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2023年9月19日 (火)

阪神パンステークス

昨日までの阪神競馬場内では珍しいイベントが行われていた。その名も「阪神パンステークス」。阪神競馬場近郊のパン屋さんが出店して、パンを片手に競馬を楽しんでもらおうという趣向であろう。梅田駅や西宮北口駅にもポスターが掲示されて、前々から気になっていた。

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しかし、9月中旬まで猛暑が続いたのは想定外だったか。気温34度の炎天下で屋外の飲食イベントは厳しい。ちょいと様子を覗きに行ったけど、炎天下のテント内でパンを売るスタッフの方があまりに気の毒になり、ちょいちょい買ってしまったことで、また太って帰る羽目になった。考え事をするにあたり、手元にパンがあるとなんとなく落ち着くのである。

パンの人気は西高東低だ。総務省の家計調査では、全国の県庁所在地と政令指定都市でパンにかける支出が多いのは、1位京都市、2位神戸市、3位堺市と関西の都市が表彰台を独占。中でも京都市の支出額は3万8915円と突出しており、全国平均を約9000円も上回っている。さすが粉もの文化のお膝元。パンだって小麦粉製品には違いない。

Pan2

驚くことに関西では「5枚切り」の食パンが売られている―――と書いたら関西の方は気を悪くするだろうか。しかし関東には4枚切りや6枚切りはあっても5枚切りはない。しかも、この5枚切りがいちばん売れるというから二度驚く。しっとり感、もっちり感が味わえて、しかもお買い得という絶妙の厚さということか。このあたりにも関西人のパンへのこだわりが垣間見える。パンひとつ取ってもこの違い。ちなみに関東で売れるあんパンの70%はこしあん、関西では逆に70%が粒あんだそうだ。

ホットドッグにも特徴がある。パンステークス会場の「ホットクロス」というお店で購入したホットドッグには、ソーセージと一緒にカレー味の千切りキャベツが挟まれていた。そういえば、関西の居酒屋で出てくるソーセージにはカレー味のキャベツが添えられていることが珍しくない。関西ではこれが「おかんの味」だと聞いた。そもそもソーセージとカレーは合う。カレーショップのトッピングでソーセージが人気上位にランキングされているのがその証拠。そんなんドイツ人でなくても分かる。

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シャキッとした歯応えのキャベツにジューシーなソーセージ。それらをふんわり包むパンの甘味。三位一体の美味しさがここにある。その中心で三者を繋ぎとめ、調和させているのはピリッと辛いカレーの存在だ。関西の人はあらゆるパンを美味しく食べる工夫に長けている。中川家さんのネタではないが、「明日のパン」というフレーズがおかんの口癖というお土地柄。そういう意味でも「パンステークス」は阪神競馬場に相応しいイベントだった。ただ、暑過ぎた。

 

 

***** 2023/9/19 *****

 

 

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