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2022年12月20日 (火)

ライバル物語・第2章

先週土曜の阪神の1レースはダート1200mの2歳未勝利戦。2番人気ミラクルティアラが4角先頭からスピードに任せて押し切った。3戦目にして嬉しい初勝利である。続くダート1800mの2歳未勝利戦は1番人気メジェドがまさかの出遅れ。場内がどよめく中、向こう正面から一気にマクり上げて勝利をもぎ取ってしまった。こちらは新馬2着から2戦目できっちり勝ち上がっている。

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実はこの2頭、どちらも母親がダートで活躍した名牝という点で共通しているのである。しかもライバル関係にあったという点で奇縁を感じずにはいられない。

1レースを勝ったミラクルティアラの母はダートグレード8勝のミラクルレジェンド。そして2レースを勝ったメジェドの母はダートグレード7勝のラヴェリータ。2頭がダートグレードレースで火花を散らしたのは、ミラクルレジェンドが4歳、ラヴェリータが5歳となった2011年のことだ。

新年早々の大井で両馬は初めて相まみえた。舞台はTCK女王盃。すでに重賞4勝の実績を誇りながら2番人気に甘んじたラヴェリータが、1番人気ミラクルレジェンドをゴール前で競り落としてクビ差先着。重賞5勝目を飾っている。

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3月のエンプレス杯で人気は逆転した。1番人気に押されたラヴェリータと武豊騎手は後方からの競馬を選択。不良馬場のスローペースを思えばヒヤヒヤものだが、それでも直線では狭い内を突いて一気に先頭ゴールを果たした。同じスペースを狙っていた2番人気ミラクルレジェンドはその一瞬の差が堪えて3着に敗れている。

3度目の直接対決は9月のレディスプレリュード。1番人気はラヴェリータ、2番人気ミラクルレジェンドの人気順は変わらない。ただこのときはラヴェリータが先に動いた。それを見ながらミラクルレジェンドと岩田康誠騎手も徐々に進出。相手を一頭に絞ったときの岩田康誠騎手は強い。きっちり差し切ってラヴェリータ相手に初めての勝利。人気を背負ったラヴェリータにしてみれば、前を行くクラーベセクレタを捉えるため、早く動かざるを得なかったのかもしれない。

4度目の直接対決はこの年に新設されたばかりのJBCレディスクラシック。これまでの対戦では年長馬のラヴェリータは1~2キロ余計に背負わされてきたが、ここで初めて両馬同斤の55キロでの対戦となる。そういったこともあってか、1番人気はラヴェリータで単勝1.6倍。ミラクルレジェンドは2番人気だが、それでも単勝2.0倍と一騎打ちムードが漂う。

実際にレースは一騎打ちとなった。いったんは先頭に立ったラヴェリータをミラクルレジェンドが交わして先頭。しかしラヴェリータも食い下がって離れない。3番以下を大きく離した叩き合いが続く。結局ミラクルレジェンドが3/4馬身差をつけて先頭ゴール。JBCクラシックの初代チャンピオンに名を刻むとともに、ラヴェリータとの対戦成績を2勝2敗の五分とした。

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ラヴェリータとミラクルレジェンド。どちらが強かったのかは正直分からない。たとえ2勝2敗でもGⅠタイトルを獲ったミラクルレジェンドを上と見がちだが、当時のJBCレディスクラシックは未格付けだった。一方、直後のJCダートで、4着に負けはしたもののミラクルレジェンド(6着)には先着を果たしたラヴェリータを上に見る声もあろう。ただ、4着と6着という結果を能力の物差しにすることには躊躇いを禁じ得ない。

このJCダートでラヴェリータが繁殖入りしたため、2頭の名牝による直接対決はこれが最後となった。しかし、このライバル物語の続きが彼女らの産駒によって繰り広げられたとしたら、2頭の対決に熱中したファンとしてこれに勝る喜びはあるまい。ダート1200mであふれるスピードを見せつけたミラクルティアラと、ダート1800mで粗削りながらもスケールの大きさをうかがわせたメジェド。この2頭が相まみえることは、この先果たしてあるだろうか。ライバル物語の第二章に期待したい。

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第14回TCK女王盃 大井1800m
1 ラヴェリータ    57 Mデムーロ 1分52秒4 2人気
2 ミラクルレジェンド 55 岩田    クビ     1人気

第57回エンプレス杯 川崎2100m
1 ラヴェリータ    56 武豊  1分52秒4 2人気
2 ブラボーデイジー  56 北村友 1/2    3人気
3 ミラクルレジェンド 54 岩田康 クビ     1人気

第8回レディスプレリュード 大井1800m
1 ミラクルレジェンド 56 岩田康 1分50秒8 2人気
2 ラヴェリータ    57 武豊  1馬身1/2 1人気

第1回JBCレディスクラシック 大井1800m
1 ミラクルレジェンド 55 岩田康 1分49秒6 2人気
2 ラヴェリータ    55 武豊  3/4    1人気

第12回ジャパンカップダート 阪神1800m
1 トランセンド    57 藤田  1分50秒6 1人気
2 ワンダーアキュート 57 和田  2馬身    5人気
3 エスポワールシチー 57 佐藤  ハナ     2人気
4 ラヴェリータ    55 武豊  1/2    10人気
5 ダノンカモン    57 福永  クビ     4人気
6 ミラクルレジェンド 55 岩田康 クビ     6人気

 

 

***** 2022/12/20 *****

 

 

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