枠連誕生60年
今年は競馬法制定100周年。実際に法律が施行されたのは1923年7月だから、まさに今が100周年の節目にある。当時、馬券は1着を当てる単勝式だけだった。さらに1931年になって複勝式が登場。連勝式が始まったのは戦後になってからだ。
数頭の馬を一つの枠でくくる枠番連勝式は、世界に類を見ない日本独自の発明品。当初は4枠制だったが、すぐに6枠単式となり、1963年から現在のような8枠制の連勝複式として定着した。すなわち今年は「枠連誕生60周年」の節目でもある。それを勝手に祝ってやろうと、プロキオンSでは珍しく枠連を買ってみた。そしたらなんと2枠③シャマルが除外である。同枠にはジレトールもいるから、払戻しの対象にはならない。幸か不幸か馬券は外れたが、もし枠連2-3で決まっていたりしたら、釈然としない思いを抱いていたかもしれない。
そういうトラブルを避けるため、かつては単枠指定(シード)制度があった。人気が予想される馬は1頭だけの枠に割り当てることで、出走取消によるトラブルを軽減させようとする工夫である。ただ、それでも同枠取り消し問題の根本解決にはなっていない。単枠指定馬を選定することそのものが、JRAによる予想行為にあたるとの批判もあった。結果、1991年の馬番連勝導入と同時に単枠指定制度もその役目を終えている。
一般的に馬連より枠連の方が配当は低い。これに説明の必要はあるまい。
だが、馬連導入当初はみんな手探り。テスト導入の舞台となった函館開催では枠番の方が馬番より配当がよかったレースが7回あった。とくに2回のゾロ目では、いずれも枠番の方が配当が高かったのである。枠連ではゾロ目は当たりにくいからと敬遠されがちだったが、馬連にゾロ目は存在しない。枠連時代の“癖”が抜けずにゾロ目の投票数が減ったせいであろう。
馬単、3連複、ワイド、3連単、そしてWIN5。馬券と言えば枠連を指した時代が過ぎ去って久しい。馬券売り上げのシェアでも3%前後。すっかり存在感を薄めた感のある枠連に、突如としてスポットが当たった。先週日曜の福島4Rで枠連史上最高配当となる14万9110円の配当が飛び出したのである。
1着 5枠⑨番 ボールドトップ 13番人気
2着 5枠⑩番 ダズリングダンス 10番人気
枠連5-5 149,110円
馬連⑨-⑩ 279,440円
しかし気になるところが2つある。ひとつはまったく同じ組み合わせとなる馬連⑨-⑩は27万9440円もついたこと。枠連を的中して狂喜乱舞した人は、その喜びもつかの間、13万余りを損したことに気付いて怒り狂ったに違いない。
そしてもうひとつは、枠連の配当記録が誕生する鍵は枠順抽選が握っているという点だ。枠連での高額配当はゾロ目の場合がほとんど。となれば、枠順抽選で人気薄同士が同じ枠に入らなければ話にならない。つまり偶然の産物。低評価の馬が下馬評を覆す走りを見せた結果とは言い切れないのである。
ちなみに、これまでの枠連最高配当記録は1970年2月22日小倉2Rで記録された12万3410円。この組み合わせは3-8である。とはいえ8頭立てだったから全馬が単枠指定だったことになる。ちなみに6番人気⇒8番人気の決着だった。それでも12万はつけ過ぎの感があろう。タネを明かせば、オッズ発表がなかったせい。当時はみな手探りで馬券を買っていた。
8頭立てであれば全ての組み合わせを買っても28通りでしかない。オッズを知っていれば、全買いした人も少なからずいただろう。とはいえ、オッズを知っていても、27万の馬連ではなく14万の枠連をわざわざ買ってしまうこともある。枠連も還暦を迎えたというのに、まだ我々はそれを手の内に入れられないでいる。つくづく馬券は難しい。
***** 2023/7/12 *****
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