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2022年12月31日 (土)

スマイルで年越しを

近所の喫茶店でモーニングを食べ、大阪天満宮を参拝して、天神橋商店街をぶらぶら歩いてから競馬場に向かい、寒風に吹かれながら馬券と対峙したのち、すし詰めのバスに揺られて帰る途中に仕事場に顔を出してからどこかで夕食を取って帰宅―――。

この三日間はまったく同じサイクルで過ごした。振り返れば東京で過ごす年の瀬とさほど変わりない。ただひとつ、天満宮にお参りするところが違う。近所だから普段からちょいちょい顔を出してはいるのだが、この三日間は毎朝ちゃんと参拝しようと決めていた。競馬で終いの3ハロンが重要なのと同じように、年越しは終いの3日間が大事。笑えぬ問題だらけの2022年だったけど、終わりよければすべてヨシとしたい。終いの脚色が次への希望につながるのは競馬と同じだ。

園田のグランドフィナーレは2歳重賞の園田ジュニアカップ。半世紀もの歴史を誇り、過去の優勝馬にはロードバクシンやオオエライジンといった名馬たちが名を連ねると思えば、適当に馬券を買うわけにもいかないのだが、なにぶん馬が分からない。ほとんどの馬が初めましてだからパドックの状態も比べようがない。となれば馬券は成績欄の数字に頼ることになる。

デビューからの3連勝で人気を集めているスマイルミーシャだが、その3勝すべてで上がり3ハロン37秒台を記録しているように中身も濃い。中1週の強行軍が多少気がかりではあるが、そこは若さで克服してくれることを願う。相手も上がりタイムの順に選んで、2022年を締め括る馬券の買い目は決まった。

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⑪スマイルミーシャを軸に馬連3点。前走で34秒台の上がりをマークした⑤ピーチクパーチクは厚めにしたが、買ってからピーチクパーチクの前走が芝1200m戦だったことに気づいた。でも、そういうところを敢えて無視することで高配当にありつけることだってある。

そのスマイルミーシャは道中4~5番手を追走。2週目の3角過ぎから一気に仕掛けて先頭を捉えると、内から馬体を合わせてきたべラジオソノダラブとの一騎打ちをクビ差制して優勝した。メンバー唯一の37秒台の脚を繰り出して、デビュー以来4戦4勝。牝馬の優勝は20年ぶりだが、来年はグランダムジャパン路線ではなく地元の3冠路線を歩むという。連勝街道の行方に注目したい。

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手綱を取った吉村智洋騎手は今日も3勝を挙げて、年間349勝を挙げて全国リーディング獲得に華を添えた。こちらは2018年以来2度目の栄冠。ただ19年から3年連続で船橋の森泰斗騎手の2着に甘んじていただけに、今年のリーディング奪還は喜びもひとしおであろう。優勝騎手インタビューでは歓喜のコメントが聞けるかと思いきや、「人生良い時もあれば悪い時もある。悪い時でも笑顔で過ごしていれば良くなると信じて頑張るしかないので、来年も応援よろしくお願いします」と真摯な言葉が続いた。勝って当然のプレッシャーを背負い続ける者の偽らざる声か。それでも1番人気スマイルミ―シャが勝ったおかげで笑顔になった人は多いはずだ。

馬連⑥-⑪の配当は370円。私の2022年最後の馬券は1100円の購入額に対し1110円の払い戻しという奇跡的な結果に終わった。たとえ10円でも勝ちは勝ち。笑って年を越すことにしよう。

それではみなさま、よいお年を。

 

 

***** 2022/12/31 *****

 

 

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2022年12月30日 (金)

園田と大井で

かつてなら東京大賞典、東京シンデレラマイル、東京2歳優駿牝馬の大井3本立てが常だった年の瀬も、大阪暮らしの身ではそうもいかない。仕方なく―――と書いたら叱られるけど―――今日も園田にやってきた。昨日と同じようにここで大井の馬券を仕入れてモニター観戦。ダノンレジーナの3連覇か、あるいはスピーディキックの重賞8勝目か。どちらに転んでも必見であろう。嗚呼、現地で見届けられない我が身がもどかしい。

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とはいえ、まずは目の前の馬たちに声援を送ろう。園田メインはオッズパーク2022杯。古馬オープンによる1400m戦に11頭が揃った。ビナサクセスやパールプレミアといった若き上り馬が古豪マイタイザンに挑む。負担重量には「別定」と書いてあるが、重賞7勝にして2018年の年度代表馬のマイタイザンが重賞未勝利の他馬と同じ57キロで出走できるのだから、実質的には定量と変わりはない。

負担重量と言えば、昨日発表された京都金杯のハンデには驚かされた。

58キロを背負う馬がイルーシヴパンサー、エアロロノア、シュリ、タイムトゥヘヴン、ダイワキャグニー、ベレヌスと6頭もいる。さらに例年ならトップハンデであろう57.5キロも4頭。過去20年、324頭の京都金杯出走馬で58キロ以上を課された馬はステルヴィオやヴィクトリーなど11頭しかいないというのに、いったい何があったのか。

10月17日、JRAは2023年から鞭の使用に関するルール変更と共に負担重量に関するルール変更も発表していた。おおざっぱに言えば2023年から全体的に負担重量が1キロ重くなるという内容。その目的は騎手の健康と福祉および将来にわたる優秀な騎手の人材確保にある。すなわち過度な減量を抑制しようというもの。とはいえ人の福祉を求めようとすれば馬の福祉を犠牲にしかねないから、ある程度の上限も必要だろう。つまりハンデ戦の斤量差は減る方向に向くのかもしれない。

オッズパーク2022杯はパールプレミアとビナサクセスによる4歳馬同士の一騎打ち。最後はビナサクセスがクビだけ前に出た。これで昨年秋に園田に移籍後、わずか1年あまりで9勝もしたことになる。思えば母のビナスイートもJRAから園田に来て4戦4勝で引退していた。血は争えませんな。

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一方、大井のシンデレラマイルは中団からレースを進めたスピーディキックが、逃げるダノンレジーナを直線入り口で捉えると直線は独走。後続を3馬身半突き放す圧勝劇で、初の古馬対決をものともせず8つ目の重賞タイトルを獲得した。来年はさらなる強敵相手の活躍が期待されるが、もっと手ごわいのは負担重量かもしれない。今日はこれまででもっとも重い55キロでの出走だったが、来年はもっと背負うことになる。

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すると娘からスピーディキックの写真が送られてきた。なんと大井でシンデレラマイルをナマ観戦していたらしい。血は争えませんな。

 

 

***** 2022/12/30 *****

 

 

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2022年12月29日 (木)

馬場に倒れた騎手。迫る馬群

大井競馬場で東京大賞典の表彰式が行われているちょうどその頃、園田ではメインのオッズパークウインターカップがスタートしていた。

B1クラスによる11頭立て。内枠を利して1番枠ミラクルベルンが先行争いを制してハナ。2番枠タガノグランサムがそれに続く。人気のグリーンシアターも今日はちゃんとゲートを出て3番手。その時、場内実況が「グレートフォーユー落馬!」と叫んだ。先行争いばかりに注目していたので、どういう風に落ちたのかはわからない。それでもグレートフォーユーはカラ馬となりながらも猛然と馬群を追いかけて行ったから、馬の方は大丈夫なようだ。騎手はどうなった? ラチから身を乗り出して4コーナー方向に目をやると、ゴールまで150m付近、馬場のど真ん中に田村直也騎手が横たわったまま動かない。係員が走る。

馬群は向こう正面。駆け付けた係員が田村騎手の腕を取っている様子が確認できるが、田村騎手が自ら動く様子はない。そうこうする間に馬群は3コーナーに差し掛かって、残り400m。「まだ田村ジョッキーが馬場の真ん中、直線に倒れている」。場内実況が叫ぶ。

係員は田村騎手を動かすことを諦めたようだ。田村騎手の倒れている場所で、迫り来る馬群に正対する格好で立ち、そこに騎手が倒れていることを、迫りくる他馬の騎手たちに知らせる手段に打って出たのである。馬群が4コーナーを回った。

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園田は一昨日に内側全周に砂を補充したばかり。そのせいか今日は馬場の中央を通った馬の好走が目立った。このレースでも馬場の真ん中を狙う騎手はいたはずだ。

しかし、なぜかそこに人が立っている。そしてよく見れば、その足元には騎手が横たわっているではないか。騎手たちは瞬時に状況を理解したはず。それでも外を狙って勢いを付けてコーナーを回ってきた馬の進路を変えるのは簡単ではない。追い込みに賭けた馬には気の毒だった。とくに2番人気のハローチュースは事故を避けるのが精一杯の競馬に見えたが、それでも2着を確保したのだから大したもの。いずれにせよ大惨事に至らなくてよかった。あの係員の勇気も凄い。

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「不成立ではないのか?」

帰りのバス車内での会話やネットの投稿にもそんな声が聞こえたが、結論から言えば不成立には当たらない。最終的に不成立を決めるのは開催執務委員長。つまりヒトの判断だから、どう転ぶかはケースバイケースとしか言いようがないわけだが、ルールとしては不成立となるケースについて以下のように明文化されている。

①災害や投石等の妨害行為その他の事由により、競走または開催執務委員の職務の執行に重大な支障があったとき。競走中止馬によるもの等、当該競走の出走人馬に起因するものは不成立とはならない。(ただし、それらが走路を占拠した等の理由により、所定の走路での競走の継続が不可能となったと認めたときは、不成立とする)。
②競走が所定の走路と異なる走路で行われたとき。

つまり「競走中止馬によるもの等、当該競走の出走人馬に起因するものは不成立とはならない」のである。競馬においてカラ馬や馬場に横たわる騎手は想定されるファクターであり、他の騎手たちはそれを避けて騎乗馬の全能力を発揮することが求められる。競馬学校ではカラ馬の逆走を想定した訓練も受けているし、それで致命的な不利を受けたとしても、レース中の不可抗力として受け入れなければならない。競馬は何が起きるかわからないのである。

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そんなトラブルに見舞われながら1番人気に応えたグリーンシアターは立派。これで園田転入以来無傷の6連勝となった。まだ3歳。昇級のたびに強さが増すように感じられるのは、馬自信の成長の証であろう。明けて4歳となる来年も当然ながら注目の一頭となる。

なお、田村騎手は落馬直後に一時的に気を失っていたとのこと。その後意識を取り戻し、受け答えもできたそうだ。ただちに救急搬送されたというが容態が心配される。

 

 

***** 2022/12/29 *****

 

 

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2022年12月28日 (水)

【訃報】サクセスブロッケン

先週木曜日のこと。東京大賞典を一週間後に控えたそのタイミングでサクセスブロッケンの訃報が飛び込んできた。2009年の東京大賞典のほかにジャパンダートダービーとフェブラリーSを勝った砂の王者は、鹿児島のホーストラストで余生を過ごしていた。そのうち会いに行ってみようと思っていた矢先の訃報に言葉もない。まだ17歳。ディープスカイのダービーはついこないだのことではなかったか。

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2008年の日本ダービーでサクセスブロッケンがしんがり負けを喫したことは語り草だ。もともと右前に不安を抱えていたため、デビューからダートばかりを使われてきた。それで4戦4勝。しかもすべてがワンサイドの圧勝である。加えて父・シンボリクリスエス、母の父・サンデーサイレンスとくれば、芝2400mがダメとも言い切れぬ。筆者は彼の馬券にどーんと突っ込んだ。いま考えればそれが致命傷になった可能性はある。

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ともあれ、競走馬引退後に彼は東京競馬場で誘導馬となった。GⅠ3勝馬としては異例の転身。実際、リトレーニングは簡単ではなかったようだ。それでも2013年、かつて自身が優勝したフェブラリーSの誘導を任されると、2020年にはついに日本ダービーの誘導という大役を掴み取る。新型コロナウイルスの感染拡大により無観客のダービーとなったという運の後押しもあった。「人間万事塞翁が馬」の故事は人間だけに当てはまるものではない。かつてしんがりの屈辱を味わった舞台で、先頭に立って歩く姿は気のせいか誇らしげに見えた。

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彼の仕事は誘導だけにとどまらない。自らのフェイズブックを開設して競馬の魅力を発信したかと思えば、「宣伝部長」としてスポーツ新聞各社を回って名刺を配り、馬術大会に出場して馬術振興にも寄与し、さらに2015年には京王線・府中競馬場正門前駅の一日駅長も務めた。競馬界に貢献した名馬は数あれど、こと「ファンとの近さ」という視点に立てばナンバーワンの存在ではなかったか。異端の名馬に思いを馳せながら、明日の東京大賞典を見届けることにしよう。

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***** 2022/12/28 *****

 

 

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2022年12月27日 (火)

共に走った。共につかんだ。

来年のカレンダーが次々と手元に届くようになると年の瀬を実感する。2023年のJRAカレンダーのテーマは「共に走った。共につかんだ。心に刻まれた、名コンビたち」。JRAのGⅠ(JGⅠ)で勝利数上位の人馬を月替わりで紹介している。

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有馬記念を勝ったイクノイックスはデビュー以来首尾一貫してC.ルメール騎手が手綱を撮り続けている、昨年の覇者で連覇を狙ったエフフォーリアも横山武史騎手以外で競馬をしたことはない。一昨年の優勝馬クロジェネシスも有馬記念時点では北村友一騎手が手綱を取り続けていた。

昨今の騎手事情を勘案すれば、同じ騎手とのコンビで古馬GⅠに出走してくること自体が珍しい。しかし、こと有馬記念に限ればデビュー以来ずっと手綱を取り続ける騎手とのコンビが好成績を残している。この四半世紀だけでもご覧の通り。意外なことにここ5年は4例と多い。

2022年 イクイノックス・C.ルメール
2021年 エフフォーリア・横山武史
2020年 クロノジェネシス・北村友一
2018年 ブラスとワンピース・池添謙一
2016年 サトノダイヤモンド・C.ルメール
2011年 オルフェーヴル・池添謙一
2008年 ダイワスカーレット・安藤勝己
2006年 ディープインパクト・武豊
2000年 テイエムオペラオー・和田竜二
1999年 グラスワンダー・的場均
1998年 グラスワンダー・的場均

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どんな名馬でも、騎手に人を得なければ大成できない。惜敗続きだったビワハヤヒデは岡部幸雄騎手に乗り替わってからGⅠを3勝した。私だって自分の持ち馬が負けて「ヤネを替えろ!」と叫んだことがある。そんな私が、乗り替わりそのものを否定するわけにはいかない。

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一方で、過去の名馬と騎手のコンビを紐解いてみても、同じ馬と騎手のコンビの方が、競馬ファンとしての感情移入が強かったし、心に残っている。ハイセイコーには増沢末男、ミスターシービーには吉永正人、そしてディープインパクトには武豊。騎手の固定化は名馬大成の条件のひとつ。オルフェーヴルの引退に際し、ディープインパクトほどの盛り上がりが見られなかったのは、そのあたりが影響しているのではないかと邪推する。

邪推ついでにこんなことを考えてみた。有馬記念の出走馬を決めるファン投票で、馬と一緒に乗ってもらいたい騎手も記入できるようにしたらどうなるだろうか?

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むろん騎手の選択は馬主の専権事項だから、ファンの思いを形に表すに過ぎない。だが、年度代表馬を争うような名馬たちの乗り替わりが相次ぐ昨今である。名馬に名騎手に乗れば、即「名コンビ」となるわけでもない。実際、ファンはどう感じているのだろう。その辺が気になるのである。

 

 

***** 2022/12/27 *****

 

 

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2022年12月26日 (月)

もういくつ寝ると

ぼちぼち年賀状の準備に追われる時期が近づいてきた。

きたるべき年の干支が兎だろうが辰だろうが、私の送る年賀状はひたすら馬の写真を使っているから、片面(メインとなる面)は印刷で楽をしてきた。しかし、大阪で単身赴任中の我が家にプリンターは存在しないから、やむなく業者に依頼している。費用もさることながら、すべて同じ絵柄になってしまうことが少し悔しい。

だが、もう片面、すなわち宛先は手書きを宗とし、決して「筆まめ」のお世話になったりすることはない。大量の文字を手書きで書く機会なんて年賀状くらいしかないのだし、世のデジタル化に抗う姿勢を示したいという思いもある。

さらに言えば、「筆まめ」の住所録のメンテミスにより、同一人物に2通の年賀状を送ってしまうような事態を防ぐことも狙いのひとつ。今年我が家に年賀状をいただいた方にも、2通くださった方が2人もいた。1枚63円だから、はがき2枚分で馬券が1枚買える。手書きであればこそ「あれ? このヒトさっきも書いたよな」と気づくもの。実は我が家には毎年同じ人から同じ年賀状が2通届くのだが、その宛名はやはり印刷されたものだ。

ただし、まだ宛先書きに入るのは速い。

自宅で表面を印刷していたときの話である。馬主、生産者、騎手、調教師には、できることなら関係馬が勝ったシーンを使った1枚を贈ってあげたい。それが人情というもの。だから12月の私は、重賞よりも、自分の好きな馬よりも、まず年賀状に使う写真が決まっていない人の関係馬が出るレースを優先にスケジュールを組んだ。1番人気に推されるようなレースならなおさらだ。

だが、逆にそれで負けたりするとショックは倍になって返ってくる。「年賀状……どうしよ」と呟きつつ、木枯らし吹きすさぶオケラ街道を歩くのはこのうえなく切ない。馬券の当たり外れは金の問題だが、年賀状の写真は金ではどうにもならんのである。

万事アナログ人間の私だが、さすがに今ではデジタルカメラを使っているので、有馬記念や暮れの大井開催の写真も年賀状に使えるようになった。暮れに挙げた勝利というのは、ほかの勝利に比べても格別に嬉しいもの。先方にもたいそう喜ばれる。デジタルカメラになってもっとも有難いと感じたのは、大晦日のレースの写真を年賀状に使えるようになったことかもしれない。

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しかし今年の年賀状は天皇賞(春)のタイトルホルダーの写真に統一。すでに業者の印刷が仕上がって手元に届いている。年度代表馬の写真となれば年賀状に相応しいはず。―――そう思って発注したのに、有馬記念でまさかの惨敗を喫してしまった。しかもよりによって勝ったのはイクイノックスである。もはやタイトルホルダーに年度代表馬のタイトル獲得の目はあるまい。というわけで私の年賀状は最優秀古馬牡馬の写真となります。たぶん。

 

   

***** 2022/12/26 *****

 

 

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2022年12月25日 (日)

ク~リスマスは今年もやって来る

今日は競馬ファン的には有馬記念だが世界的にはクリスマスである。有馬記念、当たりましたか?

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私が住まう大阪市北区南森町界隈には「ケンタッキー・フライドチキン」の店舗がない。神奈川の自宅周辺には3店舗もあるというのに、これはどうしたことか。そういえば大井競馬場にはあるのに園田にもなかったな。ふと思った。関西ではケンタは馴染みが薄いのだろうか。なにせ牛肉文化の街である。クリスマスは家族揃ってローストビーフを。いや、すき焼きを。いやいや、串カツを囲むというのが関西のクリスマスの食卓なのかもしれない。

そんな話を周りにしたら一斉に非難を浴びた。

「なに勝手なこと言うとるんですか」

「ちゃんとケンタありまっせ」

ともあれクリスマスのケンタはどこも大行列。「クリスマスにチキンを食べる」とか「ホール型のケーキにロウソクを灯して祝う」というのは、実は我が国固有の習慣であり、海外のクリスマスでは見られない光景だ。特にチキンついては、ケンタッキーフライドチキン・ジャパン社の販促活動が日本人の生活習慣に根付いた成果と言える。

生前の大川慶次郎氏から「忘れられない味」としてローストチキンの話を聞いたことがある。

学生の頃から北海道の牧場で暮らしていた大川氏だが、そこでご馳走になったローストチキンの味は生涯忘れ得ぬ味だと絶賛されていた。広い土地でのびのびと育てられた雛鶏のお腹の中に新鮮なジャガイモやトウモロコシを詰め込み、塩とコショウのみで軽く味付けしてオーブンで焼いただけのシンプルな料理。それゆえ、素材の味がストレートに表れる。

「柔らかくって。味が濃くって。あの味は忘れられませんねぇ」

細い目をさらに細めて、そうお話されていた。

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今宵は神奈川の自宅でもローストチキンを作ったらしい。ケンタも悪くないけど、こういうものは自分たちで作った方がはるかに楽しいですよね。ただ、私に送られてきたのは写真だけなので、これからケンタに走ろうかと悩んでいる。私に非難を浴びせた連中が言うには、隣駅の天満橋まで行けばケンタがあるらしい。

ちなみに米国のケンタッキーダービーは、ケンタを展開するヤム・ブランド社が2006年から17年までスポンサー契約をしていた。だから日本でもお馴染みのストリートセンスやアメリカンフェイローが勝ったケンタッキーダービーは、正式には「Kentucky Derby presented by Yum! Brands」と表記される。

 

 

***** 2022/12/25 *****

 

 

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2022年12月24日 (土)

のり巻きと言えば

ひと昔前まで関東では寿司屋で「のり巻き」と言えば細巻き、それも干瓢巻きを指した。最近では鉄火巻きやかっぱ巻き、納豆巻きなんかもひっくるめて「のり巻き」と呼ぶ。それでも細巻きであることに違いはない。

ところが関西で「のり巻き」とか「巻き寿司」と言うとそれは太巻き寿司のこと。スーパーのお惣菜コーナーに細巻きが無いことはあっても、太巻きが無いということはない。具材は干瓢に加えてキュウリ、しいたけ、おぼろ、そして高野豆腐。大阪に来るまで高野豆腐が寿司の具材になるなんて思わなかった。なんにせよ太巻きは細巻きに比べて腹持ちがよいから、お弁当にぴったりだ。

そんなわけで朝日杯フューチュリティS当日は近所のスーパーで太巻きを仕入れて阪神競馬場へ。

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神奈川にある私の自宅近くの鮨屋さんには土曜になると競馬関係者が現れることが多かった。翌日の競馬談義に花を咲かせて深酒するのはいつものこと。それでも勘定の前に「あした一本よろしくね」と言って店を出た。その翌日、二日酔いに痛む頭を抱えながら、まだ暖簾のかからぬ店を覗くと、小僧さんが掃除の手を休めて折を手渡してくれる。それがその日競馬場で食べる昼食。中に入っていたのは特製の太巻きであった。

エビ、マグロ、ヤリイカ、シャコ、コハダ、ヒラマサ、玉子、キュウリといった具がギュッと巻かれていて、切り口の彩りは美しく、もちろん食べても美味しい。他人にお裾分けしやすいのも太巻きの良さのひとつ。私が持参するこの太巻きを楽しみにしている馬主もいた。

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太巻きは鮨屋の土産の定番だ。むろん握り寿司も土産にできるが、握りというものは握ったその場で間髪入れずに食べるように作られている。太巻ならば時間が経っても、さほど影響することはない。良い鮨屋には良い太巻きを作れる職人が必ずいるものだ。

なのに、少なくとも関東では鮨屋での太巻きの立場はあまり芳しくはない。「節分の時に食べる程度」とか「酒に合わない」とか「大きくて食べづらい」などと言われるばかりでは、太巻きが少しばかり可哀想ではないか。美味しいネタがたくさん並んだあの豪華さと調和が理解されないのは、太巻きファンとして悲しくもあった。だから関西の太巻きがこんなにも愛されているのは嬉しい限り。スーパーの太巻きも安くて美味しいけど、来年はもっと色んなお店の太巻きにチャレンジしてみよう。

 

 

***** 2022/12/24 *****

 

 

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2022年12月23日 (金)

ベテランたちの走りに拍手を

先週土曜の阪神・甲東特別にシベリアンタイガーが出走していた。2011年生まれの11歳。同期にはワンアンドオンリーを筆頭に、モーリス、ミッキーアイル、イスラボニータ、トゥザワールド、アジアエクスプレスといった懐かしい名前が並ぶ。いずれも種牡馬として産駒が活躍中。モーリスは既にGⅠ馬の父となり、ミッキーアイルもメイケイエールという活躍馬を送り込んだ。

そんな同期たちの姿を横目に、11歳12月を迎えてなお同期の子らと戦い続ける姿を観て、言語化できない複雑な心境を抱いてしまったのだが、それはオノレのトシのせいかもしれない。甲東特別を勝った勝ったトーホウディアスの父は同期の菊花賞馬・トーホウジャッカル。シベリアンタイガーは2秒近く遅れた最下位に敗れた。

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11歳で平地競走の現役を続けるケースは珍しい。マイラーの条件馬となればなおさら。かつてトウカイトリックは11歳まで現役を続けたが、高齢馬でも活躍しやすい長距離路線の、しかもバリバリのオープン馬だった。

現時点でJRAに現役の11歳馬はシベリアンタイガーとオジュウチョウサンの2頭しかいない。2頭は揃ってJRA現役最高齢馬ということになる。明日はそのオジュウチョウサンが出走予定。前人未踏のJGⅠ10勝目をかけて、現役生活最後となる大障害コースに挑む。

オジュウチョウサンは今春の中山グランドジャンプを勝ってJRAの最高齢重賞優勝記録を作った。明日の中山大障害を勝てばわずかながら記録更新。外国産馬まで門戸を広げればカラジが12歳4月で中山グランドジャンプを制した記録はあるものの、国内調教馬で11歳12月の優勝となれば当分破られることはなかろう。

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オジュウチョウサンはこれがラストランだから、観ておくべきレースという点では有馬記念より上ではないか。走る馬ほど故障しやすいとも言われるこの世界で、キャリアを重ねたベテランの出走はそれ自体が素晴らしいこと。勝てば快挙と言って良い。それを競馬場で観戦できれば言うことはないが、テレビ中継でも良いからリアルタイムに見届けることが大事。そして勝っても負けても惜しみなく拍手を送ろう。その積み重ねこそが競馬ファンとしての紛れもないキャリアだ。

 

 

***** 2022/12/23 *****

 

 

 

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2022年12月22日 (木)

内枠信仰を疑え

年の瀬はそもそも忙しいものだが、年末とは関係ない仕事にも忙殺されている。今日も更新が遅れたのはそのせい。決して忘年会を楽しんでいたわけではない。24時過ぎに帰宅。シャワーを浴びたのち、怒りを鎮めるかのようにこのテキストを打っている。

―――なんて言っておきながら、夕方5時からはしっかりと有馬記念の枠順抽選のTV中継に見入ったんですけどね。

枠順抽選が公開されるようになったのが9年前のこと。内側から淡々と希望馬番が埋まって盛り上がりに欠けた初回の反省を踏まえて採用された現在の手法にも、もうずいぶん馴染んだ感がある。1巡目に指名されたアリストテレスの武豊騎手がA~Pに割り振られたボールの中から「ブラックのB」を指定すると、宣言通り2枠黒帽4番を引き当ててみせた。やはりこの男、有馬記念ではただならぬ力を発揮する。

一方で「内枠信仰」の根強さは公開抽選制の初回から変わない。共同記者会見では調教師の内枠を願うコメントが相次ぎ、クリスチャン・デムーロ騎手も「One to six」と馬番1~6の内枠を熱望していた。

競馬では出走全馬がコースに対して横並びでスタートする。走る距離だけを考えれば内側の1番枠が最も有利。外枠が不利であることは何も中山芝2500mに限ったことではない。

ただ、中山ダート1200mや東京ダート1600mのようにスタート直後に芝を横切るコースでは、内枠の馬は内ラチに押し込められるリスクを孕むし、ブリンカー着用の馬なども内側で窮屈に走るより、外目をのびのびと走らせた方が良いとされる。数学的に枠順の有利不利がないはずの新潟芝1000mにしても外枠有利が常識だ。

中山芝2500mの「外枠不利」は本当だろうか?

そう思って、過去35年間(1988年1月以降)の中山芝2500m戦の中で、フルゲート16頭で行われた52鞍の勝ち馬と2着馬の馬番号を調べてみた。繰り返すが今の私はつまらぬ仕事を抱えてとてつもなく忙しい。そこに年末の多忙が重なる昨今は、文字通り寝る間を削る日々が続いている。それでも外枠不利への興味が勝り、トイレに行く時間をも惜しんで過去の結果を調べ尽くした。どうか心して調査結果をご覧いただきたい。

馬番 1着 2着
----------------
①番 2頭 2頭
②番 3頭 3頭
③番 6頭 4頭
④番 1頭 5頭
⑤番 2頭 5頭
⑥番 4頭 4頭
⑦番 4頭 3頭
⑧番 3頭 2頭
⑨番 3頭 4頭
⑩番 3頭 5頭
⑪番 3頭 8頭
⑫番 5頭 3頭
⑬番 6頭 1頭
⑭番 1頭 1頭
⑮番 1頭 2頭
⑯番 3頭 0頭

以外なことに、もっとも多く勝ち馬を出しているのは7枠⑬番であった。横山和生騎手は落ち込む必要はない。⑬のゼッケンを付けたゴールドシップの独走はそれほど昔の出来事ではない。

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さらに連対数で言えば6枠⑪番がトップ。逆に⑭番はもっとも少ない2連対に留まるが、それがいずれも有馬記念であることは強調しておく必要があろう。1997年のシルクジャスティスと、一昨年に11番人気ながら2着に飛び込んだサラキア。こうなるとボッケリーニが俄然気になってくる。

Jastice

 

過去の結果を見る限り内と外にそれほどの差を見出すことは難しい。とはいえ、きっと騎手たちは数字には表れぬ有利不利を身体で感じているのであろう。少なくとも不利だと感じた時点でわずかでも不利が生じている。有馬記念ほどの大舞台となれば、心理面がもたらす影響も無視できまい。それが垣間見えるからこそ毎年の公開抽選は見る価値がある。たとえ寝る間がないほど忙しくても、ということだ。

 

 

***** 2022/12/22 *****

 

 

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2022年12月21日 (水)

1年ぶりの地元で

イグナイターを見るため兵庫ゴールドトロフィーの園田に足を運んだ。

今年は各地の交流レースを転戦してダートグレードレース2勝の活躍。だが地元・兵庫での出走はここまで無かった。兵庫を代表する名馬でありながら私はその姿を見たことがない。地元で走るのは1年前のこのレース以来。そのときはハンデ52キロで3着だった。地元ファンの願いは昨年の雪辱を果たしての凱旋勝利であろう。だが、今年は57キロとハンデは見込まれた。ダートグレード2勝の実績は文字通り重荷につながる。

Laptus

しかし勝ったのは59キロを背負った6歳セン馬のラプタスだった。2着シャマルは58キロ。3着サクセスエナジーは59キロ。4着オーロラテソーロは57.5キロ。上位馬はみなイグナイターを上回る負担重量を克服している。本気でJpn1タイトルを目指すなら、57キロごときで泣きごとを言ってはいられない。

ラプタスはこのレース3度目の挑戦でついにタイトルを掴んだ。一昨年は57.5キロで3着。昨年は59キロを背負って2着。こちらもある意味で雪辱であろう。韓国遠征の疲労が抜けきれないまま出走したJBCスプリントが11着大敗。そこからの立て直しに成功した陣営の手腕は素晴らしい。

期待したイグナイターは5着に終わった。好スタートから3番手を追走。3角では逃げるオーロラテソーロに外から馬体を合わせて、圧勝のシーンまで頭をよぎったが、最終コーナーで外に膨らんでしまったのは馬体重23キロ増が響いたせいか。パドックの解説者は「まったく太く見えない。成長分。トモの張りが凄い」と絶賛していたが、久しぶりの地元戦で輸送減りが無かった分の太目残りかもしれない。

思い返せば昨年のこのレースでは2着ラプタスと3着イグナイターとの間には実に7キロもの斤量差があった。それで着差は1馬身1/4でしかない。そして斤量差が2キロに縮まった今年、着差が4馬身3/4に広がったのはハンデ戦として必然でもある。2022年NARグランプリの有力候補でありながら年間を通して兵庫での勝利が無かったとこは、地元ファンも寂しかろう。むろん筆者とて同じ思いがする。来年の兵庫ゴールドトロフィーはイグナイターの雪辱に期待しよう。

 

 

***** 2022/12/21 *****

 

 

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2022年12月20日 (火)

ライバル物語・第2章

先週土曜の阪神の1レースはダート1200mの2歳未勝利戦。2番人気ミラクルティアラが4角先頭からスピードに任せて押し切った。3戦目にして嬉しい初勝利である。続くダート1800mの2歳未勝利戦は1番人気メジェドがまさかの出遅れ。場内がどよめく中、向こう正面から一気にマクり上げて勝利をもぎ取ってしまった。こちらは新馬2着から2戦目できっちり勝ち上がっている。

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実はこの2頭、どちらも母親がダートで活躍した名牝という点で共通しているのである。しかもライバル関係にあったという点で奇縁を感じずにはいられない。

1レースを勝ったミラクルティアラの母はダートグレード8勝のミラクルレジェンド。そして2レースを勝ったメジェドの母はダートグレード7勝のラヴェリータ。2頭がダートグレードレースで火花を散らしたのは、ミラクルレジェンドが4歳、ラヴェリータが5歳となった2011年のことだ。

新年早々の大井で両馬は初めて相まみえた。舞台はTCK女王盃。すでに重賞4勝の実績を誇りながら2番人気に甘んじたラヴェリータが、1番人気ミラクルレジェンドをゴール前で競り落としてクビ差先着。重賞5勝目を飾っている。

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3月のエンプレス杯で人気は逆転した。1番人気に押されたラヴェリータと武豊騎手は後方からの競馬を選択。不良馬場のスローペースを思えばヒヤヒヤものだが、それでも直線では狭い内を突いて一気に先頭ゴールを果たした。同じスペースを狙っていた2番人気ミラクルレジェンドはその一瞬の差が堪えて3着に敗れている。

3度目の直接対決は9月のレディスプレリュード。1番人気はラヴェリータ、2番人気ミラクルレジェンドの人気順は変わらない。ただこのときはラヴェリータが先に動いた。それを見ながらミラクルレジェンドと岩田康誠騎手も徐々に進出。相手を一頭に絞ったときの岩田康誠騎手は強い。きっちり差し切ってラヴェリータ相手に初めての勝利。人気を背負ったラヴェリータにしてみれば、前を行くクラーベセクレタを捉えるため、早く動かざるを得なかったのかもしれない。

4度目の直接対決はこの年に新設されたばかりのJBCレディスクラシック。これまでの対戦では年長馬のラヴェリータは1~2キロ余計に背負わされてきたが、ここで初めて両馬同斤の55キロでの対戦となる。そういったこともあってか、1番人気はラヴェリータで単勝1.6倍。ミラクルレジェンドは2番人気だが、それでも単勝2.0倍と一騎打ちムードが漂う。

実際にレースは一騎打ちとなった。いったんは先頭に立ったラヴェリータをミラクルレジェンドが交わして先頭。しかしラヴェリータも食い下がって離れない。3番以下を大きく離した叩き合いが続く。結局ミラクルレジェンドが3/4馬身差をつけて先頭ゴール。JBCクラシックの初代チャンピオンに名を刻むとともに、ラヴェリータとの対戦成績を2勝2敗の五分とした。

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ラヴェリータとミラクルレジェンド。どちらが強かったのかは正直分からない。たとえ2勝2敗でもGⅠタイトルを獲ったミラクルレジェンドを上と見がちだが、当時のJBCレディスクラシックは未格付けだった。一方、直後のJCダートで、4着に負けはしたもののミラクルレジェンド(6着)には先着を果たしたラヴェリータを上に見る声もあろう。ただ、4着と6着という結果を能力の物差しにすることには躊躇いを禁じ得ない。

このJCダートでラヴェリータが繁殖入りしたため、2頭の名牝による直接対決はこれが最後となった。しかし、このライバル物語の続きが彼女らの産駒によって繰り広げられたとしたら、2頭の対決に熱中したファンとしてこれに勝る喜びはあるまい。ダート1200mであふれるスピードを見せつけたミラクルティアラと、ダート1800mで粗削りながらもスケールの大きさをうかがわせたメジェド。この2頭が相まみえることは、この先果たしてあるだろうか。ライバル物語の第二章に期待したい。

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第14回TCK女王盃 大井1800m
1 ラヴェリータ    57 Mデムーロ 1分52秒4 2人気
2 ミラクルレジェンド 55 岩田    クビ     1人気

第57回エンプレス杯 川崎2100m
1 ラヴェリータ    56 武豊  1分52秒4 2人気
2 ブラボーデイジー  56 北村友 1/2    3人気
3 ミラクルレジェンド 54 岩田康 クビ     1人気

第8回レディスプレリュード 大井1800m
1 ミラクルレジェンド 56 岩田康 1分50秒8 2人気
2 ラヴェリータ    57 武豊  1馬身1/2 1人気

第1回JBCレディスクラシック 大井1800m
1 ミラクルレジェンド 55 岩田康 1分49秒6 2人気
2 ラヴェリータ    55 武豊  3/4    1人気

第12回ジャパンカップダート 阪神1800m
1 トランセンド    57 藤田  1分50秒6 1人気
2 ワンダーアキュート 57 和田  2馬身    5人気
3 エスポワールシチー 57 佐藤  ハナ     2人気
4 ラヴェリータ    55 武豊  1/2    10人気
5 ダノンカモン    57 福永  クビ     4人気
6 ミラクルレジェンド 55 岩田康 クビ     6人気

 

 

***** 2022/12/20 *****

 

 

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2022年12月19日 (月)

140文字の世界

このブログに載せている記事は、1本あたり800~1200文字の範囲に収まっていることが多い。原稿用紙にして2~3枚。これくらいの量が読む方にもちょうど良いとされている。新聞に掲載されている社説も、だいたい千文字前後だ。

文章は長ければ良いというものではない。わかり易く、読み易く、そして何より簡潔に。これが基本。実は、以前ツイッターを齧ってみたことがある。その瞬間に感じたことを、今すぐみんなに伝えたい……などと思い立ったわけではなく、決められた文字数の中で、要を得た文章を書くためのトレーニングをしようと思ったに過ぎない。イーロン・マスク氏が話題を振りまくツイッターにはご存じの通り140文字という制限がある。

千文字に慣れた頭に140文字の縛りは思いのほか厳しかった。「これくらいだな」と頭に浮かんだフレーズをテキストに打ちなおしてみると、あっと言う間にオーバーしてしまうのである。当初は試行錯誤の連続だった。

特に馬の名前は文字数を食う。

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父:ステイゴールド、母:オリエンタルアート、母の父:メジロマックイーン

これだけで35文字。貴重な140文字の4分の1が費やされてしまう。それなら血統は省いてしまえ。「ステークス」とか「カップ」という用語も「S」や「C」に統一しよう。ただし、キングカメハメハを「キンカメ」と書いたりするのは馬に失礼なので、それはしない。そうやって長さを調節していく。もちろんモノを書く以上、文体の美しさも無視できない。短い文章には書き手のセンスが鮮明に現れるものだ。文章を書くというよりは、俳句・短歌の世界に近い。

ひと通り体験してみると、考えていることや感じたことを手軽に伝えられるという点で優れたツールであることは実感できた。読者からの反応もブログとは比較にならないほど早い。一方で、原田敬伍元騎手が引退に追い込まれたのは不注意なツイッター利用がきっかけだった。手軽さと危うさは隣り合わせ。「ツイート」ボタンを押してから、「これは書いて大丈夫なのか?」と心配になったことも一度や二度ではない。

で、結局ツイッターは半年でやめてしまった。パッと頭に浮かんだフレーズが、ぴったり140文字になったのを機に、もうよかろうと感じたのである。自分の中のバリエーションを増やすという目的は、ほぼ達成された。―――とここまで書いて、このブログもちょうど千文字。こういうのは、気持ちがいいですね。

 

 

***** 2022/12/19 *****

 

 

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2022年12月18日 (日)

人生が変わる瞬間

M-1の決勝を見ながらこのエントリを書いている。

M-1を勝てば人生が変わるが、GⅠだって勝てば人生が変わるし馬は将来が変わる。テン乗りの坂井瑠星騎手は秋華賞に続くGⅠ2勝目。新馬、重賞と結果を残していた横山和生騎手からの乗り替わりには様々な憶測も飛んでいるが、プロは結果で応えればよい。前後半の800mが45.7-48.2というハイペースを3番手で追いかけながら、ダノンタッチダウンの猛追を凌ぎ切ってみせた度胸には舌を巻いた。

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2歳GⅠでの乗り替わりはリスクもある。多くの馬は完成途上。新馬を勝ったばかりの馬もいる。どんな癖が隠れているか分からない。坂井瑠騎手は4週続けて追い切りに跨ってコンタクトに努めたというが、そもそも馬の完成度が他馬と違っていた。ゲートを出てみなければわからないことが多い2歳馬の中に合って、ただ一頭古馬のような堂々とした競馬ぶり。1か月以上も前に乗り替わりを決めていたことも合わせれば、この乗り替わりには不安は無かったに違いない。

お母さんのアユサンが桜花賞を勝った時も乗り替わりだった。ただしこれは直前の事故によるもの。もともと騎乗する予定だった丸山元気騎手が桜花賞前日の福島で落馬し、急遽クリスチャン・デムーロに乗り替わった。出馬投票後の乗り替わりで重賞を勝ったケースは、2007年北九州記念のキョウワロアリング(飯田⇒角田)や、2009年新潟記念のホッコーパドゥシャ(石橋脩⇒江田照)などいくつかある。だがGⅠレースとなると過去に例がなかった。そんな逆境で結果を出したクリスチャンはさすがと言うほかはない。

もともと丸山騎手にアユサンへの騎乗を依頼したのはオーナーだったという。その期待に応えるべく、2週続けて丸山騎手自ら栗東に足を運び、追い切りの手綱を取って状態を確認してきた。体調が整わずクイーンCを直前で回避。急遽立て直して挑んだチューリップ賞が体調今ひとつの状態で3着ならば「本番では…」と期するところがあったに違いない。

人気馬たちをなぎ倒すように、馬場の真ん中を堂々とアユサンが駆け抜けた桜花賞の直線。このとき丸山騎手は何を思ったのだろう。いや、丸山騎手に限らず騎手という人たちは、こういうシチュエーションでどのような心理状態に置かれるのだろうか。そこに興味がある。手塩にかけた愛馬の晴れ姿に喝采を送るのか。あるいは悔しさに打ち震えるのか。あるいは、その両方か。普段のレースならまだしも、そこは騎手なら誰もが夢見るGⅠの舞台。その心境の複雑さは計り知れない。

果たして今日の横山和騎手の心境はいかほどか。個人的には平穏ではあってほしくない。まさか今ごろM-1を見て笑っていやしないだろうな。

 

 

***** 2022/12/18 *****

 

 

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2022年12月17日 (土)

人の目

仕事場の若手3人を連れて1レースから阪神競馬場に繰り出した。私以外はみな競馬初心者。日本の競馬はファン無くして成り立たない。馬を走らせて賞金をもらえるのも、記事や写真が売れるのもファンのおかげ。ファンの育成は巡り巡って己のためでもあり、昨今は恩返しでもある。ただ今日の阪神は初心者にはちと難しかった。メインのタンザナイトSは7人気⇒12人気⇒15人気の大荒れ。考えて当たる馬券ではない。

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ともあれ入ったのはC指定席である。そしたら連れのひとりが驚いた様子で私に告げてきた。

「向こうの席に父親が来てました」

もちろん偶然。挨拶に行こうか悩んだが控えた。自分が逆の立場なら困るかもしれない。

もともと競馬場ではいろんな人に出会う場所ではある。馬主、牧場主はもとより、競馬とはまったく無縁の人とバッタリ会ってしどろもどろになることも。決して悪いことをしているわけではないんですけどね。

20年ほど前、競馬を全く知らぬ上、私が競馬場に出入りしていることさえも知らぬ知人が、会社の同僚に連れられて初めて東京競馬場を訪れた際、偶然パドックの内側にいる私の姿を見つけた。まあ、実際には偶然というよりむしろ「必然」なのだけど。

ともあれ、驚いた知人は手にしたカメラで私の姿を撮りまくって、メールで私に送ってきた。こういうのはぜひともやめて欲しい。人込みの中からレンズが自分に向けられているというのはやはり怖いし、送られた自分の写真を見て「また太ったなあ」としみじみヘコんでしまうことにもなる。なので、こういう時は声をかけてください。もちろんレース中は困るけど。

ただ実際には逆のパターンが多い。すなわち、私が顔見知りを発見してしまうというシチュエーションである。で、どういうわけか、その相手は異性と一緒にいるのである。

こういう場合でも私はちゃんと声を掛けることにしている。だが、声を掛けるに至るまでしばらく二人の行動を観察する場合もある(悪趣味)。ともあれ、たいていの知人は私が競馬場に居ることを百も承知で来ているわけだから、私が偶然通りかかって挨拶を交わすことも想定しているはずである。そうでなければ、よほど抜けている。

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そんな私でも声を掛けられなかったことが過去に一度だけあった。私の知人が連れている相手も私の知人だったから。これはエグい。しばらく様子を見たのだが(くどいようだが悪趣味)、どうやらお二人きりでいらしている様子。まあ、どういう事情があって競馬場に来ていたかも分からないわけだが、少なくとも競馬場のドラマは決してコース上だけで起きているわけではない。そういうことです。

 

 

***** 2022/12/17 *****

 

 

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2022年12月16日 (金)

明瞭簡潔なればこそ

あさって行われるGⅠ「朝日杯フューチュリティステークス」は改名から22年目を迎えるが、未だに馴染めぬというファンも少なくはない。「フューチュリティ」という言葉への馴染みが薄い上、我々日本人の口蓋では「フューチュリティ」という単語は発音しづらいのである。「阪神ジュベナイルフィリーズ」も同様。JRAの看板たるGⅠレースなのだから、もう少し簡潔で馴染みやすい名前にしてもらいたかった。

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前身の「朝日杯3歳ステークス」から数えて今年で74回目。戦後に登場した重賞としては3番目に古い老舗である。改名は馬齢表記制度変更という必要に迫られてのものだったわけだが、単なる「朝日杯」でいけない理由があったのか? 「毎日杯」や「阪急杯」の立場も、実は危ういのかもしれない。

英語がダメだとは言わない。要は分かりやすくて発音しやすいこと。大井で2011年から行われている「レディスプレリュード」も意味の理解という点で難がある。ちなみに「プレリュード」とは「前奏」とか「予兆」という意味。「JBCレディスクラシック」の前哨戦という意味を込めたレース名ということであろう。そもそも女性を意味する「lady」の発音は「レイディ」ではないか。

もちろん回数を重ねれば徐々に馴染んでくるはずなのだが、南関東の場合は馴染む頃にはレースそのものが廃止になるケースも少なくない。「TCK女王盃」の名も兵庫移設に伴って消えて無くなる。

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本来ならば過去の名馬の名をレース名で残すことが競馬の連続性、歴史性を考えても意義のあることだし、ファンにも受け入れやすいはずだ。欧米では名馬の名を冠したレースが数多くある。だが、JRAには「セントライト記念」と「シンザン記念」の2レースしかない。副題としても共同通信杯2歳Sに「トキノミノル記念」と付けられているだけ。いかにも少ないという意見は、ずっと前から沸き起こっている。

これについては「冠名があるからNG」とか「現在も種牡馬として供用されているからNG」として、JRAもなかなか実現に動こうとはしていない。シンザン記念が創設されたのは、シンザンが種牡馬としてバリバリ現役の時だったはずなのだが。

南関東でもハイセイコー記念、ロジータ記念、フジノウェーブ記念、ダイオライト記念と名馬の名前を冠したレースが行われている。そこに来年から「フリオーソレジェンドカップ」が加わることになった。それは良い。ただ「レジェンド」と付け足したのは余計だったような気がしてならない。レース名にその名を遺す馬がレジェンドなのは当たり前。シンプルに「フリオーソ記念」とした方が、レジェンド感はむしろ増したように思う。

 

 

***** 2022/12/16 *****

 

 

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2022年12月15日 (木)

うどん文化とそば文化

昨日付の本稿は濃い味付けを否定するものではない。ちょっと誤解を招く書き方だったかもしれないなと反省している。私自身、濃い味は苦手ではない。生まれも育ちも関東で両親も東京の人だから、食卓にあるものには何でも醤油をかけて食べていた。

俗に「濃い味の関東」「薄味の関西」という具合に括られることが多い味付け文化であるが、文化が分かれた理由のひとつに「関東や東北は寒冷地だから」というものがあるそうだ。

ただ、これを「寒いと人は塩っ辛いものを欲する」と解釈するのは間違い。身体が塩分を欲するのはむしろ暑い場合、すなわち西日本であろう。

冷蔵庫がなかった時代、食べ物を長持ちさせるために塩漬けの技術が生まれた。すると暑い西日本の方が、塩の使用量は当然多くなる。例えば、魚の保存性を高めるためにも大量に塩をするから魚そのものが強烈に塩辛い。料理人はその魚を酢で洗ってバッテラにしたり、昆布締めにする。昆布締めした魚を醤油に直接つけたらしょっぱくて食えたもんじゃないので、醤油をダシで割って薄めて使う必要があった。これが関西の薄味文化の源流のひとつと言われる。

加えて、うどんとそばの文化の違いも味の違いを後押しした。

うどんの味を決定するのは「小麦粉」と「水」とあとひとつ。それは「塩」。特に讃岐うどんには多くの塩が含まれているから、濃い味のつけ汁を必要としない。対してそばには塩分が入っていないから、濃い味のつけ汁を絡めて旨味を補強しないと食べられない。つまり味つけの度合いは、素材に塩分が含まれているかどうかに左右されるのである。

関西でうどん文化が栄え、関東でそば文化が花開いたのは、冒頭の気候問題に帰結する。温暖な西日本は、もともと亜熱帯産の稲作に適しており、その裏作として麦の栽培が早くから行われていた。一方で、冷涼かつ山間部が多い東日本では、そばのような雑穀しか栽培できなかったというわけである。

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もちろん他にも多種多様な要素が複雑に絡まりあって現在のような食文化が形成されたはずだが、わずか数百キロしか離れていない地域で、このような細かい味の違いが楽しめるといのは、ひとこと幸運であると思う。それが競馬観戦の楽しみのひとつにもなっていると思えばなおさら。東京に住んでいた当時、京都や阪神に行って私がまずやることと言えば、透き通ったダシのうどんを食べて東西の違いを実感することだった。今は毎週実感している。ありがたい。

 

 

***** 2022/12/15 *****

 

 

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2022年12月14日 (水)

矜持

先週日曜は北海道からやってきた知人ふたりを案内する形で中京に出かけた。名古屋駅から中京競馬場への乗り換えの難しさは知る人ぞ知る。しかし私のような体格の人間に期待するのは、きっと道案内だけではあるまい。だから朝から晩まで案内した店は首尾一貫して名古屋メシにこだわった。デブにはデブの矜持というものがある。

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朝は名古屋駅で小倉トーストを頬張ったのをスタートに、昼に競馬場でコッテコテの味噌かつ丼をきしめんで流し込んだら、おやつの大あんまきを挟んで、名古屋駅に戻って手羽先とビールで乾杯。ラストは「稲生」のひつまぶしで締めた。ひつまぶしの後に、あんかけスパか、台湾まぜそか、味噌煮込みうどんはどうか?と聞いてみたのだが、「さすがにもういい」と白旗モード。分量には気を遣ったつもりなのだが、どうやらふたりとも名古屋メシ特有の濃い目の味付けの連続に心が折れたようだ。

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「名古屋の方が濃い味を好む」という書き方をすると名古屋の方はたいてい否定されるが、少なくとも「名古屋メシ」と呼ばれるメニューが総じて濃い味付けなのは間違いない。食酢メーカーの方に聞いたところでは、寿司酢でも関東や関西に比べて甘みの強いものが好まれる傾向があるという。

実際、ただやみくもに濃い味を好んでいる訳でもない。たとえばうどん。

一般のうどんの麺には塩が練り込まれているが、味噌煮込みの麺には使われていない。だからこそ、あの豆味噌の濃い味に馴染む。濃い味が好きと言うより、濃い味の活かし方が上手なのである。

それは、ひつまぶしの食べ方にも言える。

最初におひつの中身を3等分して、1杯目はそのまま、2杯目はこの薬味をたっぷりかけて、そして最後の3杯目はダシをかけてお茶漬けにして食べる。広く知られた楽しみ方だが、じつはこうしないと最後まで美味しく食べられない。実際に食べてみると分かる。最初の一口はパリッと香ばしい鰻の風味を味わうためにそのまま食べるのがベスト。しかしだんだん濃いタレの味ばかりが気になってくる。そしたらワサビやネギをアクセントにすることで舌をリセット。しかしその効果も長くは続かないから、最終的にはダシの力に頼るというわけ。

「まず最初におひつの中身を4等分して、4杯目はいちばん好きな食べ方で食べるのが通」と言う地元の人もいるが、私が見た限り4杯目もお茶漬けにする人がほとんど。だからと言ってタレの味を薄くしようなどと考えたりはしない。それではひつまぶしの魅力自体が失われる。名古屋メシには名古屋メシの矜持というものがある。

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ちなみに私は新大阪へ戻る新幹線の車中で「千寿」の天むすをいただいた。あれだけ食べたあとなのにまだ食べられる。名古屋メシって不思議だ。

 

 

***** 2022/12/14 *****

 

 

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2022年12月13日 (火)

551の豚まんがあるとき~

昨夜から降り続いた雨が上がったら一気に空気が入れ替わった。まさに季節を分かつ雨。こうなると「551蓬莱」の豚まんが恋しくなる。そう考える私もすっかり関西人と言っても良いのではないか。なるみさんが出演する「551の豚まんがあるとき~」のCMは関西で知らぬ人はいない。もちろん関東ではオンエアされていないから、私はこちらに来るまで見たことがなかった。

新大阪駅のお土産売り場のあの絶望的な行列ばかりが印象に残る「551」だが、ウチの近所の店舗はそこそこ空いている。とはいえガラガラというほどでもない。つまり観光客だけでなく地元民からもちゃんと愛されている証。1945年に「蓬莱食堂」として創業して以来77年。豚まんと言えば「551」を指すほど関西の地中深くにまでその根を広げている。

私の中では四半世紀以上前に阪神競馬場に向かう途中の西宮北口駅の「551」で買ったの豚まんが思い出深い。1996年の阪神3歳牝馬ステークスのその日、尋常ならざる寒さに耐え切れず、乗り換えの途中に「豚まん」の看板を見つけて、つい足を止めたのである。そもそも当時の私は「551蓬莱」がそんなに有名なお店だとは知らなかった。

塩コショウで味付けされたタマネギと豚肉はジューシーで、ほんのり甘みのある皮との味の対比が楽しい。もちろんアツアツだった。正直言って味よりも、あの温かさの方が忘れがたい。

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その日は贔屓のメジロドーベルが勝ったので、数か月後の桜花賞でもゲンを担いで同じ店で豚まんを買って食べたものだが、残念ながらキョウエイマーチの逃げ切りを許してしまった。やはり豚まんは寒さに震えながら食べてこそ本領を発揮するのであろう。

ちなみに、私自身は「ゴーゴーイチ」という繁殖牝馬の産駒に一口出資したことがある。ゴーゴーイチの母はオークス馬のテンモン。しかも、半兄のマイネルシアターがソコソコの活躍をしていたことから、これは良かろうと思って出資したのだが、結局JRAで勝つことはできなかった。その後も冬の金沢で2勝しただけに終わっている。

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そこは「ゴーゴーイチ」の子。やはり寒くないとパフォーマンスが発揮できないタイプだったのかもしれない。そう言えばマイネルシアターが活躍したのも冬場ばかりだった。明日の大阪は5度まで冷え込むという。う~、さぶさぶ。

 

 

***** 2022/12/13 *****

 

 

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2022年12月12日 (月)

マイルか、スプリントか

「最優秀短距離馬に加えて最優秀マイラーの創設をという声は今でもたまに聞こえてくる」

12月3日付「続・マイルの申し子」の中でそう書いたら、今日になってJRAはJRA賞の最優秀短距離馬部門を「最優秀スプリンター」と「最優秀マイラー」の二部門に分けることを発表した。もちろん偶然。実現するのは2024年度からだそうだ。これにより部門賞は9タイトルから10タイトルとなる。

これまでの規定では「最優秀短距離馬」の選考基準について「1600m以下のレースを対象」としていた。それが2024年から最優秀マイラーは1400~1600m、最優秀スプリンターは1400m未満でカテゴライズするらしい。ちなみに、JPNサラブレッドランキングの基準ではスプリントを1000~1300m、マイルは1301~1899mと規定しており若干のズレが生じている。つまりドバイターフを圧勝して「マイル」で高いレーティングを獲得しても、JRA賞「最優秀マイラー」に選ばれるとは限らない。

ちなみに今年の成績で最優秀マイラーと最優秀スプリンターを選ぶならどの馬になるだろうか?

1400~1600mのGⅠを複数勝った馬はいない。ソダシがマイルGⅠを3回走って(1,0,2,0)の成績を残したが、2着ならともかく3着をどこまで評価すべきか。そうなるとGⅠに加えGⅡも勝っているセリフォスか有利に思える。投票モノは上半期より下半期の活躍の方が有利なことは言うまでもない。

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もっと難しいのが最優秀スプリンター。ナランフレグは高松宮記念の1勝のみ。ジャンダルムにしても、GⅠとGⅢを勝った一方でそれ以外の4戦はすべて二桁着順に沈んでいるところがネック。GⅡ2勝、GⅢ1勝のメイケイエールが香港スプリントを勝てば文句なしだったのに。

ならばJBCスプリントの覇者ダンシングプリンスでどうだろうか。北海道スプリントカップとリヤドダートスプリントを含めてスプリント重賞を3勝なら有資格馬であろう。なにより先ほど引用させてもらったJPNサラブレッドランキングでは117ポンドを獲得。ジャンダルムの115ポンド、ナランフレグの114ポンドを上回り、スプリント部門の国内トップに立っている。もちろん最優秀スプリンターの規定に「芝に限る」といった制限はない。

最優秀マイラーと最優秀スプリンターのタイトルが分かれたことで私が期待するのは両タイトルのダブル受賞。その難しさを考えるとき、マイルでもスプリントでも圧倒的強さを見せたタイキシャトルやグランアレグリアの凄さに思いが至る。JRAの思惑をあざ笑うような活躍を見せる快速馬の誕生を期待したい。

 

 

***** 2022/12/12 *****

 

 

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2022年12月11日 (日)

重賞を避けるように

この週末は中京、中山、阪神でGⅠを含む3重賞。加えて香港では4つのGⅠ。土日をどこで過ごそうか、悩んだ方もいらっしゃるのではあるまいか。

実は私もその一人。実は土日が連休と決まった先月から計画を立て始めた。

プランAは明日の月曜も休みを取って香港へ行くというもの。ステイゴールド、エイシンプレストン、アグネスデジタルの日本馬がマイル、ヴァーズ、カップを3連勝した2001年以来21年ぶりの現地観戦を果たし、現地では人気にならぬであろうサリオスの馬券にドカンと投入してやろう。―――そう目論んでみたものの月曜の休みがどうしてもNGでこのアイディアはボツ。サリオスも現地入りしながら、アクシデントで無念の回避を余儀なくされた。

やむなくプランBとして土曜は中京で中日新聞杯を観戦し、夜はそのまま金沢へ移動。日曜は金沢の重賞・中日杯を観戦するという「中日重賞ハシゴ」のプランはどうだ。中日新聞杯にはGⅠ馬キラーアビリティが、そして中日杯には金沢の女帝ハクサンアマゾネスが出走を予定している。これまで何度もハクサンアマゾネスの走りを見てみたいと思いながらなかなか実現しなかったが、ここで実現してしまおう。―――そう思ったのもつかの間、土曜日に仕事場に顔を出さなくてはならなくなりこれもボツ。

それでプランCとして「土日とも阪神に行く」に変更。つまり普段と変わらない。幸い指定席も確保できた。土曜の阪神は重賞はないけど、日曜にGⅠを観戦できれば文句はない。今年の阪神JFは例年にも増してハイレベルと評判だ。

そしたら、人と会うため日曜は中京に行かねばならなくなった。ここへきてのプランDはまさかの「土曜:阪神、日曜:中京」である。ちなみに会う相手は「土曜:中山、日曜:中京」という行程を取るらしい。これだけ重賞が行われる週末にわざわざ重賞を避けるように新幹線まで使って競馬場をハシゴするこの潔さ。重賞ばかりが競馬ではない。

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土曜阪神メインのリゲルSは、勝ち馬が5年連続で京都金杯に出走しており、その結果は(1,0,1,3)。今年はブービー人気シャイニーロックが逃げ切ったが、果たして次走に京都金杯を選ぶかどうか。中京は4戦して掲示板すらない。

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日曜中京メインは知立S。知立と書いて「ちりゅう」と読む。名物は「大あんまき」らしい。その屋台に行列ができていた。幟のデザインと店の屋号はどことなくフサイチコンコルドを連想させる。これは大物かもしれない。それで行列に並んで購入してみた。味の方はどら焼きを恵方巻スタイルで食べる感じ。食べやすい上、ボリュームもあるから競馬場のおやつにちょうど良いですね。メインレース終了後も行列は途切れなかったから、お土産として持ち帰る人もいたようだ。

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肝心の知立Sは1番人気の外国産馬マックドールが4連勝でオープン入りを果たした。勝ち時計も1分7秒2と速い。重賞観戦は叶わなかったが、彼の能力は間違いなく重賞級であろう。シルクロードSあたりから高松宮記念を目指すようだ。

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***** 2022/12/11 *****

 

 

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2022年12月10日 (土)

午夜博彩

今年の香港国際レースが明日に迫った。

昨年は2勝、一昨年も2勝、3年前は3勝。近年は4つのカテゴリを日本馬が席巻している。後続を3馬身ちぎったモーリスのカップは衝撃。ロードカナロアのスプリント連覇は圧巻。日本馬がマイル、ヴァーズ、カップを3連勝した2001年は恐怖すら覚えた。そしてハクチカラ以来36年ぶりの日本馬による海外重賞制覇となった1995年のフジヤマケンザンの歓喜は今も忘れようがない。

そんな中にあって、1998年のカップを勝ったミッドナイトベットだけが、なんとなく世間から薄い印象を持たれているような気がしてならない。そうは思いませんか?

1998年の香港国際カップは、香港ダービーの勝ち馬ヨハンクライフや、安田記念でタイキシャトルの2着したオリエンタルエクスプレスなどの地元香港勢が人気を集めていた。日本のミッドナイトベットは、14頭立ての12番人気という超伏兵。5連勝で京都金杯も京都記念も制した1年前の勢いはすっかり影を潜め、日本を発つ直前のカシオペアSではブービーに敗れていたことを思えば、そんな低評価もやむを得なかったのかもしれない。

レースは五分のスタートを切ったものの、300mほど進んだあたり他馬に前をカットされ、ずるずると最後方まで下がってしまうという最悪の展開。私の隣で撮影していた「ギャロップ」誌のカメラマンは、「あぁ、こりゃ掲示板もないわ」とポツリ。彼はミッドナイトベットの複勝にドカンと突っ込んでいた。

それでも3コーナーで早くも河内洋騎手が動いて、4コーナーではなんと先頭。いくらなんでも無茶だと思うところだが、遠目に見ても手応えはそんなに悪くない。「あれ? 逆に単勝だったんじゃないですか?」と私。結局そのまま先頭を譲ることなく、ゴールを駆け抜けてしまったのである。

Mid1

この勝利には3つの大きな意味があった。

まずひとつは、ミッドナイトベットが日本国内では傑出したチャンピオンホースではなかったこと。ミッドナイトベットの勝利により、日本でGⅠを勝てなくても海外に適鞍があれば積極的に出掛けて行こうという流れが加速したように思う。

いまひとつは、勝ち時計の1分46秒9は、95年にフジヤマケンザンが記録したレコードをコンマ1秒上回るものだったこと。日本馬が叩き出したレコードタイムを日本馬が破るという構図は、すなわち日本競馬のレベルの高さの証しにほかならない。

Mid2

そして最後のひとつは、社台グループにとってこれが初めての海外遠征での重賞勝利だったことだ。

ギャロップダイナのフランス遠征から苦節12年。スキーキャプテンやダンスパートナーでも為し得なかった悲願を4頭目のチャレンジでついに果たしたのである。ミッドナイトベットに帯同して現地で調教を任されていた社台ファーム山元トレセンの袴田調教主任は、12年前にもギャロップダイナと一緒に渡仏して馬と苦楽を共にした人物。表彰式での喜びようも際だっていた。ステイゴールドやハーツクライを経てラヴズオンリーユーやマルシュロレーヌへと至る彼らの海外における躍進の起点になった一戦。あれから24年目の香港で果たしてどんなドラマが生まれるのだろうか。注目しよう。

 

 

***** 2022/12/10 *****

 

 

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2022年12月 9日 (金)

ぼっかけ

阪神競馬場スタンド6階のレストラン「FLORA」は、コロナ禍の入場制限が大幅に緩和された今もなお休業が続いている。とはいえ寒い中わざわざ階下のフロアまで移動するのも面倒くさい。仕方ないから売店でカレーライスでも買って自席で食べよう。そう思いながら売店を覗き込んだら「神戸名物ぼっかけカレー」なるメニューが目に飛び込んできた。

ぼっかけとは牛スジとこんにゃくを甘辛く炊いたものの俗称。関西名物のお好み焼きや焼きそばの具として使われることが多く、そのルーツは神戸市長田区にあるらしい。かの地のお母さん方の間で「安くて、美味しくて、一度作っておけばいつでも食べられる」と広まった。いわば長田版おふくろの味。お好み焼きや焼きそばの具として地元では長く愛されているそうだ。

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カレーライスを一口食べてみる。カレーの辛さとぼっかけの甘さが絶妙なコントラストを描いてなるほど美味い。そもそも牛スジはカレーに合うのだし、時折感じるクニャっとしたこんにゃくの歯ざわりは、食べるものを飽きさせぬ重要な役割を演じている。階下の売店でも売り出せばよいのにと思わないでもないが、何かしらの事情があるのかもしれない。

代わりに階下では、うどんの「KASUYA」が「ぼっかけ丼」なるメニューを提供している。白飯にぼっかけを豪快にかけて葱を散らした一杯。シンプルではあるが、ぼっかけは味付けが濃いからご飯との相性が抜群だ。

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ぼっかけ。その一風変わった呼び名は、賭けに没頭するような輩が勝負事の合間に食べる食事の「没賭け」に由来する―――なんてことは当然なくて、「ぶっかけ」が訛ったものという見方が一般的だ。うどんや白飯に「ぶっかけ」て食べるところから来ているというわけ。

「ぶ」が「ぼ」に変化するという説には若干無理がありそうな気がしないでもないが、関西の方々のしゃべりをずっと聞いていると、ありそうな気もしてくるから不思議。なにより「ぼっかけ」の方が語感から関西風味が漂う。

大阪市内でも「ぼっかけうどん」というメニューを稀に見かけるが、それは茹でたうどんの上からつけツユをかけた、讃岐流の「ぶっかけ」であることがほとんど。筆者は大阪に住んで間もなく丸2年の節目を迎えるが、長田名物の「ぼっかけうどん」には残念ながらまだ巡り合えてない。3年目の宿題としよう。

 

 

***** 2022/12/9 *****

 

 

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2022年12月 8日 (木)

消えぬ芦毛

オメガパフュームの引退が発表された。

2018

2018年から東京大賞典を4連覇中。空前にしておそらく絶後となるであろう5連覇の大偉業に向けて調整中と聞いていたから、突然の引退発表に驚かないではいられない。思い返せば、もともとは昨年の4連覇を引っ提げて引退、種牡馬するはずだった。レックススタッドでの受け入れ準備も整っていたはず。「アンタレスSで始動予定」というニュースが流れたときは、古いニュースが流失したのではと本気で心配したほど。現役続行宣言が突然なら引退発表も突然。それでも規定路線通りにレックススタッドに入ることができるのであれば、馬にとって悪い話ではない。

父スウェプトオーヴァーボードの血を伝えることはもちろん大事。だが、私は彼が芦毛にことさら重きを置いている。若いファンや女性はたいてい芦毛馬を応援するもの。それはある意味正しい。その貴重な芦毛を伝えることになる種牡馬入りは、東京大賞典4連覇という偉大な記録以上に実は大きいようにも思える。

なぜ芦毛は少ないのか。基本的には芦毛馬の父親も、母親も、遺伝の法則によりその産駒に約半分しか芦毛を伝えないことが知られている。隔世遺伝はしないので、仮に地球上から一時期でも芦毛が消えてしまったら、もう二度と復活することはない。絶えず消滅の危険と隣り合わせ。ならば、逆に芦毛はどんどん減っていくかといえばそうでもない。そこが不思議でならない。

かつて芦毛馬はいわれのない迫害を受けてきた。「芦毛は能力に劣る」という迷信はまだ序の口。ナポレオン登場前の欧州では「芦毛が生まれたら悪魔にくれてやれ」とさえ言われたという。

我が国でも江戸時代は「芦毛は悪し毛なり」と武士に嫌われた。その理由は芦毛馬にありがちな弱い白爪にあったとされるが、明治期に入ると今度は敵の標的になりやすいという理由から馬政局は芦毛馬の競馬出走を禁止する命令を出す。芦毛は絶えず消滅の危険にさらされながら、今日まで生き延びてきたのである。

今年の凱旋門賞を勝ったアルピニストも、クロノジェネシスも、クロフネも、ここ一番で芦毛馬が見せる勝負強さに我々はしばしば驚かされる。オグリキャップなど最たる例であろう。遺伝法則からして、彼らは芦毛を伝えるか否かの両親の1回勝負のジャンケンに、だいたい30回くらい連続して勝ち続けた方の子孫。だから勝負強いのだという説を私は信じたい。

2019

白い馬体が躍動する姿を観るたび、この世から消えそうに思える芦毛馬はやはり途絶えないのだと再認識させられる。それが人が芦毛馬に惹かれるもっとも大きな理由のように思えてならない。オメガパフュームの子が競馬場に戻ってくるその日を、楽しみに待とう。

 

 

***** 2022/12/8 *****

 

 

 

 

 

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2022年12月 7日 (水)

砂上の星

12月に入り星空が美しい季節になった。土曜の阪神メインはリゲルS、日曜の中山メインはカペラS。JRAのレース名にも星の名前が目立つようになっている。写真は昨年のリゲルS。勝ったのはエアロロノア。「エア」の勝負服には四枠青帽がことのほか似合う。

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リゲルもカペラも冬の夜空に輝く一等星。全天で21個ある一等星のうち、日本の冬の夜空には7個が集まる。このうち、シリウス、プロキオン、カペラ、ポルックス、アルデバラン、リゲルの六つの星をつなぐと六角形になり、その中心にはベテルギウスが赤く輝く。私が子供の頃は、それを「冬の大六角」と覚えりしたが、最近では「冬のダイヤモンド」なんてシャレた呼び名があるらしい。パッと聞いただけだとサトノダイヤモンド産駒と勘違いしそうだ。

これら7個の一等星の名はみなJRAのレース名にも登場している。

シリウス   ダート GⅢ
プロキオン  ダート GⅢ
カペラ    ダート GⅢ
リゲル    芝   L
ベテルギウス ダート L
ポルックス  ダート オープン
アルデバラン ダート オープン

ほとんどがダートのレースなのは季節的な理由もありそうだが、そんな中にあって明日のリゲルSは数少ない芝の一戦という意味で興味深い―――なんてことはなくて、GⅠ牝馬の産駒3頭の激突の方がそりゃあ興味深いに決まってる。

とはいえ、こと注目度という点ではカペラSの方が数段上であろう。「ダート1200m」はJRAで2番目に数多く行われるレースでありながら、この条件で行われる重賞競走はカペラSただひとつ。ゆえにGⅢという格付けながら、この条件に絶対の自信を持つ快速ダートスプリンターが集結する。

【2021年JRAレース施行数と重賞レース数】
①ダ1800 934レース  6レース
②ダ1200 660レース  1レース
③芝1200 612レース 12レース

ダンシングプリンス、ジャスティン、コパノキッキング。最近のカペラSの優勝馬が、その後に海外や国内のビッグレースで活躍するのは偶然ではない。8年連続のフルゲートはレベルの高さの現れ。勝ち方次第でリヤドダートスプリントやドバイゴールデンシャヒーンが見えてくる。アラブの砂上に鮮烈な光を放つ超新星を、ひと足早く目撃したい。

 

 

***** 2022/12/7 *****

 

 

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2022年12月 6日 (火)

あんかけに魅せられて

京都人はあんかけ料理が好きだ。味付けした汁に葛粉などを少量加え、とろみをつけたあんをかける。この季節はとくにあんかけ料理が美味しい。かぶらにあんをかけ、百合根饅頭にもあんをかける。

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あんかけうどんはその最たるものであろう。これを京都では「たぬき」と呼ぶ。理由はドロンと化けるから。大阪の「たぬき」とも、東京の「たぬき」とも全く違う「たぬき」が冬の京都を闊歩している。

関西でうどんと言えば大阪が本場のように思われているが、実は京都人の方がうどん好きだという調査結果があるらしい。そもそもうどんは京都生まれという説も。鎌倉時代に中国へ留学した僧が冷や麦に似た「切麦」(きりむぎ)を伝え、これを熱い湯につけても腰が保てるように太麺にアレンジしたのが始まりとされる。それが年月を経て京都独特の「京うどん」へと進化した。

ただ「京うどん」の定義は難しい。敢えて特徴を挙げるなら、「細麺、だし、具が三位一体となった一杯」といったところか。写真は、昨日祇園で立ち寄った「萬屋」さんの葱あんかけうどん。これでもかとばかりに投入された大量の九条葱とたっぷりのあんが、祇園の舞妓さんや南座の歌舞伎役者さんたちから熱い支持を受けている。

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近隣のお茶屋に夜食を運ぶ祇園の習慣が、あんかけうどんを生んだという説があるらしい。冬の京都は底冷え。それでもあんかけならうどんが冷めにくい。「萬屋」の葱あんかけを食べているとそれがよく分かる。一向に冷める気配がない。それどころか葱とショウガの効果で身体の内側から熱くなってくる。店を出てもまだ身体はぽっかぽか。これからの季節の京都歩きには強い味方であろう。

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カップ麺の「どん兵衛」から、この秋冬シーズンに向けた新商品「京風あんかけうどん」が発売されているのをご存知だろうか。昆布の旨味たっぷりのツユに、生姜の香りをきかせた風味豊かな味わいが特長。あんかけのトロみにインスタント麺が負けてしまわないか心配したが、そこはさすが「どん兵衛」である。モチモチの麺にあんがしっかり絡んで、京都の味を再現。てっきり西日本限定発売かと思ったら全国発売らしいから、東日本の方もぜひ手に取っていただきたい。筆者は決して日清食品の回し者ではないが、昆布だしの「どん兵衛」を手軽に味わうチャンスでもある。

 

 

***** 2022/12/6 *****

 

 

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2022年12月 5日 (月)

モミジとカエデ

世界の舞台で日本の活躍を全国民が祈る日に相応しく、朝から京都・藤森神社に足を運んだ。創建から1800年の歴史を誇る古社。菖蒲の節句発祥の地であり、また「菖蒲」は「勝負」に通じることから勝負運にご利益があると言われる。そこで祈願したのは、もちろん―――、

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香港国際レースでの日本馬の活躍ですよ、そりゃ。なにせ藤森神社は知る人ぞ知る「競馬の神様」。騎手や調教師、馬主関係者らの参拝も珍しくない。境内には1995年に香港国際カップを勝ったフジヤマケンザンの雄姿を描いた肖像も飾られている。香港での日本馬の活躍を祈願するのに、ここ以上に相応しい社寺はあるまい。

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そこから光明寺、東福寺、さらに足を延ばして下鴨神社へと歩く。紅葉は名残に近いが、それでも探せば今を盛りと赤く染まったモミジの木を簡単に見つけることができる。視線を足もとに向ければ赤絨毯のような散りモミジが美しい。

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モミジは秋の紅葉の代名詞。「紅葉」と書いて「モミジ」と読ませることにもそれがよく表れている。「モミジ類」と言う人もいるが、植物学的には「カエデ類」というのが正しい。

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ではモミジとカエデの違いはいったい何か?

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その判断基準となるのが葉の切れ込みの数や深さ。葉に5つ以上の深い切れ込みがあり、掌手の平を広げたような形状をしているものはモミジと呼ばれ、それ以外の切れ込みが浅く葉先が細かな形状をしているものはカエデとすることが多い。

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もちろんこの分け方には諸説があるが、モミジとカエデを区別するのが日本だけの文化であることは間違いない。「モミジ」も「カエデ」も万葉集から登場する。呼び方の多さは文化的深度の現れであろう。

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競馬のレース名にもモミジとカエデが登場する。いずれも2歳馬による短距離戦。もみじSが芝1400mのオープン特別で、かえで賞が芝1200~1400mの500万条件。ただし後者は2013年を最後に行われていない。写真は1995年のかえで賞。村本善之騎手を背にしたタヤススリリングが一気呵成に逃げ切った。

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2003年以前は両レースが揃って施行されていたから、かえで賞ともみじSの両方に挑戦するというローテも可能だったはず。しかし両レースを制した「紅葉ホース」の記録はない。惜しいところでは1998年のユーセイシュタイン。この年はもみじSが先に行われたが、1勝馬の身で臨んだもみじSは2着で、次走に自己条件のかえで賞を使って勝ち上がった。京都競馬場が再開する来年以降は、かえで賞の復活もぜひとも検討してもらいたい。

 

 

***** 2022/12/5 *****

 

 

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2022年12月 4日 (日)

馬券と煩悩

先週の東京競馬場は「暑い暑い」と言いながら上着を脱いでビールをがぶ飲みする陽気だったのに、今週の阪神は底冷えする寒さ。カレンダーが師走に入った途端に寒くなるのだから陽気も律儀だ。なのに少しでも間近で競馬を観んがため、屋外で寒さに耐えている皆さんには畏敬の念を禁じ得ない。

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それで思い立って2レースの未勝利戦は、久しぶりにラチ沿いでレースを眺めてみた。するとスマートファントムが大外一気のゴボウ抜き。やはりここだと迫力が違う。とはいえやっぱり寒い。結果、そそくさとスタンド内に退散。情け無いとは思うけど背に腹は代えられない。

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スタンドから眺めた5レースの新馬戦は、4番人気のトンジンチが後続に4馬身差をつけて逃げ切ってしまった。ドゥラメンテ産駒の牝馬。半兄にかしわ記念など重賞3勝のワイドファラオがいる。

トンジンチ(貪瞋痴)とは仏教用語。「心の三毒」と言われるもので、貪欲にあれこれ欲する「貧」、怒ったり、妬んだり、恨んだりする「瞋」、常識知らずの「痴」を組み合わせた言葉。すなわち「貪瞋痴」は人が持つ煩悩であり、戒めの言葉でもある。競走馬の名前に使われるのは珍しい。

阪神はそこまでにして諸事情これありで京都へ。

チャンピオンズカップはウインズ京都で観戦。テーオーケインズにいつもの伸びがない。それを観てフロアはどよめいた。だが、もともと負けるときはアッサリ土俵を割るタイプ。昨年の金沢JBC以降は6戦を消化しながら連勝もない。それでもメンバー手薄のここは勝てると踏んでいた。去年より2秒以上も遅い時計に馬が戸惑ったか。私の馬券もハズレ。たまに1番人気を買うとロクなことがない。

日が落ちてすっかり暗くなった建仁寺を参拝。素晴らしい古刹がウインズの隣にあるのはさすが京都だ。

臨済宗建長寺派の総本山。開山は栄西禅師、開基は二代目鎌倉殿・源頼家である。法堂の本尊釈迦如来座像を見ていたら。己の煩悩が消え去っていくような気がした。馬券を当てたいと欲したりせず、外れたとしても騎手に怒りの矛先を向けたりせず、他人が当たったら常識に従って祝福の言葉をかけることにしよう。

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なんだかワタシ、人が変わってしまいそうだ。それというのもトンジンチの逃げ切りがあまりにも鮮やかだったせい。この竹灯籠の明かりで、冷え切った心も懐が少しばかり暖まった気がした。

 

 

***** 2022/12/4 *****

 

 

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2022年12月 3日 (土)

続・マイルの申し子

11月21日付に使ったタイトル「マイルの申し子」。この言葉は誰かから聞いたフレーズだったように思うのだが、それが誰だか思い出せない。そんなモヤモヤを抱えるうちに、暦は師走になり、今日から暮れの中山開催が始まった。それで思い出したのである。そうだ。大川先生だ!

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「ダイタクヘリオスはマイルの申し子と言えるんじゃないですか。1800までならマイペースの競馬をされたら太刀打ちできる馬はいませんよ」

1992年。当時のスプリンターズSは有馬記念の前週に行われていた。その朝、そう私に語りかけてきたのは「神様」こと大川慶次郎氏。中山開催時の大川氏は、世田谷のご自宅から小田急線、千代田線、東西線、路線バスを乗り継いで競馬場に通われていた。偶然にも私も毎週末に同じ電車の同じ車両を利用していたこともあり、氏の貴重なお話を伺いながら競馬場までのわずかな―――しかし濃密な―――時間を過ごせたことは身に余る光栄と言う他はない。

1992年スプリンターズSの朝、氏のお話のテーマは「ダイタクヘリオスについて」だった。西船橋駅の改札をくぐり、遥か先のロータリーに停まっていた競馬場行きのバスを見つけ「乗りましょう!」と言って走り出した氏の後を慌てて追い掛けながら、それでもダイタクヘリオスの話題は長く続いたと記憶している。

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この年の始動戦となったマイラーズCは60キロを背負って5馬身差の圧勝。毎日王冠では日本レコードの逃げ切り。そして何よりコースレコードを記録したマイルCS連覇が素晴らしい。シンコウラブリイもヤマニンゼファーもまったく歯が立たなかった。

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そんな風にダイタクヘリオスを高く評価していた大川氏ではあるが、その一方で「今日で引退させるならばJRA賞(最優秀短距離馬)でも彼に投票するんですがねぇ……」と含みを持たせた発言をされていたこともまた事実だ。

年内引退が決まっていたダイタクヘリオスは、スプリンターズSの翌週に行われる有馬記念にも出走を予定していた。「マイルの申し子」。「1800までなら」。そう評価する大川氏にとって、連闘での有馬記念出走は理解しがたいローテーションだったのだろう。

そもそもダイタクヘリオスのローテーションは、デビュー当時から一流馬のそれとは少し異なっていた。

2歳10月のデビュー戦で3着に敗れると中1週、連闘と矢継ぎ早に未勝利戦に出走して初勝利を挙げると、返す刀で中1週となるデイリー杯に挑戦するも4着に敗れ、12月のさざんか賞で2勝目を挙げたかと思いきや、またもや連闘で阪神3歳Sに出走してアタマ差の2着に健闘した。10月7日のデビューから12月17日までの2ヶ月余りで実に6戦を消化しているのである。

そんな2歳シーズンから3年が経過していた。

スプリンターズSでニシノフラワーの4着に敗れたダイタクヘリオスは、予定通りの連闘で有馬記念に挑む。レース中盤に13秒台のラップが登場するような先行馬有利のペース。しかし、ダイタクヘリオスと一緒に先行したメジロパーマーがまんまと逃げ切ってしまったレースの遥か後方で、上がり3ハロンに38秒6を要し、アゴを上げ、歩くようにゴールしたダイタクヘリオスの姿を見た時、私は一週間前に聞いたばかりの大川氏の言葉を思い起こした。

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結局この年の最優秀短距離馬は桜花賞とスプリンターズSを勝ったニシノフラワーが獲得。最優秀内国産馬もメジロパーマーの手に渡り、ダイタクヘリオスはタイトルとは無縁のまま引退する。

「最優秀短距離馬に加えて最優秀マイラーの創設を」という声は今でもたまに聞こえてくるが、そのきっかけになったのがダイタクヘリオスの1992年シーズンであったように思う。とはいえ、ダイタクヘリオスのスプリンターとしての資質を評価する声があったことも間違いない。ただ、最後の最後にその評価をコミットさせることに失敗してしまった。それだけのこと。つくづくレース選択は難しい。

 

 

***** 2022/12/3 *****

 

 

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2022年12月 2日 (金)

サカイ騎手引退

一昨日の船橋競馬は交流重賞・クイーン賞で注目を集めたが、その直後に行われた最終レースも俄かに注目を集めた。左海誠二騎手と酒井忍騎手。翌12月1日付で調教師に転身することが決まっている二人のダービージョッキーが、揃ってラストライドに臨んだのである。結果は左海騎手が3着で酒井騎手は13着。左海騎手が「無事に終えられた」とホッとした表情を見せれば、酒井騎手も「感謝しかない」と笑みを浮かべたという。無事に騎手人生のゴールを果たしたという安堵と達成感の現れであろう。まずは、お疲れ様と言いたい。

Seiji1

左海誠二騎手が初めてダービーを勝ったのは2013年。4番人気のインサイドザパークでゴール寸前差し切る名騎乗だった。9度目の挑戦でのダービー制覇は、既に南関東の重賞をいくつも勝ち、JRAでも重賞3勝をマークしていた彼からすると遅かったと言えるかもしれない。でも、それがダービーの魔力。アランバローズで挑んだ昨年は1番人気に応えて2度目の栄誉を掴んだ。個人的にはマキバスナイパーとのコンビが印象深い。

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酒井忍騎手はもともと新潟県競馬の所属。詳しく調べたわけではないが、三条競馬場でのレース経験がある最後のひとりではなかろうか。新潟県競馬の廃止に伴って2001年に川崎へと移籍。すると、その翌年の東京ダービーをキングセイバーで制覇するのだから凄い。名刺代わりと言うにはインパクトが強すぎる。ちなみにJRAで活躍する酒井学騎手は実の弟。JRAでは武豊騎手&幸四郎調教師タッグがたまに話題となるが、主催者の垣根を超えた酒井忍調教師&学騎手タッグがもし実現すれば、その希少性からも注目に値しよう。

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かつては中央地方合わせて5人の「サカイ」騎手が同時に活躍する時期があった。だからファンは「そらっ!セイジ!」とか、「チアキ!持たせろ!」とか、「何やってんだマナブ!」なんて具合に、苗字ではなく名前で騎手にエール(?)を送ったものである。ところが坂井千明騎手は2004年に引退。坂井英光騎手も既に調教師として活躍している。そして今回の2人の引退によって、坂井瑠星騎手と酒井学の2人を残すのみとなった。「サカイ」マニアの方にとっては寂しく感じられるかもしれない。

私はそんなマニアではないが、それでも今回の左海騎手と酒井騎手の引退を寂しく思う一人である。彼らには何度か世話になったし、一緒に写真も撮ったし、個人的にも応援していた。そんな二人のサカイ騎手が同時に鞭を置くというのも何かの縁か。ラスト騎乗を現地観戦することは叶わなかったが、遠く大阪の地から労いの言葉を送りたい。

 

 

***** 2022/12/2 *****

 

 

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2022年12月 1日 (木)

スペインをやっつけろ

FIFAワールドカップのグループステージもいよいよ大詰め。あと5時間余りで日本対スペインの試合がキックオフとなる。それに備えて今日は早寝を決め込む向きも多かろう。まさに決戦の金曜日だ。

スペインは強い。サッカーに疎い私でもそれくらいは知っている。だからというわけではないが、今宵は近所のスペイン料理店「エルカミーノ」でハモンセラーノを肴にサングリアを牛飲。ひと足早くスペインをやっつけたつもりが、泥酔のあまり帰宅するなり倒れこんだ。逆にスペインの戦術にハマってしまったのかもしれない。

薄れゆく記憶の中で思い出したことがある。かつて「エルカミーノ」という馬がいた。「ハモンセラーノ」や「サングリア」という馬もいたはず。スペイン語由来の馬名は存外多い。

El

1981年の関屋記念を勝ったブラビオーはスペイン語の「勇者」で、83年新潟3歳Sのマリキータは「舞姫」。ファレノプシス(胡蝶蘭)もたしかスペイン語だったはずだし、ディアデラノビア(恋人たちの日)、ペルーサ(マラドーナ氏の愛称)、ブエナビスタ(素晴らしい景色)、クラーベセクレタ(秘密の鍵)、レイデオロ(黄金の王)、ブラヴァス(素晴らしい)、イスラボニータ(美しい島)、グランアレグリア(大歓喜)等々。特に近年の活躍馬はスペイン語の名前が際立つ。

Buena

もちろんスペインにも競馬はある。賭けを伴う常設競馬場での最初のレースが行われたのが1835年というから、歴史も古い。ただ人気度は欧州各国に比べると低く、しばしば数年の中断を伴う。最近では1993年から2005年まで平地競馬が行われなかった。競馬よりも闘牛に目がない国民性だと思えば、それもやむを得ないか。

それでも2008年のロイヤルアスコット開催では、スペイン調教馬のエキアーノがキングズスタンドS(GⅠ)を勝つ快挙を成し遂げるなど、再び競馬人気が高まりつつある。ディープインパクトの引退に際しては、スペインのメディアがそれを大きく報じたそうだ。

Velaazul

ジャパンカップを勝ったヴェアラズールも「青い帆」という意味のスペイン語らしい。それよりも、我々の世代なら「オラシオン(=祈り)」を抜きにしてスペイン語馬名は語れない。そんなことを考えながら眠りに落ちた。果たしてスペイン戦の結果はどう出るか。目が覚めた時には、きっと試合は終わってるだろうなぁ。

 

 

***** 2022/12/1 *****

 

 

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