2017年11月17日 (金)

幻のうどん

昨日の話。所用で飯田橋を訪れたついでに、前々から気になっていた店の暖簾をくぐってみた。

Miiraku 

『味井楽』は都内でも珍しい五島うどんを出す一軒。五島うどんは、我々が慣れ親しんだうどんに比べれば細打ちの丸麺で、強いコシとつるっとした喉越しが特徴だ。その起源は平安時代に遡り、遣唐使により中国から五島に伝わったとされる。

さらに珍しいことに、こちらのお店では生麺を使っているとのこと。生の五島うどんは「幻」と言っても過言ではない。これは期待が膨らむ。待つこと10分。茹で揚げの一杯が目の前に運ばれてくると、芳しい香りが立ち込めた。

Udon 

香りの正体はアゴダシ。焼いたアゴ(飛び魚)を一晩かけて水で戻し、そこからゆっくり火を入れて取ったダシは、さっぱりとした後味でいくらでも飲める気がする。

麺をひと口。すると、もっちりとした食感にまず驚く。これが生麺の為せる業か。むろん麺に練り込まれた椿油が生み出すコシと爽快な喉越しも申し分ない。

満足して店を出て小石川界隈をぶらぶら歩く。11月の風は冷たさを増しているが、熱いうどんを食べた直後ゆえ、ちょっと肌寒いくらいがちょうど良い。

すると5分ほど歩いたところで、こんなところに出たではないか。なんと奇遇な!

Offt 

この日は名古屋で東海菊花賞が行われる。果たしてカツゲキキトキトの連覇は為るか。白山大賞典2着の実績。とはいえ負けた相手はインカンテーションである。ここでは負けられまい。それは分かっていても、最近は勝ち身に遅いようところも見受けられるので馬券はマルチで。

Baken 

―――なんていう浅はかな見立てを嘲笑うかのような圧勝劇に言葉を失った。次走は名古屋グランプリだろうか。念願のダートグレード奪取の時は近い。

馬券は外れたが、ちょっと前の私なら「五島うどんを食べたあとだから5-10」なんてバカな馬券を買って徒に財布の金を溶かしていたはず。それではレースの印象も頭に残らない。やはりちゃんと考えるのが大事ということです。

 

***** 2017/11/17 *****

 

 

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2017年11月14日 (火)

羽田に降り立って

羽田空港に降り立つたび、いつも同じことで悩む。

さあ、ここ(空港)からどうやって帰ろうか―――。

往路は大井町駅からリムジンバスに乗ることがほとんど。だが、そんなに本数が出ているわけではないから、帰りはバスの発車時刻まで延々待たされることも珍しくない。仮にドンピシャのタイミングで着陸しても、混んでて乗れないこともあるし、夕方は絶望的な渋滞に巻き込まれて、大井町まで1時間近くかかることもある。大人580円という料金も微妙に高い。

だからといって、京急で品川に出てJRに乗り換えるルートは面倒な上にやたらと混んでるし、タクシーに乗ったところで渋滞のリスクは同じ。かくして、羽田に着くなりウダウダ悩むことになる。

しかし、今日はひとつアイデアがあった。まず、普段は利用しないモノレールに乗る。夕方でもガラガラ。長旅で疲れた身体にはこれがなにより嬉しい。

Mono 

やがて車窓にまばゆいばかりのカクテル光線が見えてくるので、そこでモノレールを降り、

Light 

向かった先は、我らがTCK東門。

Tck1 

そして今度は正門から出て、

Tck2 

その先に待っているのは、

Bus 

なんと、大井町駅行きの無料連絡バスなんですな。こちらもメイン前だからガラガラでラクちん。あっという間に大井町駅に到着した。

Station 

所要時間は40分だからリムジンバスを待つよりは全然早い。しかも、料金も411円と、リムジンより169円安いのである。我ながら素晴らしいルートを開拓した。思わず自画自賛してしまう。

もちろん注意事項はある。まず、大井競馬場入場に際しては100円の入場料がかかる。たが、地方馬主はこれが無料になるので、その恩恵を受けさせてもらった。さらに付け加えれば、せっかく競馬場に立ち寄ったのなら、馬券の一枚は買っておかねばならない。これは無料バスを利用する以上、最低限のマナーでもある。1番人気馬の複勝でいい。さしたる手間ではないはず。私も浮いたお金は馬券に回した。むろん外れたけど……。

Baken 

一方で、夕食がまだであれば、競馬場で済ますことも可能だ。私も今夜は競馬場内の『つるまるうどん』にした。季節限定メニューの「甘辛肉玉うどん」(500円)。

Udon1 

「またうどん食ってんのか!」という指摘は甘んじて受ける。ともあれ、この甘辛は美味しい。混ぜて食べることで、なんとも言えぬまろやかな味わいが増して、あっという間に食べ終えてしまった。

Udon2 

このルートの難点を挙げれば大井開催日でなければ使えぬということか。場外開催日は無料バスの本数が減って利便性が下がるし、非開催日なら東門の前で立ち尽くすことになる。注意しよう。

 

***** 2017/11/14 *****

 

 

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2017年11月13日 (月)

博多のうどん

本日3度目の更新は、本日3杯目のうどん。

博多駅に到着するなり、脇目もふらずに向かった先は博多バスターミナル。とはいえバスに乗るのではない。目当てはターミナルビル地下で営業するこちらのお店。

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『牧のうどん』は、ウエストチェーンと並ぶ博多っ子のソウルうどん。釜揚げならではの“ふわもにょ”うどんが味わえる。

食券を買って店員さんに手渡す。そのとき麺の固さの好みも伝えよう。今回は「ヤワめ」でオーダー。席に座って待つこと5分。洗面器のごとき巨大な器でうどんが運ばれてきた。

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わずか70円で大盛にできるからと、あまり考えずに「大盛」ボタンを押してしまったことを今になって後悔する。しかも、せっかく博多に来たのだから、かしわご飯を食べぬわけにもいかない。これはやってしまったか……。

しかし躊躇している暇はない。釜揚げのうどんはダシを吸いやすいので、みるみるツユが減ってゆくではないか。そんな時は、この小さなヤカンの出番。中には美味しいダシが入っていて、食べている最中に自分で追加ができる。もしヤカンが空になっても心配ない。店員さんにお願いすれば継ぎ足してもらえる。

まあ、なんだかんだ言いながら完食。博多のうどんも美味いですね。昨日は立て続けにそばを食べ、今日は3食うどんだった。こういうのは身体に良くないんでしょうね。明日はバランス良く食べなきゃ。

 

***** 2017/11/13 *****

 

 

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関西のうどん

本日2度目の更新は、本日2杯目のうどん。

大阪駅前第3ビルの地下街は知る人ぞ知るうどん激戦区。関東にまでその名を轟かせる名店が軒を連ねる中、今回は『踊るうどん』を訪れた。

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「肉まいたけ天温玉かけうどん」を注文。ぶっかけも美味そうなのだが、ここはやはり関西のダシを味わいたい。

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ひと口目は「あれ? 薄いか?」と思う。だが、食べ進めるうちに「いや、ちょうど良い塩梅だなぁ」と感じ、いつしかその味の虜となって、気が付けばツユを全部飲み干していた。

恐るべし関西うどん。次も「かけ」にすべきか。あるいは今度こそ「ぶっかけ」にすべきか。そんな悩みを抱えつつ、これより博多に向かう。

 

***** 2017/11/13 *****

 

 

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関東のうどん

早朝の新横浜駅で、立ち食いそば・うどんのお店『矢萩』に立ち寄る。暖簾には「うどん」しか書いてないのに、全体的には「そば」が前面に推されているのが、ちょっと悲しい。

Yahagi 

昨日に引き続き「立ち食い」ネタ。しかし今日はそばではない。いつものようにうどんを啜る。醤油ベースの鰹ダシは、関東の私には慣れきった味だが、西日本の方には違和感たっぷりであろう。関東では真っ黒なツユに白いうどんが浮かんでいるのである。

Yahagi2 

むしろ私の違和感は店名の「矢萩」にある。競馬関係者が「やはぎ」と聞けばどうしても「矢作」を思い浮かべてしまうもの。土曜の東京10レースを勝ったモズアスコットは矢作調教師の管理馬。これで未勝利、500万、1000万と3連勝だが、昇級するにつれ強さが増している印象がある。次走はもっと強い競馬を見せてくれるに違いない。

Mozu 

というわけで、これから新幹線に乗り大阪に向かう。昼メシは透明なおダシの関西うどんだ!

 

***** 2017/11/13 *****

 

 

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2017年11月12日 (日)

たまには蕎麦も

巷の立ち食いそばのレベルがすこぶる上がっているらしい。

私の若い頃の立ち食いそばといえば、「安い、早い、味は気にしない」が当然だった。ところが最近では生麺を使い、ダシにもこだわり、椅子に座って食べられるという。それじゃ立ち食いじゃねぇだろ!という指摘はごもっとも。もはや「立ち食い」の定義さえ、変わりつつある。

そんな話題をリードする『嵯峨谷』の水道橋店に入ってみた。ご覧の通り、店の前に立てば、ウインズ後楽園の黄色いビルが見える。

Saga1 

もりと鶏天を注文。店内はカウンター10席で、立ち食いではない。店主らしき人物が茹で釜の前に仁王立ちして、次々と入る注文をこなしているが、やはりちょいと時間がかかっている御様子。茹でているのだから、これは仕方ない。待つ間、エリザベス女王杯の馬券をじっくり予想する。今日は普段通りに買ってみようか。もうそろそろ治療を終えてもよかろう。

Saga2 

出てきたそばをさっそく手繰る。だが、茹で立ての割にはそばに香りが足りない印象。待たされた分だけハードルが上がってしまったのかもしれない。そばを食べ終えてから鶏天が出てきたのも、なかなか衝撃的だった。

店を出てウインズ後楽園へ。歩いて1分とかからない。これはこれで便利。

2レースほどレースを見たのち、エリザベス女王杯の馬券を仕込む。しかるのちに東京ドームを周り込むように歩いて、春日の交差点へ。たしかこの辺に生そばがウリの立ち食いそば屋さんがあったはず。正直、さっきのもりそば1枚では足りん。

そしたら……、

Kame 

かびーん!coldsweats02

あれぇ? 昔は日曜もやってたはずなんだけどなぁ。といっても最後に来たのは10年前。よくよく見れば屋号も変わってるような気が……。

―――その時である。

シャッターの前で呆然と立ち尽くす私の視界に「そば」の2文字が過った。それは5軒隣の店。暖簾には『源太郎そば』とある。

Gen1 

比較的新しい店らしい。店内は明るくスタイリッシュ。もちろん椅子が用意されている。これも何かの縁であろうから、とにかく入ってみよう。もりと天ぷらの食券を買ってカウンターの女性に渡し、椅子に座ってしばらく待つ。こちらの店も注文を受けてから生そばを茹でるスタイルらしい。待つ間、さっき買った馬券を確認する。

Baken 

こんな感じ。ボックスだけど一応の本命は1頭決めてある。2週間にも及んだ治療の効果は果たしてあるだろうか。

Gen2 

そばは自家製の細麺。やや緑色かかった色合いに、この香り。新そばを使っているのだろう。のど越しも抜群。これで390円は素晴らしい。

Gen3 

揚げたての天ぷらは、サクっと軽い仕上がり。天つゆが別皿で出てくるのも嬉しい。なりゆきで入った割には“当たり”だった。ついでに馬券まで当たったのは、私の予想云々ではなくこのお店のおかげであろう。うどんばかりでなく、たまにはそばも良い。ゲンを担いで来週も食べに来ようかな。

 

***** 2017/11/12 *****

 

 

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2017年11月11日 (土)

復活の日

レンズの修理が完了したという連絡を受けた。

急ぎ使う予定はない。しかも最近は中野への外出もままならぬほどの多忙ぶりで疲れ果てているのである。できれば今日は寝て過ごしたい。ただ、あまり待たせるとまたレンズのヤツがぶつぶつ文句を言い出して、スタッフさんを困らせかねない。なので再び中野へ。しかし、その前に中野のうどん屋さんに立ち寄るくらいは許してもらおう。

中野駅から中野通りを南へ。10分ほど歩いた通り沿いに、行列のできるうどん店が暖簾を掲げている。その名も『讃岐のおうどん花は咲く』。

11時45分の入店でほぼ満席。カウンターにひとつだけ空いていた席に腰をおろし、天ぷらぶっかけうどんを注文した。

Udon 

柔らかく伸びのあるうどん。甘味と辛味がせめぎ合う深い味わいのダシ。そして油から揚げたばかりの天ぷらたち。ひと口食べれば分かる。これで美味くないわけがない。個人的にはひどい一週間だったが、この一杯で復活だ。

しかるのちにレンズと10日ぶりの対面。

「ダンナぁ。修理完了の連絡が行ったはずなのに、3日も待たせるとは、どういうことですかい?」

案の定、ヤツは引き取りが遅れたことを怒っていた。しかし、きちんと元通りに治っている。こちらも復活。さっそく東京競馬場へ行って使ってみよう。

例によって馬券は1頭の単複のみ。なにせまだ「治療中」の身である。武蔵野ステークスは3歳が強い。ならサンライズノヴァの単複で仕方ないか。―――そんな思いはパドックで覆された。目を引いた一頭がいたのである。それがこちら。

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んで、レース結果は皆さんご存じの通り。レンズもちゃんと動いてくれたし、私の馬券もこれで復活だろうか?

Goal 

スローな流れに助けられたせいもあろうが、あの位置でレースを進めること自体が、そんなに簡単なことではない。そういう意味では、逃げずに番手で折り合った三浦皇成騎手の手腕が光った。落馬による大怪我から復帰して以来、これが初めての重賞勝ち。「ひと安心です」のひと言に実感がこもる。彼もこれで完全復活であろう。

 

***** 2017/11/11 *****

 

 

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2017年11月10日 (金)

麻布ライス

突然だが「麻布ライス」と聞いてどんな料理を想像されるだろうか?

「麻布」というのは、六本木の隣のあの「麻布」のことである。となれば、高級セレブリティが集まるイタリアンのお店がカジュアルに食べられるように創作したランチプレートとか、あるいは某有名焼き肉店が提案する韓国王宮料理をアレンジした丼とか―――。さしずめそんなところをイメージされるのではないか。

先日、ちょっとした用事があって久しぶりに六本木に出かけ、そのまま麻布十番商店街をぶらぶら歩いていたら、突然その「麻布ライス」が食べたくなって店に飛び込んだ。「店」とは、焼き鳥で有名なあの『あべちゃん』。実は昭和8年創業の大老舗だ。

で、こちらその「麻布ライス」。

Azabu_2 

そう! モツ煮丼なのです。いや~ぁ、セレブ感ゼロ!(笑)

とはいえ、その味は決してバカにできるものではない。濃い目で甘味の強いタレが丼飯にほどよく浸み込んで、思わず掻き込んでしまう絶妙な味。なにせ昭和8年の創業。80余年も守り続けられた伝統には、やはりそれなりの重みがある。

今も昔もモツ煮が牛丼にも匹敵する競馬ファンのソウルフードであることに変わりはない。大井では『ふか河』が人気だが、ここ川崎には『志ら井』がある。1950年の川崎競馬場開設と同時にオープンした老舗だ。

そんなわけで、今日は開催最終日の川崎でモツ煮丼。

Shirai 

こちでは牛モツとコンニャクのみで、野菜は加えないのが特徴。シンプルといえばシンプル。だが脂身豊富なモツの、そのトロけるような旨さを味わえば、「これでいいじゃん!」と大きく頷いてしまう。もちろん臭みなどあるはずもない。私はひそかに「川崎ライス」と呼んでいる。

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創業以来継ぎ足してきた煮汁に3種の味噌をブレンドしたその味わいは、川崎競馬の歴史そのもの。一口食べるごとに、キヨフジやロジータといった川崎の名馬たちが、頭の中を駆け巡る……

―――かどうかは食べる人次第だろうが、私は昔ここでモツ煮丼を食べるたびに、「ホレ、祝儀だ!」といって店員に札束を渡したオジサンがいたことを思い出す。おそらく2、30万はあったのではないか。むろん最近はそんな人を見かけることはない。昭和のまま時計が止まったような競馬場ではあるが、やはりそれなりに時代は移り変わっているんですね。

 

***** 2017/11/10 *****

 

 

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2017年11月 9日 (木)

魅惑の稲庭つけ麺

新橋駅前の年代物のビルの2階に『七蔵』という稲庭うどんを食わせる店がある。ただ、ちょいと変わり種で、「えっ? あそこはつけ麺屋だろ」とか「いやいや、ローストビーフ専門店だって」とか人によって捕らえ方が異なるのも事実なのである。

ともあれ、私としても丸5年以上のご無沙汰であり、いつも讃岐ばかりでも芸がないので、久しぶりに訪れてみた。

ビルに入るとこんな看板が立っている。やはり稲庭うどんの店なんですよ。なめこトッピングはこの時季の風物詩。

Kanban 

昼の営業では、先に会計を済ませるシステム。注文は概ね「稲庭うどん(大・中・小)」か、それに日替わりの丼がついた「うどん丼セット(大・中・小)」に集約される。私は「稲庭うどん(大)」を注文。さらに「スープ多めでね」と付け加える。こちらのウリはなんといってもその独創的なスープにあるのだが、「ネギ抜き」、「ネギ多め」、「スープ多め」といったオーダーもここで済ませておこう。ちなみに、スープが足りなくなれば、あとから追加も可能である。

13時半の入店だが店内はほぼ満席。一人客は相席となり、お茶を飲みながらうどんの茹で上がりを待つことになる。ちなみにテーブルにはこんなポットが置かれているのだが、これはお茶ではない。あとでスープを割るためのただのお湯。注意されたい。

Pot 

待つこと10分。直径40センチはあろうかという巨大ザルに盛られたうどんが運ばれてきた。看板にあったように、スープにはなめこが浮かんでいる。

Udon 

これだけデカいと、ついついうどんに目が行きがちだが、なんといっても眼目はスープ。鰹節、セロリ、鴨肉などをベースに出汁を取り、鴨肉をペースト状にしたものとゴマペーストを加えて、醤油、みりんなどで味を整えているとのこと。一見普通のなめこ汁のようにも見えるのだが、実際にはドロッと濃厚で、絶妙ののど越しの稲庭うどんにも実に良く絡まる。他では体験できない絶妙な味わいだ。

ずるずるずるーっと、あっと言う間に食べ終えると、残ったスープに先ほどのお湯を差してスープ自体も最後まで味わえる。旨さが体内に染み渡るのが分かる。……と同時に、つけ麺を食べ終えたあとの余韻と似ているものも確かに感じた。

これで1100円。高いと言えば高い。だけど、もともと稲庭うどんは藩主への献納品で、庶民が口にすることなどできなかったいわばぜいたく品。東京競馬場内ホテルオークラレストランの「稲庭うどん」は、上品な味に上品な分量で1200円もする。それを思えば「高い!」と言って眉をひそめるほどでもない。

ちなみに、夜の看板メニューは特製のローストビーフ。しかも昔は昼のみだった稲庭うどんが最近では夜のメニューにも載っているらしい。久しぶりに夜も行ってみるか。

 

***** 2017/11/09 *****

 

 

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2017年11月 8日 (水)

豆腐の味、馬券の味

俗に通ぶる人ほど講釈を垂れたがる傾向が強い。競馬場においても、パドックの踏み込みがどうとか、血統がこうとか、聞かれもしないのにアレコレ薀蓄を並べたがる手合いの筋がいるが、本当の通はそういうことを他人にひけらかしたりはしないものである。

食事においても然り。特に歳を重ねてから食道楽にハマるのはタチが悪く、ワインの年代やらマグロの産地やら、どうでも良いことをベラベラと喋りたがる。まあ、若干自戒の念も込めつつ筆を進めるが、こういう人物にカウンターの隣に座られたりしたら、もう最悪だ。

つい先日も近所の鮨屋のカウンターで(幸い隣ではなかった)、店主に向かってこんな話をしている客に出くわした。

「実は豆腐というのは昔は“納豆”と呼ばれていて、納豆が“豆腐”って呼ばれてたんだよ。だって、豆を腐らせたら納豆になるし、豆を型に納めたら豆腐になるじゃない。だから、歴史のどこかで言葉そのものが入れ替わったんだよ」 

若い店主は「へぇ、そうなんですか」などと相槌を打っていたのだが、その客が帰ってから「さっきの豆腐の話なんだけどさぁ……」と私が水を向けると、「はい、出鱈目です。同じような話をかれこれ五回くらい聞かされましたけど」と笑った。いわゆる都市伝説。魯山人の弟子を名乗る人物が書いた書物にもそのように書かれているので、食通を自認する人ほど真に受ける人が多いのだそうだ。

Yudofu 

なぜ豆腐に「腐」という字をあてて、納豆に「納」という字をあてるのかについての解説は、ここでは謹んで控えさせていただくが、納豆の名誉のために「腐敗」と「発酵」が明確に異なることだけは強調しておきたい。それにしても、料理のプロに対面して臆面もなく講釈を垂れる勇気には、ただ敬服するばかりだ。

そもそも、豆腐の文字の由来を知っているかどうかではなく、豆腐の味が分かるかどうかが食通の本分であろう。私が子供の当時は、世の中から美味い豆腐が消えかけた時期もあったが、志ある職人のおかげで昨今はまともな豆腐を味わうことができるようになった。

豆腐の味は微妙で繊細だ。某グルメ漫画の第1話に登場するのはダテではない。ただ、そうは言っても、昔は誰でもその味を分かって食べていた。日本人の食生活が欧米化されるにつれ、我々はソースやスパイスといった味付けのハーモニーを楽しむことができるようになった一方、それと引き替えに素材そのものの味の奥行きを堪能する感覚が失われてしまったように思える。

対策として、“調味料断ち”をしてみるのが面白い。化学調味料はもちろん、醤油も味噌もスパイスもソース・ドレッシングの類も一切使わず、味付けは塩のみの食事を続けるのである。

すると、徐々に「日本人の舌」を取り戻せるようになってくる。豆腐の豆の香りや、米の銘柄の違いなどが、薄々ながらも感じ取れるようになって、食事の楽しみもグッと広がる。もともと日本人にはそういう舌が備わっているのだから。

競馬においても然り。3連単ばかりに目を奪われていると、「勝ち馬を探す」という競馬本来の目的を見失ってしまうことに繋がりかねない。そういうときは、1日ずっと単勝だけを買って過ごしてみるというのも良策。先日も書いたように、最近の私はこれを実践している。忘れかけていた競馬本来の味を、思い出すことができるかもしれない。

 

***** 2017/11/08 *****

 

 

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