牝馬の東京新聞杯
東京新聞杯の負担重量規定はコロコロ変わるので詳細は分からないのだが、少なくともこの10年間ほどは賞金別定だった。収得賞金が多いと負担重量が増えるので、GⅠ勝ち馬の出走や好走例は少ない。最近では2014年に12年のヴィクトリアマイルを勝っていた6歳牝馬ホエールキャプチャが勝った程度だ。
一方で牝馬の出走は確実に増えている。ヴィクトリアマイルが春シーズンの牝馬の大目標として定着したことの裏返しであろう。この10年間、牝馬は延べ20頭が出走して【4,3,1,12】。実に4割が馬券に絡んだ。ちなみに、その前の10年間では延べ11頭の出走で【0,0,0,11】に留まる。
今年の牝馬の出走は3頭のみだが、いずれも明け4歳というところが興味深い。しかも3頭とも昨年は牝馬クラシックで活躍してきた。4歳牝馬の優勝例は決して多くなくこの四半世紀でも2018年のリスグラシューただ1頭しか記録がないが、期待は深まる。
リスグラシューは桜花賞2着、オークス5着、秋華賞2着と惜敗続き。東京新聞杯はアルテミスS以来1年3か月ぶりの勝利だった。昨年2着のファインルージュも前年の桜花賞3着、オークス11着、秋華賞2着と健闘していた実績がある。今年の4歳牝馬の筆頭格ナミュールは桜花賞10着、オークス3着、秋華賞2着。1番人気に推された桜花賞は出遅れという明確な敗因があり、それでもコンマ3秒差なら負けて強しと言えるかもしれない。
懸念があるとすれば初めて背負う56キロということになろうか。賞金別定から格付別定に変更された今年は、昨年のGⅡチューリップ賞勝ちのおかげで他馬より1キロ余計に背負わされる。
ただ、冒頭に紹介した2014年のホエールキャプチャは57キロを背負っていた。牡馬に換算すれば59キロ。59キロを背負ってこの東京新聞杯を勝った例となると、1994年のセキテイリュウオーまで遡らなければならない。
ちなみに2014年の東京新聞杯は大雪の影響で1週間以上延期されていた。開催2週目のメイン競走であるはずの東京新聞杯が行われたのは3週目のメインである共同通信杯の翌月曜日。それでも東名道も中央道も通行止めのままで、関西の有力馬たちが軒並み16~17時間の輸送を強いられていた点は忘れないでおきたい。
実際、東京新聞杯はサトノシュレンとリルダヴァルが、ひとつ前の10レースでもシャドウバンガードが出走を取り消していた。いずれも関西馬で、取消理由は揃って「輸送熱」。そんな目に見えないアシストがあったにせよ、ホエールキャプチャが57キロを克服して勝ったことは事実だ。ナミュールも今後頻繁に背負うことになるであろう56キロごときで弱音を吐いてはいられまい。
***** 2023/2/2 *****
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