140文字の世界
このブログに載せている記事は、1本あたり800~1200文字の範囲に収まっていることが多い。原稿用紙にして2~3枚。これくらいの量が読む方にもちょうど良いとされている。新聞に掲載されている社説も、だいたい千文字前後だ。
文章は長ければ良いというものではない。わかり易く、読み易く、そして何より簡潔に。これが基本。実は、以前ツイッターを齧ってみたことがある。その瞬間に感じたことを、今すぐみんなに伝えたい……などと思い立ったわけではなく、決められた文字数の中で、要を得た文章を書くためのトレーニングをしようと思ったに過ぎない。イーロン・マスク氏が話題を振りまくツイッターにはご存じの通り140文字という制限がある。
千文字に慣れた頭に140文字の縛りは思いのほか厳しかった。「これくらいだな」と頭に浮かんだフレーズをテキストに打ちなおしてみると、あっと言う間にオーバーしてしまうのである。当初は試行錯誤の連続だった。
特に馬の名前は文字数を食う。
父:ステイゴールド、母:オリエンタルアート、母の父:メジロマックイーン
これだけで35文字。貴重な140文字の4分の1が費やされてしまう。それなら血統は省いてしまえ。「ステークス」とか「カップ」という用語も「S」や「C」に統一しよう。ただし、キングカメハメハを「キンカメ」と書いたりするのは馬に失礼なので、それはしない。そうやって長さを調節していく。もちろんモノを書く以上、文体の美しさも無視できない。短い文章には書き手のセンスが鮮明に現れるものだ。文章を書くというよりは、俳句・短歌の世界に近い。
ひと通り体験してみると、考えていることや感じたことを手軽に伝えられるという点で優れたツールであることは実感できた。読者からの反応もブログとは比較にならないほど早い。一方で、原田敬伍元騎手が引退に追い込まれたのは不注意なツイッター利用がきっかけだった。手軽さと危うさは隣り合わせ。「ツイート」ボタンを押してから、「これは書いて大丈夫なのか?」と心配になったことも一度や二度ではない。
で、結局ツイッターは半年でやめてしまった。パッと頭に浮かんだフレーズが、ぴったり140文字になったのを機に、もうよかろうと感じたのである。自分の中のバリエーションを増やすという目的は、ほぼ達成された。―――とここまで書いて、このブログもちょうど千文字。こういうのは、気持ちがいいですね。
***** 2022/12/19 *****
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