カワサキから世界へ
明日行われるエンプレス杯は回を重ねて今年が69回目。1995年からJRAとの交流重賞となったが、その最初の6年間はホクトベガ、シルクフェニックス、ファストフレンドがそれぞれ連覇している。思えば、このレースの第1目の覇者ミスアサヒロからして翌年の第2回目を勝っているのだから、エンプレス杯は連覇の歴史と言えなくもない。
写真は98年のこのレースを勝って連覇を果たしたシルクフェニックス。前年の覇者であるにも関わらず5番人気に留まったのは、前走の大敗に加え、牡馬相手の日経新春杯を勝っていたメジロランバダらが相手だったからだろうか。だが、そんな低評価をあざ笑うかのような完勝劇に、福永祐一騎手も渾身のガッツポーズを繰り出した。
福永騎手にとってエンプレス杯とシルクフェニックスには特別な思い出がある。97年に騎手デビューを果たした福永騎手にとって、シルクフェニックスとのコンビで勝ったエンプレス杯は記念すべき重賞初制覇だった。JRA重賞160勝。海外でもGⅠを5勝している福永騎手の、その重賞キャリアのスタートはここ川崎だったのである。
2001年 香港マイル エイシンプレストン
2002年 QE2世C エイシンプレストン
2003年 QE2世C エイシンプレストン
2005年 アメリカンオークス シーザリオ
2014年 ドバイDF ジャスタウェイ
川崎を起点に世界への飛躍を果たしたのは、なにも福永騎手に限らない。のちに世界の舞台で活躍することになるアグネスデジタルやユートピアも、自身初の重賞勝利はこの川崎だった。先日のサウジダービーで日本馬最先着の3着に健闘したデルマソトガケも、全日本2歳優駿で初重賞制覇を果たしたばかり。次走のドバイ・UAEダービーでの巻き返しはじゅうぶんあり得る。川崎から世界への道はいまも存在感を失っていない。
「福永騎手」と書けるのは今日まで。それに気付いてハッとした。明日からは「福永先生」と呼ばなければならない。その違和感に慣れるのにどれほど時間が必要だろうか。あのエンプレス杯から四半世紀。そのキャリアを海外で終えることになったのは、どこか必然だったような気がしてならないのである。
***** 2023/2/28 *****
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