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2023年12月29日 (金)

アンカツルールの20年

昨日の中山は田中勝春だけでなく柴山雄一もラストライド。JRA通算602勝。重賞12勝。2009年の札幌記念、7番人気ヤマニンキングリーで女王ブエナビスタを封じた名手も、昨日の騎乗を最後にそっと鞭を置いた。

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現役最終日は5鞍に騎乗し⑮着、⑦着、②着、⑫着、⑥着。いつだったか社台グループのパーティーで交わした言葉が思い出に残る。「ひとつでも上の着順を目指して乗ってます」。まっすぐな瞳でそう言っていた。最終日の騎乗ぶりにもその思いが凝縮していたように思う。

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2003年の安藤勝己以来、地方競馬からJRAに移籍した騎手は計10人。柴山騎手の引退により、そのうち6人が引退したことになる。現役を続けるのは小牧太、岩田康誠、内田博幸、そして戸崎圭太の4騎手のみ。笠松出身の騎手はゼロになった。

かつて、JRAの新規騎手免許申請において、過去5年間にJRAで年間20勝以上の成績を2回収めた地方騎手は特例として一次試験(筆記)が免除されていた時期がある。いわゆる「アンカツルール」。しかし2010年からは一次試験ではなく2次の実技試験のみが免除の対象となった。地方競馬場の廃止で不利益を被る騎手の救済策という意味合いの強かったアンカツルールだったが、一定の役目を終えたとしてJRAは門戸を狭める方向に舵を切ったのである。それでも2013年には戸崎圭太、岡田祥嗣の二人が、難関の一次試験をクリアしてJRAへの移籍を果たした。

その後も地方からの受験はゼロではないものの、2013年を最後にJRA移籍を果たした騎手はひとりもいない。海外のライセンス保有者もクリストフ・ルメール、ミルコ・デムーロの2人のあとは、2019年の藤井勘一郎が突破しただけだ。

公正競馬確保のためには、いくら腕が立っても素性の分からぬ新顔にライセンスを渡すわけにはいかないという事情がある。そのためにはスポット参戦を重ねて実績を積み重ねて信頼を勝ち取るしかない。ジョアン・モレイラの不合格で話題になった2018年の騎手免許試験に唯一合格した藤井勘一郎にしても、なんと挑戦6回目での大願成就であった。信頼といものは簡単に勝ち取れるものではない。ダメな場合は徹底してダメ。それがJRAのスタンスである。それで移籍を諦めた騎手もゼロではない。

2009年以降の15年間で、JRA生え抜き騎手が最多勝を獲得したのは2度しかない。残る13回は地方出身騎手か外国人騎手で占められてきた。今年もC・ルメールが最多勝利騎手を奪還。しかし、横山武史、岩田未來、坂井瑠星といったJRA生え抜きの若手も着実に力を着けている。騎手の引退続出は世代交代を意味する。来年が若手騎手躍進の年になることはほぼ確実。ひょっとしたらリーディング奪取もあるかもしれない。期待しよう。(文中敬称略)

【JRAへの移籍騎手】
横山賀一 1992 ニュージーランド
安藤勝己 2003 笠松(※引退)
小牧太 2004 園田
赤木高太郎 2004 園田(※引退)
柴山雄一 2005 笠松(※引退)
岩田康誠 2006 園田
安藤光彰 2007 笠松(※引退)
内田博幸 2008 大井
高野宏史 2008 高知(※引退)
岡田祥嗣 2013 福山(※引退)
戸崎圭太 2013 大井
ルメール 2015 フランス
デムーロ 2015 イタリア
藤井勘一郎 2019 オーストラリア

【JRA最多勝利騎手】
内田博幸 2009-10
岩田康誠 2011-12
福永祐一 2013
戸崎圭太 2014-16
ルメール 2017-21、23
川田将雅 2022

 

 

***** 2023/12/29 *****

 

 

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