帝王の血
先週日曜の中京8レースは古馬1勝クラスによる芝2000m戦。2番人気のオオキニが早めに先頭に立つと、1番人気セルケトの猛追をハナ差凌いで2勝目を挙げた。
父アドマイヤムーンは珍しくない。注目は母のポポチャンの父がトウカイテイオーであること。これがBMSとしてのトウカイテイオーの今年のJRA初勝利である。
トウカイテイオーが亡くなって10年。すでに父系ラインは途絶えたも同然で、母の父としてもその名を見る機会はめっきり減った。JRAでトウカイテイオーをBMSに持つ現役馬はオオキニなど11頭。その母は8頭に集約される。
1995年から種牡馬となったトウカイテイオーは、初年度産駒からマイルCS優勝馬トウカイポイントを送ると、ヤマニンシュクル(阪神JF)やストロングブラッド(かしわ記念)など芝・ダートを問わず活躍馬を送り続けたが、これと言った代表産駒に恵まれなかったのも事実。それでも2002年には158頭の高配相手を集めるなど人気を集めたのは、一時代を築いたパーソロンの父系を大事にしたいという生産現場の熱い思いがあったからに違いない。
シンボリルドルフ~トウカイテイオーのみならず、メジロアサマ~メジロティターン~メジロマックイーンのラインも既に途絶えた。国内で父系を繋げることの難しさを痛感する。3代に渡るダービー制覇が未だ達成されぬ事実はその象徴であろう。
しかし母系に入っても血は残る。オルフェーヴルやゴールドシップの母の父がメジロマックイーンであることはあまりに有名。トウカイテイオーにしても母の父として大物を残す可能性はゼロではない。
昨年暮れの中山で未勝利戦を勝ったレーベンスティールはその候補となり得る一頭。父リアルスティール、母トウカイライフ、母の父トウカイテイオーの明け3歳牡馬は持ったまま後続を3馬身半突き放した。バネの利いたその走りに、リアルスティールよりもトウカイテイオーの姿をダブらせた人も多かったのではないか。私はそんな一人。直後に社台スタリオンのスタッフからも同じ声が届いた。そう思えたのは舞台が中山だったせいもある。
父リアルスティールは中山では4戦して未勝利だったのに対し、母の父トウカイテイオーは皐月賞、有馬記念など中山で4戦3勝。さらにその父シンボリルドルフは1984年の弥生賞を手始めに1985年有馬記念まで中山は6戦全勝だった。中山で見せた圧倒的な強さはトウカイテイオーの血が騒いだとしか思えない。今は大事を取って休養中だが、春の中山での復帰を強く願う。
***** 2023/2/10 *****
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