馬券と煩悩
先週の東京競馬場は「暑い暑い」と言いながら上着を脱いでビールをがぶ飲みする陽気だったのに、今週の阪神は底冷えする寒さ。カレンダーが師走に入った途端に寒くなるのだから陽気も律儀だ。なのに少しでも間近で競馬を観んがため、屋外で寒さに耐えている皆さんには畏敬の念を禁じ得ない。
それで思い立って2レースの未勝利戦は、久しぶりにラチ沿いでレースを眺めてみた。するとスマートファントムが大外一気のゴボウ抜き。やはりここだと迫力が違う。とはいえやっぱり寒い。結果、そそくさとスタンド内に退散。情け無いとは思うけど背に腹は代えられない。
スタンドから眺めた5レースの新馬戦は、4番人気のトンジンチが後続に4馬身差をつけて逃げ切ってしまった。ドゥラメンテ産駒の牝馬。半兄にかしわ記念など重賞3勝のワイドファラオがいる。
トンジンチ(貪瞋痴)とは仏教用語。「心の三毒」と言われるもので、貪欲にあれこれ欲する「貧」、怒ったり、妬んだり、恨んだりする「瞋」、常識知らずの「痴」を組み合わせた言葉。すなわち「貪瞋痴」は人が持つ煩悩であり、戒めの言葉でもある。競走馬の名前に使われるのは珍しい。
阪神はそこまでにして諸事情これありで京都へ。
チャンピオンズカップはウインズ京都で観戦。テーオーケインズにいつもの伸びがない。それを観てフロアはどよめいた。だが、もともと負けるときはアッサリ土俵を割るタイプ。昨年の金沢JBC以降は6戦を消化しながら連勝もない。それでもメンバー手薄のここは勝てると踏んでいた。去年より2秒以上も遅い時計に馬が戸惑ったか。私の馬券もハズレ。たまに1番人気を買うとロクなことがない。
日が落ちてすっかり暗くなった建仁寺を参拝。素晴らしい古刹がウインズの隣にあるのはさすが京都だ。
臨済宗建長寺派の総本山。開山は栄西禅師、開基は二代目鎌倉殿・源頼家である。法堂の本尊釈迦如来座像を見ていたら。己の煩悩が消え去っていくような気がした。馬券を当てたいと欲したりせず、外れたとしても騎手に怒りの矛先を向けたりせず、他人が当たったら常識に従って祝福の言葉をかけることにしよう。
なんだかワタシ、人が変わってしまいそうだ。それというのもトンジンチの逃げ切りがあまりにも鮮やかだったせい。この竹灯籠の明かりで、冷え切った心も懐が少しばかり暖まった気がした。
***** 2022/12/4 *****
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