ベテランたちの走りに拍手を
先週土曜の阪神・甲東特別にシベリアンタイガーが出走していた。2011年生まれの11歳。同期にはワンアンドオンリーを筆頭に、モーリス、ミッキーアイル、イスラボニータ、トゥザワールド、アジアエクスプレスといった懐かしい名前が並ぶ。いずれも種牡馬として産駒が活躍中。モーリスは既にGⅠ馬の父となり、ミッキーアイルもメイケイエールという活躍馬を送り込んだ。
そんな同期たちの姿を横目に、11歳12月を迎えてなお同期の子らと戦い続ける姿を観て、言語化できない複雑な心境を抱いてしまったのだが、それはオノレのトシのせいかもしれない。甲東特別を勝った勝ったトーホウディアスの父は同期の菊花賞馬・トーホウジャッカル。シベリアンタイガーは2秒近く遅れた最下位に敗れた。
11歳で平地競走の現役を続けるケースは珍しい。マイラーの条件馬となればなおさら。かつてトウカイトリックは11歳まで現役を続けたが、高齢馬でも活躍しやすい長距離路線の、しかもバリバリのオープン馬だった。
現時点でJRAに現役の11歳馬はシベリアンタイガーとオジュウチョウサンの2頭しかいない。2頭は揃ってJRA現役最高齢馬ということになる。明日はそのオジュウチョウサンが出走予定。前人未踏のJGⅠ10勝目をかけて、現役生活最後となる大障害コースに挑む。
オジュウチョウサンは今春の中山グランドジャンプを勝ってJRAの最高齢重賞優勝記録を作った。明日の中山大障害を勝てばわずかながら記録更新。外国産馬まで門戸を広げればカラジが12歳4月で中山グランドジャンプを制した記録はあるものの、国内調教馬で11歳12月の優勝となれば当分破られることはなかろう。
オジュウチョウサンはこれがラストランだから、観ておくべきレースという点では有馬記念より上ではないか。走る馬ほど故障しやすいとも言われるこの世界で、キャリアを重ねたベテランの出走はそれ自体が素晴らしいこと。勝てば快挙と言って良い。それを競馬場で観戦できれば言うことはないが、テレビ中継でも良いからリアルタイムに見届けることが大事。そして勝っても負けても惜しみなく拍手を送ろう。その積み重ねこそが競馬ファンとしての紛れもないキャリアだ。
***** 2022/12/23 *****
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