« 夢のオールスター | トップページ | はじめての和歌山 »

2022年7月21日 (木)

その手は桑名の

月曜の話の続き。桑名駅から北東に1キロほど。揖斐川の堤防近くに暖簾を掲げる「川市」は、朝11時半の開店直後から観光客と地元の常連客で賑わっていた。

ハマグリと餃子が美味いと評判の老舗うどん店。ハマグリはともかく、うどん屋さんで餃子推しも珍しい。地元の常連さんはみな餃子を注文していたから、よほど美味しいのだろう。ただ、こちらは時間の都合もあり断念して「ハマグリ鍋うどん」のみをオーダー。ダシを「味噌」と「すまし」からチョイスできるのは名古屋圏ならではであろう。ただお店の人によれば、「ハマグリ鍋なら絶対に“すまし”がお勧め」とのことなので、素直に従うことに。待つこと15分。グツグツと煮えたぎる土鍋が目の前に運ばれてきた。

Hamaguri1

蓋を開けると湯気が凄い。その一杯に圧倒された。ハマグリの圧倒的なまでの存在感。そして鼻腔を突き抜ける香しさ。これは美味い。いや、まだ食べる前だが、美味いに決まっている。

うどんに使うのは比較的小ぶりのハマグリだという。それでも私からすれば標準サイズ。身はプリプリで、噛めばじゅわっと旨味が湧き出てくる。その旨味をたっぷり吸ったうどんも負けてない。極太の麺はこのダシで煮込んだもの。大阪のうどんに慣れ切った私からすれば若干固くも感じるが、名古屋の味噌煮込みうどんのからすればむしろ柔らかい。それがまたこのダシに合う。「ハマグリうどん」というメニュー自体は、春先になると多くのうどん店で見かけるが、一度この「ハマグリ鍋うどん」を食べてしまったら他の店で注文できなくなりそうだ。

Hamaguri2

「その手は桑名の焼きハマグリ」が、単なるダジャレに収まらず、本当に食えなくなった時期があった。つい最近のことだ。

東海道の宿場町として栄えた桑名の街は、木曽川、長良川、揖斐が伊勢湾に流れ込む汽水域に面しており、豊かに身の詰まったハマグリが育つ。江戸時代には歴代将軍にも献上され、街道沿いの店で売られる焼ハマグリは東海道の名物だった。

だが、戦後は経済成長に伴う沿岸開発で漁場環境が悪化。年間3000トンを誇った漁獲高は1995年には800キロにまで落ち込んだ。もはや絶滅寸前と言っていい。

それでも稚貝放流と徹底した資源管理を続けたことで、今では年間200トン前後まで漁獲量が回復したという。それでも高級品であることには変わりはない。

Hamaguri3

帰り際にもう一軒と立ち寄った店では、メニュー表に「当店は畜養ハマグリを使用しています」との注意書きがあった。それでも敢えて焼きハマグリを注文。これはこれで美味しい。旅の食事は思い出も一緒に味わうもの。ハマグリの街でハマグリを食べること自体にも、ちゃんと意味がある。


 

 

***** 2022/7/21 *****

 

 

|

« 夢のオールスター | トップページ | はじめての和歌山 »

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 夢のオールスター | トップページ | はじめての和歌山 »