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2023年6月 4日 (日)

ディープインパクトと子と孫と

安田記念を前にした東京競馬場スタンドはもの凄い観衆で埋め尽くされた。あとで聞いたら、ダービーには及ばないまでも、オークスをはるかに上回る64638人が入っていたという。

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だが10レースまではそこそこ空いていたのてある。レストランや売店の行列は土曜並み。馬券を買うために並ぶこともなかった。座席にも空席が目立つ。その原因を私は先週のダービーの影響と睨んだ。つまりベテランは燃え尽き、ライトファンは事故に怯えたのである。カレンダー的にはダービーが終われば夏競馬。ここらでひと息入れる頃合いであろう。

ところが、安田記念の出走各馬の馬場入りが始まると、スタンドは瞬く間に人で埋まった。この人たちはいったいどこにいたのか?

それはパドック。間近でソダシを見たい。メイケイエールの写真も撮りたい。写真集が発売されているアイドル2頭をひと目観たいというファンは開門と同時にパドックに陣取り、安田記念まで地蔵と化していたというわけ。その熱意には畏敬の念を禁じ得ない。

そんな向きには厳しい安田記念になってしまったかもしれない。レースする4番人気ソングラインが馬場の中央から堂々と突き抜けて優勝。GⅠ3勝目をマークした。

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ヴィクトリアマイルに続くGⅠ連勝も、安田記念の2連覇も、いずれもウオッカ以来の快挙。特にヴィクトリアマイルからの連勝はアパパネも、アーモンドアイも、グランアレグリアですら果たせなかったのだから凄い。それをGⅠホース10頭が顔を揃えた豪華メンバー相手に達成したのだから、なおさら価値がある。

ソングラインの父はディープインパクト直子のキズナだ。キズナは2013年仏ニエル賞を勝っているが、そのレースで2着に敗れたルーラーオブザワールドの手綱を取っていたのはR・ムーア騎手であり、管理していたのはA・オブライエン調教師である。そのコンビがエプソムダービーをオーギュストロダンで勝った。世界に12頭しかいないディープインパクト最後の産駒が世界最高峰のダービーを勝つなんて奇跡的ではあるが、ディープインパクトならさもありなんという気がしてならない。

ともあれオーギュストロダンのダービー制覇でディープインパクト産駒は13年連続でGⅠ制覇を果たした。初勝利は2011年桜花賞のマルセリーナだが、牡馬の初勝利は同年6月、リアルインパクトが勝った安田記念である。その手綱を取ったのは当時は大井所属だった戸崎圭太騎手だった。あれから12年。今度はJRA騎手として、そしてディープインパクトの孫の手綱を取って、再び安田記念を勝ったのだから感慨もひとしおに違いない。

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ディープインパクトの話を書こうとすると、自然と海外の話題にも触れることになりがち。それだけディープインパクトが世界的存在であることの証であろう。キズナもリアルインパクトも海外で存在感を示した。ソングラインも秋には米国遠征が予定されているという。得意の左回り。偉大な祖父や父に並ぶ活躍を期待しよう。ソダシやメイケイエール推しの皆さんも、ブリーダーズカップで世界を相手に戦うソングラインをぜひとも応援してほしい。

 

 

***** 2023/6/4 *****

 

 

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