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2023年7月 3日 (月)

同じ勝負服対決の決着は

昨日の福島5レースは芝1800mの新馬戦。16頭が周回するパドックには真夏の日差しが容赦なく降り注いでいる。ミスト装置はフル稼働。しかし、パドックが半屋内で風通しの悪い福島のパドックに大量のミスト噴射は逆効果ではあるまいか。とにかく蒸し暑さいことこの上ない。

「止ま~れぇ」の号令が響き渡って、カラフルな勝負服を纏ったジョッキーたちが駆け出した。社台レースホースの縦縞の勝負服が2人。G1レーシングの黒、赤襷の勝負服も2人。つまり2頭出しである。

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誰もが目標とすべきレース、つまりGⅠレースや重賞において同一馬主の複数頭出しは躊躇なく行われる。出れるなら出るにこしたことはない。しかし、新馬戦や未勝利戦でとなると、その頻度は少なくなる傾向にある。どのレースであれ勝ち上がれるのは1頭のみ。ならば、わざわざ仲間内で星を潰し合うこともない。

それでも、2020年7月25日の新潟1レースでミルファームが12頭出しの記録を作った。勝利への執念の現れであろう。しかしミルファームのようにリアルな同一馬主ならともかく、クラブとなると多少話は違ってくる。同じ服色であっても、実際の出資者は違う可能性が高い。それでも勝ち上がることができるのは1頭のみ。ゆえに昨今では下級条件ではレースを上手く使い分けることが、クラブの成績を上げるひとつのポイントになっている。

果たせるかな、レースは私の懸念を絵に描いたような結末に終わった。

2番手から先に抜け出した社台レースホースのティンクめがけて、内ラチ沿いから同じ勝負服のトレミニョンが襲い掛かる。完全に馬体を並べての勝負は頸の上げ下げ。写真判定の結果、ゴールの瞬間には内のトレミニョンがハナだけ前に出ていた。

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負けたティンクの出資会員さんは悔しい。なにせ負けた相手は同じ勝負服である。クラブとして1勝ぶんを損したという考え方をする会員さんがいても不思議ではない。その煽りを自身の出資馬が被ったと思えば、やはり釈然とはしないだろう。

もともとティンクは東京最終週のデビューを予定していたが、敢えて1週延ばした経緯がある。その東京戦には同じ社台レースホースのミラキュラスドラマが出走していた。だからというわけではなかろうが、わざわざ1週待って同じ勝負服相手にハナ負けは切ない。馬主サイドとすれば差が差だけに、できることなら同着になってほしかったというのが本音ではあるまいか。

ともあれ、ティンクは再び初勝利を賭けて未勝利戦を戦わなくてはならない。除外のリスクもある。むろん勝てる保証だってない。

私がここまで気にするのは、ラジオNIKKEI賞でレーベンスティールが敗れる姿を目の当たりにしたからであろう。デビュー戦でソールオリエンスと接戦を演じたとはいえ、そこからソールオリエンスと同じ位置にまで追い付くのは簡単ではない。能力は誰もが認めるところ。しかし賞金加算にも失敗し、ソールオリエンスと同じ舞台に立てる日は一気に遠のいた。

競馬は必ずしも能力が結果に現れるのではなく、運にも恵まれる必要がある。その運をわざわざ手放すようなことをするのが得策とはどうしても思えない。ウマの一生、ひいては血の継承にまで懸念が及ぶ問題だと思うがゆえである。

昨日の新馬戦は除外の可能性があったから、100パーセント2頭出しになると思って出馬投票したわけでないことは分かっている。仕方ないと思うことにしよう。ティンクはこの福島開催での未勝利戦脱出を視野に入れているとのこと。注目したい。

 

 

***** 2023/7/3 *****

 

 

 

 

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