オーナーの色
新潟開催開幕日の最終レースは直線1000mの名物コースを使った1勝クラスの一戦。そこにミルファームが5頭を送り込んできた。
これがいわゆる「夏のミルファーム祭りなのか?」と問われればさにあらず。5頭程度では「祭り」とは呼べまい。なにせ、2020年の新潟開幕週の直線1000mに大挙12頭を出走させたオーナーである。これがJRAでの同一馬主による最多出走記録。「白、赤格子、赤袖」の服色の身に纏った12組の人馬がずらっと横に広がって攻防を繰り広げたレースは、今思い出しても壮観のひと言だった。
かようにミルファームと言えば新潟1000mと言えるほどそのイメージは強く結びついているわけだが、実際に同コースにおける出走頭数、勝利回数ともトップの数字を誇っている。昨年は同コースで2勝。今年の春開催でも1勝をマーク。なによりオーナーとして初めての重賞タイトルが昨年のアイビスサマーダッシュだった。このレースへの思い入れは特別なものがあるに違いない。明日のアイビスサマーダッシュには6歳牝馬のトキメキで挑む。
「メジロ」と聞けばステイヤーの印象が強いし、短距離やマイルのレースでは「タイキ」の勝負服を買いたくなったもの。小倉の新馬には「テイエム」の勝負服が溢れがちで、「マイネル」は2歳戦に強く、「サクラ」は雨に弱い。「セイウン」や「ニシノ」の西山オーナーの所有馬はしばしば大穴を空ける―――。
馬の個性は一頭一頭異なるはずのに服色ごとに特定の印象が定まるのは、あながちおかしな話ではない。血統には馬主の嗜好が現れるもの。育成方法にもオーナーの考えが一定程度反映されるはずだ。そもそも預託厩舎を決める段階で、ある程度の色に染まっているとも言える。
先日の習志野きらっとスプリントをキモンルビーで勝った「ドクター・コパ」こと小林祥晃オーナーの色は、ずばり「船橋の短距離」。創設13年の習志野きらっとスプリントを5勝は凄い。キモンルビーにしても船橋の1200m以下に限れば(10,4,0,0)のスペシャリスト。ミルファームの「新潟1000m」と並び、注意すべき服色であろう。
もちろんこうした印象は単なる思い込みということもある。タイキエルドラドは2500mのアルゼンチン共和国杯を勝っているし、サクラチトセオーも雨のAJC杯を勝った。アイビスサマーダッシュの初代チャンピオンがメジロダーリングであることも忘れてはならない。しかし服色に個性を見い出すことが思わぬ大穴に繋がることもある。今年の夏の新潟で最初に行われる3歳未勝利戦は8月13日の7レース。はたして今年も「ミルファーム祭り」になるのか。楽しみに待ちたい。
***** 2023/7/29 *****
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