TKGの苦悩
丸亀製麺では、今日から「卵を使う商品が品切れになる可能性がある」とアナウンスしている。理由は猛威を振るう鳥インフルエンザに伴う供給不足。当然、価格も高騰している。物価の優等生ともてはやされたのは昔の話。そこにロシアのウクライナ侵攻に伴う飼料の高騰が追い打ちをかけた。そう聞くと玉子が食べたくなるのが小市民。こちらは大阪扇町のうどん店「今雪」のランチセット。玉子の天ぷらトッピングに加え卵かけご飯がオマケで付いてくる。高いと思うと、いつもよりもおいしく感じられるから不思議だ。
7~8年前の話になってしまうが、千葉ゼリの会場で玉子を頂いたことがある。玉子というのはタマゴである。ふつうの生卵。セリのお土産に筆記用具やクリアケースをもらうことはあるけど、たまごというのは珍しい。
配っていたのは船橋の川島厩舎。セリで馬をお買いなられたら、ぜひウチに―――。そういうことであろう。玉子のほかにも巻き寿司の折詰や箱ティッシュ、タオルなどたくさん頂いてしまった。その時はいたく恐縮した覚えがあるけど、私の愛馬がたまたま川島厩舎にお世話になっていたことを思えば、まあそれくらい貰ってもイイか。
―――と、ここまで読んでお気付きだろうか。「たまご」「タマゴ」「玉子」「卵」。実に色々な表記がある。特に問題となるのは「玉子」と「卵」の使い分けであろう。産みたてのタマゴはたいてい「卵」と書かれる。タマゴかけご飯も、「卵かけご飯」が優勢だ。
ところが「たまごやき」となると「玉子焼き」がメジャーだし、「たまごどんぶり」も「玉子丼」となりがち。ということはナマなら「卵」で、火が通ったら「玉子」なのか。実はそうとも言い切れない。スーパーのチラシには「玉子」が特売されているし、NHKでは「卵焼き」などというテロップが使われたりする。だからと言って「タマゴ」に逃げれば、カタカナ表記乱用との誹りを免れない。たまご好きの苦悩は募る。
私の感覚では「卵」という漢字には、リアルな生々しさが感じられる。「蛙の卵」とは書いても「蛙の玉子」とは書くまい。
「玉子」という表記は江戸時代にはすでに広まっていたそうだ。生々しさを軽減させ、可愛らしささえ漂う絶妙な表記。肉食が忌み嫌われていたとしても、これなら罪悪感が薄らぐ。表記の揺れは日本人の感性が豊かであることの裏返し。そういえばタマゴカケゴハンという馬がいましたね。いま思えば希少なビワシンセイキの産駒だったが、残念ながら勝利を挙げるには至らなかった。きっと自分の名前が「卵」なのか「玉子」なのかで悩んしまい、競馬どころではなかったのであろう。
***** 2023/3/7 *****
| 固定リンク
「競馬」カテゴリの記事
- ディープインパクトと子と孫と(2023.06.04)
- 西に輝く一番星(2023.06.03)
- 岐阜羽島探訪記(2023.06.02)
コメント