鉄路にて
独り暮らしをしている父に会うため川崎市の自宅から電車に揺られて春日部に向かった。田園都市線、半蔵門線、東武線で片道1時間半。ありがたいことに乗り換えの必要がないので、一度乗りさえすれば座っているたけで着く。しかしジッとしているというのも苦痛であることに変わりはない。だから以前は敢えて乗り換えが発生するルートを選んだりもした。
しかし最近は違う。新横浜〜新大阪間の移動が日常になったからかもしれない。たから大阪から中京競馬場へにも在来線を使う。二度の乗り換えを経て片道4時間。先日は片道5時間かけて松山へ行ったりもした。それを思えば春日部までの90分なんてあっと言う間ではないか。
中京なら新幹線、松山なら飛行機を使う方が早くて便利。それは分かっている。しかしそれでは「遠さ」を実感することができない。わさわさ遠くまで行くのなら、その遠さを実感することも旅の醍醐味。本来の「旅」の旅の本質は目的地の観光ばかりではなく、むしろその道中にこそあったはず。ガタンゴトンという列車の揺れを合わせてゆっくり流れる車窓を眺めていると、ふとそんな本質を感じたりする。
今日の中京メインは「名鉄杯」だった。
レース前に流れるファンファーレが名鉄電車の「ミュージックホーン」をアレンジした楽曲であることですっかり知られるようになった。しかも名鉄ブラスバンド部の皆さんによる生演奏。重賞レース以外でファンファーレの生演奏というのは極めて珍しく、テレビ中継で時間の都合などでファンファーレの映像が流れなかったりすると、視聴者から苦情が来るらしい。コロナ禍で生演奏は永らく中断していたが、今年は4年ぶりに復活。演奏後はスタンドから大きな拍手が送られた。
しかし名鉄の皆さんが暑い中頑張ってくれているのに、名鉄杯がリステッドというのはいかがなものか。ちなみに他の鉄道系社杯レースを見ると、京王はGⅡをふたつ、京成がGⅢをふたつと南関東SⅡをひとつ、阪急がGⅢをひとつ、京阪がGⅢをひとつ、京急が南関東SⅡをひとつ持っている。つまり社杯を提供していながら、そのレースが重賞でないのは名鉄だけなのだ。
名鉄杯はそもそもレース条件に一貫性がない。コースはダート1400m、1800m、芝1800,2000m、2200m、条件も2勝クラス、3勝クラス、オープン、リステッド、そして施行時期も1月、3月、7月と目まぐるしく変わってきた。ご協力いただいている名鉄さんにも失礼であろう。先週行われたプロキオンS(GⅢ)を「名鉄杯(GⅢ)」とするわけにはいかないのだろうか。受験生の合格を願い運行時の滑り止め用の砂を配布するイベントを行っている名鉄さんである。砂との縁はなくもない。
***** 2023/7/16 *****
| 固定リンク
「競馬」カテゴリの記事
- 20年目の引っ越し(2024.01.01)
- 2023年の大トリ(2023.12.31)
- アンカツルールの20年(2023.12.29)
最近のコメント