六甲颪に颯爽と
昨夜、大阪の繁華街は「六甲おろし」の大合唱に包まれた。阪神タイガース18年ぶりのアレに歓喜された方も多かろう。開幕4連勝とスタートを決め、5月に9連勝、8月にも10連勝を記録して後続をぐんぐん突き放すと、最後は11連勝という驚異の末脚で見事1着ゴールを果たした。テン良し、中良し、終い良し。どこにもつけ入る隙がない。武豊騎手が言う通りサイレンススズカの如き強さ。相手のことなどおかまいなしの独走だった。
かつてロッコウオロシという馬がいたのをご存知だろうか。骨折によりレースに走ることはなかったが、凱旋門賞馬ハリケーンランの直子で、おじに愛ナショナルS勝ちのベケットを持つ血統を買われて種牡馬入り。産駒アポロジョージアが新馬を勝つなどしたが、JRAでの勝ち星2勝に留まった。残念ながら成功したとは言い難い。なにせ父ハリケーンランが凱旋門賞を勝った2005年以来ずっと阪神は優勝から遠ざかっていた。ロッコウオロシも肩身が狭かったに違いない。
冬場を中心に六甲山から吹き降ろす六甲おろしは、冷たい冷たい北風だ。これが真冬の阪神競馬場を直撃する。時に突風にもなる。例年、阪神競馬場の桜が周辺より若干遅れて開花するのは、幹の根本に氷を撒いているからではなく、この六甲おろしのせいだとも言われる。
種牡馬ロッコウオロシの産駒にはメデタイガースなんて名前の馬もいた。当初の入厩先は熱心なタイガースファンでも知られる栗東・音無秀孝調教師。しかしJRAでのデビューは叶わず、2017年に門別でデビューするも3戦未勝利のまま登録を抹消された。ちなみに、この年のセ・リーグは広島が2位阪神に10ゲームもの大差を付けて優勝している。決して、めでたくはなかった。
ともあれ音無調教師は今回の阪神優勝に気を良くしているに違いない。日曜「阪神」のローズSには管理馬ソーダズリングを送り込む。その服色はタイガースカラーの黄・黒縦縞。手綱を取るのは一足先に園田でアレを成し遂げたばかりの武豊騎手だ。
***** 2023/9/15 *****
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