一年前の幻影
兵庫ウインターカップは姫路競馬場において休日に行われる唯一の重賞レース。そのせいか昨年は3538人の観客で大盛り上がり。一日の売得金レコードをマークした。今年も場内は大盛況。昨年よりも場内は混雑している気がする。もし4千人に届いたら入場者数もレコードだろうか。そう思って姫路の入場者数の最多記録を調べてみたら、昭和48年には2万人以上が入っていたと聞いてびっくり。この狭い敷地のどこにそれだけの人数が入ったのか。不思議でならない。
ともあれ兵庫ウインターCには昨年の1~3着馬が顔を揃えた。となればそこに人気が集中するのは仕方ない。しかも昨年の優勝馬インペリシャブルは直後に東海桜花賞を勝ち、昨年の2着馬ベストマッチョは名古屋のゴールド争覇を勝ち、昨年の3着馬サンロアノークは笠松の白銀争覇を勝っている。つまり昨年のレースはフロックではない。さらに大井所属ながらフジノウェーブ記念ではなく敢えてここを狙って遠征してきたマックスを加えた4頭が上位人気を形成。それぞれの鞍上には赤岡修次、田中学、吉村智洋、吉原寛人と名手が揃って、ますます視線はこの4頭に集まった。
芦毛の牝馬パールプレミアが素晴らしいスタートを決めた。そのまま先手を奪って1コーナーへ。逃げると思われたベストマッチョは3番手に控えた。サンロアノークとマックスは中団。インペリシャブルは後方で脚を溜めながら馬群は向こう正面へ向かう。
すると名手たちの手綱が一斉に動き始めた。ペースが遅いのかもしれない。しかしどの馬も反応はいまひとつのようだ。パールプレミアは相変わらず気分良く逃げている。ベストマッチョが2番手に上がるも、パールプレミアとの差は縮まらない。それを交わしてマックスが迫ってくる。そして直線。マックスがその差をジワジワと詰めるが、前半で楽をしたパールプレミアもバテることがない。結果、7番人気で紅一点のパールプレミアがまんまと逃げ切った。
思えばこの馬も3歳時に名古屋に遠征して若草賞を勝った重賞ウイナー。その後7連勝も記録している。ただ、地元の重賞では4戦して⑥着、⑥着、②着、⑤着だった。人気の盲点になったのは、そこに「壁」を感じたファンが多かったということか。実績馬に名手が跨った割には……の感もあるが、そういう時こそ人気薄の逃げ馬に注意しなければならない。昨年の幻影がその注意から皆の視線を奪っていた。
6~10歳馬が人気を集める中、パールプレミアは出走メンバー中もっとも若い5歳馬。今をときめく新子調教師の管理馬から、また一頭スター候補生が誕生した。ここを勝てば胸を張って黒船賞に向かうこともできるが、寮馬イグナイターやバウチェイサーとの兼ね合いをどうするか。二頭出しのもう一頭、タガノプレトリアもこのメンバーで4着なら次につながる。今年も新子厩舎の所属馬からは目が離せそうもない。
***** 2023/2/23 *****
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