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2022年7月12日 (火)

秋の3歳馬にも注目を

今年も「3歳秋のチャンピオンシップ」が実施されると発表があった。

「3歳秋のチャンピオンシップ」を知らぬ人のために解説する。8~9月に行われる各地方競馬場の3歳主要重賞競走を勝った有力馬が10月の盛岡・ダービーグランプリへと集結し、地方競馬の3歳王者の座を争うシリーズ。具体的には王冠賞(門別)黒潮盃(大井)、岐阜金賞(笠松)、黒潮菊花賞(高知)、サラブレッド大賞典(金沢)、不来方賞(盛岡)、園田オータムトロフィー(園田)、戸塚記念(川崎)、西日本ダービー(園田)、ロータスクラウン賞(佐賀)のいずれかを制し、さらに10月2日のダービーグランプリに勝つと、ステップレースのランクに応じたボーナスゲットというわけである。

とはいえ一般的に3歳馬のチャンピオン決定戦は上半期に終えるのが世界の潮流。地方競馬とて例外ではない。そのために5月から6月にかけて各地でダービーが行われるのだし、明日のジャパンダートダービーはその総決算でもある。それを下半期にもう一度やるというわけ。「秋の」と付け足さざるを得なかった名称も込みで、このシリーズに違和感を覚える人もいるかもしれない。

だが、もともと地方競馬のダービーは夏以降に実施されることが多かった。晩成血統であったり、2歳時に不慮の故障をしてしまったり、あるいは体質が弱かったり―――。地方にやってくる馬の中には、2歳や3歳の春から全能力を発揮できないような馬が少なくない。だからレース体系もそれに合わせる必要があったのである。

かつて宇都宮で行われていた北関東ダービーなどは11月の施行が長く続いたほど。たとえ遅デキでも、焦ることなく夏から秋の目標に向けてゆっくりと力を付けていくことが可能だった。それが地方競馬の存在意義のひとつだったと言っても過言ではあるまい。

ところが2006年に「ダービーWEEK」が創設されると、全国各地のダービーが春シーズンに前倒しされた。こうなると地方であっても早い時期からたくさん走って賞金を積み重ねる必要に迫られる。

2006年から13年間にわたり岩手ダービーとして行われていた「ダイヤモンドカップ」は、05年まではごくありふれた特別戦だった。それに突然「岩手ダービー」の副題を付けて「ハイ皆さん、今年からこのレースをダービーとします」と言われて簡単に受け入れられるだろうか。実際、秋に行われる不来方賞こそ岩手3歳最高の栄誉と今なお信ずるファンや関係者は少なくない。

Takasaki

すでに廃止されてしまったが、高崎競馬場で行われていた高崎ダービーは、毎年ちょうど今頃に行われていた。なにせ全国屈指の猛暑県の7月である。猛烈な暑さにクラクラになりながら見るダービーは正直言って辛い。写真は1997年の高崎ダービーを勝ったアイコマシルバー。この年のダービーもとてつもなく暑かった。だが、その暑さゆえに、四半世紀が経った今もその印象は私の脳裏に強烈に焼き付いたまま。明日は春シーズンの総決算・ジャパンダートダービーが行われる。しかし、地方の3歳戦はこれからが暑い。

 

 

***** 2022/7/12 *****

 

 

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