隣同士あーなーたーと、あたし
さくらんぼ、の話。
二日連続で福島のハンデ戦の話になってしまい恐縮だが、とある調べものをしていて1994年7月10日福島10R・さくらんぼSの成績が目に留まった。
当時、夏の福島開催では2歳競馬は行われておらず、番組も「3歳」と「4歳上」に分かれていた。つまり夏の福島でも3歳馬はまだ同世代を相手に走っていたのである。さくらんぼSは3歳限定で行われる2勝クラスの条件戦。芝2000mのハンデキャップで行われていた。
この年の優勝馬はウインドフィールズだったが、注目すべきは着差にある。勝ち馬としんがり13着とのタイム差が0.8秒しかない。まばたきする間に全馬がゴールインを果たしたことになる。しかも1~5着馬はコンマ1秒以内にごった返した。ちなみに各馬に課された斤量は、下は50キロから上は55キロ。まさにハンデキャップの妙。そのゴール前の密集は、まさに鈴なりのサクランボを彷彿とさせたに違いない。
勝ったウインドフィールズは秋にセントライト記念を勝ち、5着のラグビーカイザーはそのセントライト記念で2着に入ることになる。その2頭の馬連は150倍もついた。さくらんぼSをしっかり観ていれば取れた馬券かもしれない。さらに、9着はのちに重賞を3勝もするカネツクロス。しんがり負けのシルクグレイッシュも半年後に福島記念を勝つ。しんがり負けとはいえ、勝ち馬からコンマ8秒しか離されていないと思えば、さほど驚くべき結果でもない。
さくらんぼSは今では「さくらんぼ特別」として夏の福島の2日目に行われているが、今年からダート1150mに条件が変更されて少しばかり驚いた。
さくらんぼ賞、さくらんぼS、さくらんぼ特別。微妙に名前は変わっていはいるが、実は半世紀以上の歴史を誇るレース。一介の2勝クラス条件戦でありながら、過去の優勝馬にマチカネフクキタルやセイウンコウセイといったGⅠホースが名を連ねるのは、その伝統があればこそであろう。そう思うと、ダート短距離戦への条件変更は少しばかり寂しい。
日曜は福島駅でサクランボを買って帰った。しかし包装には山形県東根市産とある。山形県はサクランボの生産量全国一位。そのシェアはなんと7割を超える。福島県はというと全国6位。生産量は山形県の3%にも満たない。その割に我々は福島県にサクランボのイメージを抱き過ぎの印象もある。さくらんぼ賞のダート変更は、そんなことを危惧したJRAの忖度ではあるまいな。山形産であれ、福島産であれ、同じ東北のサクランボ。どちらも美味しいことに違いはない。
***** 2023/7/5 *****
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