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2023年7月23日 (日)

70年の時を経て

中京競馬場は1953年7月26日に竣工。翌8月22日に初の競馬開催が行われた。左回りは現在と同じだが、コースは芝でもダートでもなく、なんと「砂」。当時の予想紙は「砂は深く船橋競馬場に近い」と表現している。

開催2日目の8月23日に「中京開設記念」が1800mで行われた。この年の天皇賞(春)を勝ったレダが出走するとあって、猛暑にもかかわらず1万3千人の入場者が詰め掛けたと記録に残る。レースは逃げたキヨストロングをゴール前で強襲したレダがハナ差で勝った。慣れぬ砂コースに苦労したのかもしれない。ともあれその翌年から「中京記念」と名を変えて現在に至る。今日は70周年の中京競馬場で第71回目の中京記念が行われる記念すべき日。第1回の中京開設記念と同じく1万人を超える観衆で大いに賑わっている。

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その観衆が最初に湧いたのは6レースだった。3歳上1勝クラスのダート1800m戦。初ダートの4番人気サーマルソアリングがハナを奪って直線に向くと、さらにその差をぐんぐん広げて2着に2秒2もの大差を付けてゴールした。良馬場の勝ち時計は1分51秒8。今年の中京ダート1800mを51秒台が出たのは、良馬場に限れば先週の名鉄杯と東海Sの2鞍のみ。一線級古馬が出す時計を初ダートの3歳馬が叩き出したのだから凄い。しかもゴール前は手綱を抑える余裕まであった。

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ヴァーミリアンも、カネヒキリも、エスポワールシチーも、ゴールドアリュールも、ブルーコンコルドも、メイショウボーラーも、トランセンドも、芝からキャリアを初めたダートチャンピオンの初ダート戦はみんな疑われた。彼らですら初めてのダート戦では、ことごとく他馬に1番人気を譲っていたのである。そういう意味ではサーマルソアリングも同じ。砂コースでその歴史が始まった中京から、新たな砂の女王が生まれたのかもしれない。

そうは言ってもファンのお目当ては中京記念である。中京記念の歴史は中京競馬場の歴史。今日、中京の歴史にまた新たな1ページが加わる。

中京記念は夏のマイル戦になってから、なぜか4歳馬が一度も連対していない。しかしそれはわずか11回だけのこと。70年の歴史を思えば取るに足らないジンクスであろう。実際レースでは4歳馬セルバーグがまんまと逃げ切ってみせた。今年1月の中京で勝ったときも、開催末期の荒れ馬場だったことを思い出す。その時の勝ち時計が1分32秒9。今日は1分33秒0。つまり今日のような荒れ気味の良馬場が得意なのだろう。

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コース適性の分かれ目は芝とダートだけでなない。パンパンの芝より荒れた芝を得意とする馬もいれば、ダートよりガチの砂を得意とする馬だっているはず。いろんなタイプの馬がいて、いろんなタイプの馬場があり、しかも四季を通じて行われるから日本の競馬は楽しい。暑さを承知でこれだけの人が競馬場に足を運ぶ理由は、それしかないような気がした。

 

 

***** 2023/7/23 *****

 

 

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