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2022年7月31日 (日)

外14頭vs内4頭

今年のアイビスサマーダッシュは戦前から展開予想が白熱していた。誰が逃げるかではない。確定枠順から内外のラチ沿いに馬群が二つに分かれることが濃厚と思われたから。外はシンシティが引っ張るだろう。内はスティクスが行くと思われるが、有利とされる外ラチ沿いを取るのは難しい。であれば藤田菜七子騎手は内ラチ沿いを選択するのではないか。そうなると内枠を引いたライオンボスやオールアットワンスといった優勝経験のある2頭もそれを追う可能性が高い。ほかに内を選択する馬が何頭いるか。そこが勝敗を分けそうだ。

予想は一部的中した。藤田騎手は距離のロスを承知で外へ持ち出すことはせず、内ラチ沿いで逃げ足を伸ばす。それを追いかけたのはライオンボス、トウショウピスト、オールアットワンスの3頭。ただ思ったより少なかった。外14頭に対して内4頭では「馬群を二分」というほどではない。外を引っ張るシンシティのテンの2ハロンは21秒8。対して内のステイクスは21秒9。頭数が少ない方はペースが上がりにくい。5着に終わったステイクスの藤田騎手は「外枠が欲しかった」と枠順を敗因に挙げた。

2000年に新装なった新潟競馬場の目玉としてオープンした1000mのコースは、直線ゆえ枠順の有利不利がないフェアなコースとして注目を集めたが、今となっては外枠有利は馬券の常識になっている。今年あたり内枠同士の決着を見たいと思ったが、よりによって8枠ゾロ目とは言葉もない。それでもゴール寸前まで内外どちらが先頭なのか分からなかった。カメラマンたちはさぞ苦労したことだろう。

直線レースは欧州では珍しいものではない。英チャンピオンSのように直線2000mのGⅠというのもある。この場合、スタンドの観客はレースの九割方を実況に頼ることになる。

また、かつてアグネスワールドが勝ったフランスのアベイユ・ド・ロンシャン賞(直線1000m)に至っては、向こう正面の直線部分だけしかレースに使われない。馬が観客の目の前を通らないという、日本ではまず考えられないコース設定である。

対して日本やアメリカが一周1600m前後の長円形トラックを採用したのは、「競馬」というものが当初から興行としてとらえられていた歴史的経緯と無縁ではない。その方が観客に見やすく、またどの競馬場も同じような条件であれば、馬の能力を比較しやすく、ひいては馬券の売上げにも功奏する。

Niigata1000

欧州では競馬は馬主のものであり、コース設計時に観客の目を意識する必要がそもそもなかった。そういう意味で新潟の直線1000mには欧州的思想が入り交じっている。創設当初はそのあたりを心配したりもしたが杞憂だったようだ。今では新潟随一の名物レース。来年こそは内外9頭ずつきれいに分かれたレース展開を期待したい。

 

 

***** 2022/7/31 *****

 

 

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