ごちそうの日
毎月29日は「ニクの日」だが、今日11月29日は年に一度の「いいニク」の日。それでお昼は天神橋筋商店街「豚小屋」にて豚丼にした。がっしりした歯応えのロースは肉感たっぷり。香ばしく焼かれた脂身も意外にあっさりしているので、大盛でも食べ飽きることがない。「良い肉の日」の昼メシとしては100点であろう。満足して仕事場に戻った。
しかしそれを同僚に伝えると、言下に否定されたのである。
「ニクちゃいますやん」
関西で「肉」と言えば、例外なく「牛肉」を指す。そのことをすっかり忘れていた。私にそれを指摘した人物は、東京の居酒屋で出された「肉じゃが」に「肉が入ってない!」と噛み付いたツワモノである。つまり豚肉入りの「肉じゃが」は偽物というわけ。関西名物「551」の「豚まん」も決して「肉まん」とは呼ばれない。関東では「肉玉」と呼ぶお好み焼きも関西では間違いなく「豚玉」だ。件の「肉じゃが」も「豚じゃが」なら問題なかったかもしれない。
ともあれ、関西における「良い肉の日」に「豚」はまずかろう。反省して、夜は肉寿司をつまんだのち肉うどんで締めた。むろんどちらも牛肉。改めて見渡すと、そもそも関西では牛肉のメニューが関東より圧倒的に多い。
総務省の家計調査によると、全国の県庁所在地と政令市の中で1世帯当たりの年間支出額がもっとも高いのは京都市で、以下、和歌山市、奈良市、大津市、大阪市、堺市と上位6位までを関西勢が独占している。一方、豚肉は横浜市が1位で、関西圏でベストテンに入る市は奈良市だけだそうだ。これでは豚肉が入った肉じゃがに憤慨するのも仕方ないが、いったいなぜそのような違いが生まれたのだろうか。
一説では、身近な家畜の違いに原因があるらしい。
かつて関西では田植えなどの農作業に牛を使う地域が多かったが、東日本では馬が主流だった。それで関西では身近な家畜だった牛が食文化にも定着したというのである。なるほど頷ける部分もたしかにあるが、馬食の文化は東日本でもごく一部に限られる。関東育ちの我が家の食卓に馬肉が上がった記憶はないし、肉屋さんで馬肉を見たこともない。
まあ、私の母は魚屋の娘だったので、そもそもニクと呼ばれるものが食卓に上がることはほとんど無かったんですけどね。お肉は月に一度のご馳走。もしそれが牛肉だったりしたら小躍りして喜んだものだ。「ニクの日」を地で行ってた40年前が懐かしい。
***** 2022/11/29 *****
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