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2023年1月31日 (火)

如月のもやもや

明日から2月。その旧暦の呼称「如月」の話である。しかしその前にJRAの特別レースの名称の原則について確認しておく。

まず年齢による原則。2歳および3歳春のレースには季節の花や草木の名称を、古馬のレースには季節にちなむ名称、競馬場周辺の地名、河川、湖沼、海洋、山岳名、誕生石、月名、星座名をそれぞれ使うことになっている。

さらに、上級クラスのレースなら「ステークス」を、中級クラス以下は「賞」「特別」「ハンデキャップ」という言葉を添える。これが原則。先週日曜に東京で行われた古馬の準オープン戦「節分ステークス」は、1000万条件戦だった6年前までは「節分賞」として行われていた。原則適用の典型であろう。

とはいえ例外も多い。今週中京で行われる重賞「きさらぎ賞」は、陰暦2月の呼称+「賞」だから、原則に従えば古馬の中級以下のレースになってしまうが、実際には3歳馬の上級レースだ。弥生賞、皐月賞なども同じこと。原則よりも歴史の方がはるかに重いのである。

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それにしても、なぜ「きさらぎ賞」であって「如月賞」ではないのだろうか? 弥生賞も皐月賞も、あるいは睦月ステークスにしても霜月ステークスにしても、みな旧暦の呼称部分には漢字が宛てられていることを思うと「きさらぎ賞」という表記には違和感を覚える。

と言うより、こういう文章を書いている人はみなモヤモヤした思いを抱えているのではあるまいか。ひらがなで始まるレース名は書いていて神経を使う。「年明けはきさらぎ賞から始動」と書くと単語の切り目を見失いかねない。かといって句読点の乱打は美観を損ねる。

調べてみると「如月」という漢字とわが国本来の「きさらぎ」という読みとは、直接は結び付かないのだそうだ。中国の古い時代の文字の説明書には「二月を如と為す」とした記載があり、この書物から漢字を借り、如に月を付けて「きさらぎ」と読ませたものらしい。つまり当て字。だとしたら、「きさらぎ」という表記にモヤモヤする必要はないのだろう。むしろひらがなが正しいのである。

―――と、ここでハタと気づいた。9月に中山で行われる「ながつきステークス」は、なんで「長月ステークス」と書かないんだ? これはいくらなんでも当て字などではあるまい。ああ、またモヤモヤしてきた。9月までに正解を見つけることができるだろうか。

 

 

***** 2023/1/31 *****

 

 

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2023年1月30日 (月)

善通寺~観音寺 うどん巡り

昨日は高知入りする前に善通寺市に立ち寄った。イグナイターの必勝祈願やオノレの馬券的中祈願ではない。時間の許す限りうどん屋を巡ってやろうという目論見である。善通寺周辺は日曜でも営業している名店が多い。ルールはメニュー表の先頭に記載されたうどんの「小」のみを食べること。天ぷらは取らない。いったい何杯食べることができるだろうか。それでは、しゅっぱーつ!

■なかむら/かけ(小) 250円

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「讃岐富士」と呼ばれる飯野山の麓。田んぼの真ん中にポツンと佇む店舗は「昔は鳥小屋だった」と言うだけあって納屋のような外観。“究極のセルフ店”とも呼ばれ、昔はネギを客が自ら刻んで入れていた。ネギがなくなると、客が近所の畑からネギを摘んでくるというエピソードは村上春樹さんの「讃岐・超ディープうどん紀行」にも紹介されている。麺はやわらかいがコシのある食感。イリコにサバ節を加えたダシも美味い。

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■山下/ぶっかけ(小) 300円

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ぶっかけ発祥の店とのこと。太くてコシの強い麺が特徴。

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■白川/かけ(小)200円

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麺とダシのバランスが最高。これで200円とは素晴らしい。名門・尽誠学園野球部のグラウンドの近く。

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■こだわり八輻/かけ(小) 250円

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善通寺の参拝者用駐車場の向かいに暖簾を掲げている。家族連れや団体客が多く、回転はあまりよくない。おそらく善通寺参りとセットで訪れる客が多いのだろう。腹ごなしに私も善通寺にお参り。ご存知、弘法大師空海生誕の寺。うどんの起源は諸説あるが、平安時代に唐での修行から帰った弘法大師がその製法を伝えたとこの辺りでは信じられている。麺の原料となる小麦や塩、醤油も讃岐が一大産地だったことも後押しになったに違いない。

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■釜揚げうどん長田in香の香/釜揚げ(小) 300円

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ここで今回初めての大行列に遭遇した。日曜の午前11時半で店外に30人ほどの行列。これまでの4店舗も人気店だったが、ここは群を抜いているらしい。街道沿いにあり、駐車場は160台収容の広さ。ならば回転は早かろうと安易に並んだが、着席まで30分。オーダーしてからさらに15分を要した。茹であがりを待たなければならない釜揚げだから当然と言えば当然。しかも12玉入りの「たらいうどん」が人気で、家族連れやグループが鍋料理のノリで食べているから滞在時間も長くなる。まあ、ここまで4店連続で食べてきたから、待たされてホッとした気持ちがなかったと言えば嘘になる。かけダシに飽きてきたので、釜揚げで目先が変わったのも助かった。

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■SIRAKAWA/臨時休業

6杯目を目指してクルマを西へ飛ばす。目指すは「たこちく」が有名だという「SIRAKAWA。そしたらなんと「臨時休業」の貼り紙が。う~ん、残念。……と言いつつ、ちょっとホッとした感も否定できない。もう腹はいっぱいだ。

 

■かじまや/釜揚げ(小) 350円

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観音寺市に入って街中を進むと昭和の香り佇む店構えが目に飛び込んできた。店内に入ると昭和感はさらに増す。薄暗い店内は常連さんだけで、おでんを食べながら茹で上がりを待っているようだ。こちらも名物は「釜揚げ」。先ほどのSIRAKAWAが休業だったおかげで釜揚げの連闘になってしまったのは痛いが、メニューの先頭に書いてあるのだから仕方ない。しかし、食べてみるとつけ汁がさっきの店と全く違う。独特の濃厚さで、まったりと甘い。このつけ汁が釜抜きしたばかりのヌメっとした麺に絡むと、強烈な個性を発揮する。ひっきりなしに地元客が入ってくるのも分かる気がした。

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■柳川本店/かけ(小) 360円

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製麺所が営んでいるせいか、ラーメンなどもメニューにある。入り組んだ住宅街に暖簾を構えるせいか、やはり地元客が中心。うどんは細麺。ダシは伊吹島のいりこを使っているらしい。旨味の割に魚臭さが少ない。さらに昆布とかつお節。ちくわとかまぼこという具のせいもあり、どことなく松山のうどんを彷彿とさせるのは、観音寺という立地のせいかもしれない。ともあれここはダシが素晴らしい。それが細麺と合う。つゆをすべて飲み干して、ついに満腹を迎えた。

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■J-PLACE観音寺/東京8R 1000円

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2012年に廃止となった観音寺競輪場の跡地には、場外車券売場「サテライト観音寺」が設置されたが、そこには、兵庫競馬の場外馬券売場「DASH観音寺」と「J-PLACE観音寺」も併設されている。柳川本店からは車で1分と至近。シメに一杯ひっかけていこうとばかりに気軽に馬連5頭BOXを注文したが、あっさりしたレースぶりで粘りもコシもないままハズれた。ちょっと「一杯」のつもりが「一敗」になっただけ。おあとがよろしいようで。

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***** 2023/1/30 *****

 

 

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2023年1月29日 (日)

年度代表馬、始動

高知競馬場に来ている。

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目当ては全国交流重賞の黒潮スプリンターズカップ。そこに昨年のNARグランプリ年度代表馬のイグナイターが出走してくる。兵庫所属のサラブレッドが年度代用馬に選ばれたのが初めてなら、前年の年度代表馬が高知で始動するのも史上初のこと。根岸Sやリヤドダートスプリントも噂されたが、昨年7馬身差で圧勝した同レースの連覇を目指しての遠征ということで、今は園田をホームにする私もノコノコ着いてきた。「史上初めて」はこの眼できちんと拝んでおきたい。

と言いつつ、昼は小雪舞う讃岐でうどん三昧。わずか3時間で7杯を引っ掛けたのち、パンパンの腹を抱えて土佐入りした。

パドックに現れたイグナイターの馬体重はマイナス20キロ。しかし細い印象はない。そもそも前走がプラス23キロだった。むしろ絞れたと見るべきか。その瞳に宿る魂の炎は輝きを失っていない。

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レースは圧巻だった。好発を決めると1周目のゴール前ではハナを切る勢い。内からユニバーサルライトがハナを主張する姿勢を見せるとスッと二番手で折り合ったが、向こう正面では付き合ってられないとばかりに先頭に立つと、そこからは後続を離す一方。短い直線を独走で駆け抜けて、昨年の7馬身を上回る9馬身差の圧勝劇で、無事に2023年シーズンのスタートを切った。

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年度代表馬なら勝って当たり前。そんな空気がイグナイターの最大の敵だった。結果的に前走であそこまで負けた原因はやはり23キロの馬体増にあったに違いない。この短期間でそれを戻した陣営の手腕も見事。昼に7杯のうどんを平らげた私も、23キロとは言わずとも2.3キロくらい増えているかもしれない。ここから2キロ落とすことを考えただけでウンザリする。それを平気でやってのけたイグナイターはエラい。

先週は笠松の白銀争覇をサンロアノークが勝ったばかり。そして今日は高知でイグナイターが完勝。全国各地で結果を残す兵庫勢の活躍は、今週の梅見月杯に出走するアキュートガールや来週の佐賀記念に挑むラッキードリームにとって追い風になるはず。今年も白鷺賞で始動するジンギだって老け込むにはまだ早い。兵庫勢の勢いは今年も続きそうだ。

 

 

***** 2023/1/29 *****

 

 

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2023年1月28日 (土)

鮭大好き

今日の朝飯はファミマで買った「サーモンたたきの寿司」というおにぎり。20円引きになっていたので思わず手に取った。セブンイレブンには「ますの寿司」のおにぎりが売られているけど似たような味わい。ただファミマの方が脂の味が強い気がする。

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昼は仕事場の食堂で済ませた。今日のランチメニューはサーモン丼。鉄火丼の鮭版ですね。できればイクラをちょこっと添えて欲しかったけど選択の余地がないのでありがたく完食。

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そして夜は普通の焼き鮭。焼かれた状態でスーパーで売っていたやつの温め直しではあるが、それでもホカホカの「サトウのごはん」にジャストマッチ。さらに冷蔵庫に残り物のスモークサーモンがあったので、サラダのトッピングに使った。かくして今日は鮭三昧の一日となった。

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鮭は嫌いではない。とはいえ夕食に焼き鮭を食べたのはいつ以来であろうか。朝食の定番メニューとして、あるいはおにぎりの具として、完全にメジャーな地位を確立してしまったことが、かえって夜のメインディッシュから遠ざけてしまった感がある。

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しかも昨今の鮭はしょっぱくない。むかし北海道の牧場から新巻鮭を贈っていただき、喜んで家族全員で焼いて食べたところ、あろうことか子供たちが「しょっぱい!」と言って、ひと口食べたきり箸を付けようとしなかった。我々の世代には懐かしささえ覚える塩鮭の辛さは、脂のたっぷり乗っているサーモントラウトのソテーや回転寿司の味わいに慣れきった子供らには受け入れられぬのであろう。関東では「正月魚」とも呼ばれる鮭だがこの冬は不漁が伝えられる。その代わりに北海道で滅多に揚がらない鰤が大漁なんだそうだ。ここでも関東勢は肩身の狭い思いを強いられている。

ともあれ、焼いた塩鮭で食べる白いご飯ほど美味いものを、私はほかに思い浮かばない。白いご飯に合うということは、当然ながら日本酒にも合う。適度な塩味と水分が抜けて旨味が凝縮した身の味わいは、肴として申し分ないのである。

なのに、居酒屋のメニューにハラス焼きがあっても焼き塩鮭を見ることはほとんどない。「おにぎりの具」としてしか見られない塩鮭の悲しさがここにも表れているが、大衆食堂ならその組み合わせも可能だ。競馬帰りの食堂で塩鮭に熱燗を合わせてゴキゲンになっているおじさんを見かけたとしても、決して憐憫の眼差しを送ってはならない。実は相当なグルメだったりする。

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ところで、以前、JRAや大井で活躍したこの馬の名前は、ひょっとしたら「鮭大好き」だったのか?……なーんて思って、念のため確認してみたのだけど、やはり「酒大好き」でした。そりゃあそうですよね。私は鮭も酒も大好きです。

 

 

***** 2023/1/28 *****

 

 

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2023年1月27日 (金)

みかんと競馬の深い関係

中年男の独り暮らしはどうしてもビタミン不足に陥りがち。とはいえ野菜を摂るのは大変だから、みかんのお世話になる。調理の必要も食器も必要ない。それでビタミンだけでなく亜鉛やミネラルも補給できる。なにより美味しい。そろそろ名残の季節に近いから、ちょいちょい買っては冷凍している。冷凍することで甘味も増すらしい。

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「みかんの皮は捨てないで!」

ニュースサイトにそんな見出しを見つけた。なんでも、みかんの皮には6通りの使い道があるのだという。

その内容をここで披露することは差し控えるが、かつては私もみかんの皮を活用していたから、だいたいのことは知っている。代表的なところは漢方薬の「陳皮」(ちんぴ)。みかんの皮を乾燥させたもので、健胃やせき止めなどの漢方薬のほか七味唐辛子にも使われているが、中国では新型コロナ予防に効果があるとして人気が高まっているらしい。

みかんの皮はリモネンという成分を含む。これに油の分解やリラックス効果があるとされ、手作りの洗剤や入浴剤に使われることもあるらしいが、私自身は実践したことはない。

わたしがかつて「活用していた」というのは、ヨーグルトと一緒にみかんの皮をそのまま食べるというもの。花粉症に効果があるというからがんばって続けてきた。―――が、私に限って言えば、さほどの効果が実感できない。それでやめた。みかんの皮を「意外に美味しい」と言う人もいるが、私に言わせれば中身の方がだんぜん美味い。わざわざ皮を食べたいとは思わない。

一方でウマはみかんの皮が大好き。ウマの前でみかんをを食べていると「皮ちょうだい、皮ちょうだい」と前掻きが止まらなくなる。それで「はいよ」と口の中に皮を放り込んであげると、喜んでばりばりと食べる。まるで「エルマー」になった気分だ。分からない人は、ぜひ童話「エルマーのぼうけん」を読んでください。

ちなみに西郷隆盛の弟として知られる西郷従道は、横浜で始まった西洋式競馬における日本人初の馬主でもある。1875年には4頭の競走馬を所有。そのうち「ミカン」と名付けた1頭に根岸競馬場のレースで自ら騎乗し、日本人馬主として史上初の勝利をつかみ取った。日本競馬とみかんは実は縁が深い。あさっては根岸ステークス。みかんの親戚「レモン」ポップが気になってきた。

 

  

***** 2023/1/27 *****

 

 

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2023年1月26日 (木)

【追悼抄】大久保正陽元調教師を偲ぶ

JRAは25日、大久保正陽元調教師が21日に死去したことを発表した。87歳。鳴尾競馬場での騎乗経験を持ち、京都記念(秋)をヘリオスで連覇した騎手としての経歴もさることながら、やはり我々の年代だと調教師としての印象の方が強い。エリモジョージ、メジロパーマー、ナリタタイシン、シルクジャスティス、そしてナリタブライアン。師が手掛けた名馬はみな個性的で、しかも強かった。

オールドファンの脳裏には、それまでGⅡだった高松宮杯が1200mのGⅠとして生まれ変わった高松宮記念にナリタブライアンを出走させた際の騒動の記憶が刻まれているのではあるまいか。

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阪神大賞典1着、天皇賞(春)2着と中長距離の王道路線で結果を残してきた5歳春シーズンのナリタブライアンが、次走に選んだのは1200mの高松宮記念だった。既に3冠を達成した馬が1200mの短距離に出走した例は後にも先にもこの一度しかない。そのローテが発表されるやファンやマスコミを巻き込んでの大論争に発展した。そのナリタブライアンが高松宮記念で4着に敗れ、しかもレース中に発症した屈腱炎で引退が発表されると、論争はバッシングに形を変えて調教師に向けられることになる。

もともと常識にとらわれない方だった。障害レースで活躍していたメジロパーマーで宝塚記念や有馬記念を勝ってみせたのが恒例。ヤマノシラギクを全国の競馬場で走らせて珍記録を作ったことなど、まさに真骨頂であろう。後年、高松宮記念にナリタブライアンを出走させた理由を問われ、「中京では一度も走ったことがなかったのでファンサービスの意味もあった」と述べてるのも、そうした面の現れと捉えることもできる。

実際、ナリタブライアンの参戦で高松宮記念へのファンの関心が高まったことは間違いない。この日の中京競馬場にはレコードとなる74201人が詰めかけた。それまでのレコードは、あのハイセイコーが高松宮杯に出走した68469人である。この日の売上231億1071万1900もレコード。ただし、このうち48億6千万円がナリタブライアン絡みだった点は見逃せない。

この高松宮記念の1か月前に行われた桜花賞でのことである。大本命のエアグルーヴがレース直前に熱発して回避した。伊藤雄二調教師は、その理由として「ファンへの配慮」を口にしたのである。「桜花賞では馬券が3百億円売れると思うが、おそらくその半分はエアグルーヴ絡みのはず。それなら当然やめるべきなんです」。その言葉には、調教師のファンに対する責任が透けて見える。その1か月後の高松宮記念だから、論争やバッシングが起きるのも仕方ないことだった。

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その一方で大久保正陽元調教師は、本当に強い馬は長距離でも短距離でも勝てるという信念に基づく出走だったことを明らかにしている。たしかに春の天皇賞を勝ったエリモジョージをその夏の札幌のダート1200mに出走させたこともあった(結果6着)。とはいえそれは距離体系が整備されていなかった当時のこと。むしろ距離体系整備のためにGⅠに昇格させた高松宮記念にナリタブライアンを出走させることは、アンチテーゼにもなりかねない。これほどの人物と馬が「信念」だけで動くのも不自然。真意は他にあったのではあるまいか。だが、もはやそれを確かめる術もない。

 

 

***** 2023/1/26 *****

 

 

 

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2023年1月25日 (水)

最強寒波がやってきた

最強寒波が関西全域を襲った。クルマは立ち往生。JRは軒並み運休。「10年に一度」の触れ込みはダテではない。姫路競馬も取りやめになった。

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1月5日の小寒から節分までの今の時季はいわゆる「寒の内」。中でも大寒のこの時期は寒さの底で、屋外での競馬観戦が一年のうちで最も辛いシーズンということになる。筆者は「競馬場のガラス張りスタンドは臨場感に欠ける」という意見には概ね賛成ではあるが、この季節に限ればガラスの外には一歩も出たいとは思わない。

一方で寒さゆえの楽しみも。正月の魚と言えば、関東ではサケだが、ここ関西ではブリが主流らしい。スーパーでもやたらとブリの姿を目にする。しかもこれが安い。

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正月料理に使われるのは、ブリは成長に伴って呼び名が変わる出世魚であり、サケは身の色が縁起が良いからだそうだ。ちなみに関東人の私は、ブリの名は「ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ」と変わるのが当然と思っていたが、本場関西では「ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」と呼ぶ。最終的にブリにたどり着くのは同じでも「メジロ」というのは食材として馴染みが薄い。競馬ファンとすれば、スーパーに「メジロの切り身」が売られていたりするとドキッとしてしまう。

暖流系の魚であるブリは冬になると西日本で多く水揚げされる。一方のサケは寒流系の魚で、秋から冬にかけて北海道から関東沖で捕獲される。その境目は偶然にも糸魚川と静岡を結ぶフォッサマグナに一致するというから不思議だ。ただ近年では温暖化の影響か、北海道でもブリがたくさん水揚げされてサケが不漁だというから、ブリ文化が全国統一を果たす日も近いかもしれない。

なにせこの季節のブリの美味さは格別。寒海苔、寒サバ、寒シジミ……等々。寒さが厳しくになるにつれて滋味が深まる食材はいくつもあるが、寒ブリはその筆頭格であろう。淡いピンク色の身を口に運べば脂の上品な甘みが口の中に広がり、引き締まった身の歯応えとなるともはや言葉に表し難い。この季節、心身ならびに懐まで寒さに凍てつく競馬場に行くよりも、温かい部屋で美味さに震える方がよほど楽しい。

厳寒期は競馬の開催をやめるべきだという意見がある。客が入らぬ上、事故の危険性が高まるというのがその理由だ。実際、私もオフシーズン導入論に同調しかけたこともあった。

だが最近では、寒いから競馬場に行きたくないという人は行かなければよいのだし、故障が怖いから馬を走らせたくないという陣営には休ませるという選択肢も用意されているという中にあって、これだけの競馬が行われているんだからそれはそれでいいじゃん というラディカルな思想に辿り着きつつある。

寒さに負けじと走る人馬に声援を送るもよし。寒さから逃れるように部屋で寒ブリを頬張るのもよし。敢えて寒中に立ち、精神鍛錬に挑むのもまたよかろう。寒の内といえば食べ物のみならず、寒稽古、寒参り、寒念仏……等々、鍛錬の季節でもある。

 

 

***** 2023/1/25 *****

 

 

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2023年1月24日 (火)

最後のTCK女王盃

報知グランプリC、ターコイズS、東京シティ盃、勝島オープン、京都金杯、ロジータ記念、阪神牝馬特別、金沢・笠松ジョッキークラブ、新潟大賞典。

これらのレース名が何を示しているかお分かりになる方は、よほどの競馬ツウに違いない。敢えてヒントを挙げるならば「金沢・笠松ジョッキークラブ」に注目!―――と言ったところだろうか。

実はこれは、1998年に行われた第1回TCK女王盃出走メンバーの「前走」のレース名。創設当初のTCK女王盃は2月の実施で、JBCもまだ始まっておらず、エンプレス杯が真夏のレースだったことを思えば、牝馬のダート重賞路線はまだまだ整備されていなかった。

あれから四半世紀、明日が最後のTCK女王盃となる。昨年11月に発表された全日本的なダート競走の体系整備によると、TCK女王盃は「兵庫女王盃」に名前を変えて園田に移設されるそうだ。

大井外回り1800mと小回り1周半の園田1870mとでは、レースの質は大きく変わってこよう。それでもTCK女王盃を「廃止」、兵庫女王盃を「新設」としなかった理由は、回数と格付けの維持にこだわったのかもしれない。移設であれば、来年のレースは「第27回兵庫女王盃(JpnⅢ)」として行うことができる。

ともあれ最後のTCK女王盃は7頭立てと寂しい一戦となった。JRAの5頭のうち4頭はダートグレード勝ち馬で、地方の2頭はいずれも条件馬だから頭数合わせの感が拭えない。過去25回のレースで地元・大井所属馬の優勝はゼロ。このままでは「TCK」の看板が泣く。よもや、それが看板の掛け替えを決断したいちばんの理由ではあるまいな。

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ちなみに記念すべき第1回のこのレースを勝ったのは笠松のトミケンクイン。その前走が「金沢・笠松ジョッキークラブ」だったわけだが、なんとそのレースは条件戦だった。その割にJRAの重賞勝ち馬を相手に7番人気。単勝24.7倍だからそこまでの大穴でもない。大井の馬は勝てなくても、大井のファンは馬券上手ということだ。

 

 

***** 2023/1/24 *****

 

 

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2023年1月23日 (月)

睦月の悲哀

睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、葉月、長月、神無月、霜月、師走―――。

陰暦の1月から12月までの呼び名は、そのままJRAのレース名にもなっている。このうち、如月、弥生、皐月は重賞レースに、長月と師走オープン特別に、そして水無月、長月、神無月なども準オープンクラスの競走名として長く使われてきたが、睦月賞だけが頑なに2勝クラス(1000万条件)であることが長らく理解できなかった。

1月にはほかにも「ニューイヤー」「迎春」「新春」「初日の出」等々、ネーミングに困らない事情があったかもしれない。しかも2021年には、その睦月賞自体が姿を消して関西のファンを驚かせた。

過去の勝馬にはショウリテンユウ、プリンスシン、インターフラッグ、アドマイヤモナークといった重賞ウイナーたちが名を連ねる。条件戦ながら60年以上の歴史を誇るのはダテではない。2003年の中京記念と産経大阪杯を勝ったタガノマイバッハも睦月賞を勝った一頭。京都の2400mを一気呵成に逃げ切って、春の飛躍への足掛かりとした。

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その「睦月」の名が今年、3年ぶりに復活を遂げたのである。それが先週土曜の中京メインで行われた睦月ステークス。ここは本来なら長篠S(芝マイルの準オープン)の枠だった。その長篠Sが明日の準メインに移って、そこにあったはずの賢島特別(芝1400mの2勝クラス)が消えた格好になる。ちなみに同条件の番組は日曜の中京最終レースに残されていたから「賢島」というレース名だけが消えた格好。賢島には気の毒だが、そのうちどこかで復活することもあろう。

ともあれ睦月にしてみれば、念願のオープン入りを果たした格好だ。とはいえ出走頭数は9頭と寂しい限りだった。しかもうち1頭は2勝クラスの条件馬で、さらに1頭はダートが主戦場だから実質的には7頭の立て。そもそも同じ条件の京都金杯とニューイヤーSが行わたばかりであることを考えれば、9頭でも揃った方かもしれない。

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ちなみに某スポーツ紙には、睦月ステークスの参考情報として過去5年間の睦月賞の成績が掲載されていた。果たしてこれが何の役に立つのか。過去5年の「睦月賞」は2勝クラスの芝2400m。一方、この日の「睦月ステークス」はオープンの芝1600m。全く違う。なのに新聞すらそれを気にしていない。些細なことかもしれないが、こうしたことも睦月の立場の危うさを象徴しているように思えてならない。

せっかくのオープン入りを果たした睦月だが、京都開催に戻る来年はどうなるのだろう。キングエルメスが京王杯2歳S以来1年2か月ぶり復活勝利を挙げ、坂井瑠星騎手がJRA通算300勝を達成したメモリアルなレースを1回限りで無くしてしまうのは忍びない。テレビ東京「ウイニング競馬」でキングエルメスの単勝を1万5千円的中させたジャンポケ斉藤さんも、きっと同じ思いであろう。

 

 

***** 2023/1/23 *****

 

 

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2023年1月22日 (日)

苦楽を共に

今日1月22日は「カレーライスの日」らしい。1982年、全国学校栄養士協議会で1月22日の学校給食メニューをカレーにすることを決めたことが始まりだという。なのでウインズ梅田で馬券を仕入れたあとの昼メシは敢えてカレーとした。梅田地下街の「ピッコロ」のビーフカレーは、トロトロになるまで煮込まれた牛肉の塊が欧風のカレーソースにジャストマッチ。手間と時間がこの味を生む。

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黄レンジャー(古いね)の例を持ち出すまでもなく、デブはカレーが大好物というのが世間の印象だろうが、私自身は実はそれほど食べる機会は多くない。月に一回食べるかどうかといったところ。大阪に来てからはもっと減ったかもしれない。大阪では私の苦手なスパイスカレーが主流のせいもある。

それでも若い頃は毎日カレーを食べたこともあった。と言ってもこれは単なる願掛け。贔屓のプロ野球チームの優勝を祈願して、ペナントレース開幕のその日から「毎日の昼食をカレーライスだけで過ごす」という荒行に打って出た。

「カレーばかり食べる」というのは、何かを断つという願掛けに比べて一見ラクそうにも思える。だが、実は大変な作業であることを私は知らなかった。昼飯に入れる店は限られるし、飽きるし、胃はモタれるし、身体からは紛れもないカレー臭が発せられるようになる。だが周囲に広言した以上、途中でやめるわけにもいかない。

よほどのカレー好きと勘違いされたのか、事情を知らぬ人から夕食にカレーをご馳走になったりもしたけど、あれは本当に辛かった。家にお呼ばれしてカレーを頂く場合、「お代わりしないと失礼」って空気が漂うしね。このまま、カレーの食い過ぎで病気になるんじゃないかと、本気で心配したものである。

そんなムダな努力を弛まず続けたご利益かどうかは分からんが、そのチームは日本一にこそ手が届かなかったものの見事その年のリーグ制覇を果たした。ただ、もちろん私のカレー三昧の日々が、プロ野球チームの成績に影響を与えるはずもない。

「自分も一緒に苦楽を伴にしたい」という思いが高じて、苦楽のうちの「苦」の部分を具現化するために人は願掛けに走る。つまりは自己満足である。だから純粋な願掛け行為は―――その対象が自分自身でない限り―――相手に知られずに行う必要がある。相手がそれを知った瞬間、自己満足という枠組みは消え、それは普通の「応援」に様変わりする。まあ、もちろんそれはそれで良いことではあるけれど。

カレー三昧の翌年は、願掛けの王道とも言うべき断酒にチャレンジした。前の年にあと一歩及ばなかった日本一を目指し、さらにハードルを上げたのである。しかし翌年はリーグ制覇もままならぬ有様。他チームの監督が胴上げされるTV中継を観ながら半年ぶりに口にしたビールの味は……いやあ、実に美味かったですねぇ(笑) 半年ぶりだもの。こればかりは仕方ない。

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競馬の場合、贔屓の馬の勝利を期して苦楽を伴にしたいと願うにしても、なにもカレーにまみれたり、酒を断ったりする必要はない。その馬の馬券を買えば済む。手軽と言えば手軽。ただ私の場合「苦楽」のうちの「苦」ばかりを伴にしてしまうからいけない。今日の私もAJCCのエヒトと「苦」を伴にした。昨日あそこまで書いたからには、これを買わないわけにいかないですもんね。それでもビーフカレーが美味しかったから今日はヨシとしよう。

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***** 2023/1/22 *****

 

 

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2023年1月21日 (土)

どうするエヒト

NHK大河ドラマ「どうする家康」は臆病で優柔不断な主人公・松平元康が、戦国の乱世を勝ち抜き、天下人・徳川家康に至るまでのドラマを描いている。

1~2話を観る限り、我々が教科書や過去のドラマで抱いた家康のイメージにはほど遠い。しかし共演する松重豊さんは「1年後“松本”家康がどんな怪物になっているのか楽しみ!」と期待を寄せている。傑出した才能の持ち主はどんどん変わっていくもの。そんなストーリーを我々は昨年の大河ドラマでも観てきたばかりだ。

競走馬も同じこと。どんどん変わってくるようでないと大物にはなれない。

その元になるのは馬体の充実だが、レースぶりの変化によってそれが実証されると「変わり身」など言ったりする。もう少し長い目で見れば「成長力」ということになるだろう。

1950年のダービーに勝ったクモノハナは初出走から7戦して勝てなかった。ダービー馬では例のない出遅れである。しかし4歳の4月に4回使うという荒業が功を奏したのか、突然本格化して皐月賞とダービーに連勝する変貌を遂げた。

明日のAJCCを前に思い出すのはメジロブライト。この馬、2歳夏の函館で新馬勝ちを果たすが、人気は6頭立てのしんがりだった。しかもこの勝ち時計が凄い。良馬場の芝1800mに2分1秒6を要している。念のために書いておくが「芝2000m」の誤記ではない。このメジロブライトがラジオたんぱ杯と共同通信杯を制し、クラシック戦線の主役に変身する。しかしながら三冠レースは、①①②番人気で4着、3着、3着という結果。あと一歩足りなかった。

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それが、3歳暮れのステイヤーズSで2着を大差にちぎり捨てると、続くAJCCも持ったまま圧勝だから凄い。かつての勝負弱さはなりを潜め、その勢いのまま春の天皇賞を制して天下を獲った。まさに平成の徳川家康。二度に渡る変身は父系祖父アンバーシャダイの血が騒いだとしか思えぬ。アンバーシャダイはAJCC連覇の名馬。その父は「産駒は三度変わる」と評されたノーザンテーストである。

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令和の家康を明日のAJCCに探すとすればエヒトをおいてほかにいまい。ほろ苦のデビュー戦。格下を承知で挑んだチャレンジC。三方ヶ原の敗北。そして七夕の勝利。父・ルーラーシップもAJCCの勝ち馬という点で「家柄」も申し分ない。苦楽を共にした田中勝春騎手は、さしずめ本多忠勝といったところであろう。明日のAJCCを足掛かりに天下を獲れ!

 

 

***** 2023/1/21 *****

 

 

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2023年1月20日 (金)

早生まれの功罪

ボチボチ馬産地から仔馬誕生の便りが届く頃合いである。先日はウオッカとダイワスカーレットの血を引く仔馬が誕生したと話題になった。

かつては1月中に生まれる馬は珍しい存在だったが、種付け~出産の時期は年々早期化する傾向にあり、生まれたばかりの子馬が雪に覆われた放牧地の上を飛び跳ねる光景も見慣れた感がある。

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早生まれの馬が増えたのは、2歳春から競馬で走らせることを考えればこそ。2月生まれと5月生まれでは、人間でいえばおよそ1歳の違いがあるのだから、早い時期の2歳戦では早生まれの方が断然有利   。一昔前まではこうした理由による早生まれ馬が圧倒的に多かった。

当歳セールの存在も無視できない。当歳だからまずは血統が重視されるわけだが、ディープインパクトが「小さいから」という理由だけで1億に到達しなかったように、最高ランクの血統馬がズラリと並ぶセールでは馬体が大きく見栄えがする方が価格も高騰する。7月に行われるセレクトセール当歳では、1月生まれの当歳と6月生まれの当歳ではまるで大きさが違うし、早生まれ馬は産毛も完全に抜けて毛ヅヤもピカピカ。売る側にとっては、生まれの早さは大きなアドバンテージとなる。

さらに種牡馬サイドの事情もある。一部の種牡馬に配合申込が集中し、1シーズンに250頭もの牝馬と交配する種牡馬も珍しくない時代である。そうなると以前のように4月から種付けをスタートしていたのでは数をこなしきれないから、2月の声と同時に種付けが開始されることになる。

サラブレッドの妊娠期間は約330日。2月1日に種付けして受胎すると出産予定日は1月1日となる。馬の年齢は「数え」だから、万一12月中に誕生してしまったら前の世代と競馬をしなくてはならないので致命的な不利になる。そのリスクを抱えながらも、生産者は早い時期の出産にギリギリまで挑んでいる。

一方で、本来ウマは地面に青草が生え揃う春に出産する動物である。自然の中で暮らす北海道和種(ドサンコ)などを見れば一目瞭然で、雪の上に子馬を生み落とすことなどまずない。寒さが子馬の健康に及ぼす影響や採餌環境に従えば自然とそうなるのだろうが、暖かい馬房と十分な飼い葉が与えられているサラブレッドの場合、早生まれだからといって子馬の飼育上さほど問題はないのかもしれない。

しかし、冬と春の出産でまるで違いがないかと言えばそうとも言い切れぬ。特に子馬の行動にははっきりとした差が現れる。

早生まれの子馬は、生後しばらくして放牧に出されるようになっても、放牧地は雪に覆われていることがほとんど。同じ生後1ヶ月の子馬の放牧の様子を比較すると、1月生まれの子馬の放牧時間中の総移動距離は3月生まれの子馬の半分以下。さらに、ただ立っているだけの時間の比較では、1月生まれは3月生まれの6倍以上の時間を「じっと立っているだけ」に費やしているという調査結果が出ている。

前者の「総移動距離」はそのまま「運動量」に置き換えることができ、後者の「立っているだけの時間」の比較は「運動」と「休憩」のメリハリの問題に帰着する。

「馬は横になって眠らない」などと言われることもあるが決してそんなことはなく、疲労が溜まっていれば横になって眠る。特に体力が備わっていないくせにあちこち走り回る子馬は疲れるのも早く、放牧地の真ん中で横になってぐうぐう寝ていることが多い。

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睡眠には、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」がある。より重要なのは深い睡眠でることに人間と馬の区別はない。脳の休養はもとよりノンレム睡眠時に分泌される成長ホルモンが欠かせないのである。馬の場合、横臥姿勢での睡眠こそがノンレム睡眠に相当する。放牧地で横になってイノセントな寝息を立てている子馬の体内では、成長ホルモンが疲労を回復させ身体形成を進めているわけだ。

ところが、一面雪に覆われた放牧地では、子馬が横臥姿勢をとる時間は減少する。すなわち貴重なノンレム睡眠は奪われ、成長ホルモンの分泌も阻害されると言われている。

近年のサラブレッドは昔に比べて弱くなっている―――。そんなことを指摘する研究者もいる。先述のようにウマという生き物の多くは草が生えそろった季節に出産する生き物であるのに、それを雪上に放つ功罪を、動物福祉という観点でも考えたい。

 

 

***** 2023/1/20 *****

 

 

 

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2023年1月19日 (木)

初ダートの試練

東海Sにアイアンバローズが出馬投票してきた。ステイヤーズSと阪神大賞典での2着が光るステイヤー。ただ重賞タイトルにはあと一歩のところで手が届いていない。キャリア23戦目でのダート初挑戦。父・オルフェーヴルといえばBCディスタフのマルシュロレーヌを筆頭に、先月の東京大賞典を勝ったウシュバテソーロなどダートの大物を輩出することで知られる。

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そしたら皐月賞馬ジオグラフもフェブラリーSを視野に入れていると言い出した。ダートへの挑戦が話題になるのはこの季節の風物詩とはいえ、クラシックを勝った馬が翌年の始動戦をダートに定めるというのは聞いたことが無い。あくまでサウジカップに選出されなかった場合の保険という建付けだが、そのサウジカップにしてもダートである。

最近では競走馬の大半がダートOKの血統背景を持つ。加えて芝でも、ダートでも、そしてオールウェザーでも、コースを問わず常に最高のパフォーマンスを繰り出す馬こそが真のチャンピオンだとする考えが世界の共通認識になりつつある。そんな潮流に沿ったものだと思えば、アイアンバローズやジオグラフの挑戦も決して無謀とは言えない。特にフェブラリーSに関して言えば、これまでも毎年のように芝の重賞ウイナーたちがダート初挑戦になるにもかかわらず挑み続けてきた。

だがその一方で、フェブラリーSでダート初挑戦の馬が勝利を収めたことがないことも、動かしようのない事実なのである。いくら芝で活躍していたとしても、いきなりダートのGⅠ級を相手に、勝ち負けするのは簡単ではない。

2017 デニムアンドルビー 16着
2013 カレンブラックヒル 15着
2012 グランプリボス   12着
2010 ローレルゲレイロ   7着
   リーチザクラウン  10着
   レッドスパーダ   12着
   スーパーホーネット 15着
2009 ダイワスカーレット  回避
2008 ヴィクトリー    15着
2007 オレハマッテルゼ  16着
2001 トゥザヴィクトリー  3着
2000 シンボリインディ   9着
   キングヘイロー   13着
1999 ビッグサンデー    9着
1998 ブレーブテンダー  11着
   イナズマタカオー  16着
1997 マイネルブリッジ  12着

1991年のこのレース(当時はハンデGⅢ)を勝ったナリタハヤブサは、今となっては伝説的な「ダートの鬼」。60.5キロを背負いながらダート1600mの日本レコード1分34秒5をたたき出したことでも知られる。だが実はこの馬、4歳秋まではずっと芝路線を歩んでいたことをご存じだろうか。ダート初挑戦は4歳冬のウインターS。それも6番人気と低評価だった。しかし、いきなりレコードタイムで重賞初制覇を飾ると、返す刀で続くフェブラリーHでもレコード勝ちを納めてしまう。

クロフネが東京ダート1600mを1分33秒3という芝並みのコースレコードで独走したのも、エスポワールシチーが小倉ダート1700mで後続を7馬身も千切り捨てて圧勝したのも、両者にしてみれば初ダートの一戦。のちにダートのチャンピオンにまで昇り詰めるような馬は、初めてのダート戦でいきなりその能力の片鱗を見せてきた。

彼らの「初ダート」のシーンを振り返るとき、ダートのチャンピオンたる資質を秘めていたにもかかわらず、その適性が試されることのないまま「普通に強い馬」として引退していった強豪馬の存在を考えないわけにいかない。もしダイワスカーレットのフェブラリーS出走が実現していたら歴史的な圧勝劇を演じていたかもしれないし、エルコンドルパサーがダート路線を突き進んでいたら全米チャンピオンになっていた可能性だってある。馬券的な問題はさておき、アイアンバローズやジオグリフの初ダートに注目しよう。

 

 

***** 2023/1/19 *****

 

 

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2023年1月18日 (水)

いなり寿司の世界

先週土曜のこと。愛知杯を観終えて豊橋へと向かう途中、豊川稲荷に立ち寄った。

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―――と言うか、中京競馬場前駅で飛び乗った電車が滅多に来ないはずの豊川稲荷行きの急行だったようで、何も考えずに座っていれば豊橋に着くものと思い込んでいた私が気付いた時には既に豊川稲荷駅に連れて来られていたと言うのが実際のところ。途中から単線になったからおかしいとは思ったのだが、これも何かの縁に違いない。せっかくだからお参りをしていこう。

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豊川稲荷は日本三大稲荷のひとつだが、京都の伏見稲荷のような神社ではなく、仏教系稲荷の代表格。なので正式には妙厳寺と呼ばれる。お寺なのに鳥居があること自体不思議だが、創建された1441年当時はそういうものだった。最も奥に位置する霊狐塚は、小高い塚を圧倒的な数の狐の石像が埋めている。ちょっとしたミステリーゾーン。周囲には誰ひとりおらず、冬の早い夕暮れも手伝ってちょっと怖い。昨今流行りのキツネダンスの世界とは明らかに趣が異なる。

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駅に向かう参道にはいなり寿司の店が軒を並べている。わさびいなりや天ぷらいなりなど、各店ともいろいろ工夫を凝らしているようだ。一折買ってさっそく食べてみると、瞬く間に口の中に甘い香りが広がり、ハスのシャキッとした歯ざわりが心地よい。天ぷらいなりは天むすに近いだろうか。ただ東京で食べるおいなりさんに比べると揚げの味付けが薄い。土地柄を考えると意外な気もする。味噌カツいなりはダメなんだろうか。近所のコンビニでは味噌カツのおむすびを売っているというのに……。

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ただ、あまりにラディカルに過ぎるのも困る。以前にも紹介したが、埼玉県春日部市内のスーパーの総菜売場に、こんな商品札を発見したことがあるのだ。

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競馬好きなら誰しも「おいなりさん」と「イナリワン」を引っかけてみたくなるものである。その気持ちは分かる。分かるのだが、そこをグッと堪え、敢えて無関心を装うのが、真の競馬ファンの姿ではあるまいか。

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「ちょっと店長さん! この“いなりワン”の“ワン”っていったいどういう意味なのよ? だって、“ワン”なのに、どう見たって4個入りじゃないの! ちゃんと説明しなさいよ!」

―――なんてしつこく聞きたがるオバちゃんとかいないのかな?

そう思いながらしばらく売り場の様子を眺めていたのだけど、残念ながらそのようなお客さんはいなかった。いやそれどころか、何のためらいもなく手に取ってかごに入れていく姿に唖然とするばかり。4個で98円は安いですけどね。でもお客さん、それ、いなり寿司じゃなくてイナリワンでっせ。

 

 

***** 2023/1/18 *****

 

 

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2023年1月17日 (火)

28年前のAJCCを思い出そう

今週のAJCCに登録があるGⅠホースはユーバーレーベンただ一頭。オークス馬だから格上である。ただ、このレース、なぜか牝馬に厳しい。AJCCを制した牝馬と言えばメジロモントレー。63回の歴史でこの一頭のみという事実がその厳しさの何よりの証明だ。ダンスパートナーも、エリモエクセルも、ティコティコタックも勝てなかった。

「ホクトベガも2着でしたよね」

そう言う私に、関西のベテラン馬券師は首をかしげた。そして「覚えてへんわ」と言う。

それは1995年1月22日のAJCC。1月の中山には珍しく、雨のそぼ降る薄暗い日だった。1着サクラチトセオー。2着ホクトベガ、3着ステージチャンプ。普通ならごくありふれた冬場のGⅡ戦だが、この日の競馬場には、普段とは致命的に違う空気が漂っていた気がする。

なぜか? 本来なら同時開催されているはずの京都競馬が中止されていたからにほかなんらい。その5日前に発生した阪神大震災により、競馬開催のみならず、関西地区の場外馬券売り場での馬券発売も中止。いわば東日本大震災とまったく逆のことが、このとき起きていた。

だから関西にお住まいの方が、この年のAJCCの印象を持っていないとしても仕方がない。なにせネット投票もなかった当時のこと。この週はスポーツ紙も関西発行版では競馬欄を掲載しなかった。関西から競馬が消えたと言っても過言ではない。

震災直後、被災を免れた競馬場で重賞を勝った馬が、その1年間を通じて活躍する―――。10年ほど前、我々はそんな一頭に巡り合っている。東日本大震災直後に阪神競馬場に場所を移して行われたスプリングSで重賞初制覇を飾り、そのままクラシック3冠と有馬記念を勝ったあの馬。そうオルフェーヴルである。

AJCCを勝ったサクラチトセオーは中山記念、安田記念、宝塚記念でいずれも1番人気に押されるが、あと一歩のところで勝利を逃してしまう。しかし、秋の天皇賞でついに悲願達成。直前に調教師転身を発表し、「騎手人生最後の盾」と退路を断ってレースに臨んだ小島太騎手の執念が実った瞬間。見る側にも鬼気が伝わるほど、まさしく怒濤の追い込みだった。

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この年のサクラチトセオーの成績は7戦して【2,2,1,2】。GⅠとGⅡをそれぞれ1勝ずつだから、オルフェーヴルの成績には及ばないかもしれない。とはいえ、前年の3冠馬ナリタブライアンが不振を極めたこの年、震災直後の競馬界を支える存在であったことは間違いない。実際、最優秀5歳以上牡馬にも選ばれた。ちなみにAJCC2着のホクトベガも、この年の7月に行われたエンプレス杯を大差で圧勝。ドバイワールドカップの悲劇へとつながる伝説が始まったのも、1995年の出来事だった。

今日1月17日は28年前に阪神大震災が起きた日。これまであまり意識しないで生きてきたが、いざ関西で暮らすようになるとそうもいかなくなってくる。鎮魂と祈りの一日に、サクラチトセオーとホクトベガの2頭に想いを寄せるのも悪くあるまい。

 

 

***** 2023/1/17 *****

 

 

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2023年1月16日 (月)

どうする新春杯

昨日、豊橋から中京競馬場に向かう途中、岡崎市に立ち寄った。東岡崎駅で降りてバスに乗る。乗客は私ひとりである。それが意外だった。折しも大河ドラマ「どうする家康」が始まったばかり。バスが向かう先は昨日の第2話の舞台になった大樹寺である。

念のために書いておくが「大樹」は「ダイジュ」と読む。決して「タイキ」ではない。このブログを読んでいる人は競馬ファンばかりだから、念のために特記しておく。ともあれここ大樹寺は松平氏の菩提寺であり、歴代当主の墓や歴代将軍の位牌が安置されていることで有名。室町時代に建てられたという多宝塔の美しさでも知られる。

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桶狭間の戦いで今川義元が討たれると、徳川家康はわずかな手勢を引き連れてここ大樹寺に入った。しかし追撃の手が寺を囲んで、もはや逃げることはできない。

観念した家康は先祖の松平八代墓前で自害して果てる決意を固めたが、住職の登誉天室に説得され「厭離穢土 欣求浄土」の教えを授かる。これによって家康は生き延びる決意を固めた。これが「家康は岡崎で二度生まれた」と言われる所以。昨日の大河ドラマでは登誉天室ではなく、のちの徳川四天王のひとり榊原康政から「厭離穢土 欣求浄土」の意味を教えられていた。そこはドラマだから仕方ない。ともあれ、以後家康はこの言葉を旗印に使うことになる。

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ドラマでは大樹寺を脱出した家康は3キロ南に離れた岡崎城を目指すが、私はうどん屋を目指した。岡崎公園前駅近くにある「大正庵釜春本店」。「釜揚げうどん発祥の店」という、とてつもなく大きな看板を背負っている人気店だが、私の目当ては釜揚げうどんでなければ、名物の味噌煮込みうどんでもない。それがこちら。

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「もろこしうどん」です。地元の「おかざきめし総選挙」とういイベントで1位を獲得し、その勢いを駆って昨年のご当地うどんサミットにも出店していた。京都の「けいらんうどん」のような溶き卵にとうもろこしが大量投入されている。溶き卵ととうもろこしの甘さがしっかり絡み合った味わいは口に優しい。B級グルメとはこういうものだろう。

徳川家康と逆のルートをたどって桶狭間(中京競馬場)に向かう。電車に揺られること30分。車窓を眺めながら、この長い道のりを敗走した家康に思いを馳せた。思えば私も桶狭間では負け戦ばかり繰り返している。どうする愛知杯。どうする日経新春杯。大事な局面でことごとく決断を誤りがちな私は、昨日も最後の最後でヴェルトライゼンデからロバートソンキーに寝返り大敗北。「もう嫌じゃーっ!」と心の中で叫びながら大阪への長い道のりを敗走した。家康の気持ちがよくわかる。でも切腹は痛いのでしたくない。来週からは私も「厭離穢土 欣求浄土」の旗を掲げて競馬場に出陣することにしようか。

 

 

***** 2023/1/16 *****

 

 

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2023年1月15日 (日)

59キロを背負って

中京は昨日に引き続き道悪競馬。10レースから「稍重」まで回復したとはいえ、内ラチ沿いは相当荒れているようで、直線で外に持ち出す馬の伸び脚が目立つ。その10レース紅梅Sも逃げた1番人気サンティーテソーロは直線で早々と失速。D.イーガン騎乗の4番人気ダルエスサラームが外から豪快に差し切った。

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道悪が二日連続なら、ハンデ重賞も二日連続。昨日はトップハンデ56.5キロを背負ったマリアエレーナが、2番人気で3着に敗れた。牝馬が平地のハンデ戦で56kgを超える重量を克服した例は少ない。2009年愛知杯のリトルアマポーラが56.5キロで勝ったのが最後。だだ、マリアエレーナの手綱を取った松山騎手は、敗因は道悪であるとし、斤量には触れなかった。

となれば今日の日経新春杯も斤量に神経を尖らす必要はないのかもしれない。私が気にしているのは大方の皆さんと同じくヴェルトライゼンデの59キロである。芝のハンデ重賞で59キロでの勝利は2006年七夕賞のメイショウカイドウが最後だ。

今年から負担重量が1キロ増量されているのはご存知の通り。それはハンデ戦も例外ではない。……というよりハンデ戦の斤量底上げが目的のひとつ。「だから59キロと言っても昨年までの58キロと同じこと」という理屈は分からないでもないが、ヴェルトライゼンデは58キロの経験もない。それでこの道悪をこなせるだろうか。

あとから思い返せば完全なる杞憂である。道中4〜5番手を進んだヴェルトライゼンデは直線で外目に持ち出すと、ゴール寸前で計ったように差し切った。鞍上はまたもやイーガン。勝負服も同じ。まるで10レースのVTRのようなゴール前だったが、追い出されてから差し切るまで思いのほか手間取ったように見えたのは初めて背負う59キロのせいかもしれない。それでも抜け出すとソラを使う癖を追い切りで掴んでいたというイーガン騎手にすれば好都合だった可能性もある。

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ヴェルトライゼンデの父・ドリームジャーニーは4度の59キロで勝ち星こそなかったものの(0,2,2,0)と崩れなかった。さらにその父・ステイゴールドは58.5キロのトップハンデを背負って2001年の日経新春杯を勝っている。ナカヤマフェスタやオルフェーヴルが、59.5キロを背負わされる凱旋門賞で好走を繰り返したことと果たして無関係なのだろうか。

ヴェルトライゼンデ。その一見難しい馬名はドイツ語で「世界旅行者」という意味だそうだ。海外では59キロ以上を背負うことも珍しくない。ステイゴールドはトップハンデの日経新春杯を勝った次走にドバイシーマクラシックを勝った。59キロで結果を出したヴェルトライゼンデの展望も明るい。屈腱炎による1年4か月ものブランクを克服した馬が海外で結果を残せば、我が国初の快挙だ。

 

 

***** 2023/1/15 *****

 

 

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2023年1月14日 (土)

豊橋カレーうどん

季節外れの暖かさに誘われて中京競馬場にやって来た。朝からの雨も昼過ぎにはあがって愛知杯の頃には薄日も差し込む好天。それでも馬場は水分をたっぷり含んだ重馬場に多くの馬が四苦八苦する中、勝ったアートハウスだけは上がり33秒台の脚を繰り出すのだから他馬は為す術もない。

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明日は日経新春杯が行われる。いったん大阪に戻るよりは泊まってしまった方がラクだし安い。どうせなら訪れたことのない街に泊まろう。それで中京競馬場前駅から逆方向の電車に飛び乗った。たどり着いた先は豊橋。降り立ったことはもちろん、停車の記憶すらほとんどない。私にとっては、ただ通過するだけの駅。はるか昔、西へ向かう夜行列車が深夜に時間調整を兼ねてやたら長く停車していた―――そんな印象が強い。

ホテルのフロントで教えてもらったうどん屋さんを訪れた。かつては小麦の産地でもあった豊橋市内には、うどん店が多いそうだ。

お店のイチ押しだというカレーうどんを注文。麺は名古屋で食される味噌煮込みうどんの麺に比べれば若干細く、カレーはそこそこ辛い。ダシが効いたいわゆる蕎麦屋のカレーうどんだ。

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食べ進めるうちに姿を現したのは……む? とろろ?

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さらにその下から白メシも出現。あろうことか、いつの間にかワタシはとろろカツカレー丼を食べていたのである。

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ご飯、とろろ、カレーうどんの3層構造。これこそが豊橋のご当地うどん「豊橋カレーうどん」の大きな特徴。さらに自家製麺であることや、日本一の産地であるウズラの卵を使うなど5か条の約束事を守りさえすれば、あとは店がどんな工夫を凝らしても構わない。食べる側の注意点はただひとつ。かきまぜ厳禁である。

このメニューが生まれたのは2010年と意外に若い。地元に名物うどんをというプロジェクトのリーダーを務めた、こちらの「玉川」のご主人が、市役所の職員から「残業の時はカレーうどんとご飯を一緒に食べている」というエピソードを聞いたのが誕生のきっかけになったそうだ。

これを面白いと思うか。あるいは邪道と捉えるか。評価は分かれるに違いない。2011年前から始まった「全国ご当地うどんサミット」に4年連続出品して、3位、2位、4位、3位という投票結果がそんな微妙な立場を映し出している。それでもご当地うどん界のステイゴールド的存在として豊橋の地に根付こうとしているなら、それはそれで素敵なことではないですか。明日の日経新春杯はアフリカンゴールド(父・ステイゴールド)で勝負してみようか。

 

 

***** 2023/1/14 *****

 

 

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2023年1月13日 (金)

サザエさんと競馬

明日の小倉メイン・壇ノ浦Sにアナゴサンが出走を予定している。むろん「サザエさん」に登場するアナゴさんが走るわけではない。ミッキーアイル産駒のアナゴサンの方。その馬名意味は「ウナギ目アナゴ科の魚+敬称」とされているが、「アナゴサン」と聞けば大半の人はマスオさんの会社同僚のアナゴさんを想像しますよねぇ。ともあれ馬の方のアナゴサンは明けて5歳になった。ちなみに「サザエさん」の方のアナゴさんは27歳の設定なんだとか。意外に若い。

Anago

数年前には「ナミヘイ」という馬がJRAで走っていた。アフリート産駒の牡馬。2代母がグッバイヘイローだから、キングヘイローの甥ということになる。決して安い血統ではない。それにしてもよく馬名審査通ったな……と思いつつJRAのサイトで名前の由来を調べたら、「平地を波に乗って走る」とあった。よく分らん。まあ、こちらの馬名も「磯野波平」を連想するのが普通の感覚ではあるまいか。

その波平さん役の声優・永井一郎さんが亡くなってから9年になる。当時の私は、磯野波平さんが死んでしまったような錯覚を覚えたものだ。

「本当に寂しい気持ちでいっぱい」。永井さんの訃報にすぐさまコメントを寄せたのはサザエ役の声優・加藤みどりさんだった。その記事で、加藤みどりさんが当時74歳だと知って驚いた記憶がある。それが9年前の出来事なのだからつまり今年で83歳。アニメ「サザエさん」の放送開始は1969年だ。コダマが2冠に輝き、スピードシンボリが1回目の有馬記念制覇を果たした年である。54年の歳月は重い。

Sazae

今でこそ鈴木淑子さんを始め、目黒貴子さんや細江純子さんなど、テレビやラジオの競馬番組で活躍する女性は珍しくないが、実は加藤みどりさんこそ女性競馬キャスターの先駆け。「サザエさん」放送開始前には、ラジオ短波で番組の進行や解説を務めていたこともある。

NHKの国際局に勤務されていたご主人に感化されて競馬にのめり込んだというその知識は、まさに玄人はだし。特に血統に詳しく、それを根拠にした馬券は良く当たると当時から評判だった。たしか数年前までラジオ中継のゲストにも出演されていたはず。いつだったか忘れたが、予想の中でおっしゃった「GⅠの池添君は別人」というフレーズが忘れがたい。声だけを聞いていうと、まるでサザエさんが予想しているように思えた。

ただし馬券は買わない。番組以外では予想も披露しなかった。「軽々しく卦を立てないのがプロ」と言ってのけるのだから、もはや達人の域に近い。一方で、競馬へのきっかけを与えたことになるご主人は、のちにプロデューサーとして名番組『世界の競馬』を世に送り出した。こちらも凄い。

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ちなみにマスオさんの趣味は競馬。自宅で競馬新聞を広げて予想したり、実際に競馬場へ行って観戦するシーンがたまに登場する。だが、基本的には馬券下手という設定になっているようで、いつも負けてばかり。なのに、波平もマスオの予想に乗っかったりするから始末に負えない。二人揃ってサザエさんに弟子入りすべきであろう。

 

 

***** 2023/1/13 *****

 

 

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2023年1月12日 (木)

【訃報】アグネスフライト

新年早々の訃報に正月気分も吹き飛んだ。2000年の日本ダービー馬アグネスフライトが亡くなったという。26歳。名手・河内洋に悲願のダービーをもたらした名馬は、その名の通り天国へと飛び立っていった。

河内騎手は騎手としては晩年の45歳でダービーを勝ったが、それを「悲願」と呼ぶには理由がある。実にはそれまでダービーでの1番人気が3度もあった。1988年サッカーボーイ(15着)、89年ロングシンホニー(5着)、そして一番自信があったのが86年のラグビーボールだったという。だが結果は4着。勝てそうな馬でも勝てないのが競馬だが、ダービーは特に難しい。競馬人にとってダービーは夢であり憧れであり目標でもある。だからこそ有力馬に乗る騎手のプレッシャーは並大抵ではない。それは競馬の怖さを知っているベテランほど強くなっていく。

アグネスフライトで挑むダービーの前日、河内騎手は土曜の騎乗をすべてキャンセルした。極限まで精神を集中させる必要があったのだろう。だが、騎乗ぶりは少しの気負いも感じさせないものだった。「この馬の普段通りのレースをするだけ」と最後方を進み、アグネスフライトの持つ爆発的な末脚にかけた。

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相手をエアシャカールただ一頭に絞り、大外に持ち出したエアシャカールのさらに外から馬体を併せるなど、なかなかできることではない。なにせ舞台はダービーである。私の観ている位置からでは、ゴールでどちらが前に出たのか正直分からなかったが、わずかだが河内騎手の口元が緩んだのが見えたとき、河内洋45歳での悲願達成を確信した。

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管理する長浜博之調教師の喜びようも忘れ難い。河内騎手が初めて勝ったクラシックが、長浜博之調教師の父・彦三郎調教師が管理したアグネスレディーでのオークス。手綱を取ったのは河内騎手だった。

彦三郎調教師の厩舎を受け継いだ博之調教師が初めて勝ったクラシックがアグネスレディーの娘・アグネスフローラの桜花賞。これもやはり河内騎手の手綱で勝っている。

その騎手がダービーだけどうしても勝てない。年齢的にもチャンスは限られてきている。ならば何とか自分の管理馬でという強い思いがあっても不思議ではない。アグネスフライトのでの喜びは自身のダービー初制覇ではなく、あくまで名騎手の悲願成就に向けられていた。

Flight3

社台ファームのこの世代の牡馬は、当歳時からアグネスフライトとエアシャカールの2頭が抜けて評価が高かったという。その2頭がダービーの舞台でマッチレースを演じるのだから凄い。エアシャカールの方は20年前、6歳の若さで亡くなっているから、天国で久しぶりの再会を果たしていることだろう。ダービー史上屈指の名勝負を我々に届けてくれた名馬の冥福を祈る。合掌。

 

 

***** 2023/1/12 *****

 

 

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2023年1月11日 (水)

鏡割りか、鏡開きか

今日は全国的に鏡開き。

―――と思ってたら、1月11日ではなく15日だったり20日に行う地域もあるらしい。実際、ここ大阪では今日になってもなお正月飾りが飾られている。しかも「日付はともかく、それを言うなら鏡割りだろ!」という主張が割り込んで、それに対して「鏡割りは樽酒じゃないのか?」とか「いやいや、あれこそ鏡開き」と議論百出して、おっさん同士の昼メシは紛糾した。

実際のところはすべて正しい。神様へのお供えものである鏡餅を刃物で切ることはタブーだから、手や木槌などで割って食べるのが慣わし。「鏡」餅を「割って」食べるのだから「鏡割り」である。ここまでは分かりやすい。だが、よくよく考えると「割る」も忌み詞で避けるべきであるから、いつしか縁起の良い「開く」という言葉に置き換わった。これは餅でも酒でも構わない。

実際には元日以前についた餅であるから、表面はカチカチに固まっている。刃物で切るにしても相当の労力が必要だ。私が子供の頃は金づちで叩き割って、ある程度の大きさに砕けたら、チリチリと焼いて汁粉に入れて食べた。さすがに雑煮にも飽きた頃合だから、甘い汁粉は正月の楽しみのひとつだった記憶がある。

そんなことを思い出しながら、コンビニでお汁粉を買って帰った。いや、実際には白玉ぜんざい。厳密には鏡開きのお汁粉とは異なるが、これ以外にないのだから仕方ない。

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かつてゼンザイという馬がいた。サウスヴィグラス産駒の牝馬。そのお母さんの名前がシラタマだから上手い。きっと白玉のごとき白い芦毛馬なのだろう―――と勝手に想像していたら、なんと栗毛だった。世の中、想像通りに物事は進まない。

Mochi_20230110224301

スーパーで売られている最近の鏡餅は、見た目は鏡餅の形をしたプラスチックで、底のフィルムをはがすと、1個ずつ小分けされた切り餅が取り出せるようになっている。確かにこの方が食べやすいことは間違いないが、包装フィルムを開く様を見た子供たちが「これが本物の鏡開き」などと誤解しやしないか。鏡餅は決して切り餅の入れ物ではない。底面にびっしりカビが生え揃った、あのおぞましき光景も、まったく知らぬというのでは少々気の毒に思える。

しかも、近年では衛生面の配慮から、鏡開きの自粛を要請する動きもあると聞いた。こうなるとますますプラスチックが幅を利かせることになる。「鏡割り」か「鏡開き」かで揉めるのは我々世代が最後ではあるまいか。どちらの言葉も死語になる日が近い。

 

 

***** 2023/1/11 *****

 

 

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2023年1月10日 (火)

最後の中山特別

今週は中京で日経新春杯が行われる。伝統のハンデGⅡ。背負い頭のヴェルトライゼンデの59キロから、最軽量54キロまで5キロの斤量差をどう扱うか。馬券を買うのにも頭を悩ますところであろう。

言うまでもなく、ハンデ戦は負担重量を調整することで、能力差の均等化をはかるレース。かつては「強い馬を弱くさせる」というスタンスでハンデが決められた時期もあり、60キロを超える負担重量も珍しくはなかった。ただ、この日経新春杯で66.5キロを背負わされたテンポイントが故障して以来、60キロを超えるハンデ設定はあまり見かけなくなっている。

だからといって、逆に「弱い馬を強くさせる」のは無理な話。だから、弱い馬は極端に軽い斤量設定をするのだが、それとて人が乗るのだから限界はある。明確な規定があるわけではないものの、去年まではJRAではオープン級の下限が48キロ、条件クラスでは50キロを運用上の下限としていた。ただ今年からは騎手の減量負担軽減のため1キロ増加される運用に変わるものと思われる。

斤量を軽くすることが馬の能力をUPさせるわけではないから、実際には下限の馬が勝ち切るというのは至難。現在も残る重賞で48キロの馬が勝った例は、この5頭しかない。

 フジミツル(日経新春杯)
 ダイニテンラン(目黒記念)
 ホッカイノーブル(ステイヤーズS)
 タフネススター(カブトヤマ記念)
 トーホウシャイン(マーメイドS)
 テイエムスパーダ(CBC賞)

生前の野平祐二氏から「最後の中山特別」の話を聞いたことを思い出した。有馬記念の前身的な年末のハンデ重賞で、1955年は中山の芝2400mに6頭の少頭数。人気は菊花賞を勝ったばかりの3歳馬・メイヂヒカリである。

それでも、ホマレオーに騎乗していた野平氏は「メイヂヒカリを負かすチャンスはある」と確信していた。菊花賞をレコード勝ちした反動。そのまま阪神大賞典を目指して関西に滞在していたのに、急遽このレースに回ってきたローテーションの狂い。そして何より61キロのハンデが、3歳馬にとって「酷量」と言えるものだったからである。

「当時はちょっと強い馬になると65キロとか66キロとか当たり前に背負わされていましたね。そうなると、どんなに強くても最後はフォームが乱れて歩いちゃうんです。荒れた馬場や雨で濡れた馬場ならなおさらです。暮れの中山の馬場は、そりゃもうひどかったですから」

実際、このレースでメイヂヒカリは最下位に敗れる。だが、勝ったのは野平氏のホマレオーではなく、最軽量……と言っても55キロのヒデホマレ。この馬、スタートから逃げて3コーナーで早くもつかまって後方に下がったのだが、直線に入ってから再び内からするすると伸びて、差し返してしまったのだという。ただ、それも野平氏の言葉を借りれば「ほかの馬が歩いた」からに過ぎない。ヒデホマレは、背負い慣れた55キロで普通に2400mを走っただけだった。

     【第9回中山特別】
 1着 ヒデホマレ  55 阿部
 2着 クリチカラ  57 森安 1馬身1/4
 3着 カネエイカン 57 高橋英
 4着 ホマレオー  57 野平祐
 5着 フアストロ  58 渡辺正
 6着 メイヂヒカリ 61 蛯名

ご覧の通り、軽量馬から斤量順に着順決定した珍しいケースである。もはやこうなると「名ハンデ」というよりは「迷ハンデ」と言わざるを得ない。

ちなみに翌年、中山特別に変わって新たに創設された馬齢重量の重賞「中山グランプリ」を勝ったのは、前年61キロのハンデに泣いたメイヂヒカリであった。この「中山グランプリ」のレース名が翌年から「有馬記念」に変更されることは、競馬ファンの多くが知るところであろう。

 

 

***** 2023/1/10 *****

 

 

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2023年1月 9日 (月)

食わず嫌い王決定戦

1月4日付けで「食わず嫌い王決定戦」の話を書きながら思い出したことがある。実は私はチョコレートが苦手。それを周囲が「おかしい」とか「ありえない」とか「人間じゃない」などとからかうので、いろんな人に嫌いなモノを聞いて回ったことがある。質問の方法は、「もし『食わず嫌い王決定戦』に出演するとしたら何を嫌いだと指定するか?」というもの。つまり他人から見れば好物だと思いそうな食材を選ばなければならない。以下、その回答の一部を紹介する。

いなり寿司(油揚げがダメ。きつねうどんは揚げ抜きで注文する。50代男性)

玉子焼き(生玉子も目玉焼きもOKなんですけど……。40代女性)

イナゴ(カニは大好きなんだけどね。40代男性)

パン(綿みたいだから。50代男性)

猿の脳味噌(こればかりはダメだなぁ。50代男性)

……って、突っ込みどころ満載やないかぁ!

きつねうどんの揚げ抜きは素うどんだろ! イナゴとカニは全く別モンだよ! 「食わず嫌い王決定戦」に猿の脳味噌が出るかぁ!

一方で、玉子焼きとかパンが食べられない人生というのも、苦難の連続だったことだろう。ともかく食べ物の好き嫌いは人それぞれということがよく分かった。ともあれチョコが嫌いだからといって、人間失格みたいな言い方はしないでほしい。

もちろん馬にも好き嫌いはある。馬の好物と言えば誰もがニンジンを思い浮かべるが、ニンジンが嫌いな馬も珍しくない。飼い葉のニンジンだけきれいに残して食べたりするあたりも人間の好き嫌いに似る。

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むしろ好物としてはリンゴ派が多いのではないか。エルコンドルパサーもリンゴ派。欧州遠征では現地のリンゴが口に合わず、慌てて日本からリンゴを取り寄せたという逸話も残る。向こうのリンゴは酸っぱいですからね。日本の甘いリンゴは馬も認める世界一の味だという実例。

甘党がいれば左党もいる。1972年春の天皇賞を勝ったベルワイドはビールの味を知っていたと言われるし、メイヂヒカリなどは人がたばこを吸うと、嬉しそうにその煙の中に首をのばしてきたという。

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他では、ホクトベガやメジロライアンはダイコンを、マヤノトップガンやニッポーテイオーはレンコンを好んだ。根菜類は馬の口に合うのかもしれない。1985年の桜花賞を勝ったエルプスはゴボウが大好物だった。なかなか大人の嗜好だけど、いったいどういう経緯でゴボウを食べさたのかが気になる。

逆に子供っぽいところではホワイトストーンのバナナ。輪切りにして飼い葉に混ぜると、最初にバナナばかりを選んで食べてしまうほど好きだったらしい。高松調教師によれば、好きなモノは後の楽しみに取っておいたりせず、真っ先に食べるタイプだったそうだ。バナナは栄養価も高く人間のアスリートも好んで摂取するくらいだから、子供っぽいと言いつつ実は理にかなった食材のような気もする。

アドラーブルやスズカコバンはキャベツを好んだ。名馬にキャベツ好きは多い。たしかコスモバルクもニンジンよりはキャベツ派だったはず。競走馬の多くが胃潰瘍を患っているという研究結果があるが、キャベツには胃炎を抑える効果がある。ただそれはあくまで人間の胃の話。馬が胃が痛いからと言ってキャベツを積極的に食べていたとは思いたくない。

 

 

***** 2023/1/9 *****

 

 

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2023年1月 8日 (日)

砂の話

昨年暮れのこと。船橋競馬のネット中継を見ていたらダートコースの砂が真っ白になっていて驚いた。

それまでは宮城県産の砂を使用してきたが、豪州産の砂を初めて導入したのだという。業界では名の知れた西オーストラリア州アルバニーの白砂。園田競馬場では2020年にすでに導入されている。関西に住むようになってあらためて園田競馬場を訪れたときに「うわぁ、関西は砂が白いんだなぁ」と感動した覚えがあるが、オーストラリアの砂を見ていたわけだ。

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ただ、園田競馬が白い砂を導入したのは見た目が美しいという理由からではない。それはちょうど3年前、2020年の1月8日に起きた。水が浮く不良馬場で行われた1Rで出走馬の1頭が故障発生して競走中止に。2Rこそ全馬無事に完走したが、3Rで吉村智洋騎手のアスクヴションが3コーナー過ぎに馬場に脚を取られて落馬。後続の鴨宮祥行騎手のココリガストンと長谷部駿弥騎手が乗るマーヴェラスデーも避けきれず相次いで落馬するアクシデントが発生したのである。重大事故が相次いだことを受け、主催者はこの日の4R以降をすべて中止せざるを得なかった。

この日は未明までに20ミリの雨が降ったが、特別な大雨というほどではない。ただ、園田競馬は2012年の姫路競馬の休止に伴い、8年間に渡り毎週休むことなく競馬が行われていたため、コースのメンテナンスに手が回らず極端に水はけが悪くなっていた。事態を重く見た主催者は水はけが良く、競走馬が全速力で走っても潰れにくいアルバニー産白砂の導入を決めたという。その白さに最初は騎手たちも最初は「眩しい」と戸惑ったそうだが、今では「そのきんナイター」のカクテル光線に映える園田競馬の名物にもなっている。

船橋競馬が白砂を導入したのも馬のため。そもそも東日本大震災の被災地でもあった船橋競馬場のコースは揺れによって高低差が生じ、水はけも悪くなっていた。今年8月から全面的な回収を行っていた。従来は宮城県産の山砂を使っていた表層のクッション砂も、これを機に園田で馬の故障率低減の実績を残しているアルバニー産白砂に変更したという。

大井競馬でも2020年4月に砂の産地を変更している。ただ、それまでは青森県下北半島産だったのが青森県つがる市に変わっただけ。ただ、下北半島の砂は黄色に近い茶色だったのだが、今回の入れ替えでそれよりは白っぽくなったそうだ。写真を撮る立場からすれば、やはり砂は白い方が良い。太陽の光やカクテル光線に照らされて舞い上がる砂塵の美しさは、競馬そのものの美しさを裏打ちしているように思う。

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ちなみに、かつては名古屋と笠松の砂が白いことで有名だった。使われていたのは地元瀬戸市産。ほかにもJRAは青森県六ケ所村から調達しているし、盛岡は宮城県の山砂、高知は地元の海砂、佐賀は中国産の白砂、廃止になった荒尾では長崎県壱岐島の砂を使っていたと聞く。砂が競走馬に与える影響は決してゼロではあるまい。芝の質や品種ほど話題にならない砂だが、じっくり向き合ってみるのも悪くないような気がする。

 

 

***** 2023/1/8 *****

 

 

 

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2023年1月 7日 (土)

コロッケは最強だ

揚げ物の話が続く。今日はコロッケの話。コロッケは好きですか?

揚げたてのコロッケが美味いことを、くどくど書き立てる必要はあるまい。アツアツをそのまま噛っても良いが、揚げたてをパンに挟んでかぶりつくあの旨さも捨て難いものがある。昔は東京競馬場に行く前に府中本町駅前のイトーヨーカ堂に立ち寄り、惣菜のコロッケとコッペパンを買ってから競馬場入りしていた。正真正銘の「揚げたて」ではないが、競馬場の広い芝生の上で頬張るコロッケパンの旨さは、他に比べるものがない。間違いなく場内のあらゆるメニューを凌駕していた。

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いま私が住んでいる近所の商店街の一角に大人気のコロッケ専門店がある。その名も「中村屋」。関西の人気TV番組「ごぶごぶ」に何度も登場しているから、食べたことはなくても店の名は知っているという人も多いかもしれない。間口わずか1間ほどの店先からは、揚げ油の香ばしい匂いが漂い、開店前から閉店まで行列が途切れることがない。

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メニュー表には「ミンチカツ」や「トンカツ」といった記載もあるが、ほとんどの客が買い求めるのはコロッケ。最近また値上げされたが、それでも1個90円。1個だけ買ってすぐに口に運ぶ人がいる一方、10個、20個と大量買いする人もいる。TVで見聞きした情報では一日に3000個も売れるらしい。その味付けは企業秘密だという。

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買ったばかりの熱々のコロッケを頬張る。衣はカリっと、そして中身のジャガイモはホクホクと甘く、その奥にほのかにピリっとした辛みを感じて、それがまたジャガイモの甘さを引き立てる。ジャガイモ好きとしては、このタイプのコロッケがいちばんうまい。カレーやカボチャは邪道。お肉もコーンもいらない。ジャガイモだけが良い。

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ここでコロッケを買い込んでから競馬場に行くこともある。園田なら場内の「つるまるうどん」でかけうどんを買って、中村屋のコロッケを載せれば、即席の「コロッケうどん」の完成だ。うどん・そばにコロッケを載せるのは関東の文化かと思っていたが、そのルーツは意外にも大阪にあるらしい。もちろん諸説あり。でも、大阪で食べるコロッケうどんのコロッケは、それ単体で食べても総じて美味しい。

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写真は中崎町にある讃岐うどんの名店「今雪」のコロッケうどん。2個で400円とトッピングとしては少々値が張るが、これが滅法美味いのである。

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昼どきは玉子かけご飯がサービスで付くので、ひとつはそのご飯のおかずとして、そしてもうひとつはうどんに乗せたまま楽しみたい。イリコ、サバ節、利尻昆布の旨味たっぷりのダシを吸った衣の美味さは出色。とはいえサクッとした歯触りも捨て難い。この店は週3で通うほどのお気に入り。もちろんうどん目当てなのだが、実はコロッケを食べに行っているのかもしれない。

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***** 2023/1/7 *****

 

 

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2023年1月 6日 (金)

ビフカツは文化だ

カツの話を続ける。

トンカツも好きだが、それにも増してビーフカツが好物である。「ギュウカツ」と書くといわゆる「串カツ」のイメージがあるので、ここでは明確に両者を分けておく。私が好きなのは、ステーキ用の牛肉にパン粉を着けて、レア程度にサッと揚げたビーフカツの方。関西では「ビフカツ」と言うんですね。

ともあれ、東京ではビフカツを出してくれる店がなくて困っていたのだが、大阪に来てその悩みはなくなった。そこは牛肉文化の関西。美味しいビフカツを出してくれる店が、そこかしこにある。さすがは関西は馬のレベルだけでなく食のレベルも高い。

ウインズ梅田A館から国道を挟んだ向かいに「勝牛」という縁起良さげなビフカツ専門店があって、ウインズへの行き帰りに何度かお世話になった。ミディアムレアの牛肉をわさび醤油で食べるから意外にもあっさりイケる。ここはキャベツ、赤だし、白飯がおかわり自由であることが有難いのだが、どういうわけか「カレー出汁」がソースとして用意されていて、それをおかずに白飯が食べられてしまうという危険性も孕んでいる。最終的に「あー、カレー食った」ではせっかくのビフカツに申し訳ない。

Bifkatsu

東京にもたまに足を運ぶ店があった。人形町にある「そよいち」。この店のビフカツはカツが2枚で1人前である。多過ぎるという方にはハーフサイズメニューもあるから、そちらを頼むと良い。私の個人的な好みを言わせてもらえれば、1枚で良いからもう少し肉を厚くして欲しいと思う。肉が薄いと、レアの状態にならずせっかくの牛肉の味わいに欠けてしまう。だが、そのためには肉のランクを上げなくてはならず、価格設定の都合上難しいのも事実。サラリーマン相手のランチメニューで、3千円取るわけにもいくまい。

Soyoichi

誤解しないで欲しいのだけど、美味しくないと言ってるのではない。わざわざ電車に乗って食べに行ってたのだから美味しいと思っていた。ただ、大阪に住んでみると、その違いに歴然としてしまうのである。

つまるところ文化の違いなのであろう。東京でビフカツの話をすると、大半の相手は「牛肉を揚げちゃうなんてもったいない」と言う。「カツはステーキに劣る」という固定観念の払拭は簡単ではない。

東京でビフカツを出す店が増えないのは、旨い不味いではなく、固定観念との戦いを強いられるからであろう。それでも敢えて厳しい戦いに挑む「そよいち」のようなお店には、敬意を表す意味でもマメに足を運びたいのである。

 

 

***** 2023/1/6 *****

 

 

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2023年1月 5日 (木)

トンカツは哲学だ

正月も東西の金杯が終われば、またいつもの日常が戻ってくる。正月料理に飽きた口に揚げ物のが恋しくなるのもこの頃合い。分厚いトンカツをおかずに白飯をかき込みたくなる。

競馬場の食堂のメニューにトンカツは欠かすことはできない。その理由は言うまでもなくゲン担ぎ。「勝つライス」「勝つ丼」「勝つカレー」と、語呂合わせのままメニュー書きしている店も珍しくはない。

かつて競馬場でよく顔を合わせたベテランの馬券仲間も、昼食には必ずトンカツを食べていた。午前最後のレースを見届けるや素早く食堂の列に並び、トンカツ定食の食券を購入するのである。そこには些かの躊躇も迷いもない。レジでは「トンカツ」とだけ言い、食べ終えると「あー美味かった。“勝つ”食って“馬勝った”だ。ハッハッハ」と、笑いながら午後のパドックに消えていった。

彼は40年以上の馬券歴を誇り、府中・中山の開催時は競馬場での観戦を欠かさなかったから、ざっと計算しただけでも1500食は競馬場のトンカツを食べている計算になる。それだけ続けているのだから、それなりに御利益はあるのだろう。ただ、10年ほど前の冬の府中を最後にその姿を見ていない。ちょっとばかり心配ではある。

なんでこんなトンカツの話を書き連ねているのかと言うと、昨年末に食べたトンカツが衝撃的に旨かったのである。

我が家から歩いて数分の距離にある「とんかつ 真」。ちょいちょい店の前を通るのだが、閉まっていることが多く、たまに営業していると思ったら長い行列ができている。ネットで調べても定休日も営業時間も書いてない。ところがその日は運よく暖簾が出ているのに行列がなかった。しかし私は直前に昼飯を済ませたばかりである。てんぷら定食。しかもご飯をおかわりしてしまっている。でも、このチャンスを逃したら次はあるまい。私は迷わず暖簾をくぐった。

注文したのは上ロースカツ定食。オーダーが入ってからロース肉を分厚くカットして、パン粉をまぶしたのち、じっくり揚げられる。その衣はサックリ心地よく、ほんのりピンク色のロース肉はとことん柔らかく、しかるのちに脂の旨味がジュワーッと口の中いっぱいに広がる、まさに至福の一品。牛肉文化の関西に、ここまで旨いトンカツがあるとは驚きだ。

Tonkatsu

注文すると香の物とポン酢が運ばれてくるが、カウンターにはさらに岩塩、醤油、トンカツソースが用意されている。ここまで立派なトンカツだと塩で食べるのがツウっぽく感じられる。実際それが旨いのである。しかし白飯のおかずとなるとやはりソースに優位性があるし、わざわざ運ばれてくるポン酢も捨てがたい。

う~む、これは難しい。私はトンカツを前にしてしばし考え込んだ。

ソースによって失うものもあれば得られるものもある―――。

これは哲学にも近い。1500食も食べ続ける人がいるのも、それが哲学だと思えば、なんとなくわかるような気がした。2023年を通じての課題としよう。

 

 

***** 2023/1/5 *****

 

 

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2023年1月 4日 (水)

じゃこ買いに

いいかげん園田に行くのにも飽きてきたので、梅田から乗る電車を変えて京都へ。年末年始に通い詰めた園田での馬券成績は散々だった。これ以上負けを増やすわけにもいかないから、神頼みに走ることにする。3が日を過ぎれば初詣客も少なかろう。

ただし向かった先は金運で有名な御金神社でなければ、勝負運の藤森神社でもない。疫病消除を願う祇園信仰の総本山・八坂神社。そこで願うは新型コロナ退散である。新型コロナの世も4年目に突入となれば、オノレの馬券のことばかりを願うほど自分勝手ではいられない。―――と言うより、私の馬券下手は京都の名だたる神仏の力をもってしても、救いようがない気がしてならないのである。

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初詣を終えて東大路通りを下る。「馬町」という見落としようが無い名前の交差点を左折してしばらく進むと、左手に「かむら」という看板が見えてきた。

知る人ぞ知る「おじゃこ」の専門店。京都の食卓におじゃこは欠かせないが、こちらは2006年にTV番組「とんねるずのみなさんのおかげした」の名物企画「食わず嫌い王決定戦」に登場した伊東四朗さんの❝おみや❞で話題になった。その名も「とうがらしおじゃこ」。京都名物のちりめん山椒は山椒で風味付けしてあるが、ここでは山椒の代わりに唐辛子を使う。だから辛い。でも、それが癖になる。

Ojako

かつては取り寄せでしか手に入らず、届くまで数か月待たなければならなかったが、2008年にこの地に小売店が出来たおかげで直接購入が可能になった。それで関西に住むようになったことを幸いに、ちょいちょい買いに来ているのである。水曜日は本来なら定休日なのだが、お年賀を含めて大量購入。かさばらないし日持ちもする(冷蔵で2週間)ので、お年賀にはもってこいだ。―――なんて、店を開けていただいたお礼に宣伝しておくが、これは決して嘘でも誇張でもない。そしてこのお年賀をもらった相手はたいそう喜ぶ。

この近所には晴間オーナーが経営するちりめんじゃこ専門店もある。所有馬に「ジャコ」の冠名を付けることで有名。一昨年の天皇賞(春)に出走したジャコマルが出世頭だが、JRA4勝で園田でも活躍したジャコカッテも印象深い。

その一風変わった馬名の意味は「冠名+勝って」だそうだが、パッと聞けば「じゃこ買って」と聞こえる。ゴルゴ松本さんは自身が出演する競馬番組の中で「もっと良いもの勝ってもらいなさい」とコメントしていた。オーナーとしては「勝って」ほしいし、「買って」ほしくもある。そういう意味では秀逸なネーミングと言えよう。

 

 

***** 2023/1/4 *****

 

 

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2023年1月 3日 (火)

エイシンニシパのいない新春賞

新年開催2日目の園田競馬場では、まもなく正月の名物重賞・新春賞が行われる。そのせいか人出がエグイい。今日の入場者数は5788人。年末年始通じて初めて5千人を超えた。普段はダートグレードレースでも2千人台程度。お盆の重賞でも多くて3千人台であることを思えば、今日は年間でももっとも園田が賑わう一日なのではあるまいか。

Sonoda_20230103195901

客層は家族連れと20代から30代と思しき若者の集団が多い。

「去年来た時も新春賞だったよね」

「かれこれ5~6年は新春賞見てんのとちゃう?」

「親戚回りといろいろ終わった3日が集まりやすいんやろな」

そんな会話を横聞きしているうちに誰かがこんなことを呟いた。

「で、なんで今年はエイシンニシパおらんの?」

Nishipa

エイシンニシパはワイルドラッシュ産駒の10歳牡馬。新春賞5勝、佐賀・はがくれ大賞典4勝などを含め15もの重賞タイトル数は歴代兵庫所属馬の中でも群を抜いて多い。特に新春賞には2017年から6年連続出走して①着、⑤着、①着、①着、①着、①着と無類の強さを誇る。園田のファンにしてみれば新春賞のエイシンニシパは正月の風物詩。昔なら海老一染之助・染太郎、現代ならクールポコやすゑひろがりずのような立場か。とにかくエイシンニシパを観なければ年が明けた気がしないのではないかと推察する。

エイシンニシパは明けて10歳となる今年も、新春杯5連覇、通算6勝目を目指して調整を続けていた。ところが直前で骨折が判明。無念の回避を余儀なくされている。実はもう一頭、出れば人気を集めたであろう摂津盃馬シェダルも新春賞を目指した調教中に骨折。こちらは既に引退が発表されたが、エイシンニシパについては未だ正式発表がない。ただ年齢を考えれば無理もできないのではないか。

飛車角を欠いた今年の新春杯で人気を集めたのはトップハンデ56.5キロのタガノウィリアム。姫山菊花賞でジンギに先着しての2着が評価されたのかもしれないが、その前の摂津盃ではしんがり負けを喫している。実際、今日もハナを奪ったにも関わらずブービーに敗れた。ひょっとしたらハンデ戦が苦手なのかもしれない。

Agutegirl

勝ったのは、そのタガノウィリアムの逃げを2番手でマークしていたアキュートガール。昨年9月にJRAから園田に移籍し、無傷の5連勝で重賞まで到達したのだから、よほど園田の水が合うのだろう。なにぜ4歳馬の勝利は2017年以来6年ぶり。つまりエイシンニシパ以来の出来事だ。アキュートガールの連勝がどこまで続くのか。注目しよう。

 

 

***** 2023/1/3 *****

 

 

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2023年1月 2日 (月)

2023園田開幕

2023年の園田競馬が開幕した。そしたら1Rで10頭立て9番人気のマイネルシャテールが激走。なんとこの馬、明けて15歳馬になる。オルフェーヴルと同期の牡馬は、これが実に通算236戦目。いきなりの万馬券というお年玉に加え、4コーナー奥に虹を架けて新年の客を喜ばせるあたり、今年の園田も一筋縄ではいかぬような気がする。

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それにしても人が多い。重賞が行われた大晦日の入場者数は4103人。その2日後、すなわち今日の入場者数は、重賞が行われないにも関わらず一昨日を上回る4826人だった。そもそも混んでいるのは園田競馬場に限ったことではない。阪急梅田駅や阪急百貨店も大変な混雑だったし、何よりウチの周辺が人だらけ。大阪天満宮参拝の行列は今日も途切れることがなく続いている。

今日は重賞が行われないがオープンの初夢賞が行われる。それを知っててわざわざ観に来ているファンは玄人だ。なにせ去年の勝ち馬はシェダル。そして3年前には、あのジンギが勝っている。初夢賞の翌日には重賞・新春賞が行われるが、両馬とも賞金不足で除外されていた。そのうっぷんを晴らすかのような圧勝劇。今年もこのレースから新星誕生を期待したい。

注目はダービー馬・ディアタイザン。逃げ馬が最内枠を引いたらアレコレ考える必要はない。今朝の箱根駅伝をご覧になっただろうか。オープン参加の関東学生連合・新田颯選手(育英大)による大逃げは間違いなく今年の往路の名シーンのひとつだった。

約20キロのコースで10キロ通過時に500mの差。2000mのレースなら1000m通過時に50mの差が開いていたことになる。競馬なら珍しいことではない。昨秋の天皇賞のパンサラッサはもっと離していた。それでもゴールではちゃんと後続は追い付く。競馬と一緒にするなと叱られるかもしれないが、私は捕まると思って観ていた。だからこそ新田選手への応援も熱を帯びる。私の予想を鼻で笑うような激走を見せてほしいのである。結果は捕まってしまったが、倒れそうになりながら鶴見中継所で襷を繋いだシーンは忘れがたい。新田颯という名や育英大学の名は多くのファンの脳裏に刻まれた。

ともあれディアタイザンには新田選手ばりの大逃げを期待しよう。最終的に新田選手は3番目の入線だったから、ここは複勝勝負。ダービー馬の意地を見せてくれ。

予想通りディアタイザンがハナ。スローペースのまま隊列は1周目のゴール板を過ぎて淡々と進む。しかし、2週目の3~4コーナー中間地点で仕掛けられたムキズが外から並びかけると、直線では大外を伸びて完勝。2023年初勝利、通算では14勝目をマークした。

Mukizu

強い競馬ではあったが1分56秒0の時計は残念ながら極めて遅い。去年のシェダルが1分50秒4で、3年前のジンギは1分49秒4。もし一緒に走っていたら、ムキズは100mくらい遅れていることになる。もちろん時計がすべてではないが、ちょっとガッカリした。

しかしもっとガッカリなのは、滅多にないほどのスローペースに恵まれながら4着に敗れたディアタイザン。3着との差がクビ差だけに複勝馬券を持つ身としては悔しい。逆に私の複勝馬券がディアタイザンの邪魔をしてしまったのか。年は変っても私の馬券はこれまでと何ら変わらないということだ。

  

 

***** 2023/1/2 *****

 

 

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2023年1月 1日 (日)

正月休みの苦悩

2023年、明けましておめでとうございます。

大阪で過ごす正月は初めて。普段の大阪天満宮や天神橋商店街からは想像できない賑わいに驚かされた。カウントダウンの瞬間あたりから始まった初詣客の喧騒がようやく収まったのは未明頃だったか。初日の出が顔を出しても、参拝客の列は途切れなく続いており、私自身の初詣はいったん保留とした。昨日まで三日連続でしっかりと参拝したのだから、それくらいでバチも当たるまい。

それにしても競馬開催がないのは困りものだ。阪神はもちろんのこと。園田もやってない。かといって名古屋まで行くのもしんどい。

「元日くらい休みなさいよ」と言われるかもしれないが、元日は地元の川崎競馬場で過ごすという一年の始まりをかれこれ15年も続けてしまった。老体に染み付いたその感覚は簡単には消し去ることができないのである。

Silenthunter

JRAの正月開催を飾る東西の金杯は1月5日行われるのが通例だが、過去には4日に行われることもあった。その理由は5日にやるより売れるから。5日では既に仕事も始まっており、新年の高揚感も薄れている。ならば1日早めてしまおうというワケ。

ただし、4日のレースに使うとなれば追い切りを1日に行う必要がある。とはいえ元日といえばだれもが知るトレセン全休日。厩舎関係者だって元日は休みたい。それでも背に腹は代えられぬと関係者の協力で「4日の金杯」が実現したのだが、売上はさほど跳ねなかった。結局ラブリーデイが中山金杯を勝った2015年を最後に「4日の金杯」は行われていない。元日も全休日に戻された。

ただ、たとえ金杯が5日に行われたとしても、2日に強い追い切りする馬はさほど多くはない。全休日明けに強い追い切りをすることには躊躇いもあろう。とはいえ3日に追い切ればレースまで中1日になってしまう。だから、京都金杯のピースワンパラディやオニャンコポン、そして中山金杯のラーグルフやウインキートスのように大晦日に追い切ってしまう陣営も珍しくない。しかし、普段と異なる調整方法では、どうしても手探りになりがち。実際、調教タイムを見ても、どれが本追い切りか判然としない。こうした要素がひとつずつ積み重なって、金杯は荒れるレースへと変貌してゆく。

そんなことを考えつつ、近所のスーパーマーケット「ライフ」に買い物に行ったらシャッターが閉まっていた。貼り紙には「正月三が日は休業します」とある。仕方なく他の店を探したが、ことごとくシャッターが閉ざされているではないか。困った。こうなると私のライフが危うい。

「コロナや働き方改革もあるんやろけど、どこも人手不足なんですよ。ホテルもフル稼働してへんでしょ」

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近所の喫茶店のマスターがそう教えてくれた。人手不足は競馬サークルとて同じこと。むろんこの店とて例外ではなかろう。普段と変わらぬコーヒーとサンドイッチで私のライフを繋ぎとめてくれたマスターには感謝せねばなるまい。

そんなこんなで、みさま今年もよろしくお願いします。

 

 

***** 2023/1/1 *****

 

 

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