初めての安土城S
朝から京都を歩いた。
インバウンドが復活して以前のような勝手気ままな街歩きは難しくなっている。京阪沿線で言うと伏見稲荷、祇園、蹴上界隈は絶望的な人だかり。そのほかのエリアでも日曜の昼間は満足に歩くこともできない。なので、早朝のマイナーエリアに狙いを定めて歩いている。その散歩の最後に藤森神社を訪れた。
名物の紫陽花の見頃はまだ先。ついでがあったわけでもない。しかし今日は泣く子も黙るダービーデー。「馬の社」を謳う藤森神社を参拝するのはむしろ自然の行動であろう。かつてはダービー当日の朝に大国魂神社に参拝することを年に一度のルーティンとしていたが、京都ならここであろう。幸い紫陽花もチラホラ咲いている。
むろん競馬の神様に祈るのは己の馬券的中などではない。それはダービーに出走18頭と18人の無事。私は基本的に神仏に頼ることはしないが、自分の力でどうにもならないことについては遠慮なく神仏にすがることにしている。ちなみにこちらの神社にはご覧のような自販機も。商品を買うと馬のいななきが聞こえる。それを知らない外国人がひとしきり驚いていた。ここは馬の神社なのですよ。
参拝を終えて淀へ移動。関西に来て3度目のダービーデーだが、当日に京都で開催があるのはこれが初めて。「裏有馬」「裏JC」はすでに経験済だが、「裏ダービー」の経験はない。それにしても安土城Sや白百合Sをナマで観る日が来るとは思わなかった。そもそも安土城Sは中継でも観たことがない。なにせ安土城Sは15時15分の発走。東京はダービー出走各馬がパドック周回中で、ぼちぼち騎乗命令がかかる頃合いである。そんなタイミングで他場の中継など観ている余裕はない。
人気はソダシの妹・ママコチャ。マイル重賞で2戦続けて人気を裏切った格好の馬が1400mでどうかと思ったら驚くほどの圧勝だった。抑えきれない手応えで最終コーナーを回ると、直線に向いて早々と先頭。そのまま一気に後続を3馬身も突き放した。勝ち時計も1分19秒0と速い。過去に同じ時計でここを勝ったウリウリは、その勢いのままCBC賞を制した。同じ勝負服のママコチャにも溢れるスプリント能力が秘められているに違いない。
そのままターフビジョンでダービーも観戦。京都でもファンファーレの手拍子が東京と同じように沸き上がることに驚かされた。ドゥラエレーデの落馬による悲鳴で始まったレースは、直線に向いてスタンドの絶叫がピークを迎える。タスティエーラが抜け出した。内で粘るベラジオオペラ。馬群をこじ開けるソールオリエンス。でも先頭には届きそうもない。タスティエーラが勝った。どよめきが上がる。無敗の2冠は消滅。テン乗りが勝ったぞ。3着はなんだ? スローを見てまたどよめく。
スキルヴィングのことを知ったのはずいぶん後になってからだった。ターフビジョンはそこまで映してくれない。悲劇は場所と相手を選ばないものだが、よりによってダービーで有力馬にこんなことをするなんて、競馬の神様もずいぶんひどいことをなさる。私の午前の行動が逆にいけなかったのか。そんなことを考えないでもない。初めての京都でのダービー観戦は微妙な記憶を私の脳裏に刻み付けてしまった。誰もが期待するような結果が出るはずもないのが競馬。多くのファンはそれを分かっている。急性心不全を発症しながらルメール騎手を落とさなかった彼に敬意を表したい。
***** 2023/5/28 *****
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