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2022年12月28日 (水)

【訃報】サクセスブロッケン

先週木曜日のこと。東京大賞典を一週間後に控えたそのタイミングでサクセスブロッケンの訃報が飛び込んできた。2009年の東京大賞典のほかにジャパンダートダービーとフェブラリーSを勝った砂の王者は、鹿児島のホーストラストで余生を過ごしていた。そのうち会いに行ってみようと思っていた矢先の訃報に言葉もない。まだ17歳。ディープスカイのダービーはついこないだのことではなかったか。

Success1

2008年の日本ダービーでサクセスブロッケンがしんがり負けを喫したことは語り草だ。もともと右前に不安を抱えていたため、デビューからダートばかりを使われてきた。それで4戦4勝。しかもすべてがワンサイドの圧勝である。加えて父・シンボリクリスエス、母の父・サンデーサイレンスとくれば、芝2400mがダメとも言い切れぬ。筆者は彼の馬券にどーんと突っ込んだ。いま考えればそれが致命傷になった可能性はある。

Success2

ともあれ、競走馬引退後に彼は東京競馬場で誘導馬となった。GⅠ3勝馬としては異例の転身。実際、リトレーニングは簡単ではなかったようだ。それでも2013年、かつて自身が優勝したフェブラリーSの誘導を任されると、2020年にはついに日本ダービーの誘導という大役を掴み取る。新型コロナウイルスの感染拡大により無観客のダービーとなったという運の後押しもあった。「人間万事塞翁が馬」の故事は人間だけに当てはまるものではない。かつてしんがりの屈辱を味わった舞台で、先頭に立って歩く姿は気のせいか誇らしげに見えた。

Success4

彼の仕事は誘導だけにとどまらない。自らのフェイズブックを開設して競馬の魅力を発信したかと思えば、「宣伝部長」としてスポーツ新聞各社を回って名刺を配り、馬術大会に出場して馬術振興にも寄与し、さらに2015年には京王線・府中競馬場正門前駅の一日駅長も務めた。競馬界に貢献した名馬は数あれど、こと「ファンとの近さ」という視点に立てばナンバーワンの存在ではなかったか。異端の名馬に思いを馳せながら、明日の東京大賞典を見届けることにしよう。

Success3

 

 

***** 2022/12/28 *****

 

 

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