« 3強時代 | トップページ | 【訃報】ハーツクライ »

2023年3月 9日 (木)

値上げの春

来月から「週刊競馬ブック」が750円から820円に値上げされる。「週刊Gallop」も800円から950円に値上げだそうだ。Gallop誌は昨年4月にも50円の値上げに踏み切ったばかり。とはいえ短期間での再値上げは、今や珍しい出来事ではない。むしろ注目は「Gallopが千円になる日はいつか?」であろう。

Zasshi

4月からはJR西日本を始め、阪急電鉄、京阪電鉄が運賃を値上げする。競馬場の競馬場の入場料は1975年から200円(ローカル5場は100円)のまま半世紀近く据え置かれているが、専門誌や電車賃といった競馬に付随する料金の値上げは、ファンにしてみれば入場料値上げとさほど変わりはない。ケンタッキーフライドチキンやモスバーバーも値上げを予告。場内レストランの価格も少しずつではあるが確実に上がっている。

競馬では賞金も値上げが続いている。大阪城Sの1着賞金が2800万円であると知って驚いた。重賞とさほど変わらない。「準重賞」とはよく言ったものだ。ジャパンカップと有馬記念の1着賞金も1億増えて5億円になる。それ以外のレースでも軒並み増額。種付け料も、飼い葉代も、輸送費も、もちろん人件費だって値上げの昨今、経費に対する収入である本賞金の値上げは一概に悪いこととは言えない。

もともと競馬はオーナーが登録料を出し合い、それを賞金とする形で始まったとされる。いわゆる「ステークス」だ。この形は馬券が発売されるようになると衰退し、主催者が用意する賞金が主力になる。これは「本賞金」と呼ばれる。

しかし現在でも重賞を含めた特別レースには特別登録料を必要とする。その総額は、7:2:1の割合で上位3着までの馬に返還される。これが「付加賞」である。JRAが賞金として認めるのは本賞金と付加賞だけ。付加賞という言葉はいかにも軽く響くが、それが本賞金以上に重みを持っていた時代もあった。

例えば第1回の日本ダービーの1着本賞金は1万円だが、付加賞は1万3530円と記録に残る。当時の馬主は、各人が本賞金の2%にも相当する200円を負担していたことになる。

本賞金と付加賞が逆転を見たのは戦後になってから。その後、両者の差は開くばかり。1990年のダービーでは1着本賞金と1着付加賞の差はついに1億円を超えた。うなぎ登りの本賞金に対し1万円にほぼ固定されていたダービーの登録料が一気に30万円にまで値上げされたのは1992年、ミホノブルボンが勝ったダービー以降である。

ダービーの1着賞金は今年から1億増えて3億円になる。30万円に値上げされたとはいえ登録料は本賞金の0.1%に過ぎない。この点に関して言えば、現在の馬主は昔に比べると、ローリスク&ハイリターンの恩恵に預かっていると言えよう。

 

 

***** 2023/3/9 *****

 

 

|

« 3強時代 | トップページ | 【訃報】ハーツクライ »

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 3強時代 | トップページ | 【訃報】ハーツクライ »