国内全競馬場制覇、再び
中央・地方を合わせた全競馬場踏破は遥か昔に達成してしまったので油断があったのかもしれない。いつの間にか未踏の競馬場が一箇所増えていることに気付かなかった。そう、それは今年4月に移転オーブンした名古屋競馬場。旧競馬場には正月の名古屋記念で別れを告げておいたが、新競馬場への挨拶をすっかり忘れていた。折しも休日。しかも重賞・名港盃。そこに古豪カツゲキキトキトが参戦するという。初訪問を果たすなら今日であろう。カツゲキキトキトが記念すべき通算30勝目を挙げるのなら、ぜひこの目で観ておきたい。考えるより早く早朝の近鉄特急ひのとりに飛び乗った。
新幹線や新快速ではなく近鉄を選んだのにはワケがある。もちろん近鉄特急ひのとりのプレミアシートがとてつもなく快適であることも理由のひとつ。それにも増して、新しい名古屋競馬場はとにかく遠い。最寄り駅の近鉄蟹江駅から約10キロ。とても歩ける距離ではない。名古屋駅から連絡バスも出ているが、高速道路経由で40分もかかる。
もともとトレセンだったところを競馬場に改修しただけ。周辺は倉庫が立ち並ぶ港湾部である。普通なら人が集まる立地ではない。そもそも移転計画では深夜の無観客開催も視野に入っていた。2000台分もの広大な無料駐車場は、「来るならクルマで」という主催者からの無言のメッセージであろう。
そんな主催者の意図を汲んで私もクルマで行くことに。すると名古屋より三重県の桑名から向かった方が近いことに気が付いたのである。それで近鉄利用というワケ。実際、桑名駅前から20分で競馬場に着いた。名古屋競馬場だから名古屋から向かうのが当然と思いがちだが、その手は桑名の焼きハマグリ。桑名で降りれば名物のハマグリも食べられる。
新名古屋競馬場は思いのほか狭く、思いのほか混雑していた。
スタンドは門別のそれを3階建てにした規模感。1階スタンド内に座席は無く、2~3階は指定席と馬主席だから、一般客は暑さを覚悟の上で屋外席に座るか、スタンド内で立ち続けるしかない。今日の場合はそのどちらも人で埋まっていた。馬券の券売機もJ-PLACEばりに少ない。実際に土日は「J-PLACE弥富」として営業しているわけだが、設置基準をそちらに寄せた可能性もある。ともあれ、無駄に広かった旧名古屋競馬場を知る人には、ことさら狭く感じられるに違いない。
名港盃は7番人気の伏兵ペイシャシオンが、2周目3コーナーから動いて先頭に立つと、後続の追撃を凌いで重賞初制覇を果たした。
ストロングリターン産駒の4歳牡馬。格下ながら初めての重賞挑戦で結果を出すあたりが、いかにも夏の重賞らしい。
期待したカツゲキキトキトは9番人気で8着。ペイシャシオンとは対照的にこれが51戦目の重賞出走だった。2016年の東海ダービー馬も9歳。「キトキト」は富山弁で「いきいきして元気のいいさま」を表す言葉だが、パドックやかえし馬の雰囲気からは、かつての覇気が感じられなくなりつつある。「ひのとり」の如き復活を願ってやまない。
***** 2022/7/18 *****
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