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2022年7月 6日 (水)

ネット投票の功罪

週末の日本を混乱に陥れたauの通信障害のおかげで先週日曜は早朝から仕事場に向かう羽目になった。KDDIによれば、影響を受けたのは3915万回線に及ぶという。規模に時間を掛けあわせた影響度としては史上最大。異なるキャリアのユーザーである私ですら休日出勤という形で影響を受けていることを思えば、あながち誇大な表現とも思えぬ。

Umeda

対応がひと段落したところで、雨の中をウインズ梅田に向かった。遅い朝メシのついでに宝塚記念で買ったオーソリティ絡みの馬券の返還払戻金を受けるため。普段なら競馬場で払い戻すが、今週からJRA開催はローカルに移っている。この先しばらく競馬場に行く予定はない。

ウインズは思いのほか混雑していた。宝塚記念でオーソリティを買っていた人がこんなにも多いのか。こういうとき私のような紙馬券派は多少困るが、炎天下を走る人馬を思えば、これくらいの手間は甘んじて受け入れることにしよう。

そういう私も一応はIPATの権利は持っている。その昔は宝くじより確率が低いと言われる抽選をかいくぐり、貴重な貴重な「電話投票権」を得た。以後数十年になるが、最近ではほとんど使わない。アカウントが削除されないよう、思い出したようにたまに買う程度だ。

「電投」すなわちネット投票をやらない理由はひとつ。面白くない。その一言に尽きる。

私の周囲に麻雀をやらずにネットの麻雀ゲームばかりしている奴がいる。昼夜を問わず、まさに寝る間を惜しんで没頭している。「そんなに麻雀が好きなら、雀荘に行こう」。ある日、そう誘ってみた。だが彼は首をヨコに振る。人と卓を囲むのは気疲れする。わざわざ雀荘に行くのも面倒くさい。手軽がいちばん。だからゲーム―――。彼はそう言うのである。

競馬においても、首都圏や関西圏に住んでいながら競馬場や場外に行った経験も持たず、ただひたすらネットばかりで馬券を買っている人がいるが、そういう人を見ると思わず麻雀ゲームの彼を連想してしまう。ゲームと違ってカネを賭けている。そう言われるかもしれない。とはいえ、レースのたびに財布から出て行くお札を見ることはなかろう。それを「手軽」と喜ぶのは悪くないが、目に見えぬ口座の上で金が出たり入ったりしているだけなら、少なくともプレイ中の感覚はネットゲームと変わりあるまい。それであとから請求(追加入金の必要)がやって来る。

そこだけを切り取ればネット投票とノミ屋には、大差がないことに気付く。ノミ屋も基本は口張り。その場でカネのやり取りは発生しない。客はそれを「手軽」と喜ぶが、実はそれは胴元が意図的に仕組んだ手法でもある。手軽だからこそ、客はたいして考えもせずホイホイと馬券を買ってしまう。それであとからとてつもない請求が来る。両者の違いは違法か合法か。大きな違いではあるが、その程度かという気もする。

財布に残った千円札の、その最後の1枚を出す瞬間に脳裏を駆け巡る思い。そして、ごくごく稀に払戻機から出てきた札束を掴んだときのあの感触―――。

バクチを打ち続ける中にあって、もっとも大事なこと。それはカネの有難味を分かっているかどうかではあるまいか。それがなければあらゆるバクチは単なるゲームに成り下がる。と同時に、バクチで身を滅ぼすことも覚悟しなければなるまい。

そこまで考えてハタと気づいた。日曜にウインズが混雑していた理由は、ひょっとしてauの通信障害の影響ではあるまいか。ネット投票ができなければ、大半のファンはウインズに来るしかない。携帯がなかった当時を知る人間とすれば当たり前の光景だが、それが当たり前ではない時代になったのであろう。KDDIの社長は「補償を検討する」と言っていた。「買う予定の馬券が買えずに損した」などと言われたら、いったいどうするのだろうか。

 

 

***** 2022/7/6 *****

 

 

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