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2022年9月24日 (土)

牝馬のオールカマー

明日の産経賞オールカマーの前日発売では、一昨年の3冠牝馬デアリングタクトが人気を集めている。さらに2012年の3冠牝馬ジェンティルドンナの娘・ジェラルディーナも人気の一角。仮に牝馬2頭のワンツーフィニッシュという結果になれば、昨年のウインマリリン・ウインキートスに続いて2年連続の出来事。オールカマー史上では4回目となる。

1995年のオールカマーで人気を集めたのはヒシアマゾンだった。その年の3月に米GⅠ・サンタアナハンデに出走すべく渡米したが、慣れぬ環境に馬体を減らし、水を飲むことさえしない。挙句の果てに、雨で路盤がむき出しになった馬場での調教が祟って左前脚を捻挫。レースを目前にしながら無念の帰国となった。その後7月の高松宮杯に出走するも、まるで精彩を欠いた走りで5着。牝馬は一度体調を崩すと立て直すのが難しい。一時は引退説も流れた。それでもファンは、オールカマーに挑むヒシアマゾンを1番人気に押し上げたのである。

Ama

実はこの年のオールカマーは台風12号のために平日の月曜日に行われた。にも関わらず、46,888人もの観衆が中山につめかけたのは、女王復活の瞬間をひと目見たいと願うファンが、それだけ多かったからにほかならない。前日の雨が残って馬場は稍重。アイビーシチーが先導するスローペースに業を煮やしたヒシアマゾンは、3コーナー付近で早くも先頭に立ってしまう。どよめくスタンドの大観衆。ヒシアマゾンが先頭のまま馬群が直線に向くと、満を持してスパートしたアイリッシュダンスが猛然と襲い掛かってきた。

その差は2馬身、1馬身、半馬身。しかしそこからがヒシアマゾンの真骨頂だ。マチカネアレグロを競り落としたニュージーランドトロフィー4歳Sでも、チョウカイキャロルとのマッチレースを制したエリザベス女王杯でも、馬体を併せての競り合いで彼女は負けたことがない。それが女王の女王たる所以。ラスト1000mのラップタイムは、計ったように11.8-11.8-11.8-11.8-11.4である。最後の1ハロンが少しだけ速いのはアイリッシュダンスが競りかけた分であろう。この日もクビ以上にその差を詰められることはなかった。湧き上がる大歓声。女王復活の瞬間である。

Allcomer

ヒシアマゾンが名牝であることは論を待たないが、アイリッシュダンスにしても牡馬相手にふたつの重賞を勝っただけでなく、ハーツクライという不世出の名馬の母でもある。そういう意味において、この年のオールカマーは名勝負だった。

あれから27年を経た今年のオールカマーも台風翌日の開催という点では同じ。「牝馬のオールカマー」の再現はあるか。デアリングタクトもジェラルディーナも、もちろん昨年の雪辱がかかるウインキートスも、誉れ高き2頭の名牝に続きたい。

 

 

***** 2022/9/24 *****

 

 

 

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