傍らに潜む幸運
枠連の話を続ける。
普段は単複か馬連ばかりを買うので、それ以外の賭式を楽しむことはほとんどない。だが、キャリアがキャリアなので初心に戻ろうとして敢えて枠連を買うこともあるし、馬より枠を重視する場合も枠連を買ったりする。
「枠を重視」というのは、例えばこういうことだ。冬の小倉は開催が進むにつれて内ラチ沿いの痛みが激しくなる。雨や雪が降ればなおさら。それで目を瞑って外枠の組み合わせだけを買う。ポイントは枠順の影響を受けやすい芝1200mであることと、なにより枠連であること。外「枠」を狙うのだから、買うのも枠連でなければおかしい。
5~8枠のBOXとゾロ目。それを百円ずつ買うとちょうど千円で済む。これが馬連だと10頭BOXの4500円にもなりかねない。そうなると買い目を減らしたくなるから、つい成績欄を見てしまう。「なんだ前走しんがり負けじゃん。こんなの来るワケないよなぁ」などと予想行為を始めたらもうおしまい。それならきちんと馬を見て買え!ってコトになる。
ともあれ「外枠、外枠!」と念じながらレースを観る。帽子の色を追いかけていればいいから楽と言えば楽。しかもこれが案外当たる。小倉の馬場が荒れだした2月11日から今日までの5日間、小倉の芝1200mは計13鞍行われた。購入額1万3000円に対して、払戻金額はなんと2万2950円。回収率176%は悪くない。北九州短距離Sが6-6のゾロ目決着で、5250円の高配当だったことが大きかった。
ちなみに、この北九州短距離Sの馬連⑪-⑫の配当は5110円。同じ組み合わせの枠連より140円ほど安いが、ゾロ目決着ではよくあることだ。ただ昨年12月17日の阪神11RタンザナイトSは、馬連⑤-⑥が40980円だったのに対し、枠連3-3が30570円に留まった。同じ組み合わせなのに1万円以上も安い。幸い私は買っていなかったが、もし枠連3-3を持っていたら配当を聞いて悶絶死したのではあるまいか。万馬券を当てながら悔しくて死んだとなれば、歴史に名を遺したに違いない。
こういうハプニングは枠連につきもの。これが枠連の奥深さを倍化させている。
典型的な例は大本命馬がスタート直前に発走除外になるケースであろう。2014年の浦和・桜花賞は大本命のノットオーソリティが発送直前で競走除外になるというハプニング。レースは騒然とする中で行われ、5番人気シャークファングが勝った。2着は2番人気のブルーセレブが追い込んで馬連は1400円。だがしかし、枠連は4320円もついたのである。
馬連売り上げの大半はノットオーソリティ絡み。全額返還されたが、枠連の売上は同じ6枠にオープンベルトが同居していたから全額残る。結果的には単勝では6番人気に過ぎないオープンベルトが、枠連では圧倒的1番人気を背負って敗れた形になった。それが枠連党に福音をもたらしたのである。
馬券の主体が枠連から馬連に移っても、代用的中の有難味も見落とせない。例えば先週日曜の東京2R。枠連は2番人気の3-4で決まってその配当は400円だったが、馬連は59500円もついた。1番人気のモーメントキャッチが敗れたものの、同枠の11番人気ダスクがハプニングを演出したのである。ハプニングが競馬と不可分ならば、馬連を買う場合でも理屈抜きで代用品に2割程度の保険をかけるのもひとつの方法に違いない。自分が狙った馬のすぐそばに幸運が潜んでいることは少なくないのだから。
***** 2023/2/25 *****
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