょっとしたら競馬場内の如く馬の話題で盛り上がっているのかもしれない。

ところで、飾られたゼッケンの馬名ひと目見て気付いたことがある。メジャープレゼンスとディーセントワークは、どちらもサンデーレーシングの所属馬だった。その2頭に出資していたという会員さんが、たまたま私の周辺にいるのである。こんな偶然はそうそうあるまい。その人もこのブログを読んでいるはずだから、近いうちに聞いてみよう。ひょっとしたらその人にとって、こちらの店こそ秘めたる「隠れ家」なのかもしれない。

 

***** 2018/04/26 *****

 

 

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2018年4月23日 (月)

競馬場価格

東京競馬場フジビュースタンド2Fファストフードプラザの『モスバーガー』があった場所に、『CoCo壱番屋』が入っていた。

Coco1 

かつて内馬場に出店してたのだから初出店とは言えない。しかし内馬場には滅多に行かない私にとっては初出店に近い感慨もある。とはいえ競馬場から10分とかからぬ距離にココイチ府中宮西店が営業中。正直目新しさはない。そんな微妙な思いにかられながら、とりあえずロースカツカレーを注文。

Coco2 

うん。ココイチのカツカレーですね。いつも通りの味。以上。

食べ終えてコースに戻ろうと歩き出したら、同じファストフードプラザ内で営業する『メトロカレー』が目に入った。普段なら客足が絶えないのに、今日客は誰もいない。そりゃそうだ。ココイチの方がメニューが豊富な上、安いのだから仕方ない。カレーを食べたい客はココイチに行くでしょうよ、そりゃ。

ただし、私は違う感想を持った。ココイチの方を「高い」と感じてしまったのである。メトロと比較ではない。街中のココイチに比べ、すべてのメニューが高いのだ。

Menu 

たとえば私が食べたロースカツカレーは800円だったが、通常のココイチの店舗で食べれば753円のはず。たった47円の差とはいえ、「10分歩けば同じものを753円で食べられるんだよなぁ」と考えてしまったのである。

Saikai 

そう考え出したら止まらない。昨日は『メトロカレー』の隣で営業する『ラーメン西海』の「豚角煮ラーメン」を食べた。……が、通常店舗なら780円のところ、ここでは850円もする。さらにその隣の『はなまるうどん』で出している「ちく温玉うどん」は550円。これに至っては通常店舗の410円に比べて140円も高いではないか!

Udon 

競馬場価格―――。

そう言って、競馬場の飲食店はどこも高めに料金設定をしていると思われがちだが、決してそうではない。吉野家がそうだし、モスバーガーもそうだった。通常店舗と同じメニューの値段を変えたりしない。外で食べても中で食べても同じ。惜しくも閉店した『むぎんぼう』のように、メニューを工夫して通常店舗より安く提供していた店もある。

土日のみの営業ではコスト的に見合わないことは先刻承知。もちろん場内の既存同業者への配慮も必要であろう。しかし、場外の同じ店より高いメニューを「損だ」と感じる客は、ひとり私のみではあるまい。そう思うと、知らず知らずのうちに足が遠のく。

こうした競馬場価格を設定するにあたっては、価格とは別の付加価値が欲しい。たとえば『はなまるうどん』なら、一般の店舗にはない「ひやかけ」を出してみてはどうか。巷の“はなまるファン”がわざわざ競馬場に食べにやって来るような一杯を出す。それなら多少高くても文句は言うまい。どうせならそこまで目指してほしいのである。

 

***** 2018/04/23 *****

 

 

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