荒れてこそ福島
先日のラジオNIKKEI賞は圧倒的1番人気に推されたレーベンスティールが3着に敗れてソコソコの波乱となった。福島で荒れる重賞と言えば七夕賞のイメージが強いが、実はラジオNIKKEI賞もひと筋縄では収まっていない。
2006年にハンデ戦になってから1番人気馬による勝利は2回のみ。単勝2.5倍の支持を集めたフィエールマンでさえ2着に敗れている。単勝1.9倍ならば、と信じた本命党の願い虚しく、レーベンスティールも敗れた。勝ったエルトンバローズとは1キロのハンデ差があったから、もし同斤ならレーベンスティールが勝っていたと言われても否定はできない。秘める能力とハンデが一致するとは限らない3歳戦でハンデ戦を行なえば、こうなることは分かり切っていた。
ともあれ、これでラジオNIKKEI賞における1番人気馬の連敗記録は「7」に伸びたことになる。
今週のメインレースは、元祖荒れる重賞の七夕賞。開催2週目に固定されてからは、荒れ馬場に苦しむ本命馬が少なくなり、比較的平穏な決着も目立つようになったが、難解なレースを好む福島のファンは、こうした傾向をあまり歓迎してはいまい。2004年まで続いた「1番人気馬26連敗」こそが七夕賞のアイデンティティー。それでも的中させてしまうあたりが、福島のファンの凄さなのである。
重賞になる前にはアングロアラブのセイユウがサラブレッドの古馬を相手に楽勝したこともあった七夕賞が、重賞に格上げされたのは1965年のこと。1番人気26連敗の大記録は1979年のファーストアモンに始まった。皐月賞馬ハワイアンイメージが辛酸を舐め、単勝1.7倍のトウカイタローも馬群に沈んでいる。3歳時のラジオたんぱ賞(現・ラジオNIKKEI賞)勝ちの実績を買われたタカラフラッシュも、ハナ差まで迫ったがやはり勝てなかった。理由などない。それがジンクスたる所以であろう。
2005年にようやくダイワレイダースが1番人気の呪縛をほどくと、09年ミヤビランベリ、13年マイネルラクリマ、17年ゼーヴィントと1番人気の勝利は珍しいものではなくなった。しかし18年からは再び連敗が続いて、昨年時点で「5」まで数字を伸ばしている。さて、今年はどうなるか。
重賞での1番人気26連敗の記録を破るとすれば、それは七夕賞かラジオNIKKEI賞をおいて他にない―――。そう信じて疑わぬ私とすれば、どの馬が1番人気に推されるかどうかが気になるところだ。普通に考えればフェーングロッテンだろうが、58キロが嫌われる可能性もある。先行できるセイウンハーデスや3連勝中のテーオーソラネルも候補の一頭。ただ、どの馬も人気をあまり歓迎はしないだろう。ハンデ以外に余計なモノを背負合わされてはたまらない。
まさか……エヒトではあるまいな……。私は密かに2008-09年のミヤビランベリ以来となる連覇達成を期待するクチである。
***** 2023/7/4 *****
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