真のナポリピッツァ
今日はピッツァの話です。ピッツァなんて呼び方はガラじゃねぇだろ!と言われることは重々承知だが、このあと「ナポリピッツァ」とい言葉を使うので、冒頭から「ピッツア」で統一させていただく。
ともかく、ピッツァ(=ピザ)の話。
かつて、竣工なったばかりの東京競馬場新スタンドに初めて足を踏み入れた私がもっとも驚かされたものは、空を覆い尽くさんばかりの巨大な屋根でなければ、絢爛豪華たるエントランスでもない。それはスタンド内の飲食コーナーに『ピザーラ』が入店したことであった。驚かされたと言うよりは、カルチャーショックを覚えたと言っても過言ではない。
かつて、競馬場の食堂には横文字のメニューなど無かった。パスタやピッツァなど、その存在すら知らぬであろう客がメインであったのだからそれも当然で、彼らにしてみればパスタよりは焼きそばであり、ピッツァよりはお好み焼きだったのである。そういえば最近の東京競馬場では、お好み焼きを売っている店を見かけない。お好み焼きからピッツァへのシフトは、「競馬」というレジャーの社会的位置付けの変遷を映し出しているように思えてならない。
そんな話はさておき、寒い季節はうどんも良いが、アツアツもちもちのナポリピッツァも悪くない。ひと昔前までの日本のピッツァと言えば、薄くてカリカリのクリスピータイプが人気の主流だった。しかし最近ではもっちりとした食感が特徴の「ナポリピッツァ」に注目が集まっている。我が家の近所に店を構える「ピッツェリア イルソーレ 天サン」も、そんなナポリピッツァを提供する人気店。ともあれ今日は思う存分ピッツァを頬張ることにした。
こちらの店では、小麦粉と酵母、塩、水だけで作った生地を手でのばし、薪を燃料にした大きな窯で直焼きする。こうした製造法などは、本場ナポリの職人たちが1984年に設立した「真のナポリピッツァ協会」の国際基準に則っている。
そんなコダワリの生地の風味を味わうためには、トッピングは最小限に留めたい。となればオーダーはシンプルなマルゲリータに限る。生地の周囲にできた”額縁”を少しちぎってその断面を見ると、大小不揃いの空洞がいくつもある。これが独特のもっちり感を引き出すらしい。
様々なトッピングの味もさることながら、ベースとなる生地本来の味も楽しむ―――。そんなスタイルは、実はうどんや蕎麦にも通ずるところがあり、すなわち日本人の好むところであろう。そう考えれば、ナポリピッツァは今後ますますメジャーな存在になるはずだ。そんなことを考えながら天神橋の夜は更けてゆくのである。
「真のナポリピッツァ協会」が定める真のナポリピッツァの条件(要約)
条件1:生地に使用する材料は、小麦粉、水、酵母、塩の4つのみ
条件2:生地は手だけを使って延ばす
条件3:窯の床面にて直焼きする
条件4:窯の燃料は薪もしくは木くずとする
条件5:仕上がりはふっくらとして「額縁」がある
条件6:上にのせる材料にもこだわる
***** 2023/2/3 *****
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