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2023年9月 7日 (木)

瞳を閉じて

緑内障を患う身なので毎日の点眼投薬が欠かせない。その目薬が今月から1種類増えて3種類になった。これらを朝晩欠かさず点眼するのだが、間髪入れずにピチョン、ピチョン、ピチョンとさしてはいけない。目薬と目薬との間は3分程度空ける必要がある。

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私が子供の頃は、点眼後にはまぶたをパチパチするのが目薬の作法だった。しかしどうやらそれは誤りらしい。実際には3分程度まぶたを閉じて安静にしている必要がある。しかしその間は時計を見ることができない。では3分間をどうやって計るか。とりあえず菊花賞の実況を聞くことにした。とはいえ死ぬまで毎日続く儀式である。同じレースの実況だとだんだん飽きてくる。阪神大賞典や万葉Sのお世話になる日も近い。思わぬ理由でJRAに長距離レースを増やしてほしいと考えるようになった。

緑内障は40歳以上の約5%が発症し、いったん失われた視野は決して戻らないため、早期発見がカギとなる。だが、自覚症状となるとこれがなかなか気づきにくい。私もそうだった。右眼の視野だけがこっそり狭まっていても、左眼がそれをカバーしているから、日常生活に何ら不具合がない。視力検査で片眼を閉じても、あくまでもポイントは視野の中心部分なので、何事もなく終わってしまう。気づいた時は、視野の半分が暗闇になっている。これは怖い。

だが、いま思い返せば「あの時のあれは緑内障が原因だったんだな」と思い当たるフシはいくつかある。しかも、どれも競馬場での出来事だ。

以前にも書いたがゼッケン番号の視認にやたらと難儀するようになった。まず最初に「6」と「8」の判別が難しくなる。次いで「3」と「8」も同じに見えるようになった。さすがに「3」と「6」の区別はついたが、今度は「5」と「6」の区別ができなくなる。しかもこの両者は帽色まで同じであることが多い。だが、それでも「老眼の走りかな…」程度にしか思っていなかった。

時期を同じくして、何でもない段差や階段で躓くようになる。締切間際に自席から馬券売り場に向かって階段を駆け上がった際、派手に転んだことも一度や二度ではない。その瞬間は周囲への恥ずかさばかりが先に立って、その場から逃げるようにそそくさと立ち去るのだが、いま思えば足もとが見えていなかったのであろう。その後もたびたび階段で躓くのだが、踏み外すのはことごとく右足で、この癖は今なお抜けない。

さらにカメラのファインダーの曇りが気になるようになった。おかしいなと思いつつファインダーをゴシゴシ磨いていたのだが、曇りは一向に消える気配がない。なんのことはない、曇っていたのは己の眼の方だった。

40歳を過ぎた方は、すべからく眼科専門医の検査を受けて欲しい。とくに競馬場でゼッケンが見えにくくなったと感じたり、スタンドの階段で躓くことが続いたりしたら「俺もトシだな」で済ませることなく、ぜひとも緑内障も疑ってみていただきたいと思う。

実は先月の検査が芳しくなかった。それでちょっとヘコんでいる。

目薬が増えたのはそのせいだ。言われてみれば確かに最近になって私の相馬眼もかなり低下したような気がしてならない。昔は、もっとウマが見えていたような気がするのだが―――などと書いて、オノレの馬券下手を目のせいにするのはやめておこう。

 

 

***** 2023/9/7 *****

 

 

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