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2022年11月30日 (水)

日常に溢れるGⅠ

「天皇賞(秋)を終えた時点でJRA東西所属別のGⅠ成績は関東10勝に対し関西6勝。「西高東低」が叫ばれて久しいが、今年24年ぶりに関東が勝ち越すかもしれない―――」

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11月12日付けでそんなことを書いた途端、エリザベス女王杯、マイルCS、そしてJCと関西馬がGⅠを3連勝した。さすがは私の予言。口に出したそばから逆のことが起こる。そもそも「関東馬の逆襲」なんて見出しを付けたことからしてマズかった。美浦の関係者にも申し訳ない。

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ともあれJCを終えた時点で関東の10勝9敗と関西が猛追している状況である。こういう展開では追い付かれる方が苦しい。今週のチャンピオンズカップで関東馬が再び突き放すことはできるのか―――?

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そう思いつつチャンピオンズCの登録馬を見たら、なんと全て関西馬ではないか。実にあっけなく東西が10勝で並ぶことが確定した。関東馬にしてみればこの不戦敗は痛い。残るは阪神JF、朝日杯FS、有馬記念、ホープフルS。さらに「国内平地GⅠ」という観点では東京大賞典も含めて残すは5戦のみ。そこで関東馬が3勝するのは至難のような気がする。

折も折、既に発表済みだった羽田盃と東京ダービーをダートグレードレースに組み入れてJpn1格付けとすることに加え、さきたま杯をJpn1に昇格することが、NARやJRAなどから発表された。

持ち替わり開催のJBCを除けば、浦和にとって悲願のJpn1である。さきたま杯は交流元年の1997年からダートグレードレースに名を連ねるオリジナルメンバー。初代優勝馬は日本ダービー4着の実績を誇るフジノマッケンオーだった。あれから四半世紀余り。Jpn2昇格やJBC開催など一つずつステップを積み重ねて、ついにチャンピオンレースの誉れにたどり着いた関係者の思いはひとしおであろう。学生時代を浦和で過ごした私としても少しばかり誇らしい。

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一方で、昨日の発表ではすべてのダートグレード競走を2028年から段階的に国際競走とすることで、「Jpn」表記に象徴されるローカル格付けからの脱却を目指すという。その結果、我が国の平地GⅠレースはJRA24競走と地方13競走の合計37競走となる計算。そういう意味で画期的な計画であることは間違いない。だが、その一方で若干の戸惑いもある。

ひと昔前までは、GⅠ以外のレースに1頭でもGⅠ馬が出てくれば、それだけで競馬場に人が溢れた。GⅠホースはチャンピオン。稀有な存在だったことは間違いない。なにせグレード制導入直後のGⅠは年間わずか15競走に過ぎなかった。それが37にも増える。平均すればひと月あたり3~4レース。GⅠが行われない週の方がむしろ珍しいなんてことにもなりかねない。

有馬記念では出走馬のファン投票応募が続いているが、タイトルホルダーやエフフォーリア、ヴェラアズールなど7〜8頭のGⅠホースが揃いそうな状況である。メディアは「豪華メンバー」を謳うに違いない。しかし、現時点で日本国内には実に47頭ものGⅠホースが現役を続けている。チャンピオンだらけの時代に「GⅠ馬×頭の豪華メンバー」の表現は実態に合っていると言えるのだろうか。

時代の移ろいと共に記録やタイトルの価値は少しずつ変化してゆく。それをメディアが教えてくれないのなら、情報を受け取る側が読み解く努力をするしかない。

 

 

***** 2022/11/30 *****

 

 

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2022年11月29日 (火)

ごちそうの日

毎月29日は「ニクの日」だが、今日11月29日は年に一度の「いいニク」の日。それでお昼は天神橋筋商店街「豚小屋」にて豚丼にした。がっしりした歯応えのロースは肉感たっぷり。香ばしく焼かれた脂身も意外にあっさりしているので、大盛でも食べ飽きることがない。「良い肉の日」の昼メシとしては100点であろう。満足して仕事場に戻った。

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しかしそれを同僚に伝えると、言下に否定されたのである。

「ニクちゃいますやん」

関西で「肉」と言えば、例外なく「牛肉」を指す。そのことをすっかり忘れていた。私にそれを指摘した人物は、東京の居酒屋で出された「肉じゃが」に「肉が入ってない!」と噛み付いたツワモノである。つまり豚肉入りの「肉じゃが」は偽物というわけ。関西名物「551」の「豚まん」も決して「肉まん」とは呼ばれない。関東では「肉玉」と呼ぶお好み焼きも関西では間違いなく「豚玉」だ。件の「肉じゃが」も「豚じゃが」なら問題なかったかもしれない。

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ともあれ、関西における「良い肉の日」に「豚」はまずかろう。反省して、夜は肉寿司をつまんだのち肉うどんで締めた。むろんどちらも牛肉。改めて見渡すと、そもそも関西では牛肉のメニューが関東より圧倒的に多い。

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総務省の家計調査によると、全国の県庁所在地と政令市の中で1世帯当たりの年間支出額がもっとも高いのは京都市で、以下、和歌山市、奈良市、大津市、大阪市、堺市と上位6位までを関西勢が独占している。一方、豚肉は横浜市が1位で、関西圏でベストテンに入る市は奈良市だけだそうだ。これでは豚肉が入った肉じゃがに憤慨するのも仕方ないが、いったいなぜそのような違いが生まれたのだろうか。

一説では、身近な家畜の違いに原因があるらしい。

かつて関西では田植えなどの農作業に牛を使う地域が多かったが、東日本では馬が主流だった。それで関西では身近な家畜だった牛が食文化にも定着したというのである。なるほど頷ける部分もたしかにあるが、馬食の文化は東日本でもごく一部に限られる。関東育ちの我が家の食卓に馬肉が上がった記憶はないし、肉屋さんで馬肉を見たこともない。

まあ、私の母は魚屋の娘だったので、そもそもニクと呼ばれるものが食卓に上がることはほとんど無かったんですけどね。お肉は月に一度のご馳走。もしそれが牛肉だったりしたら小躍りして喜んだものだ。「ニクの日」を地で行ってた40年前が懐かしい。

 

 

***** 2022/11/29 *****

 

 

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2022年11月28日 (月)

6年ぶりのJC

昨日の東京競馬場の入場者数は53559人。好天にも関わらず天皇賞(秋)の62958人より減らしたのは、ジャパンカップのメンバーに魅力を感じるファンが少なかったことに尽きよう。直前まで1番人気が目まぐるしく入れ替わった単勝オッズに、それが端的に現れている。

当初は出走が囁かれたドゥデュース、イクイノックス、ウインマリリン、ブルーム、マジカルラグーン、アルピニスタといった有力メンバーが続々回避。おかげで歯抜け感は増す一方だったが、仮にこの6頭すべてが出走していたら除外確実だったヴェラアズールは運も強い。GⅠ初挑戦馬がJCを勝つのは2008年以来の出来事。あの年のスクリーンヒーローは直前のアルゼンチン共和国杯を勝ったことでJCに駒を進めたが、そのアルゼンチン共和国杯にしても、たまたま回避馬が出たおかげで出走にこぎ着けた。この回避がなければゴールドアクターやモーリスは誕生していなかった可能性が高い。昨日のJCにも運命のいたずらを感じる。

ともあれ天皇賞よりも空いている場内であるが、それでも人が多く感じることに変わりはない。特に食事。いまだに場内の一部店舗は固くシャッターを閉ざしている。ゆえにスタンド内の飲食店はどこも絶望的な行列。それならばと内馬場に足を運んだ。大々的に宣伝はされていないが、5回開催初日から4日目まで行われた「ワールドグルメフェス」の一部店舗が、内馬場で営業を続けている。15分の行列に耐えドイツソーセージとビールを手に入れた。青空、競馬、ビールは最高の組み合わせた。

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特に旨いのは串に刺さったフランクフルトソーセージ。普段の競馬場で良く見かける「フランクフルト」とはまるで違う。皮はパキッと小気味よく、ほとばしる肉汁はとことんジューシーで、しかるのちに香草の香りが鼻腔をくすぐる。今だとばかりにビールをゴクリ。くぅ~、たまらん。

牛腸の皮を使うとボロニア・ソーセージ、豚腸のものはフランクフルト・ソーセージ、羊腸はウインナ・ソーセージ。もし人工皮を使う場合は、製品の太さが36mm以上はボロニア、20mm以上はフランク、20mm未満はウインナ……等々。一躍話題となったドイツでは、ソーセージの製法に当局が厳格なルールを設けている。この規則に従わない商品を「フランクフルト」と名乗ることは許されない。このあたりの細かさが、いかにもドイツらしい。いつも競馬場で売られている「フランクフルト」は大丈夫だろうか。

それにしても、現場の見た目より入場者数が少なく感じた理由はいったい何であろうか。

ひとつには入場券を完全前売りにしたことで、馬券だけ仕入れてメイン前に帰るようなファンが少なかったことが推測される。わざわざ前売りで購入するのはジャパンカップのレースそのものが見たいからに違いない。ちなみに入場口では、相変わらず事前に入場券を買っていないまま来場したファンがひと悶着起こしていた。これはJRAにも責任がありそうな気もするが、客とJRAの双方に確信犯的な気配が漂うのであまり深くは考えないことにする。

それよりもスマートシートの運用が目を引いた。この日、かつては自由に行き来できたスタンド自由席の通路は、スマートシート利用者以外は通行禁止。GⅠ開催日に限った運用らしいが、自由通行エリアとスタンド通路との出入口の大半を通行止めにして、スタンド通路に入る客に対しては東京ドームのように入場券をチェックする念の入れようである。JRAは自由席の場所取り対策に長年頭を痛めてきた。新型コロナを機にスマートシートを定着させる思惑が見え隠れする。

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ともあれこの運用によって、席に座らず通路の手すりにもたれかってレースを観戦することはできなくなった。見た目より実入場者数が少ないと感じたのはそれもあるかもしれない。私が初めて見たジャパンカップは1988年。朝からスタンドの手すりに陣取り、その場に立ったまま6時間粘ってトニービンとタマモクロスに声援を送った34年前のあの日が懐かしい。

 

 

***** 2022/11/28 *****

 

 

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2022年11月27日 (日)

外国人騎手の競演

今年の開催最終日となる東京競馬場にやってきた。ジャパンカップの観戦はキタサンブラックが勝った2016年以来6年ぶり。場内にはビールを片手に盛り上がる外国人の姿が目立ち、馬場内には海外の国旗がはためき、ソーセージの屋台には長蛇の列ができている。コロナによるブランクはあったけど、11月最終日曜日のこの光景はかつてとなんら変わらない。

6レースと9レースで外国人騎手が上位を占めた。かつてのジャパンカップ当日にはJC騎乗のために来日した外国人騎手のためのレースが用意されていて、パット・エデリーやウイリー・カーソンのライディングを目の当たりにしながら、既にJCが始まったような興奮を覚えた記憶がある。馬もさることながら、海外の一流ジョッキーの手綱捌きを観る機会も限られていたのだから仕方ない。あの当時から30年間以上を経て、欧州各国のリーディングジョッキーが一同に介するこの時季の日本競馬は、実は世界でもトップレベルの騎手が凌ぎを削る激戦区。それを毎週観ることができる我々は、その環境に感謝すべきなのだろうか。

今年のJCはタイトな競馬になった。スローペースの一団の隊列から直線で外に出すのではなく、どの馬も内ラチ沿いを狙うのは欧州のスタイルそのものである。JCでも上位4頭までを欧州の騎手が占めたのはそのせいであろう。掲示板に載った5頭はいずれも人気を集める実力馬。最後は騎手の腕比べだった。

どの馬もバテてないから馬群がバラけない。「前が詰まった」というコメントが多く聞かれたのそのせい。勝ったヴェラアズールにしても、直線では決して進路が開けていたわけではない。「開いた!」と思ったら閉まり、「抜けた!」と思ったらまた塞がる。アクセルを踏んだらブレーキ。またアクセルを踏んで、今度はイケると思ったらまたブレーキ。終わりそうで終わらない渋滞の運転にも似る。馬にも負担にならないはずがない。

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それでもヴェラアズールはメンバー最速となる33秒7の脚でゴールを駆け抜けた。馬の能力が傑出していなければできないこととはいえ、馬群を縫うように進路を探しつつ、馬の能力を余すところなく引き出したライアン・ムーア騎手の技術には賛辞を送らぬわけにはいかない。こういうレースを観てしまうと、有力と言われる馬ほど陣営が外国人騎手に騎乗依頼したくなる気持ちが分かる気がする。外国人だから上手いというわけではなく、実績がある人だけを選抜して短期免許を与えているのだから、結果が出て当然。その腕はJRAのお墨付きというわけだ。

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エリザベス女王杯 C.デムーロ
マイルCS D.レーン
ジャパンC R.ムーア

これで、この秋に短期免許で来日した5人の外国人騎手のうち3人がひとつずつGⅠを勝った格好。その前の天皇賞はルメール騎手が勝ったから日本人騎手は4連敗中ということになる。こうなるとマーカンド騎手とドイル騎手も気になるところだが、あいにくこの二人はチャンピオンズCに騎乗予定はないらしい。

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***** 2022/11/27 *****

 

 

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2022年11月26日 (土)

コスパからタイパへ

恥ずかしながら「タイパ」という言葉を知らなかった。この月曜に知ったばかり。それで火曜付けのブログで初めて使った。とはいえ聞いた相手の言葉を引用したに過ぎない。それで「タイパ」と鍵括弧付きで書くことになった。

最初は海外の競馬場のことだと思った。

マカオにあるタイパ競馬場。マカオジョッキークラブ運営の競馬場でマカオダービーやマカオゴールドカップなどの重賞をはじめ、アジア競馬諸国との交換競走も行われている。愛知の岡部誠騎手がマカオスターオブザサンドSという重賞レースを勝ったのもこの競馬場だ。

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私は1995年にこの競馬場を訪れたことがある。現地のコーディネーターに「マカオの武豊」とでもいうべき信頼度の高いジョッキーがいるから、これを買っておけば間違いないと言われ、その通りに買ったのだが、一度たりとも来なかった。最終レース後に首を絞めてやろうと思ったがスタンドに姿が見えない。聞けば一本早いフェリーで香港に逃げたという。こうして私のマカオ競馬の成績は的中ゼロのまま今日を迎えているわけだが、若者が使う「タイパ」とは競馬場のことではないらしい。

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競馬場のではないなら馬のことか。タイムパラドックスが「タイパ」と省略して呼ばれていたことがあったように思う。ご存じ2004年のJCダートなどダートGⅠ5勝の砂の猛者。若者は「タイパ重視」というフレーズをよく使うが、これはつまりタイムパラドックス産駒を狙えということであろう。ただ、最近はタイムパラドックスを見つけるのも難しい。金沢のMRO金賞を勝ったイイネイイネイイネを若者がこぞって応援しているという話も聞かぬ。

もちろんタイムパラドックスのことではない。正解は「タイムパフォーマンス」の略。投資した時間に対する効果を示す言葉で、これを重視することで仕事の生産性を上げ、プライベートを充実させることが可能になるのだそうだ。最近ではコスパ派よりもタイパ派の方が圧倒的に多いのだという。そうですか、ふーん。

それが最近はエスカレートしているらしい。オンデマンドのセミナーや大学の講義を倍速で見るのは当たり前。なんとオンデマンドや録画した映画やドラマも倍速で見るのが普通だという。そんなんじゃ面白くないだろうと言うと「セリフとあらすじが分かればよい」と若者は言う。でもそれじゃ作品として観れてないでしょ。むしろ時間の無駄ではないか、と反発してみても話は噛み合わない。彼らにとって映像は「作品」でなく「コンテンツ」であり、鑑賞するものでなく消費するものという意識が根付いている。セリフの「間」とか、演者の表情などは不必要な情報であるらしい。いや、不必要って……。

彼らによればパチンコもタイパが悪い娯楽なんだそうだ。勝負がつくまで時間がかかり過ぎるという。そういう意味では競馬は早くて良い。そうだね、と一応同意しつつ、それでも12レースやるとそれなりに時間を使うのだけど、彼らはレースとレースの合間はSNSなど別の時間に充てるのだという。とにかく無駄な時間を作ることは許さない。

そんな生き方してて楽しいか?

筆者はそんな言葉をかけたくなる気持ちをグッと堪えた。バブルに沸いた我々の若い頃に比べ、今の若者は時間もお金もない。社会が精神的余裕を失ったことで彼らの価値観が変容したのだとしたら、それを批判するのは筋違いだ。明日はジャパンカップと京阪杯が行われる。レースの格ではジャパンカップが一回りも二回りも上だが、タイパを重視する若いファンの視線は京阪杯の方に向いているのかもしれない。だとしたら、やはり悲しい。

 

 

***** 2022/11/26 *****

 

 

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2022年11月25日 (金)

コスパよりも大事なこと

マイルチャンピオンシップを勝ったセリフォスはG1レーシングの所有馬。「G1」を名に戴くクラブだけにGⅠレースでの成績が気になるところだが、実際クラブのGⅠ制覇はルヴァンスレーブが勝った2018年チャンピオンズC以来4年ぶりとなる。ちょっと間が空いてしまった感は拭えない。

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昨日付けで牧場ツアーのパーティーのことを書くうち、ふと2015年ツアーのパーティーを思い出した。当時G1レーシング代表に就任したばかりの吉田正志氏がスピーチのため、壇上でマイクを握ったのである。ご存じ吉田晴哉氏のご長男。聴衆は500人を超える社台グループ会員の面々である。普段なら登壇に合わせて「まさしっ!」と声を張るのが私の役目だが、新社長の挨拶となれば結婚披露宴のノリは慎まねばなるまい。固唾を呑んで、その言葉を待った。

曰く。

「経営者という立場になって気を引き締めている」

「コストパフォーマンスを重視して」

「顧客満足度を高めてゆくつもりだ」

彼の口から「コストパフォーマンス」とか「顧客満足度」などという単語が出るとは思わなかったので、会場はソコソコ盛り上がった。「ガラじゃねぇだろ」という笑い声も聞こえる。だが私は拍手をしながら「つまらないこと言ったもんだ」とガッカリしていた。

そもそも私はコストパフォーマンス(費用対効果)という言葉が好きではない。最近では「コスパ」とか「CP」と略されて、ネット上のみならずTVや紙媒体にも溢れかえっている。どのくらいの価格が妥当なのか。レストランも、家電ショップも、最近では交通手段までもがコスパで評価されているのだから驚く。

コスパを意識するのは、ゆとり世代の消費の特徴なのだそうだ。幼い時からネットに親しんだ「デジタルネイティブ世代」は、ネットで豊富な情報を仕入れ、「これならいくら払ってもいい」という自分なりの相場観を自然と培っているのだという。

それはそれで良いことかもしれない。だが、ネットで調べる手間のコストや比較に頭を使うコストはどうなるのか。食べたものに金属片や人の歯が入っているリスクはコスト換算しなくてよいのか。私のような古い人間は、そちらの方が負担に思えたりもする。だから私はいわゆる「比較サイト」を利用したことがない。

そもそも、である。理由もなく欲しいと思うものや、唯一無二のものを手に入れようとするにあたり、コスパを考える人がいるだろうか。その典型が競走馬であろう。6000万円で募集されたオルフェーヴルは13億円を稼ぎ出したが、だからといって1億2千万円の馬が26億円を稼ぐかと言ったら、そんなことがあるはずがない。それでも馬を買うのは、単純に「その馬が欲しい」と思う気持ちの強さであり、その馬が地球上で「唯一無二」の存在であればこそではないか。

正志氏の祖父・吉田善哉氏はサラブレッド生産の仕事を「虚業」と言い切った。それを思えばコストパフォーマンスや顧客満足度といった「実業」の用語ではなく、「ひとつでも多つ勝つ」「社台やノーザンより強い馬を出す」といった言葉が聞きたかったのが正直なところ。「安かろう。ソコソコ良かろう」というファストフード的発想は、競馬の現場には似つかわしくない。もちろん顧客を満足させたいという正志氏の理念は素晴らしい。だが競馬は勝ってナンボの世界。追分とG1に期待しているからこそ「つまらん」と思わずにいられないのである。

 

 

***** 2022/11/25 *****

 

 

 

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2022年11月24日 (木)

W杯か、ベッドか

朝から京都を歩き、大阪を横断して園田まで移動して、薄暮開催をいいことに3レースから最終レースまでべっとり馬券を買い続けた昨日は、自分が思っていたより疲れていたに違いない。昨夜は夜10時に布団に入り、朝までぐっすり眠った。

それを同僚に話したら信じられないという顔をする。「なにやってんすか?」とか「非国民」とまで言う奴もいた。たしかに夜10時というのは、寝るにはちょっと早い。でもそこまで言われる筋合いもなかろう。でもよくよく話を聞いたらサッカーの話だった。FIFAワールドカップの日本vsドイツの試合が昨夜行われたことくらい知っている。それを観ずに寝るなんて信じられないというわけだ。それなら多少理解できる。でも睡魔には敵わない。人間だもの。

それで思い出した。12年前の社台グループ牧場ツアー初日の懇親パーティーでのこと。夜8時半を過ぎたあたりから会場がザワザワし始めた。すると締めの挨拶に立った吉川良氏がマイクを握るなり「前半10分で0対0だ。サッカーはあとにしろ!」と壇上から叫んだのである。まさにその時間はワールドカップ・南ア大会の日本対オランダが始まったばかり。それに私は驚いた。「へぇ。みんなそんなサッカーが好きなんだ」と。

そりゃあ私だって「興味がない」とまでは言い切れないけど、途中経過が気になるほどでもない。しかもその夜も眠かった。なにせ朝5時に浦河を発ち、千歳までクルマを飛ばしてツアーに合流。しかるのちに百頭を超える1歳馬を真剣に見るのだから疲れるのも仕方ない。だからサッカーよりも早くベッドに入りたかった。私はワールドカップの季節になると眠くなる癖があるのかもしれない。

そうはいっても、競馬界にはサッカーにちなむ馬名が溢れている。

サッカーボーイとハットトリックは言うに及ばず。「ペルーサ」はディエゴ・マラドーナのニックネームだし、「コディーノ」は元イタリア代表のロベルト・バッジョの、そして「フェノーメノ」も元ブラジル代表のロナウドのいずれも愛称に由来する。

とはいえ4年に一度のこの時期に特に思い出されるのはズバリその名も「ワールドカップ」であろう。父アンバーシャダイ、母トウコウキャロル、その父ホスピタリティという血統の牡馬で、1998年の南武特別など3勝を挙げた。

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この南武特別が行われる前日、オーナーの渡邊隆氏はスワンSに出走する愛馬サントスを応援するため京都競馬場を訪れていた。だが結果は勝ち馬から3秒以上も離されたシンガリ負け。落ち込んで帰京する新幹線の中で、偶然にも横浜マリノスの井原選手と乗り合わせたという。

井原選手といえば、この年の6月に行われたサッカーワールドカップ・フランス大会で日本代表の主将を務めたばかり。慶応大学サッカー部出身で、サッカーに精通するオーナーにしてみれば、これほどの吉兆はあるまい。井原選手に「明日は頑張ってください」と激励され、気を良くして臨んだ翌日の東京8R南武特別をワールドカップで勝っただけでなく、その日のメインレースをワールドカップの兄オフサイドトラップが勝ってしまう栄誉にも恵まれた。そのメインレースとは言うまでもなく第118回天皇賞。サイレンススズカの悲劇の裏には、そんなドラマもあった。

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ちなみにその1か月後、渡邊オーナーはエルコンドルパサーでジャパンカップも制している。1年後のJC当日に行われたエルコンドルパサーの引退式には、前年のW杯で日本代表の指揮を執ったトルシエ元監督の姿があった。私のすぐ隣でラストランを見届けるトルシエ氏が意外なほど大柄だったことと、通訳のフローラン・ダバディ氏がちゃんと傍らにいたことが印象深い。ワールドカップに関する私の思い出はその程度。これでは睡魔に勝てないのも無理はあるまい。

 

 

***** 2022/11/24 *****

 

 

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2022年11月23日 (水)

祝日の過ごし方

話は20日前に遡る。

好天の祝日だったこの日、筆者は尼崎でうどんを食べたのち、園田競馬場で午後を過ごした。その翌日、仕事場で同僚に「昨日何してた?」と何気なく聞いたら「美術館巡り」という答えが返ってきたのである。そう、あの日は「文化の日」だった。

競馬は文化であると信じて疑わぬ私ではあるが、園田のレースが終わったあとも盛岡JBCの馬券をベタベタと買い続け、大惨敗のあまりヤケ酒をあおり、記憶を無くしかけた行為を文化的とは言いにくい。それで反省したのである。次の祝日はもう少し文化的な過ごし方をしようと。

それで朝から京都にやってきた。目指すはその名も京都文化博物館。雨の祝日を文化的に過ごすのに、ここに優るスポットはそう多くはあるまい。

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折しも「新選組展」の最中であった。オキタソウシ、ヒジカタトシゾウ、コンドウイサミ。そんな名前を持つ馬たちが愛国で走っていることはなるべく思い出さぬようにしながら、ゆっくり観て回れば、時勢に抗い、不器用ながらも懸命に激動の時代を駆け抜けた彼らの姿にある種の共感を感じずにはいられない。現代では死語になりつつある「忠義」についてしばし考えさせらてた。

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博物館を出て六角堂を参拝。雨に濡れた石仏たちは風情たっぷりだが、残念ながら境内のイチョウはまだ青々としている。せっかくだからもう少しブラブラしてから帰ろう。さてどこへ行こうか。ーーーと阪急電車に揺られて辿り着いた先はコチラ。

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園田です(笑)。写真は3レースの2歳戦。勝ったのは2番人気のフィアスサーメット(父ダノンレジェンド)で、スローぺ―スの2番手で折り合うと、直線に向いて危なげなく抜け出した。同じ1700mで行われる大晦日の園田ジュニアカップに向けて、今日の競馬は忘れないでおきたい。

今日のメインはA1特別とはいえ出走メンバーは重賞並み。私が追いかけ続けるナチュラリーも出走する。結果3着に敗れたが、8歳にして57戦目のキャリアは誇れる。9歳セレノグラフィーに至ってはこれが67戦目だった。雨にも負けず働き続ける馬たちには頭が下がる。

馬たちに「仕事」の自覚はあるのか? 乗馬クラブで働く娘に訊くと乗用馬には「ある」という。ならば競走馬にもあるかもしれない。農民や浪人の寄せ集めだった新選組の行動原理も、「忠義」よりむしろ「仕事」に近いものだったとする見方があることを今日初めて知った。

京都から園田へ、仕事について考えながら雨の中のサイドチェンジ。「勤労感謝の日」の過ごし方としては悪くなかった気がする。

 

 

***** 2022/11/23 *****

 

 

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2022年11月22日 (火)

競馬場で自分探し

トシのせいか最近は若い人の相談に乗ることも多くなった。相談の多くは「このまま今の仕事を続けてよいのか……」といった類。すなわちお悩み相談。人手不足の世相を反映してか、私の職場でも転職していく若い人が後を絶たない。いきなり辞められてしまうと、その人の仕事が私に回ってきてしまうので、私としても必死に引き留めることにしている。

それにしても最近の子は真面目だ。20代そこそこなのに「人生」について考えていたりするから驚かされる。私の若い頃はいかにして楽しく過ごすかということしか考えていなかった。キリギリスにはキリギリスなりの哲学がある。でも最近の若い人はそうは思わないらしい。常に「コスパ」を考え、「タイパ」を重視し、結果を評価したがる。それでちょっとでもうまく行かないと自分のやり方や選択に問題があったのではないかと不安に駆られてしまう。

「不安なので仕事辞めようと思います」

「辞めてどうするの?」

「とりあえずインドに行ってみようと思います」

客もまばらな天満の居酒屋で、昨夜もそんな会話が繰り広げられた。

私は小学生時代の一時期を埼玉県郊外のベッドタウンで過ごしたが、それでも雑草がぼうぼうに茂った空き地がどこにでもあってトンボやバッタをつかまえたり、近所の川に入って泳いだりすることができた。でも今はそういう場所がない。たまに空き地があっても「立入禁止」の立て札が立っている。事件や事故が起きて子供が巻き込まれようもしたら土地の所有者はたまらない。責任問題にもなる。なら誰も入れないようにするのは当然だ。そうやって大人は子供たちから予測のできない自然の中で行動するという機会を奪った。

「ここで待っていればきっとトンボを捕まえられる」

「この流れに乗ればきっと向こう岸のあの大きな岩にたどり着ける」

「こうすればきっとそうなる」と思っていても、実際はまるで違ったりするのが自然の面白いところ。それはウマが主役の競馬も同じだ。コンピュータ社会ではすべて結果が決まっている。間違った結果が出たとすればプログラムがおかしい。技術者たちはそれを見つけては直す。そんなの面白くもなんともない。生まれた時からそういう世界に押し込められてきた若い世代にとって、自然を相手に考えを巡らせる競馬は滅茶苦茶ハマるか、あるいはまったく理解できないか。極端に分かれるに違いない。

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私は若い人を連れて競馬に行くことがよくある。基本的にみな競馬初心者だから馬券の種類や競馬の仕組みなどは丁寧に教えることにしている。しかし「何を買えばいいですか?」という質問にはいっさい答えない。それは自分で見つけることであり、つまりはその人の生き方そのもの。そんなもの私に分かるはずがないじゃないですか。

生き方を発見するということは、すなわち「自分が何者であるか」を考えることにほかならない。それを最近の若者はわざわざインドまで行って見つけようとしたりする。そんな遠くまで出かけ行って何かを見つけたという話を、少なくとも筆者は聞いたことがない。むしろ自然の中に自分を置くべきではないか。それなら国内でもじゅうぶん可能。お手軽なところとして私は競馬場に行くことを強くオススメしている。

 

 

***** 2022/11/22 *****

 

 

 

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2022年11月21日 (月)

マイルの申し子

昨日のマイルチャンピオンシップは単勝オッズ1桁が6頭と、確たる主役が不在の一戦。さらに午前中の雨が混戦に拍車をかけた。レースも序盤から直線半ばまで馬順が入れ替わる激しい展開。それをまとめて面倒見たセリフォスの競馬には3歳馬離れした強さを禁じ得ない。2着から9着までがコンマ3秒差にひしめく大混戦を横目に、1頭だけ1馬身1/4差抜けた結果を見れば、主役はここにいたのかと拍子抜けした感もある。

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ダイワメジャー産駒としては通算12勝目となるGⅠ勝利だが、うち10勝が1600mだから徹底している。残り2勝は1200mと1400mだから典型的なマイラー種牡馬と言って良い。だからであろう、セリフォスはデビュー以来8戦。徹底して1600mばかり使われてきた。ここまでこだわるのも珍しいが、逆に言えばマイルならそういうローテが組めるのが今の日本の競馬である。2000mや2400mで同じような真似をしろと言っても難しい。

安藤勝己氏も「成長力が群を抜いてとる感じ」と評価していたが、昨日の彼からは古馬のような風格すら覚えた。朝日杯、NHKマイル、そして安田記念であと一歩届かないもどかしさは、そこにはない。ふとダイワメジャーが皐月賞の直前に急速に成長したことを思い起こした。だとすれば、セリフォスの今後の展望は極めて明るい。

ダイワメジャーはスプリングS3着で皐月賞に滑り込んだ。迎えた本番では10番人気。なにせ1勝馬。芝で勝ったこともない。前々走のダート自己条件戦は、平場にも関わらず勝ち馬からコンマ8秒離れた4着に敗れていた。冷静に考えれば10番人気でも過大評価のような気さえする。しかし蓋を開けてみればコスモバルクに1馬身1/4差をつける完勝だった。

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ダイワメジャーの母・スカーレットブーケは、2歳から活躍を見せてはいたが、古馬になってさらに力強く変わった。4歳時の2002年、56キロで京都牝馬特別を制し、57キロで中山牝馬Sを勝ち、引退直前にはターコイズSを58キロで圧勝している。

Scaret

ダイワメジャーも皐月賞を勝ったあとは伸び悩んだ時期があった。関屋記念にまで出走し、しかも敗れる苦汁を舐めている。しかし皐月賞から2年半後の天皇賞・秋を勝ったあたりから一気に本格化した。5歳秋のマイルチャンピオンシップから翌年の安田記念、そして連覇を果たしたマイルチャンピオンシップまでマイルGⅠ3連勝の離れ業を演じている。セリフォスが本当の底力を発揮するのは、古馬になった来年以降かもしれない。来年23歳を迎えるダイワメジャーの代表産駒となれるか。その活躍が今から楽しみだ。

 

 

***** 2022/11/21 *****

 

 

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2022年11月20日 (日)

ソダシ狂騒曲

「で、どうなんや? ソダシは買うんか? 買わんのか?」

ほどよく負けた土曜の競馬帰り、梅田の串カツ屋での反省会は瞬く間にマイルチャンピオンシップの大予想会へと早変わりして、同行者が冒頭の質問をぶつけてきた。

「なんだか、我々いつもソダシの取り捨てばかりで盛り上がってませんか?」

ソダシが走るとなれば人気を背負うことは避けられない。強いことは戦績が物語っているから人気になるのもやむを得ないのだが、3歳以降4度の1番人気で、8着、10着、5着、2着。実は1番人気で勝ったことはない。人気先行は競馬を知る人ほど避けたがる。それは我々も同じこと。オッズに見合わぬ馬券を買うことは、馬券歴40年のキャリアが許さない。

串カツを食べながら前売りオッズを確認するとソダシが1番人気であった。ならば買いたくない。でも強いこともわかっている。芝マイルは4戦4勝。その4勝にしてもGⅠ2鞍を含めすべて重賞だから中身は濃い。せめて2番人気なら買えるのだが。

ちなみに2番人気以下のソダシは(5,0,1,1)。負けた2戦はいずれもダートだから、芝に限れば5戦無敗である。

「シュネルマイスターがもっと売れてくれへんかな~」

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そんな我々の思いがお天道様に届いたのか、朝方まで降り続いた雨は思いのほか早くやんだ。午後から馬場も「良」に回復。そのせいか土壇場でシュネルマイスターがソダシを抜いて1番人気に躍り出たのである。こうなれば軸はソダシで動かない。同枠サリオスも気になる筆者は枠連で勝負。重賞勝利数での比較は6勝でソダシがダントツのトップ。4勝のサリオスが2番手評価で3勝のセリフォスがそれに続くから、枠連3-3と3-5の2点勝負でどうだ。

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吉田隼人騎手は「2着は確保したかった」とコメントしたらしい。そうなれば筆者の馬券も当たっていた。でも、ロータスランド、ピースオブエイト、ファルコニアと、次々にハナが入れ替わる落ち着かない流れの中でジッと4番手をキープし、直線に向いてからも内と外から追い込まれる厳しい展開を考えれば、よく3着に残したなと思わないでもない。曇り空で薄暗くなった馬場に、ただ一頭光を放つかの如き純白の馬体はひときわ目立つ。格好の目標にされながら、それでも馬券圏内に踏みとどまった能力には着順以上の評価を与えたい。

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場内にはソダシのぬいぐるみを抱えて歩く女性ファンの姿をたくさん見かけた。コースを背景にぬいぐるみの写真を撮り、パドックにソダシが姿を現すと「可愛い~!」という声が上がる。競馬場も変わった。そんな思いを禁じ得ない。

ソダシが3着に敗れてしまって、ソダシフリークたちもさぞ落ち込んでいるかと思いきや、意外にも「当たった~」「良かった〜」「頑張ったね、ソダシ〜」という声があちこちから聞こえてきた。はて、いったい、どういうことか?

どうやら、件のファンたちは「単+複」をセットで買える「がんばれ!馬券」を購入しているらしい。なるほど、そりゃあ当たりだ。おめでとうございます。何であれ馬券は当たった人の勝ち。そこが競馬の良さでもある。

 

 

***** 2022/11/20 *****

 

 

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2022年11月19日 (土)

馬場を見極めろ

昨日は京都まで紅葉を見に出かけたが、今日は阪神競馬場で紅葉狩り。1~2コーナー奥に広がる丘陵地帯の木々は色づき始め、阪神の代名詞でもある桜の葉はすっかり赤く染まっている。紅葉と競馬を同時に楽しめるのもこれが最後になるかもしれない。来年の今頃はいつも通りの京都開催に戻っている。

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しかし、多くのファンにとっては紅葉などどうでも良い話であろう。気になるのは同じ植物でも芝の方。明日のマイルチャンピオンシップは馬場状態が大きなカギを握っている。

先週の日曜は朝から降り続いた雨のせいで外有利は明らかだった。その結果の追い込み天国である。今週も引き続き仮柵無しのA1コース。連続開催の7週目ともなれば、内目の芝が痛んでいることはスタンドからも見て取れる。一方で明日は雨予報だが、降水量は先週ほどではないと言う。そんな微妙な馬場状態を見極める一日にしたい。

なのに今日は芝のレースが少ない。6レースからダートのレースが4鞍続いて迎えた10レースは3勝クラスによる芝2400mの尼崎S。3歳馬インプレスが4コーナー最後方から大外一気の末脚で全馬をごぼう抜きする圧巻のレースを見せた。レースの上りが33秒7という先行馬有利の流れを、32秒8という異次元の脚で差し切って見せたから凄い。インプレスが選択した進路は、先週のジェラルディーナと同じ馬場の中央。やはり外有利は変らないのか。一方で、荒れているとは言え32秒台の脚も使えるようだ。

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しかし続くアンドロメダSでは一転。好位でレースを進めたマテンロウレオは、直線に向くと迷わず内を突いた。人気馬が馬場の良い外に持ち出す間にセーフティーリードを確保したあたりは、さすが横山典弘騎手と言うべきか。内回りだからこその芸当かもしれない。馬場状態を逆手に取った駆け引きの勝利。明日のマイルチャンピオンシップでも騎手の駆け引きは繰り広げられる。

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最終レースはマイルチャンピオンシップと同じ芝1600m戦。勝ったレベレンシアよりも、大外から32秒3で豪快に追い込んだムーンリットナイトの脚が際立った。やはり内外の馬場に一定の差はあるようだ。狙っていた馬が外枠を引いたとしても、差し・追い込み脚質であれば悲観する必要はあるまい。7枠13番エアロロノアは安田記念でメンバー最速の32秒6を叩き出した実績の持ち主。しかも今回は武豊騎手を配してきた。重賞未勝利馬には高いハードルだが、レジェンドの手綱がそこを補う可能性はないだろうか。この一族に縁の深い騎手でもある。

 

 

***** 2022/11/19 *****

 

 

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2022年11月18日 (金)

秋は夕暮れ

大阪は朝から青空が広がった。仕事場の窓から見えるイチョウの葉も色付き始めているのに、目の前はつまらぬ仕事の山。「こんなことをしている場合ではない」。どこからかそんな声が聞こえたかと思った瞬間、仕事場を飛び出して午後の京都に向かっていた。

Togetsu

降り立ったのは阪急嵐山駅。とりあえず大渋滞の渡月橋を渡る。外国人観光客の方も多く見かけた。それでも中国からの旅行客がいないぶん、コロナ前よりまだ空いているらしい。人をかきわけるように嵐山駅界隈を抜けると、途端に人が少なくなる。わずか20分ほどで到着した大覚寺大沢池のほとりに立っているのは私ひとりだった。

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鏡のような大沢池に映し出される紅葉はひときわ美しい。美しさと静けさにしばし時を忘れる。水鳥が飛び立つと波紋が水面の紅葉を打ち消した。千年前に清少納言が目にしたのと同じ光景がここにある。

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「秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて、雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず」

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バスに揺られてすっかり夜になった京都国立博物館へ。

目当てはこちら。

Chanoyu

もっぱらコーヒー派の私だが、「茶論」の屋号を掲げている以上、お茶のことも知っておかねばなるまい。ちなみに先ほどの大覚寺と大沢池は、もとはと言えば9世紀初めに在位した嵯峨天皇の離宮とその庭園だが、日本で最も古い茶に関する公式記録として「日本後紀」には西暦815年に大僧都永忠が嵯峨天皇にお茶を差し上げたという記述が残されている。わざわざ大覚寺を訪れたのはお茶へのリスペクトの気持ちを高めるためでもあった。

ところで、JRA競馬学校のカリキュラムには、英語や数学などの一般教科に加え、馬学や競馬関連法規などの専門教科があるわけだが、その中に「茶道」が含まれていることをご存じだろうか?

騎手になるのに茶道―――? 不思議に思う人もいるに違いない。

かつて、全寮制の競馬学校に菓子の持ち込みは厳禁とされてきた。育ち盛りの子供たちだけに、それがストレスの原因になることもある。そこで茶道。すなわち、せめて週一回の授業で堂々とお菓子を食べさせてあげようという学校側の親心である。

今ではロッカーにお菓子を保管しておき、教官の許可を得れば、寮内で食べることも許されている。それでも茶道の授業は無くなってはいない。それはなぜか―――。これ以上は「なぜ競馬学校には『茶道教室』があるのか」(小学館・著/原千代江)をお読みいただきたい。馬券指南本よりもずっと面白い。

私は抹茶を口にすることはほとんどないが、競馬場の給茶機では、ほうじ茶ばかり飲んでいる。なんでも、ほうじ茶は緑茶に比べて脳をリラックスさせる効果が絶大なんだそうだ。負けが込んで冷静な判断力を失った頭にはもってこい。そう思えば、緑茶だけでなくほうじ茶を給茶機のラインナップに加えたJRAの判断は、なるほど理にかなっている。

 

 

***** 2022/11/18 *****

 

 

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2022年11月17日 (木)

芝2400の東スポ杯

あさっては東京で東京スポーツ杯2歳Sが行われる。イクイノックス、ダノンザキッド、そしてコントレイルと3年連続で優勝馬が1年以内にGⅠを勝っている出世レース。敗れたとはいえ一昨年の2着は、あのタイトルホルダーであるから1着馬ばかりに気を取られてもいられない。今年も将来性豊かな2歳馬が集結した。

かつての「府中3歳S」に「東京スポーツ」の名が冠されたのは1997年のこと。その最初の年がキングヘイローとマイネルラヴのワンツーフィニッシュだった。翌年の優勝馬はアドマイヤコジーンである。昨年まで行われた重賞・東スポ杯の優勝馬25頭のうち、実に半数を超える14頭がGⅠ馬に昇り詰めていることを思えば、ここである程度の力量は見定めておきたい。

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ところで、96年以前にも「東京スポーツ杯」が行われていたことを覚えていらっしゃるだろうか。秋の東京の芝2400mで行われていた古馬オープンハンデ戦。92年にはセントライト記念でライスシャワーを破ったばかりのレガシーワールドが出走したことも。トップハンデを背負いながらも、セン馬ゆえに菊花賞に出ることを許されぬ鬱憤を晴らす激走で古馬を蹴散らした。

だが、古馬2400mの東京スポーツ杯の勝ち馬を見渡したところで、レガシーワールド以外にGⅠのタイトルに手が届いた馬はいない。むしろかつての東スポ杯は、“オープン大将”が輝くことのできる希少な舞台だった。そういう意味でも、現在の東スポ杯とは大きく立場が異なる。

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写真はカミノマジックが勝った1995年の東スポ杯。彼もまた、オープン特別2勝の実績を誇りながら、重賞となると(0,0,5,17)と一歩足りなかった。ただエメラルドSでステージチャンプを破った時の勝ち時計2分30秒4は、今も破られぬ阪神芝2500mのレコードタイム。馬場改修により芝2500mという距離設定がなくなってしまったことを考えれば、この記録は不滅かもしれない。たとえ重賞タイトルを持たなくても、旧阪神競馬場の記録とともにカミノマジックの名前は残るのである。

 

 

***** 2022/11/17 *****

 

 

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2022年11月16日 (水)

サリオスの成長曲線

今週末のマイルチャンピオンシップにはGⅠ馬5頭に加え、今年と去年のサマーマイルシリーズチャンピオンも出走を予定。回避が相次ぐジャパンカップより豪華という声も。「チャンピオンシップ」の名に相応しい。

デビューから3歳秋の毎日王冠まで(4,2,0,0)。その後のスランプを克服し2年ぶりの勝利を同じ毎日王冠で掴み取った5歳馬サリオスに密かに期待している。単なる勝利ではなく、レコード勝ちだった点が見逃せない。豊かなスピード能力を発揮し、レコード連発で2歳チャンピオンに昇り詰めたあの強いサリオスが帰ってきた。

ハーツクライの大物産駒には共通点がある。

ジャスタウェイが世界ランクトップに立ったドバイデューティーフリーも、シュヴァルグランやスワーヴリチャードのジャパンカップも、そしてリスグラシューが牡馬相手に宝塚記念、コックスプレート、有馬記念を圧勝してみせたのも、みな5歳時だった。しかも揃って2~3歳時にいったん活躍しながら、突然何かが切れたようにスランプに陥る。そして4歳後半から5歳にかけて再び上昇カーブを描いて、突き抜けた活躍を見せるのである。

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彼ら彼女らの戦績を振り返れば5歳時のドバイシーマクラシックを4馬身半差で独走し、キングジョージに挑戦してあわやの3着に健闘した父ハーツクライ自身の軌跡を重ねたくなる。その気持ちは分からないでもないが、私はそのハーツクライの母であるアイリッシュダンスにまで思いを寄せたい。

5歳になってから重賞を2勝したアイリッシュダンスのデビューは意外に遅く、3歳夏の新潟戦だった。しかも秋の未勝利戦までに勝ち星を挙げることができず、初勝利はデビューから1年近くが過ぎた4歳夏の福島。500万の一般戦に格上挑戦しての初勝利だった。

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ひとつ勝った後は順調に勝ち星を重ねて行き、1年後には2つの重賞タイトルを獲得。そんな母が初めて重賞を勝った5歳にハーツクライやその産駒たちもビッグタイトルを手にしてきた。そう考えるとき、母アイリッシュダンスの成長曲線とその子ハーツクライ、さらにその産駒たちの成長曲線は重なって見えてくる。むろんサリオスも例外ではあるまい。3年前の朝日フューチュリティS以来となるライアン・ムーアが手綱を取ることも注目。心配と言えば天気くらい。今週末も大阪は雨予報だ。

 

 

***** 2022/11/16 *****

 

 

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2022年11月15日 (火)

ありがとう肉吸い

二日酔いでも何かお腹に入れておきたい時ってありますよね。

そういうときは温かい汁ものに限るが、ラーメンだとスープが脂っこくっていけない。かけそばとかかけうどんが無難。普段からうどんばかり食べている筆者の普段のメニューは、ぶっかけとか生醤油が主流だが、こと二日酔いの日に限っては普段食べないダシ系のうどんを注文することにしている。やはりツユがないと胃に入っていかない。刻みとか肉うどんをゆっくり時間をかけて啜り、ちょっと多めに七味を振ったツユを愛おしく飲み干す。それで少しは二日酔いがマシになった気がする。

ただ、うどんすら胃が受け付けないレベルの二日酔いになることもあるじゃないですか。そういう巷のご貴兄の声を見事に具現化してくれたのが、吉本新喜劇の人気俳優だった花紀京さん。なんばグランド花月の近くに暖簾を掲げる「千とせ」に入ると、二日酔いの花紀さんはこう言ったという。

「肉うどんの、おつゆだけでええ」

店主は「けったいなこと言う人や」と思いつつも言われた通りに丼を出した。すると花紀さんは大喜び。自分で頼んでおきながら「おもろいもんを出す店がある」と芸人仲間に言いふらし、「肉吸い」の名であっと言う間に大阪中に知れ渡った。今では大阪名物として全国区の認知度を誇る。その証拠にセブンイレブンからも「千とせ本店監修・肉吸い」が絶賛発売中。うどんも入ってないのに売れるんかいな、と私も半信半疑だったが、いつも品切れであるところを見ると評判は悪くないのだろう。

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ともあれ今日の二日酔いはひどい。菊花賞の夜から酒席が途切れることなく続いていることに加え、昨夜は東京からの来客相手に記憶を無くす失態を犯した。恥ずかしながら朝から口にできたのは水のみ。ここまで酷いとくれば、昼メシはこの「肉吸い」に頼るしかない。

キツネ色のダシに牛バラ肉と青ネギ、そして豆腐。これくらいがちょうどいい。肉から溶け出たダシが二日酔いの胃に染み渡る。くぅ~。

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「うどんの麺抜き」を注文するにしても、うどんの種類は様々あったはず。数あるメニュー中から肉うどんをチョイスした花紀京さんのセンスは秀逸だ。そうこうしているうちに白飯が欲しくなってきた。脅威の回復と言って良かろう。これで今夜も飲みに行けそうだ。すべて肉吸いのおかげです。

 

 

***** 2022/11/15 *****

 

 

 

 

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2022年11月14日 (月)

名馬誕生の影には

今日は新聞休刊日。仕方なく競馬ニュースもネットに頼る。その中でサンデーレーシングの吉田俊介代表のコメントが興味深かった。曰く「今まで(ジェラルディーナに)乗ってくれた方々が競馬を教えてくれて、それが実ったのだと思います」。好騎乗を見せたクリスチャン・デムーロ騎手だけでなく、これまで彼女に乗ってきたすべてのジョッキーへの感謝を口にしたのだ。

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ジェラルディーナにはこれまで5人の騎手が跨ってきた。岩田康誠、北村友一、福永祐一、幸英明、横山武史。中でも福永騎手は最多となる8回のコンビを組んでいる。そのファーストコンタクトとなった昨年の城崎特別でアクシデントが起きた。スタートから進出してハナに立ったが、3コーナー手前から外に膨らみ始めて逸走。右側の手綱が抜けた危険な状態だったが、そんな緊急事態にも関わらず、ゴールまでの間に福永騎手は馬にいろんなことを教えたのだという。素質の高さは誰もが認めるところ。しかし、あまりのテンションの高さに制御不能となることが出世を妨げていた彼女だが、「あのレースの後から折り合いが良くなった」と管理する斉藤崇調教師は振り返る。

どんな名馬も騎手を乗せることができなければ競走馬として大成はあり得ない。豊かな素質に恵まれながら、そこをクリアできずに消えて行った馬のなんと多いことか。吉田俊介氏のコメントにはそんな思いが見て取れる。

大井の高橋三郎元騎手・元調教師はハイセイコーを手がけたことで有名。今のような育成システムが確立していなかった当時、騎手は若駒の馴致も担っていた。大井入厩当初のハイセイコーは気性が激しく、背中に人を乗せることを極端に嫌がったという。それでも背中に藁を敷いてから寝そべって乗ったり、屋根の上からつるしたロープに掴まりながらソッと背中に降りたりと、今では考えられないような工夫と努力でどうにか人が跨がれるようになった。サブちゃんの苦労が無ければ、日本中が沸いた空前の競馬ブームは起きなかった可能性すらある。

ハイセイコーは大井で6戦6勝の戦績を引っ提げて中央へ移籍し、国民的アイドルホースとなるわけだが、デビューから6連勝で記録した2着馬との差は8、16、8、10、7、7馬身の合計56馬身。いずれも持ったままの楽勝である。デビュー戦の1000m59秒4、4戦目の1400m1分24秒9はとてつもないレコードだった。もし現在のような統一のダート重賞体系が整備されていたら、圧倒的なチャンピオンになっていたに違いない。

一方でハイセイコーは負けても共感を呼ぶ珍しい存在だった。

それが顕著に現れたのが1973年の日本ダービー。彼はここで初黒星を喫する。これまでにない多頭数の競馬で、包まれ、もがき、敗れた。当時のダービーでは珍しいことではない。それでも一般紙までが「トップに立とうとして相手に包まれる競走馬の運命は、何やら今日の日本に似て身につまされる」(読売)と論評した。

人々はハイセイコーに立身出世を夢見る自分を重ね、多頭数に包まれもがくハイセイコーの姿にも自分の姿をダブらせたことだろう。そういう意味ではハイセイコー物語にダートで活躍云々の議論は似合わないかもしれない。果たしてジェラルディーナの物語はどのような展開を見せるのか。ジェンティルドンナから続くストーリーだと思えばなおさら興味深い。ちなみに明後日は大井でハイセイコー記念が行われる。

 

 

***** 2022/11/14 *****

 

 

 

 

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2022年11月13日 (日)

いつか見た光景

エリザベス女王杯デーの阪神競馬場は1レースから本降りの雨。馬場はあっと言う間に「重」まで悪化した。向こう正面に見えるはずの宝塚の街並みは白く煙ってしまって見ることができない。それでも大勢のファンがスタンドを埋めている。コロナ前のGⅠ当日の光景だ。

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そのエリザベス女王杯は4番人気ジェラルディーナが道中後方からレースを進めると、直線で外から一気に伸びて各馬をひと飲み。2着に1馬身3/4差をつける完勝だった。これが嬉しいGⅠ初制覇。ジェンティルドンナ×モーリスという血統表を見れば、「名血の素質がついに開花」と書きたくもなる。だが「GⅠ7勝の名牝の娘」は我々が想像する以上に重荷だったはず。そんな呪縛を自らの快走で打破したのだから立派。そういう視点で馬と関係者に祝福を送りたい。

昨秋は秋華賞を除外され、代わりに出走した西宮Sを好時計で快勝。秋華賞の勝ち時計が平凡だったことから、秋華賞でも勝ち負けできたはずと見る向きも多かったが、その後の彼女の苦労を見れば、そんなに単純な話ではないのだと痛感する。前走のオールカマーでようやくの重賞初勝利。実に7度目の重賞挑戦だった。そして今日である。結果を見れば、むしろ秋華賞で厳しい競馬をさせなかったことが馬にとってはプラスだったのだと思いたい。

手綱を取ったクリスチャン・デムーロ騎手の騎乗も見事だった。ポジションは大外枠から出たなりで、後方に控える格好。レースプランは考えていなかったという。それでも3コーナーあたりから徐々に進出して、直線入り口ではやおら大外へ。馬場の良いところを真一文字に伸びてきた。それはまるで彼自身が勝った今日の3レース未勝利戦や9レース黄菊賞のリプレイを見るかのよう。そういうお手本のような騎乗を、いとも簡単に繰り返して見せるあたりが天才たる所以であろう。

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2着は兄ミルコとダミアン・レーンが同着。結果、外国人騎手が表彰台を独占した。GⅠの舞台では2010年有馬記念以来らしい。そもそも今日のエリザベス女王杯には6人もの外国人騎手が騎乗していた。さらに東京ではT・マーカンド騎手とH・ドイル騎手が騎乗。2場合わせて8勝、ワンツーフィニッシュ3回の結果を見れば、やはり外国人騎手は人気薄でもマークが欠かせまい。短期免許のない競馬に慣れ切っていた己に言い聞かせる必要がある。

新型コロナは第8波の入り口にあると報じられているが、今日発表された新規感染者数は大阪でも神戸でも先週の日曜日を下回った。そんな数字に一喜一憂すべきでないことは承知しているが、少なくとも競馬場の光景は徐々にコロナ前に戻りつつある。

 

 

***** 2022/11/13 *****

 

 

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2022年11月12日 (土)

関東馬の逆襲

昨年の勝り馬がセリフォス、2018年はアドマイヤマーズで、17年はジャンダルムが勝っている注目のデイリー杯2歳Sは3番人気の関東馬オールパルフェが逃げ切って。馬はもちろん、父リアルスティールにとっても、管理する和田雄二調教師にとってもこれが嬉しい重賞初制覇。持ち時計を2秒以上縮めての完勝だけに大きな自信となろう。

これで、ここまでローカル開催を除いた2歳重賞は東西で5鞍行われたことになるが、面白いことにいずれも遠征馬が勝っている。

サウジアラビアRC ドルチェモア(栗東)
アルテミスS ラヴェル(栗東)
ファンタジーS リバーラ(美浦)
京王杯2歳S オオバンブルマイ(栗東)
デイリー杯2歳S オールパルフェ(美浦)

デイリー杯2歳Sは今回で57回目を迎える歴史ある重賞だが、関東馬が勝ったのはこれが初めて。ファンタジーSもリバーラが勝つまで、関東馬の勝利例は一度しかなかった。むろんこの時期にわざわざ関西に遠征する関東馬が少ないという事情があるにせよ、何かが変わったように思えてならない。ひょっとしたら「遠征馬が強い」のではなく、ただ単に関東馬が強くなったのではあるまいか。

1988年に関西馬が関東馬の勝ち星を上回って以降、30年以上もいわゆる「西高東低」の状態が続いているのは周知の通り。しかし、下級条件まで含めた星勘定だけで比べると、小倉への直前輸送が可能な関西馬に地理的な優位性があることは否定できない。

それならばとGⅠレースの勝利数で比較してみると、実は昨年JRAで行われた平地GⅠレース24鞍では、関東馬12勝に対し関西馬12勝とまったくの五分だった。関西馬が勝ち越せなかったのは1998年以来23年ぶり。むろん関東馬にしたところで、勝ち越すことができなかった以上は喜んでもいられない。

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果たして今年はどうか。実は天皇賞(秋)まで3分の2にあたる16鞍を消化したが、ここまで関西馬6勝に対し関東馬は10勝と大きくリードしているのである。

Kikka_20221112222201

理由は分からないが、馬券のアタリハズレに理由などいらぬ。「関西馬の方が強い」という固定観念はそろそろ捨てる頃合いではないか。少なくともGⅠレベルでは東西格差はほとんどない。ひょっとしたら逆転している可能性だってある。2歳馬がアウェーの重賞で結果を出し始めていることが、そんな仮説を裏付けていると言えないか。

となれば明日のエリザベス女王杯の狙いは関東馬をおいてほかにあるまい。こういう時はたいてい外国馬のマジカルラグーンに勝たれて、「わー! 外国の馬に関東も関西も関係なかった~!」と泣き叫ぶのが常の私だから、今回は彼女も忘れずに買っておこう。

 

 

***** 2022/11/12 *****

 

 

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2022年11月11日 (金)

逃げ馬記念日

今日11月11日はポッキー&プリッツの日。数年前にCMで話題になった。

たしかに4つ並んだ「1」の数字はポッキーを連想させなくもない。なるほどなぁ、と思いながらさらに調べを進めると、今日は「麺の日」でもあるという。決めたのは全国製麺協同組合連合会。「日本記念日協会」が正式に認定したのが1999年だというから、意外にその歴史は古い。由来はご想像の通りで、麺を縦に4本並べると「1111」に見えるからだという。さらに今日は「電池の日」「チンアナゴの日」「ゴボチの日」「うまい棒の日」、さらには「豚まんの日」でもあるという。なぜ11月11日が豚まんなのか? その答えは「11月11日の数字を豚の鼻に見立てて……」だそうだが、若干の無理があるのもこの手の記念日の面白さか。

もちろんこうした記念日は勝手に名乗っているのではなく、「日本記念日協会」という団体のお墨付きを得ているものがほとんど。企業であれ個人であれ、記念日を制定したいな思ったら、申請書に記念日の日付、名称、由来などを書いて記念日協会に送る。それが翻訳家や弁理士らで作る登録審査会で認定されれば、5万円の登録料を支払えばよい。一軒簡単そうに思えるが不合格となる案件も結構あるそうだ。「お墨付き」というからにはそれくらいで妥当であろう。

とはいえ昔から記念日の登録申請が殺到していたわけではない。転機となったのは、冒頭にも書いた「ポッキー&プリッツの日」。思いのほか宣伝効果が高く、他の食品メーカーや団体などが競って登録に走った結果が、現在の記念日バブルに繋がった。ちなみに、もっとも記念日が多く登録されている日は、やはり今日11月11日だそうだ。なんと現時点で59もの記念日が登録されているという。もはや60番目として「記念日の日」に制定されても良さそうな気さえする。

そんな記念日ばやりの昨今だが、競馬絡みの記念日は少ない。7月31日の「トゥインクルレースの日」は大井のローカル記念日だし、9月23日の「愛馬の日」にしても競馬というよりは馬事振興を記念したものである。

それなら11月11日の60番目となる記念日として「逃げ馬記念日」とする案はどうか。「1111」が並ぶ馬柱は逃げ馬の誉れ。少なくとも豚まんよりは自然であろう。レースを主導し、場合によっては己の勝利を度外視するペースを作り出し、時に名勝負を、時に波乱の結末を演出する逃げ馬への感謝の意を表す一日とする。この日を迎えたらツインターボの墓参をするもよし。「逃げ馬列伝」などのDVDを見て過ごすもよし。うまいこと競馬開催があれば、徹底して逃げ馬の単勝馬券を買うのもまたよかろう。

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むろんこんな理由で日本記念日協会の認定を得られないかもしれないが、それならそれで仕方あるまい。そも、逃げ馬の生き方にお墨付きなど似合わないという考え方もある。とはいえ一年に一度くらい彼らの献身に感謝する日があっても良いのではないか。レジェンドテイオー、ツインターボ、メジロパーマー、サイレンススズカ、セイウンスカイ、シルポート、そしてパンサラッサ。彼らの強靭な逃げがなければ、数多の名勝負は実現しなかったかもしれないのだから。

 

 

***** 2022/11/11 *****

 

 

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2022年11月10日 (木)

見果てぬ夢

今年の凱旋門賞を制したアルピニスタがジャパンカップ参戦予定であると報じられ喜んだのもつかの間、「電撃引退」を英レーシングポスト紙が伝えた。「残念ながら、アルピニスタにはちょっとした故障があり、ジャパンカップに出走することはできない。JRAが素晴らしい手配をしてくれたのに、本当に残念でなりません」というプレスコット調教師のコメントも合わせて報じられている。

プレスコット師は1999年のJCに管理馬アルボラーダを送り込んだ。しかし、レース4日前に足裏に原因不明のアザが見つかり無念の回避を強いられている。英チャンピオンS連覇の実力馬だっただけに、もし出走が実現していればスペシャルウィークの快走もどうなっていたか分からない。そういう意味では、今回のアルピニスタのJC出走は23年ぶりのリベンジを果たすチャンスでもあった。それが、またもや直前の故障で―――しかもちょっとした故障で―――消滅してしまったことを思えば、師の落胆は私ごときの比ではあるまい。

思えばJCの発足当初はさほど興味を引くレースではなかった。メアジードーツが勝った第1回JCの馬券売り上げはわずか38億円。当時でも200億円を売り上げていた有馬記念の2割にも満たない。「外国馬はよく分からない」とか「JCは見るレース」という理由で、ケンを決め込むファンがほとんどだったのではないか。

私自身、ハーフアイストとかスタネーラとか言われても「何のことか分からん」という態度を取っていたような気がするし、カツラギエースが逃げ切ってシンボリルドルフが初黒星を喫すると、この「よく分からん度」はますます増長の一途を辿った覚えがある。

ところが、1988年のJCを転機にようやく国際レースとしてのJCに興味が沸いてきた。この年、我が国競馬史上初めて、凱旋門賞馬の参戦が実現したのである。

その凱旋門賞馬というのがこちら。

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そう、トニービンですね。

イタリアを本拠地としていたトニービンは、9月25日のミラノ・フェデリコテシオ賞を快勝すると、中6日でパリへ飛んで凱旋門賞を強烈な末脚で差し切り、再びミラノに戻り中13日のジョッキークラブ大賞で2着。このレースで外傷を負ったため予定していたBCターフへの遠征は自重し、引退レースと定めたJCのために来日するのだが、輸送を請け負ったアリタリア航空は、競走馬の輸送認可を持たなかった。

だがトニービンは既にイタリアの英雄である。イタリア政府は特別許可を出して来日をサポート。そんなイタリアの英雄をひと目見ようと、東京競馬場での公開調教には、雨にも関わらず2千人のファンが駆け付けた。そのうちのひとりが私である。

以来、キャロルハウス、アーバンシー、エリシオ、モンジュー、バゴ、デインドリーム、そしてソレミアを加えて計8頭の凱旋門賞馬がJCに参戦したが、エリシオの3着(同着)が最高着順という歴史をどう見るか。意見は分かれるところであろう。そんな「凱旋門賞馬の取捨て」もJCにおける麗しき醍醐味。だが、そんな点景がJCの舞台から消えて久しい。今年は10年ぶりにその醍醐味を味わえるかと思っていたのに……。

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道悪の凱旋門賞の勝ちっぷりがあまりにも鮮やかだったことから日本の高速馬場への対応を懸念する声もあったが、この夏のサンクルー大賞典では2分26秒15(稍重)という早い時計でも勝っている。だからこそプレスコット師は本気でJCを狙っていた。必死に追われるタイトルホルダーを持ったまま抜き去ったあの脚に衝撃を覚えたのは私ひとりではあるまい。凱旋門賞とJC、両レース制覇の夢は遠い。

 

 

***** 2022/11/10 *****

 

 

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2022年11月 9日 (水)

【訃報】コンサートボーイ

1997年の帝王賞を制するなど、90年代後半の南関東競馬で活躍したコンサートボーイの訃報が伝えられた。富川の船越牧場で余生を過ごしていると聞いていたが、30歳なら大往生であろう。

Boy

1995年東京ダービー当日の夜、なぜか私は名古屋のホテルにいた。名古屋滞在の理由はわからない。覚えているのは、当時の私はコンサートボーイを必死に応援していたことと、ホテルの部屋で短波ラジオを必死にチューニングしながらどうにかレース実況を聞いたことくらい。インターネットはもちろんMXテレビすら無かった当時、離れた土地で大井のレース結果を知るのはひと苦労だった。

結果はジョージタイセイの優勝。コンサートボーイは2着。羽田盃に続いて、またも彼は2着の呪縛から逃れることが出来なかった。ラジオのスイッチを消すと、薄暗いホテルのベッドの上で彼の「呪われた血統」についてひとしきり考えたものである。

コンサートボーイの父はカコイーシーズ。さらにその父はアリダーへと遡る。

アメリカ競馬の3歳クラシックでは、ケンタッキーダービー、プリークネスS、ベルモントSの3つのレースを以て三冠としているが、長いアメリカ競馬の歴史の中で、この三つのレースすべてにおいて、ことごとく2着に敗れた馬はアリダーしかいない。

その3戦すべてにおいてことごとくアリダーに先着したのは1978年アメリカ三冠馬のアファームドで、アファームドさえいなければアリダーは「アメリカ史上11頭目の三冠馬」という名誉を与えられていたのかもしれないが、現実的には「アメリカ史上もっとも勝負弱い馬」というレッテルを彼は貼られてしまった。

しかしアリダーは、アファームドにこそ敵わなかったものの、そのほかのレースでは強さを発揮し、26戦14勝という好成績を残して種牡馬となる。しかし、その遺伝的特徴において再び「勝負弱さ」がクローズアップされてしまう。

代表産駒のイージーゴアは、1989年のケンタッキーダービーとプリークネスS、さらに秋の大一番ブリーダーズカップクラシックで堂々の1番人気に推されるも、いずれのレースでも宿敵サンデーサイレンスに僅かに及ばず2着に敗れているし、同じくアリダーの代表産駒としてヨーロッパで活躍したカコイーシーズも、英ダービーとキングジョージでナシュワンに僅かに及ばず敗れるなど、2着、3着が目立つ戦績のまま種牡馬となった。

コンサートボーイはそのカコイーシーズの産駒である。東京ダービーでジョージタイセイに敗れたコンサートボーイは、残る1冠・東京王冠賞にすべてを賭けて3歳の秋を迎えるが、ツキフクオーにハナ差及ばず、三たび2着の屈辱を味わうこととなった。

1995年当時の南関東3歳クラシックでは、羽田盃、東京ダービー、東京王冠賞の3つのレースを以て「三冠」としていたが、長い南関東競馬の歴史の中で、この三つのレースすべてにおいて、ことごとく2着に敗れた馬はコンサートボーイしかいない。

翌年の東京大賞典でもコンサートボーイはキョウトシチーの2着に敗れた。しかし、それでも彼はあきらめず走り続け、ついに1997年の帝王賞で並み居るJRAの強豪馬を退けて優勝を果たす。それは彼が図らずも受け継ぐことになったアリダーからカコイーシーズを経て伝わる血統の呪縛を、自らの力で振り払った瞬間でもあった。大井で初めて行われたダートグレードレースを大井所属馬が大井所属騎手で勝った意義は計り知れない。ダートグレードの大功労馬の冥福を祈る。合掌。

 

 

***** 2022/11/9 *****

 

 

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2022年11月 8日 (火)

月がとっても赤いから

今宵は皆既月食に加えて月が天王星を隠す「天王星食」のふたつの天体ショーが同時に起きた。日本で皆既月食と天王星食が重なるのは過去五千年間で一度もなく、極めてまれな現象だという。大阪の街中でも帰宅の足を止めて夜空を見上げる人が大勢いた。

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私は天文に関しては全くの素人なので、天王星を意識して星空を見上げたことはない。実際、今宵も私の目で天王星は見えなかった。競馬撮影用のレンズを使えば見れたのだろうけど、そこまでしようとも思わない。要するに関心が薄い。それ以上に目が悪い。

とはいえ、天王星に興味はなくても天王星を英語で「ウラヌス(Uranus)」と呼ぶことは知っている。いや正確には「ウラヌス」が天王星を意味する英語であることを知っていると書いた方が正しいか。

今から90年前のロサンゼルス五輪最終日。閉会式直前のメインスタジアムで行われた馬術競技・大賞典障害飛越で優勝したのが西竹一とウラヌスであることは、伝説として語り継がれている。優勝会見で多くの米国人記者に囲まれた西は「We won」と答えた。それを我が国では「日本は勝った」と訳されて報じられたわけだが、もちろん西の言う「We」とは西本人と愛馬ウラヌスのこと。この言葉はそっくり米紙の見出しとなった。

仏国生まれのアングロノルマン種であるウラヌスは癇性の強い馬だったらしい。売りに出された理由は、前のオーナーが乗りこなせないからだったとか。そのウラヌスを西は手塩にかけて名馬に育て上げた。競馬同様「馬七人三」と言われる馬術競技は馬のデキに結果が左右されがち。だから各国の選手とも優れた馬に大金を投じるのを惜しまないわけだが、それでも乗り手が馬に寄せる愛情と卓越した技術とがなければ「人馬一体」の妙技は決して生まれない。

驚くことにウラヌスは現代でも走り続けている。とはいえ、もちろん五輪チャンピオンのウラヌスではない。走っているのはミッキーアイル産駒の2歳牡馬。5代母はチヨダマサコだから古くから続く日本の名牝系の出自でもある。デビューから3戦続けて着外を続けているが、人気よりは上位に来ている点は見逃せない。なにより同じ名前に大仕事を成し遂げた大先輩がいる。今週あたり出走があるかもしれない。星の力も借りて激走に期待しよう。

 

 

***** 2022/11/8 *****

 

 

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2022年11月 7日 (月)

肉つけうどんの誘惑

2週連続で神奈川の自宅で週末を過ごしたのち今日は霞が関で仕事。農林水産省を除けば競馬には縁の薄い街だから、ここに書くほどの出来事もない。ずっと座ってヒトの話を聞いているだけ。当然ながら楽しみは昼メシに偏ることになる。

霞が関駅直結の地下街に暖簾を掲げる「うつけ」は肉つけうどんが特に美味しい。折しも今週は武蔵野S。そう思えば肉つけうどんと聞いていわゆる武蔵野うどんを想像される向きもあるかもしれない。しかし麺は確かに太いものの、やや平打ちの麺はつるりと感触がよく、ワシワシ噛み続けなければいけない武蔵野うどんとは大きく異なる。以前は同じ料金で麺の量が3玉まで選べたような気がするが、久しぶりに訪れた今回は50円ごとに追加料金が刻まれていた。

久しぶりと言えばメニューも変わっている。以前の肉つけうどんは「豚肉」だけだったはずなのに、知らぬ間に「牛肉」が加わっていた。ならばとオーダーして運ばれてきた一杯はこんなビジュアル。

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大振りの器にうず高く盛られた海苔の下には白ネギと甘辛く炊いた牛肉、そしてその下に純白のうどんが見え隠れする。それらの具在を辣油が浮くつけ汁に投入したのち、うどんをじゃぶっとつけて啜る。これくらい主張が強くないとこのうどんには太刀打ちできないのかもしれない。生玉子をつけ汁に割り入れるとマイルドさとパワフルさがアップ。かつて流行ったつけ蕎麦「港屋」のうどん版といったところか。

17時を過ぎるとお酒のメニューも充実。「お疲れ様セット」が580円のまま据え置かれていたことには感動を禁じ得なかった。

中ジョッキ1杯におつまみが1品付いて580円というセット商品である。おつまみは鶏天やなどオーソドックスなものもあるが、ちくわにポテトサラダを詰め込んで揚げた「ポテサラ竹輪天」が秀逸。しかもこの店、緑茶ハイ、ハイボール、ウーロンハイは200円と破格なので、「中ジョッキ+ポテトサラダ入りちくわ天+緑茶ハイ+ハイボール」と3杯飲んでも千円でおつりがくる。まさにせんべろ。ただ、私の場合プラスで肉つけうどん3玉を注文してしまうから千円では収まらない。今度食べるときは「豚肉」にしよう。ただ、次回来店はまた1年後になりそうだ。 

 

 

***** 2202/11/7 *****

 

 

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2022年11月 6日 (日)

府中か、仁川か

先週に続き今週末も東京で過ごしている。みやこSやファンタジーSも捨てがたいが、最終的に京王杯とアルゼンチン共和国杯を選んだ……ワケではなく単に家庭の事情によるもの。昨日は5時間かけて埼玉まで行って墓参りを済ませ、そこから2時間かけて東京競馬場に向かって京王杯を観戦し、さらにそこから30分かけて神奈川の自宅に帰った。50過ぎの身体には正直きつい。長距離輸送をこなす競走馬の気持ちが少しばかり分かった気がする。

京王杯2歳Sは、1997年まで「京成杯」の冠名で行われていた。最後の京成杯3歳Sを勝ったのはグラスワンダー。9頭立てとはいえ2着に6馬身差だったから凄い。その前年。マイネルマックスが勝った年は8頭立てだった。ビッグファイトが勝った1990年は6頭立て。ダイシンフブキが勝った1985年に至っては寂しさも極まる5頭立てである。とまあこんな具合に、昔から京王杯2歳S(京成杯3歳S)といえば少頭数が常だった。

だが、2015年に史上初めてフルゲートの18頭が揃うと、一昨年そして今年もフルゲート。いまや多頭数が珍しくない。ただ、多くの2歳馬にとって18頭の競馬は未経験。それが人気馬のリズムを狂わすこともある。今年の結果にしても、勝ったオオバンブルマイを褒めることも忘れてはならないが、総じて言えば人気馬が実力を発揮できなかったための波乱であろう。

Keio

もうひとつ。今年の京王杯は8頭もの牝馬が出走したという点で興味深かった。これは2015年の7頭を超えて過去最多の頭数だ。

出走した牝馬はすべて関東馬。そのうち5頭はファンタジーSにも登録していたが、5頭すべて京王杯に回ってきた。結果ファンタジーSは12頭立てとなったから、京王杯の頭数が際立ったのはそのせいかもしれない。

阪神JFと来春の桜花賞を目指すなら、牡馬相手の東京よりも牝馬同士の阪神を使った方が良さそうな気もするが、昨年の京王杯3着ラブリイユアアイズは阪神JFで2着しているし、2016年のレーヌミノルに至っては関西馬でありながらわざわざ東京に輸送して京王杯を2着と好走し、翌年の桜花賞を制した。賞金、輸送の負担、相手関係、右回り・左回り、希望する騎手の確保、そして同一牧場グループ内の使い分けなど陣営の思惑は様々。出てくるにはそれなりの理由がある。

ただ、今回に関して言えば両レースを天秤にかけて京王杯に出走した牝馬5頭の成績は芳しくはなかった。ミスヨコハマの7着が最先着。牝馬全体で最先着となる3着に入ったスピードオブライトはファンタジーSに登録していなかった。同馬を管理するのは相沢郁調教師。1998年、このレースでは絶後なる牝馬での優勝をウメノファイバーで果たした実績の持ち主だけに、それなりの哲学があるに違いない。

Speed

逆にファンタジーSを勝ったリバーラは、関東馬でありながら京王杯には登録がなかった。キャリアの浅い牝馬だけに輸送の負担を極力避けたいのはわかる。ただ、先週のアルテミスSで関西馬が表彰台を独占したことを思えば、関東馬にだってできないはずもない。そういう意味でリバーラの快走には頼もしさを覚えた。と同時に7時間半程度の移動で「疲れた」と言う己を戒めよう。

【両レースに登録して京王杯に出走した関東牝馬】
ミスヨコハマ⑦
エナジーチャイム⑧
マーブルマカロン⑪
サイモンオリーブ⑯
シェーンプリマー⑰

【京王杯のみに登録した関東牝馬】
スピードオブライト③
アンタノバラード⑩
ロッソランパンテ⑮

【ファンタジーSのみに登録した関東牝馬】
リバーラ①
ミカッテヨンデイイ⑫

 

 

***** 2022/11/6 *****

 

 

 

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2022年11月 5日 (土)

暗闇との闘い

たまに関東に戻って来て思うのは日が短いこと。11月に入ればその感覚もいや増す。今週も東京競馬場に来ているのだが、今日からJRAの番組は関東と関西のレース施行順序が逆になった。普段は関西の最終レースは16時10分の発走で、関東の最終レースは16時半頃の発走だが、今週から関東が16時10分、関西が16時半頃に発走する。もちろんこれは関東の方が日の入り時刻が早いことへの対応。今日の東京の日の入り時刻は16時43分。雲が太陽光を遮れば、暗くなるのはもっと早い。16時半のレース発走はさすがに無理がある。

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「日の入りがもっとも早い」のは冬至だと思いがちだが、東京の場合、もっとも日の入りが早いのは今月末から12月上旬で16時28分。これが冬至だと16時32分だから4分も遅い。

なぜこんなことが起こるのか。それを正確に書くには紙数が足りないが、簡単に言えば地球の公転軌道が楕円形をしていることに起因する。実は一日の長さは厳密には同じではない。季節によって生じる僅かな差を平均し、きっちり24時間で一日の境を刻もうとするからこうしたことが起こるのである。いわば人為的な事象。もっと詳しいことを知りたいからは、「均時差」という言葉でググってみてください。

ともあれ、この時季の競馬は、たとえ快晴であっても5月に比べればやはり暗くなる。曇りや雨となれば絶望的に暗い。阪神競馬場もメインレースの時間になるとゴール前はスタンドの影に覆われてしまう。カメラマンにとっては憂鬱な季節だ。

この季節、東京競馬場でゴール前を狙うカメラマンたちは、普段にも増して西の空を気にする。西の空に雲が広がっていれば、たとえその雲が競馬場の上空に移動してくることがないとしても、日差しが遮られることは避けられない。雲間から差し込む光にレンズを向けて、「うわー、紅の豚みたいじゃん!」なんて喜んでいるのは、きっと私くらいのものであろう。カメラマンが光に神経質なのは職業柄仕方ない。

Buta

フリートストリートダンサーが接戦の末にアドマイヤドンを競り落としたジャパンカップダートなどは、もはや「夜」といっても良い状況だった。大井のような照明設備があるわけでもなく、スタンドの屋根に設置されたライトも、遠く離れたダートコースにはほとんど効果がない。ただでさえ雨に打たれているのに、加えてこの仕打ち。もう泣きたくなる。

Jcd

一方で、淡いとはいえ、メインレース後に優勝馬を照らす美しい夕陽はこの時季にしか得られない。芝生が黄金色に輝くのも11月の東京ならでは。こうした光景を見ることができると思えば、日の入りが早いのも決して悪い話ではない。

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写真をやってらっしゃる方は賛同いただけると思うのだが、「快心の一枚」は好条件が揃ったときよりも、むしろ条件が悪いときの方に生まれやすい。スポーツ写真では「ありのままを撮る」が大原則。その範疇でどう美しさを表現するか。そこが腕の見せどころであろう。そういう意味では、カメラマンたちは日没の早いこの季節を、むしろ歓迎すべきなのかもしれない。

 

 

***** 2022/11/5 *****

 

 

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2022年11月 4日 (金)

昔の名前で出ています

昨日の園田競馬5レースに、こんな名前の馬が出走していた。

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なんと! 川崎記念と帝王賞など重賞5勝、2年連続でジャパンカップにも出走し、1993年オールカマーではあのツインターボの逃げを果敢に追いかけて、ライスシャワーやホワイトストーンを抑えて2着と大健闘した、あのハシルショウグンではないか。最近見かけないと思ったら、いつの間にか園田に来ていたのか。これは単勝一本勝負だ!!

Shogun1

園田競馬場でひとりそんなことを思ったのは、前日に新型コロナワクチンの4回目接種を受けた副反応のせいかもしれない。もちろん、大井所属でメンデス産駒のハシルショウグンであるはずはなく、2018年生まれ、プリサイスエンド産駒のハシルショウグンである。2代将軍はあろうことか牝馬であった。

GⅠ馬など一部の名馬を除き、一度使われた馬名を再使用することはルール上認められている。ただし、先代が死んでから5年以後という条件がつく(重賞勝ち馬は10年以後)。今でも「昔の名前で」走っている馬を見かけるのはそのせいだ。3冠馬ミスターシービーやGⅡ4勝のローエングリン。一昨年の3冠馬コントレイルも実は2代目だったりする。GⅠ3勝のタイトルホルダーに至っては3代目だ。

初代のローエングリンは1968年の金鯱賞を勝っているが、追い込みを得意としたというから興味深い。また、初代コントレイルはシベリアンホーク産駒の牝馬で、先代タイトルホルダーはスペシャルウィーク産駒の牡馬。当たり前だが、先代は我々が知る馬の印象とは大きく異なる。

Shogun2

ハシルショウグンが大井から姿を消して、数年後のある日。東京競馬場で「ハシルショウグン」というゼッケンを付けた馬を見かけた。「そういえば、むかし同じ名前の馬がいたなあ」と思った私の目は節穴である。なんとあのハシルショウグンではないか。大井在籍時から34キロ増えて馬体は雄大さを増していたが、黒っぽい芦毛は変っていない。JRAに移籍した彼は、大井での栄光をかなぐり捨てて、9歳(当時表記)にして障害レースに挑んでいたのである。

最後の直線で浜野谷憲尚騎手が下馬した瞬間の絶望を私は忘れることができない。左前第1指関節脱臼。先代ハシルショウグンの人生は突然の終わりを迎えてしまった。昨日の園田では負けてしまったが、2代目ハシルショウグンには祖母エイシンバーリンの血を繋ぐという役割もある。無事に走り続けてほしい。

 

 

***** 2022/11/4 *****

 

 

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2022年11月 3日 (木)

祭典の一日

園田競馬場に行くには阪急園田駅からファンバスに乗れば5分で着く。だが、JR尼崎駅からも本数は少ないながらファンバスが出ていることを知らなかった。我が家からJR尼崎駅までは乗り換えなしで15分。バスの時間に合わせさえすればこちらの方がラクかもしれない。ついでに尼崎にあるという讃岐うどんの名店に立ち寄ることもできる。折しも今日はJBC。盛岡まで行くことはできないが、地方競馬の祭典には地方競馬場で参加するのがファンとしてあるべき姿であろう。新ルート開拓を兼ねて昼下がりのJR東西線に飛び乗った。

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JR尼崎駅北口から歩くこと5分。「はるしん」はダシ文化の関西にありながら、敢えて讃岐流の「麺を食わせる一杯」にこだわっている。とはいえダシにこだわっていないわけではない。讃岐うどんのダシは関西に比べると若干辛めだが、そこは関西人の舌に寄せつつ麺とダシの調和を心がけているのだそうだ。

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でも今日は麺を楽しみたいので生醤油うどんをオーダー。太くて若干平打ちの麺はエッジはキリリと際立つのに、ひと口啜ればその滑らかさに驚く。豊かな腰が奏でる喉越しは痛快至極。わざわざ来る価値はある。家族連れで賑わう店内は讃岐流が地元に受け入れられた証であろう。

15分ほどバスに揺られて園田競馬場に到着。好天の祝日ということで、こちらも家族連れを中心に普段より人は多い。

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今日の園田は薄暮開催。だが、8レースが最終レースのため16時25分で本場はおしまい。その後は盛岡と門別のJBCを場外で楽しんでくれということなのだろうが、正直言って本場の番組がひどい。本来ならメインとなるはずのA1A2戦が5頭しか揃わずメインから外された。レースも逃げた圧倒的1番人気トウケイタンホイザを2番人気タガノプレトリアがゴール前に差しただけ。3着も3番人気ユウキラフェールが追い込んで3連複160円。もう少し競馬の醍醐味が伝わるようなレースを期待したかった。

Tagano

そういう意味ではJBC4鞍はいずれも競馬の醍醐味が詰まったレースばかり。さすが「祭典」を名乗るだけのことはある。しかしそれよりも驚いたのは、JBCのアンダーカードとして行われたオーロカップ。このメンバーが凄い。トーセンスーリヤ、トウショウドラフタ、ロードマイウェイ、ロードクエスト、リッジマンといったJRA重賞勝ち馬に加え、重賞勝ちこそないものの日本ダービー3着コズミックフォースを筆頭にJRA重賞好走馬がズラリ。そもそも出走14頭すべてがJRAからの移籍馬。お互いJRA時代に対戦経験のある相手もちらほら。今でこそ岩手、大井、金沢、船橋とバラバラの競馬場に所属しているメンバーだが、久しぶりに顔を合わせる同窓会のようでもある。個人的にはこのレースにもっとも祭典感を感じた。

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レースの方は2020年新潟大賞典2着の実績があるアトミックフォースが快勝。6馬身離された2着には2018年日本ダービー3着のコズミックフォースが入って私の「フォース」馬券がめでたく的中した。どうせならコズミックフォースに勝ってもらいたかったのだが、今日に限れば「宇宙の力」よりも「原子の力」の方が強かったということだ。

 

 

***** 2022/11/3 *****

 

 

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2022年11月 2日 (水)

スポーツ紙の辿る道

北海道新聞社は「道新スポーツ」の紙面発行を11月30日で休止すると発表している。休刊後はウェブの「ニュースサイト・道新スポーツ」で道内のスポーツニュースを発信するという。

道新スポーツは1982年9月に創刊。プロ野球日本ハムやサッカーJ1札幌などのプロ・アマスポーツのチーム、選手の活躍を紹介してきたほか、サンケイスポーツから競馬情報などの提供を受けてきた。道内全域で販売され、発行部数は公称2万8959部。同社は「ウェブで情報発信を強化する」としているが、ウェブ移行五体満足は競馬情報は扱わないという。「強化」の捉え方は難しい。

スポーツ紙を巡っては、西日本新聞社が「西日本スポーツ」の紙面発行を来年3月末に休止し、やはりウェブに移行することを発表したばかりだ。

「新聞の斜陽」が叫ばれて久しい。特にスポーツ紙はたいへんな状況に置かれている。

【スポーツ紙発行部数(日本新聞協会調べ)】
 2000年 6,307,162
 2021年 2,369,982(▼62.4%)

21年間で62%減と聞けば穏やかではない。かつてはスポーツ紙満開の通勤電車で一面見出しの比較をして楽しんでいたと言っても、若い人にはいったい何のことか分からぬであろう。そもそもスポーツ紙を売る駅の売店が縮小傾向である。かといって無機質なスマホの花など見る気にはなれない。

新聞ではコストの大半を用紙費と輸送費が占め、それを広告料金が補う形で今の値段に収まっている。駅売りスポーツ紙なら150円が相場だ。

コスト=用紙費+輸送費+記事制作費-広告料金

だが、コンテンツ(記事)の制作費は発行部数で割り算するから、発行部数が減れば減るほど一部あたりのコストに占める割合は増大する。しかし軽々しく値上げに走れば販売部数減は避けられない。そこで仕方なく記事制作費を抑える。有体に言えばリストラ。そうなれば紙面品質は落ちて、さらなる部数減を招く。これはビジネスモデル崩壊の典型的なスパイラル。道新スポーツと西日本スポーツは、ついにそこから抜け出せなくなった。

それでも競馬場に行けば、専門紙よりもスポーツ紙の方が人気は高い。「ひいきの予想記者がいるから」という人もいるだろうが、大半の客が専門紙ではなくスポーツ紙を手に取るのは、ずばり安いからであろう。だが、スポーツ紙の記者は野球やサッカーなどスポーツ全般を幅広く担当する。競馬だけに多くの人員を割くことはできないし、3~4年すれば別の担当に異動してしまうこともしばしば。専門紙のような細やかな取材を展開するのは土台無理な話だ。

それでスポーツニッポンによる記事盗用事件(1997年)みたいなことが稀に起こる。これは毎週土曜と日曜付のレース面「厩舎ナマ録」の欄に掲載されていた厩舎関係者のコメントすべてが、前日発売の競馬エイトから盗用された記事だったというもの。もちろん、エイト側の承諾は得ていなかったわけだが、何より悪質だったのはスポニチ側の担当部長が盗用を承知していたという点にあった。制作費削減が行き過ぎれば、このような事件が起きないとも限らない。

そんな状況を憂うからこそ、私はこの場で近年のスポーツ紙の劣化に警鐘を与えてきたつもりだ。原因が急激なリストラを含む制作費削減にあるのは明らか。道新スポーツや西日本スポーツの決断は究極の制作費削減と言えなくもない。2紙の後を追うスポーツ紙もやがて出てくる。

そうなって困るのは土日に競馬場に集まる競馬ファンであろう。安くて良質のメディアを求めることは、実はそう簡単なことではない。スマホに流れる無料の記事はその典型。タダの情報に有難味を感じてはいけない。私はそれをもっと知っていただきたいのである。

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それにしても函館の道新スポーツ賞、札幌の道新スポーツ杯、そして小倉の西日本スポーツ杯は来年からどうなってしまうのだろうか。ネットメディアでなおかつ競馬を扱わないとなれば、存続は難しそうだ。

 

 

***** 2022/11/2 *****

 

 

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2022年11月 1日 (火)

巷に溢れる競馬用語

先日、全日本大学女子駅伝のTV中継を見ていた時のこと。アナウンサーが「あと百っ!!」と叫んだ瞬間、一緒に見ていた娘が「競馬中継みたい」とポツリ。一気に緊張が緩んで大笑いしてしまった。

たぶん同じ中継だったと思うのだけど、先行集団から脱落した選手を「いっぱいか!」とも実況していたと記憶する。ひょっとしたらこのアナウンサー氏は白川次郎アナを実況の師と仰いでいるのかもしれない。

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そうはいっても、巷には既に競馬用語が溢れかえっている。「本命」「対抗」「大穴」はもとより、「ダービー」「ハンディキャップ」「ドーピング」「デッドヒート」といった外来語も本来は競馬用語。他にも「バテる」や関西弁の「あかん」という言葉までもが実は競馬から来ていると聞けば、競馬用語の浸透ぶりが実感できるだろうか。

競馬では、走っていた馬が疲れてフォームを乱した状態になることを「バタバタになる」と言い、調教の短評などでも「しまいバタバタ」などと表現される。「バテる」という言葉は、この「バタバタになる」が縮まって広く使われるようになったもの。ごく普通に使われる「夏バテ」なども、その由来は競馬用語にあるわけだ。

プロ野球界に目を転じると、「先行、逃げ切りはウチの勝ちパターン」と言う監督がいれば、移動日なしの遠征を前に「明日の札幌は当日輸送」と言った選手も。日常会話の中に競馬用語が溶け込んでいるということは、競馬人口の増加のみならず、そもそも使いやすい用語であることの証であるように思う。

だがその一方で、「競馬は専門用語が多すぎて難しい」という声があるのも事実。馬券を買うファンだけでなく、サラブレッド生産牧場の就職説明会に参加した人からもこうした意見は上がっている。使いやすいと思われた競馬用語は、一方で難解であることで障壁にもなっているのである。これは困った。

 

 

***** 2022/11/1 *****

 

 

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