そして第二章へ
休日だというのにいつも朝メシを食べる喫茶店に客がいない。商店街もガラガラ。それもそのはず、朝8時からWBCの準決勝が行われている。私とて興味がないわけではないが、朝メシには代えられない。
コーヒーを飲みつつ考えた。ということは他の店も今ならガラ空きではあるまいか。それならと難波まで散髪に行ってみたら、案の定ガラガラだった。それに気をよくして道頓堀のうどん店「いなの路」へ。いつもは行列で諦めてしまうのだが、休日の昼前だというのに行列が見えない。スッと入って肉うどんとご飯を注文した。
かつて「なんばグランド花月」のすぐそばに暖簾を掲げ、半世紀以上も吉本芸人やスタッフに愛された「信濃そば」が突然閉店したのは5年前のこと。とくにダウンタウン浜田雅功さんのお気に入りとして知られ、名物の肉うどんはテレビ番組のロケなどで幾度となく紹介された幻の名店だった。
しかし昨年、先代の義理の息子が新店主となり、「信濃そば」の味を再現させることに成功。「いなの路」として店を再開させた。「信濃そば」を知らぬ私にとって、この肉うどんはもちろん初めて。鰹と昆布のうま味がたっぷりで、そこに肉の甘い脂身がたっぷり溶け出したダシはたしかに癖になりそう。復活を聞いてやってきた浜田雅功さんが「これ、これ、これ」と唸った気持ちも分かる。店主によればこの肉うどんの味を再現させるのに4年の年月が必要だったのだそうだ。麺はふんわりやわらかで、ダシをたっぷり吸っている。まさに大阪うどんの王道。むろんダシをご飯にかけても美味しい。「信濃そば」と肉うどんファンの物語は、「いなの路」に舞台を移して第二章が始まった。
店を出て5分ほど歩くと「DASH心斎橋」の看板が目に飛び込んできた。園田・姫路の場外馬券売り場だが、他の地方競馬場の馬券も売っている。今日は姫路以外に浦和、笠松、高知を併売。その浦和の出走表を眺めていたら、なんと「真島大輔」の名を見つけた。
真島騎手は先日の調教師免許試験に合格。昨年12月31日を最後に騎乗を控えていたが、今日の浦和11レース・春光特別が今年初騎乗となる。騎乗馬ルヴァンはまったくの人気薄だが買わなければなるまい。なにせ真島騎手が騎乗するのは今月限り。大阪に住む身としては、彼の騎乗馬の馬券を買う、これが最後のチャンスになるかもしれない。調教師に活躍の舞台を移しての第二章に期待を寄せつつ、騎手・真島大輔のラストダンスを見守ろう。WBCに挑む侍ジャパンのストーリーは第三章がいよいよ大詰め。こちらの物語の行く末も、熱くも冷静な眼で見守りたい。
***** 2023/3/21 *****
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