あんかけに魅せられて
京都人はあんかけ料理が好きだ。味付けした汁に葛粉などを少量加え、とろみをつけたあんをかける。この季節はとくにあんかけ料理が美味しい。かぶらにあんをかけ、百合根饅頭にもあんをかける。
あんかけうどんはその最たるものであろう。これを京都では「たぬき」と呼ぶ。理由はドロンと化けるから。大阪の「たぬき」とも、東京の「たぬき」とも全く違う「たぬき」が冬の京都を闊歩している。
関西でうどんと言えば大阪が本場のように思われているが、実は京都人の方がうどん好きだという調査結果があるらしい。そもそもうどんは京都生まれという説も。鎌倉時代に中国へ留学した僧が冷や麦に似た「切麦」(きりむぎ)を伝え、これを熱い湯につけても腰が保てるように太麺にアレンジしたのが始まりとされる。それが年月を経て京都独特の「京うどん」へと進化した。
ただ「京うどん」の定義は難しい。敢えて特徴を挙げるなら、「細麺、だし、具が三位一体となった一杯」といったところか。写真は、昨日祇園で立ち寄った「萬屋」さんの葱あんかけうどん。これでもかとばかりに投入された大量の九条葱とたっぷりのあんが、祇園の舞妓さんや南座の歌舞伎役者さんたちから熱い支持を受けている。
近隣のお茶屋に夜食を運ぶ祇園の習慣が、あんかけうどんを生んだという説があるらしい。冬の京都は底冷え。それでもあんかけならうどんが冷めにくい。「萬屋」の葱あんかけを食べているとそれがよく分かる。一向に冷める気配がない。それどころか葱とショウガの効果で身体の内側から熱くなってくる。店を出てもまだ身体はぽっかぽか。これからの季節の京都歩きには強い味方であろう。
カップ麺の「どん兵衛」から、この秋冬シーズンに向けた新商品「京風あんかけうどん」が発売されているのをご存知だろうか。昆布の旨味たっぷりのツユに、生姜の香りをきかせた風味豊かな味わいが特長。あんかけのトロみにインスタント麺が負けてしまわないか心配したが、そこはさすが「どん兵衛」である。モチモチの麺にあんがしっかり絡んで、京都の味を再現。てっきり西日本限定発売かと思ったら全国発売らしいから、東日本の方もぜひ手に取っていただきたい。筆者は決して日清食品の回し者ではないが、昆布だしの「どん兵衛」を手軽に味わうチャンスでもある。
***** 2022/12/6 *****
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