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2022年12月22日 (木)

内枠信仰を疑え

年の瀬はそもそも忙しいものだが、年末とは関係ない仕事にも忙殺されている。今日も更新が遅れたのはそのせい。決して忘年会を楽しんでいたわけではない。24時過ぎに帰宅。シャワーを浴びたのち、怒りを鎮めるかのようにこのテキストを打っている。

―――なんて言っておきながら、夕方5時からはしっかりと有馬記念の枠順抽選のTV中継に見入ったんですけどね。

枠順抽選が公開されるようになったのが9年前のこと。内側から淡々と希望馬番が埋まって盛り上がりに欠けた初回の反省を踏まえて採用された現在の手法にも、もうずいぶん馴染んだ感がある。1巡目に指名されたアリストテレスの武豊騎手がA~Pに割り振られたボールの中から「ブラックのB」を指定すると、宣言通り2枠黒帽4番を引き当ててみせた。やはりこの男、有馬記念ではただならぬ力を発揮する。

一方で「内枠信仰」の根強さは公開抽選制の初回から変わない。共同記者会見では調教師の内枠を願うコメントが相次ぎ、クリスチャン・デムーロ騎手も「One to six」と馬番1~6の内枠を熱望していた。

競馬では出走全馬がコースに対して横並びでスタートする。走る距離だけを考えれば内側の1番枠が最も有利。外枠が不利であることは何も中山芝2500mに限ったことではない。

ただ、中山ダート1200mや東京ダート1600mのようにスタート直後に芝を横切るコースでは、内枠の馬は内ラチに押し込められるリスクを孕むし、ブリンカー着用の馬なども内側で窮屈に走るより、外目をのびのびと走らせた方が良いとされる。数学的に枠順の有利不利がないはずの新潟芝1000mにしても外枠有利が常識だ。

中山芝2500mの「外枠不利」は本当だろうか?

そう思って、過去35年間(1988年1月以降)の中山芝2500m戦の中で、フルゲート16頭で行われた52鞍の勝ち馬と2着馬の馬番号を調べてみた。繰り返すが今の私はつまらぬ仕事を抱えてとてつもなく忙しい。そこに年末の多忙が重なる昨今は、文字通り寝る間を削る日々が続いている。それでも外枠不利への興味が勝り、トイレに行く時間をも惜しんで過去の結果を調べ尽くした。どうか心して調査結果をご覧いただきたい。

馬番 1着 2着
----------------
①番 2頭 2頭
②番 3頭 3頭
③番 6頭 4頭
④番 1頭 5頭
⑤番 2頭 5頭
⑥番 4頭 4頭
⑦番 4頭 3頭
⑧番 3頭 2頭
⑨番 3頭 4頭
⑩番 3頭 5頭
⑪番 3頭 8頭
⑫番 5頭 3頭
⑬番 6頭 1頭
⑭番 1頭 1頭
⑮番 1頭 2頭
⑯番 3頭 0頭

以外なことに、もっとも多く勝ち馬を出しているのは7枠⑬番であった。横山和生騎手は落ち込む必要はない。⑬のゼッケンを付けたゴールドシップの独走はそれほど昔の出来事ではない。

Gold_20221223003901

さらに連対数で言えば6枠⑪番がトップ。逆に⑭番はもっとも少ない2連対に留まるが、それがいずれも有馬記念であることは強調しておく必要があろう。1997年のシルクジャスティスと、一昨年に11番人気ながら2着に飛び込んだサラキア。こうなるとボッケリーニが俄然気になってくる。

Jastice

 

過去の結果を見る限り内と外にそれほどの差を見出すことは難しい。とはいえ、きっと騎手たちは数字には表れぬ有利不利を身体で感じているのであろう。少なくとも不利だと感じた時点でわずかでも不利が生じている。有馬記念ほどの大舞台となれば、心理面がもたらす影響も無視できまい。それが垣間見えるからこそ毎年の公開抽選は見る価値がある。たとえ寝る間がないほど忙しくても、ということだ。

 

 

***** 2022/12/22 *****

 

 

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