梅のチカラ
時間が空いたので、梅を観に城南宮へ出かけた。知る人ぞ知る「流鏑馬」発祥の地。馬と無縁なわけでもない。
150本の枝垂れ梅は圧巻のひと言。薄紅と白色の花をまとった枝が風に揺れると、春の訪れを実感する。桜に感動することはあっても、梅に感動するのは初めてかもしれない。それだけ齢を取ったということだ。
梅と言えば、梅を原料にした競走馬向けのサプリメント「Vitav(バイタブ)」を開発した企業が紀伊民報で紹介されていた。なんでもウマの健康維持や食欲増進に効果があるらしい。開発したのは和歌山県みなべ町の「紀州ほそ川飼料」。実はこちらの会社、先週のマーガレットSにも出走したウメムスビ(父・ファインニードル)を所有する法人馬主でもある。
もちろんウメムスビにもVitavが投与されている。馬によっては固形サプリは投与が難しい場合もあり、飼い葉に混ぜてもそれだけ残したりするが、こちらのサプリに関しては馬の嗜好性が高いという。「元気で毛ツヤが良い」「液体で与えやすく、経口投与できるのも手間が少ない」というのは、同社のホームページの宣伝文句だが、まあ我々人間からしてもドリンクの方がありがたいですものね。
記事では触れられていなかったが、こちらの会社では20年以上前から家畜飼料への梅酢活用を研究しており、地道に成果を挙げていた。「紀州南高梅」で知られる和歌山県みなべ町の梅干し生産量は、国内の4分の1を占めるが、梅干し生産の過程でできる梅酢は産業廃棄物扱いで、その処理に頭を痛めていたという。
そんなとき先代社長が「梅酢を飲ませた鶏は夏バテしない」との言い伝えを思い出し、梅酢エキスを加工して養鶏業者に頼んで餌に混ぜたところ、鶏の健康状態が良くなった。鶏たちは元気よく走り回り、足もたくましく発達し、単価の高いもも肉が多くとれるようになったという。乗馬クラブの馬にも提供して一定の効果は確認されていた。競走馬用にこぎつけるまで時間がかかったのは、いわゆるドーピング問題の壁であろう。もちろん今回の商品は競走馬理化学研究所のお墨付きを得ている。
同社の社長は「日本の馬が強くなることに貢献したい。能力がありながら開花できていない馬を減らしたい」と将来展望を語るが、もちろん愛馬の活躍も期待せぬはずがない。マーガレットSでは8着に敗れはしたが、昨年秋のカンナSはスタートセンスの良さとスピードを生かす堂々とした競馬ぶりで楽勝だった。梅パワーの効果に注目しよう。
***** 2023/3/2 *****
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