笹川翼騎手1700勝
昨日の船橋1レースをイロハニオエが勝ち、騎乗していた笹川翼騎手は地方通算1700勝目をマークした。
1994年7月17日生まれ、新潟県出身の29歳。2013年4月にデビューすると、いきなり43勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を受賞した。地方競馬教養センターの同期は石川倭、井上幹太、瀧川寿希也、木之前葵といった面々。若手ながら各地でリーディングを争う腕達者が揃ことから、地方競馬教養センターではこの世代を「華の91期生」と呼んだりもする。
2013年4月7日からわずか10年余りでの1700勝到達は、大井所属ジョッキーとしては御神本訓史騎手やJRAに移籍した戸崎圭太騎手をも上回る。今日の船橋終了時点で今年161勝。これは年間280勝を超えるペースで、数字の面ではキャリアハイの一年になる可能性が高い。このまま無事にいけば来年にも2000勝に届くはずだ。
勝率では御神本騎手や戸崎騎手に及ばないのに、その二人を上回るペースで勝ち星を積み重ねることができているのは、長い休みがなかったせいであろう。怪我なく乗り続けることも騎手の資質のひとつ。ただし2016年、彼は1か月間ほど南関東での騎乗を休んだことがある。
怪我ではない。フランスで開業する小林智調教師のもとで現地の競馬に触れるチャンスを得た。ちょうどマカヒキの遠征と重なったことから、ニエル賞と凱旋門賞も現地で観戦したという。もちろんレースにも騎乗。勝利には至らなかったが、直線1600mや3000mの長距離レースは、JRA騎手でもなかなか経験できることではない。
本人によれば、フランスの競馬に乗ってみて、自分の技術がまったく通用しないことを痛感したそうだ。若手ながら南関東では上位の成績にランクされていたから、ある程度の自信を持って渡仏したのであろう。それが世界ではまったく通用しなかった。そういうことを身をもって知ることができただけでも、本人にとっては大きな経験に違いない。その後、私の馬などにも乗ってもらう機会があったが、以前にも増して周りが見えている印象を受ける。それでも勝てなかったのは、きっと彼のせいではない。馬が弱いのである。
彼の祖父・此村与志松氏は、かつての新潟県営競馬で騎手をしていた。 胴黄に赤という笹川騎手の勝負服の配色は、此村氏の服色に由来する。騎手引退後にはシンボリ牧場で育成調教に携わり、あのシンボリルドルフの調教パートナーを務めた人物。岡部幸雄騎手、野平祐二調教師、そして此村与志松氏。全盛期のシンボリルドルフに跨ることができた人間は、そう多くない。
1700勝を達成した昨日の船橋1レースを勝ったイロハニオエの祖母は2001年のマーメイドSを勝ったタイキポーラ。その父の父はシンボリルドルフだ。
***** 2023/7/26 *****
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