東京の大阪うどん
先週月曜日に田町に行ったので、駅近くのうどん店「むねひろ」に立ち寄ってみた。東京には珍しい浪速かすうどんを謳う一軒。かすうどんについてはこのブログでも何度も紹介しているし、先週の「ケンミンショー」でも取り上げられていたから知る人も多いと思うが、敢えておさらいさせていただく。
「かす」の正式名称は「油かす」。大阪の南河内地方で古くから食されていた郷土料理で、実際には牛の腸を時間をかけて、じっくり揚げたもの。揚げることで余分な油が抜け、肉の旨味が凝縮される。これが透明な関西風のうどんダシに見事にマッチする。残念ながら関東の黒いツユには合わない。これがかすうどんを関西ローカルに押し留める大きな理由のひとつであろう。
「かす」という呼び名でありながら、実は牛一頭から2キロほどしか取れない希少部位。そのため印象の割に意外と値が張る。しかし、大阪の人たちはかすを入れたダシこそ日本一と言って憚らない。ちなみにこちらの「むねひろ」の店名は鈴木紗理奈さんの本名に由来する。店内には「めちゃイケ」を連想させる貼り紙などもあって楽しい。
翌火曜日は川崎へ。昼メシに選んだのはラゾーナ川崎内に店舗を構える「釜たけうどん・めっせ熊」。いずれも大阪で行列ができる「釜たけうどん」と、お好み焼きの「めっせ熊」がここ川崎で融合した。この一軒で大阪の粉もん文化を思う存分味わうことができる。
「釜たけうどん」の代名詞がこの「ちく玉天ぶっかけ。「大阪讃岐うどん」ブームの火付け役となった一杯でもある。幅7ミリはあろうかという極太麺は弾力に富んでいながら、噛み応え抜群。この食感こそが「釜たけ」の醍醐味だ。この太さゆえ茹で時間は20分を超える。しかし行列の絶えない店で客を10分以上も待たせるわけにはいかない。たどりついたのは客の有無にかかわらず、数人分ずつをゆで続ける手法。もし客足が途切れると麺は無駄になるが、そうはならないところがこの店の凄さ。こうすることで角が半透明になる絶妙のタイミングで提供することができる。
大阪に住んでいながら、東京に行ってわざわざ大阪名物を食べたというのもおかしな話。でもそれが食べたかったのだから仕方ない。結局は旨いものを食べたいという単純な欲求が勝ったということだ。
***** 2023/5/31 *****
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