常識を超えてゆけ
いやあ、年甲斐もなくテレビ画面に食い入ってしまいましたよ。あの時間帯、ABC朝日放送の視聴率は跳ね上がったのではあるまいか。まさかの展開の連続にトイレに立つこともままならない。その番組というのはこちら。
昨夜放映された「千鳥の相席食堂」です。
WBCと聞いてJBCの世界版か?とボケをカマすような私でも、もちろん今日のWBCの決勝は観た。でも、それより楽しみにしていたのが昨夜の相席食堂。あのクリストフ・ルメール騎手が旅人としてロケに参加するという。先週の阪神大賞典を勝ったばかり。もちろん収録日はもっと前のはずだが、トップジョッキーがバラエティー番組に一人でロケ参加するのは異例中の異例。観ぬわけにはいかない。
結果から言うとそれほど面白いロケではなかった。ただ、それは普通の視聴者の視点の話。競馬ファンとして観れば、面白いとかつまらんとかいう次元を超えてくる。それでもトラクターを駈って「大外からルメール!」のくだりや「笑顔懸垂」などは、競馬を知らぬ大悟さんもひとまず合格点を与えていたようだし。野草採り名人の「福永」さんや、友人でモデルをしている「ペリエ」さんなどが登場すると、競馬を知る人間からすれば思わずニヤリとしてしまうのである。
それにしても、なぜルメール騎手はオファーを受けたのだろうか。
千鳥の番組だからということは考えられる。ノブさんは競馬番組も持っているし、凱旋門賞にも足繁く通う競馬通だ。しかし番組のエンディングでルメール騎手は千鳥のことを知らなかったことが発覚する。つまり千鳥は関係ない。
彼が手掛けるアパレルブランド「CL by C・ルメール」の新アイテム発表の宣伝のためかもしれない。折しもシルクレーシングとのコラボ商品がオンラインストアで発売になったばかり。4月には代官山、5月には大阪・南船場で開催されるポップアップストアでも取り扱うという。しかし、それに関する言及もテロップもいっさいなかった。
おそらく深い理由などない。もともとこの手のオファーは断らないタイプなのではないか。昨年は京セラドームのオリックスvsロッテ戦で始球式を行ったばかりか、登板前にはオリックスベンチの円陣に参加して「さぁ、いこう!」と声出し役も買って出ている。それを聞いたときはそんなのアリなのかと驚いた。だって、この始球式が行われたのはあの劇的な優勝の10日前。オリックスは1敗も許されぬ土壇場の優勝争いを繰り広げている最中だった。
きっとアリなのだろう。騎手の副業を内規で禁止していたJRAも変わった。「これは美味しいよ」と福永さんに言われて、言われるままに野草を食べて、「まずい」と正直に言ってしまう。そんなロケの常識をも覆すルメール騎手の立ち居振る舞いに、常識に捉われがちな己を戒めなければなるまい。大谷選手の活躍ぶりなどはその最たるものであろう。泥だらけのストッパー。その姿に常識を超えた野球の姿を観た気がした。
***** 2023/3/22 *****
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