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2022年7月31日 (日)

外14頭vs内4頭

今年のアイビスサマーダッシュは戦前から展開予想が白熱していた。誰が逃げるかではない。確定枠順から内外のラチ沿いに馬群が二つに分かれることが濃厚と思われたから。外はシンシティが引っ張るだろう。内はスティクスが行くと思われるが、有利とされる外ラチ沿いを取るのは難しい。であれば藤田菜七子騎手は内ラチ沿いを選択するのではないか。そうなると内枠を引いたライオンボスやオールアットワンスといった優勝経験のある2頭もそれを追う可能性が高い。ほかに内を選択する馬が何頭いるか。そこが勝敗を分けそうだ。

予想は一部的中した。藤田騎手は距離のロスを承知で外へ持ち出すことはせず、内ラチ沿いで逃げ足を伸ばす。それを追いかけたのはライオンボス、トウショウピスト、オールアットワンスの3頭。ただ思ったより少なかった。外14頭に対して内4頭では「馬群を二分」というほどではない。外を引っ張るシンシティのテンの2ハロンは21秒8。対して内のステイクスは21秒9。頭数が少ない方はペースが上がりにくい。5着に終わったステイクスの藤田騎手は「外枠が欲しかった」と枠順を敗因に挙げた。

2000年に新装なった新潟競馬場の目玉としてオープンした1000mのコースは、直線ゆえ枠順の有利不利がないフェアなコースとして注目を集めたが、今となっては外枠有利は馬券の常識になっている。今年あたり内枠同士の決着を見たいと思ったが、よりによって8枠ゾロ目とは言葉もない。それでもゴール寸前まで内外どちらが先頭なのか分からなかった。カメラマンたちはさぞ苦労したことだろう。

直線レースは欧州では珍しいものではない。英チャンピオンSのように直線2000mのGⅠというのもある。この場合、スタンドの観客はレースの九割方を実況に頼ることになる。

また、かつてアグネスワールドが勝ったフランスのアベイユ・ド・ロンシャン賞(直線1000m)に至っては、向こう正面の直線部分だけしかレースに使われない。馬が観客の目の前を通らないという、日本ではまず考えられないコース設定である。

対して日本やアメリカが一周1600m前後の長円形トラックを採用したのは、「競馬」というものが当初から興行としてとらえられていた歴史的経緯と無縁ではない。その方が観客に見やすく、またどの競馬場も同じような条件であれば、馬の能力を比較しやすく、ひいては馬券の売上げにも功奏する。

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欧州では競馬は馬主のものであり、コース設計時に観客の目を意識する必要がそもそもなかった。そういう意味で新潟の直線1000mには欧州的思想が入り交じっている。創設当初はそのあたりを心配したりもしたが杞憂だったようだ。今では新潟随一の名物レース。来年こそは内外9頭ずつきれいに分かれたレース展開を期待したい。

 

 

***** 2022/7/31 *****

 

 

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2022年7月30日 (土)

隻眼の馬たち

私事であるが、私の右眼の緑内障が判明したのがロンドン五輪の直前だったことを思い出した。この病気と付き合い始めてちょうど10年になる。今日は久しぶりに帰省して、地元の眼科での定期検査を受けた。

幸いにもクスリのおかげで眼圧は一定の値を維持しており視野狭窄の進行は止まっている。だがしかし、いつ進んでも不思議はない。なので主治医はクスリの追加を提案した。これまでは入浴前の一度だけだったのが、朝夕二回のルーチンになる。たかが目薬の点眼とはいえ、3分間目を閉じていなければならないのは意外と面倒くさい。それがこの先一生続くと思うとさすがに堪える。皆さんも緑内障にはくれぐれもご注意いただきたい。

ただちに生活に支障をきたすレベルではない。とはいえ、それでも医者から近い将来の「失明」の可能性を告げられれば、おとなしく従うしかない。発症時は慌ててブルーベリージャムを買い込み、浅草でヤツメウナギを食べたりしたが、目に見えるような効果はなかった。そもそも「目に見える効果」が見えないのは、目が悪くなっていればこそか。

失明について思いを巡らせながら競馬中継を見るうち、かつて隻眼の馬たちが活躍していたことを思い出すようになった。

JRAの規定では、馬名登録前に一眼を失明した馬は登録が認められないが、登録後に片目のみを失明した場合は、平地競走に限り出走できることになっている。古くはキョウエイレアが有名。片目を失いながらもカツラギエースやスズカコバンを相手に1984年の高松宮杯を逃げ切り、「片目の逃亡者」とか「独眼竜」などと呼ばれた。

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最近の例ではウインジェネラーレが知られている。馬房で暴れて右目の瞼をひっかけてしまい、ブドウ膜炎を発症して失明。だが、その2年後にはオールカマーでバランスオブゲームから0秒1差の6着と健闘した。手綱をとった勝浦騎手が「乗っていて違和感はなかった。失明していると言われなければ分からない」と話していたことを思い出す。

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そのオールカマーには、隻眼の馬が2頭出走していたことで話題になった。そのもう一頭はルーベンスメモリー。3歳春に山元トレセンのウオーキングマシーンの中で右目に外傷を負い、これが原因で失明した。だがそれから5勝を挙げたのだから凄い。しかもそのうち2勝がコーナーが見えにくいはずの右回りだと聞けば頭が下がる。

コーナーを回りつつ全力で走らなければならない馬にとって、失明のハンデは小さくない。馬群の中で右側あるいは左側にいるであろう相手がまったく見えないその恐怖は計り知れぬものがある。それでも隻眼の馬たちが勝利を挙げることができたのは、騎手の巧みな手綱さばきや関係者の尽力があってこそだろう。

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グルメサンシャインも放牧中の事故で左目を失明した一頭。だがそのハンデをはねのけて、左回りの東京で2勝を挙げている。眼球を摘出したあとは感染症を発症しないよう、このような「透明半頭面」と呼ばれる馬具で左目を覆い隠してレースに臨んでいた。こういう馬具を付けた馬を見かけたら、みなさんも応援してあげてください。

 

 

***** 2022/7/30 *****

 

 

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2022年7月29日 (金)

広島の仇を京都で

関西は連日の猛暑。中でも京都の蒸し暑さは異質だ。「溶けるような」「蒸し風呂のような」「うだるような」。京都人が暑さを形容する言葉は様々だが、どれも正しい。この暑さに比べたら、東京の暑さはどことなく薄っぺらく感じる。

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暑くなると冷たいメニューが恋しくなるのは生き物としての性(さが)であろう。そう思って周りを見渡せば、街には「冷やし系」メニューが溢れかえっている。「冷やしおでん」「冷やし餃子」「冷やしカレー」「冷やしタイ焼き」、果ては「冷やしカツ丼」なるものまで。「冷やし」だから受け入れられるのだろうが、これを「冷めた」に変えたら誰も進んで食べようとは思うまい。

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暑さから逃れるように八坂神社隣の『味味香』の暖簾をくぐった。以前、ウインズ広島のビル内にまさかの『味味香』の看板を発見したのだが、残念ながら休業中だったことを思い出す。あの日のリベンジは京都の本店で。注文はもちろん「冷やしカレーうどん」だ。

「冷たいカレーはちょっと……」

そう言って避けていた時期もあるのだけど、もともと冷やして食べるのが普通のうどん相手なら、冷たいカレーの違和感もさほど気にならない。

鰹と昆布で取ったダシに、11種類のスパイスを調合されたスパイシーなカレーを合わせてキンキンに冷やしたら、氷水でシメた細打ちのうどんを投入。トッピングは冷たいお揚げさんと半熟卵と九条ネギ。温かいカレーうどんとビジュアルはさほど変わらない。

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レンゲでダシをすくうとトロりと濃厚なのに、口に含めると意外にもサラッとした口当たり。ダシの風味も手伝って、どことなくヴィシソワーズのよう。冷たさのせいか、口に入れた瞬間にカレーの辛さはさほど感じない。なのに食べ終えるとちゃんとカレーの後味と辛さが残る。不思議。

うどんは細打ちでも、しっかりコシがある。これなら胡麻ダレのざるうどんも美味いに違いないが、それは次回に取っておこう。そして何よりこのお揚げさんが美味い。東京や大阪で食べる油揚げとは全く違う。油揚げひとつ取っても、関東の田舎者は「さすが京都」と恐れ入ってしまう。

ともあれ広島のリベンジは果たした。たっぷり水を飲んで水分補給も完了。さあ、炎天下の散歩を再開するとしよう。

 

 

***** 2022/7/29 *****

 

 

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2022年7月28日 (木)

夏の桜

アイビスサマーダッシュに出走予定のあるオールアットワンスは、昨年の同レースの優勝馬。勝てばカノヤザクラ(2008&09)、ベルカント(15&16)に続く連覇達成となる。カノヤザクラといえば2008年、09年と2年連続でサマースプリントチャンピオンに輝いた名牝。09年のスプリンターズSでも8番人気ながら3着と頑張った。

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彼女の能力の片鱗は、新馬を勝って臨んだ2戦目のかえで賞に垣間見ることができる。この日騎乗予定だった上村洋行騎手が午前中のレースで落馬負傷。急遽、手綱を任された安藤勝己騎手は、スタートから行きたがるカノヤザクラをなだめ通して進んだが、鞍上の制止を振り切るようにして突っ走って1着ゴール。その勝ち時計は、なんと1分20秒8のレコードタイムだった。

かえで賞の舞台は京都の内回り芝1400m。従来の2歳レコードは1995年にイブキパーシヴが樹立した1分21秒4だった。それを、さして追われることもなく0秒6も短縮してみせたのである。

その血統から距離に限界があるであろうことは誰もが感じていたはずだが、それでもこのレースぶりなら、桜花賞でもスピードで押し切れるかもしれない。なんと言っても「桜」を名前に戴く彼女である。勇躍、ダイワスカーレットとウオッカの待つ仁川の舞台に向かったが、結果は9着と大敗。彼女が生涯でマイル以上のレースに出走したのは、後にも先にもこの一回きり。以後、彼女は一貫してスプリンターの道を歩み続ける。

そんな彼女がもっとも輝いたのが、二度の優勝を果たしたアイビスサマーダッシュだったことは間違いあるまい。冬場は冬毛が伸びて調子を維持できないのに、夏場になるとどんどん調子を上げてくる典型的な夏女。しかもその馬体は500キロを超え、スプリンターであるのにスタートも決して速い方ではない。コーナーで置かれることのない新潟1000mはベストのコース。まさにアイビスサマーダッシュは彼女のために用意された舞台だった。2連覇に留まらず、3連覇を確実視する声があったのも無理はない。

だが、舞台は突然の暗転を迎える。3連覇をかけて臨んだ2010年のレースでは、ゴール目前で左第1指関節脱臼を発症。悲しくも予後不良となった。勝てば我が国初の牝馬による同一平地重賞3連覇の偉業達成だったが、そんなことより痛感させられるのは、毎度のことながら競馬の非情である。せめてもの救いは、そこが彼女がもっとも輝いた舞台であったということか。スタートから横一列になって疾風の如く迫り来る馬群を見たその時、きっと今年も彼女が輝いたあの夏を思い出すに違いない。

 

 

***** 2022/7/28 *****

 

 

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2022年7月27日 (水)

リアルガチ

大阪ではMXテレビは映らないので、NHKの番組「プロフェッショナル ~仕事の流儀~」を見ながらマイルグランプリはパソコン画面で視聴。出走は12頭にとどまったが、3連勝で京成盃グランドマイラーズを制した馬がいて、おととしの羽田盃勝ち馬がいて、3年前の道営3冠馬がいて、JRAのダート重賞2勝馬がいて、ごドルフィンマイル3着馬がいてもいるという好メンバーが揃った。そんな中にあってJRAの芝で実績を残した2頭に注目。もちろんタイムフライヤーとコズミックフォースこと。ともにサンデーサラブレッドクラブの所属馬であり、ともに2015年生れの同期として日本ダービー、菊花賞、中山金杯で3度の直接対決がある。ちなみに対戦成績はタイムフライヤーの2勝1敗だ。

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GⅠホースや日本ダービー3着馬の参戦は注目に値しよう。だが、かつてこのマイルグランプリにはもっと注目を集めた馬が登場したことがある。2008年の日本ダービー2着のスマイルジャック。当時は秋に行われていたこのレースに、京成杯オータムハンデを走ってからわずか2ヶ月で臨んできたのである。2013年のことだ。

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関屋記念と東京新聞杯を勝ち、安田記念で2年連続3着の実績からすれば、マイル適性に疑いようがない。とはいえ直前は二桁着順が続いていた上、JRAで2度経験したダート戦でも14着と13着では強気になれまい。加えて59キロの斤量。単勝6番人気という数字が、ファンの逡巡を如実に示していた。

エイシンチャンプやマーベラスクラウン、あるいはサンライズバッカスなど、それ以前にもJRAのGⅠ馬が南関東に転入してきた例がないわけではない。しかし、日本ダービー2着馬となると話は別だ。エフフォーリアも、サトノダイヤモンドも、エピファネイアも揃いも揃って日本ダービーの2着馬。さらにハーツクライ、ゼンノロブロイ、シンボリクリスエス、ダンスインザダーク、ビワハヤヒデ……。ダービー2着の名馬を挙げればキリがない。そんな格式あるカテゴリに含まれる馬が南関東にやってきたとなれば、注目しないわけにはいくまい。

近い例としてダンツフレームの例があった。2001年のダービーでジャングルポケットの2着し、翌年の宝塚記念を勝って現役を引退したまでは良かったが、諸事情あって種牡馬になることができず、やむなく1年後に荒尾で現役復帰。その後、浦和に移籍するも勝てずに再び引退。その半年後に病死している。

もちろんスマイルジャックの置かれていた立場はダンツフレームのそれとはまったく異なる。それでも10着に敗れたこの日の走りを見て、ダートでは苦労しそうな雰囲気はひと目でわかった。実際、地方移籍後は10戦して馬券に一度も絡まぬまま引退。JRA時代の看板だけで通用する世界ではない。それを痛感したのが2013年のマイルグランプリだった。

あれから9年後のマイルグランプリは5番人気ゴールドホイヤーの完勝。2着スマイルウィ。ノーザンファーム生産のJRA活躍馬を置き去りにして、地方競馬生え抜き2頭によるワンツーフィニッシュという決着が、出川哲朗さんの芸能人生にも重なって見えた。これぞリアルガチ。東京ダービー1番人気馬の復活勝利に拍手を送ろう。

 

 

***** 2022/7/27 *****

 

 

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2022年7月26日 (火)

ワンタンに賭けろ

このブログではうどんばかりを取り上げているので、「蕎麦とかラーメンは食べないのですか?」という質問をいただくことがたまにある。

食べないこともないのだけど、その麺のジャンルにはなぜか求道者のごとき店主が多く、自然に足が遠のいているのかもしれない。「まずは水蕎麦で蕎麦本来の味を味わってください」と言われたり、鉢巻しめて腕組みしている店主の写真が貼ってあったり、客の目の前でスタッフを怒鳴りつけたり、炎天下に行列を強いられたり……、とにかくそういう類の店は苦手なんですね。まあこれを「好き」という人は少ないと思うけど。

だから、たまに行くラーメン屋は地元に昔からある“普通のお店”に限られる。三軒茶屋の「茂木」はまさにそんな条件にジャストフィット。買い物のついでにちょっと寄って食べられる、そんなカジュアルさが良い。しかし大阪に来て以来1年半余り足が遠のいている。そりゃあそうですよね。わざわざラーメンを食べるためだけに新幹線に乗るわけにはいかない。すると下の娘が「食べてきた」とこれ見よがしに写真を送ってきた。うーむ、こういうのを見るとやはり食べたくなりますな。

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歯切れの良い中細麺に豚骨ベースの塩醤油味なのだが、豚骨も、塩も、醤油も、決して主張し過ぎていないところがいい。表面を覆う透明な油は自家製のラード。これがスープを冷めにくくし、スープにまろやかな旨味を加えている。

しかしこの店の楽しみはなんと言ってもこのワンタン。分厚いワンタン皮の中には、しっかり下味が付けられた肉がパンパンに詰まっている。噛めばジュワっと肉汁が染み出る―――というタイプではなく、思いのほかガッシリした歯応え。無骨と言えば無骨。昨今の流行りではないかもしれない。だが、そのおかげでワンタンの存在感は麺やスープを凌駕している。あー、やはりワンタン麺が食べたい。てなわけで、今日のお昼は大阪で人気の「揚子江ラーメン」でワンタン麺を食べることにした。

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ワンタンと言うと三角形で余った部分の皮がひらひらの「八つ橋」のようなイメージをお持ちの方が多いかもしれないが、これは正確には「扁食(ペンス)」という福建省の料理である。福建省出身の華僑が長崎でペンスの店を出したところ、なぜかそれが「雲呑(ワンタン)」として全国に広まってしまったらしい。本当のワンタンは「茂木」のようにコロンとした形。とはいえ「八つ橋」タイプも美味い。これはこれの美味さがちゃんとある。

ちなみに、今日の船橋競馬場ではスーパースプリントシリーズの最終戦・習志野きらっとスプリントが行われた。今年からS1に昇格したワンターンのスピード勝負。佐賀の快速馬ロトヴィグラスを応援していたのだが、さすがに南関東の壁は厚かったか。とはいえこの相手に5着なら立派だ。お昼に食べたワンタンはゲン担ぎのつもりだったが、さすがにその程度で勝てるほど競馬は甘くはない。

 

 

***** 2022/7/26 *****

 

 

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2022年7月25日 (月)

消えた夏競馬

おととい土曜日から二十四節季のひとつ「大暑」に入った。今日の大阪市の最高気温は34.7度。明日の予報は36度。いよいよ本格的な暑さがやってきている。それに合わせたわけでもあるまいが、先週のJRA重賞は中京記念のひと鞍のみ。こんなことは長い一年間でも先週だけ。それ以外の週には必ず2鞍以上の重賞レースが用意されている。先週はJRA的にはささやかな夏休みだったのかもしれない。

昔はもっとはっきりしていた。たとえば今から30年前、1992年7~8月の番組を振り返ってみれば分かる。JRAでは、7/18-19、7/25-26、8/15-16の3週に渡ってサラ系平地重賞が行われていない。南関東ではもっと少なくて、この2か月間に行われたサラ系重賞は、関東盃(現在のサンタアニタトロフィー)とトゥインクルレディー賞(現在は廃止)の2鞍のみ。当時の黒潮盃は春シーズンに行われており、ジャパンダートダービーも、スパーキングレディーカップも、習志野きらっとスプリントも、スパーキングサマーカップも、アフターファイブスター賞さえも創設されていなかった。

重賞で活躍するような実力馬は、春からの連戦で溜まった疲れを取り、さらに秋競馬に向けて英気を養わなければならない。そのためには、夏場は涼しい牧場でゆっくりと休養するのが当たり前だった。重賞をやろうとしたところで、肝心の馬が集まらなかったという方が実情に近い。

そこで夏場は条件馬の出番となる。普段は見向きもされない未勝利馬や下級条件馬たちが、番組の主役に祭り上げられるのである。むろん夏場を休みに充てるのはオープン馬だけとは限らないから、大半が10頭前後の少頭数競馬。しかも1日9鞍とか10鞍という開催が続く。たまたま出走頭数が多い500万条件戦がメインレースに据えられることも珍しくなかった。むろん見ている方は面白くはない。しかしそれが夏競馬なのだから、受け入れるしかないのである。

だが、我々は経験的に知っていた。夏競馬をおろそかにすると、秋の競馬で必ず痛い目に遭う。少頭数の下級条件戦でも印象に残る勝ち方を見逃してはならない。夏から秋は馬が大きく変わる季節。大化けの可能性を秘めている。真夏の太陽の下に、それでもなお輝く超新星を探すことが、かつての夏競馬のあり方だったように思う。

しかし時代は変わった。今や年間を通じてJRA重賞の行われない週末はない。馬券売上げを伸ばしたいという主催者側の思惑と、オープン馬だからといって休ませてもいられぬ馬主側の思惑が一致した結果の産物。オフ感の強かった「夏競馬」のイメージは、もはやない。

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夏の甲子園でさえ、健康面を配慮してナイター化や日程見直しの声が挙がるご時世である。今週から小倉がお休みになるのは、動物愛護の観点からも仕方ない。ただ、それを言うなら新潟も暑いですよ。予報では日曜小倉の最高気温が29度であるのに対し、新潟は33度。アイビスサマーダッシュを現地観戦される方は、くれぐれもお気をつけください。

 

 

***** 2022/7/25 *****

 

 

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2022年7月24日 (日)

貧乏性

紀伊勝浦も3日目。

Room

今回の宿は木曜の夜になって慌てて探したのだが、3日間を通して驚くほど静かだった。外は小さな漁港。海岸ではないから波の音もしない。窓を開け放しても完全な無音の世界。ふとトンビの鳴き声が聞こえた。ピーヒョロロ。そしてまた静寂に包まれる。

Book

まとめて本を読むにはもってこいの環境。3冊しか持参しなかったことを後悔した。1冊読み終えると散歩に出る。あまりに天気が良いので外に出ないともったいない。そう考えてしまうあたりが私の貧乏性。こればかりは変わらない。港のへりに立って海面を覗き込むと魚がたくさん泳いでいる。釣り糸を垂らせば簡単に釣れそうだ。あー、釣り道具を持ってくればよかった。そんなことでまた後悔。これも貧乏性のひとつ。

Sea

そんな静かな宿に別れを告げて新大阪行の特急に乗り込む。和歌山駅で降りて歩くこと15分。古びたアーケード街の一角にこんな横断幕が張られていた。

Dash

一昨日付けで「和歌山には競馬場もウインズもない」と書いたが「DASH和歌山」ならある。園田競馬の場外馬券売り場だが、土日は「J-PLACE和歌山」としても営業しているらしい。J-PLACEとウインズの違いは、ウインズで購入した馬券は競馬場やほかのウインズでも払い戻せるが、J-PLACEで購入した馬券は競馬場やウインズで払い戻せないという違いがある。なので、あまり積極的に訪れる気にならないのだが、こちらにはJ-PLACEにしては珍しい特別シートがあるという。本来初めてなら和歌山城を見物して和歌山ラーメンを食べるのが王道であろうが、それらは次回に回すとしよう。

16席ほどのシートはすべて1人用の独立席。それぞれにグリーンチャンネルが放映されるモニターと革張りのソファがしつらえてある。前方にはオッズなどを表示するモニターがあって、券売機は後方右手。机の上に置いてあるスポニチはサービスなのだろう。ただし、関西のスポニチは馬柱が横組で見にくいので私はサンスポを持参。さらに自販機の飲料が1杯無料でもらえる。それで1500円。ちなみに今日は満席だった。

Seat

小倉6レース(12時55分)の3歳未勝利戦はアドマイヤジェイが1番人気に応えて勝った。ライラプスの息子かぁ。そう思いながら福島6レース(13時05分)のマークカードを塗って券売機に突っ込む。すると、「このレースの発売は締め切りました」という無機質なアナウンスが流れた。

慌ててマークシートを確認したがレース番号を塗り間違えたわけでもない。さては小倉6レースの発走が遅れていたのか。ともあれ売ってくれないものは売ってくれないので、あきらめて席に戻ってレース実況を見る。するとアウクソーが5馬身差の圧勝。幸いこの馬は買うつもりがなかった。安堵して札幌7レース(13時15分)のマークシートを塗って、券売機に突っ込む。するとまたもや「このレースの発売は締め切りました」というアナウンスが流れたのである。

あれ? だって、いま福島6レース終わったばかりじゃん。

時計を見ると13時11分。まだ4分もある。

ふと、あることに思い当たった。

もしやJ-PLACEでは発売締切時刻が早めに設定されているのでは?

図星であった。競馬場やウインズの締切時刻が発走2分前であるのに対し、J-PLACEは4分前だという。だからひとつ前のレースを見てからすぐにマークを塗っても間に合わないことがある。実際ほかの客も「このレースの発売は締め切りました」というアナウンスを何度も流していた。競馬場と同じリズムで過ごしていると、すべてのレースで馬券を買い損ねることになりかねない。

ちなみに札幌7レースで私が買おうとしたのは、武豊・ジルバーン(6番人気)からの馬連5点流し。「外れてますように」という私の必死の願いもむなしくゴールの順番は私の予想通り。その瞬間私は机に突っ伏した。さらに配当が114倍であることを知ると、そのまま気を失ってしまったのである。手には当たるはずだったマークカードが握られていた。

正気に戻ったのは小倉メインの直前。1500円も払ったのに、ほとんど馬券を買ってない。このままでは気持ちが収まらないので、高知ナイターにまで手を出して大やけどを負った。これも治らぬ貧乏性のひとつ。嗚呼、あの静寂に包まれた紀伊勝浦の海が懐かしい。

 

 

***** 2022/7/24 *****

 

 

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2022年7月23日 (土)

マグロ! 二夜連続

紀伊勝浦は最近でこそ熊野古道や那智の滝といった世界遺産で知られるが、その前は「マグロの街」で知られていた。今でも生マグロの水揚げ量は日本一。駅前の小さな商店街にはマグロを出すお店が軒を連ねている。私自身マグロは嫌いではないから、勢い三度の食事はマグロばかりになる。

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注文したお造りは生マグロだった。この街で出されるマグロは生が基本らしい。厚く切られたそのもちもちとした食感は官能的ですらある。

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驚くことにマグロの無人販売も行われていた。ラインナップは刺身、タタキ、煮付け、フライと幅広い。客が自ら好きなものを取って店頭の料金箱にお金を投入するシステム。煮付けとフライを買って晩酌のアテにすることに。

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紀伊勝浦も二夜目、今夜は「竹原」というお店を訪れた。地元の常連と思しき男性客がカウンターに座ってテレビの相撲中継を観ている。

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刺身と竜田揚げも捨てがたいが、こちらは内臓料理が売りらしい。目玉の煮付け、胃袋の酢みそ和え、心臓の塩焼き。どれも美味しいらしいが、おススメは「尾びれ」だという。それで頼んでみた。湯がいた尾びれの酢の物仕立てである。ゼラチン質の独特の食感はほかに喩えようがない。しかるのちに紛れもないマグロの味が口の中に広がった。

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聞けば、マグロの内臓は漁船でマグロを冷凍する際に捨てられてしまうので、流通することはないらしい。それじゃ、どうやって手に入れるのか。答えは漁師の常連客に特別に頼み込むとのこと。その代わりその漁師さんは安く飲めるというわけ。そう思えば、相撲中継を観ているこのオジさんも漁師のような手をしている。この味は実際に来てみなければ分からない。

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ところで今日は土用の丑の日。一般的にはマグロではなくウナギを食べる日である。実は丑の日に食べるものとしては、ウナギでなくても「う」の付くものなら何でも良いらしい。なら「ウドン」でも良かろう。しかし、街中歩いて「マグロうどん」を探したが、残念ながら見つからなかった。看板はあったんですけどね。残念ながらお店は営業していなかった。なので、コンビニで「どん兵衛」を購入。ホテルでお湯を注いで、昨日購入したマグロの煮付けの残りを入れてみた。

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立派な「マグロうどん」が完成。西日本の「どん兵衛」のだしは東日本と違って昆布ベースの薄味だからマグロの味は合うはず。期待に胸を膨らませて一口すする。うん、美味い。でも思ったより、魚の味が強くなった。どことなく魚の味が被っている感じがする。

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あれ?おかしいな。マグロなのにカツオの味がするゾ。

まさかと思い外装を確認したら、「(E)」の表記があるではないか。つまり東日本向け(カツオだし)の証。とはいえここは西日本の和歌山である。なぜ? ひとしきり考えたが答えは出ない。でも昨日入ったお店では手羽先がメニューにあった。ひょっとしたら物流的には名古屋圏なのかもしれない。こういうのも実際に来てみなければ分からないことのひとつだ。

 

 

***** 2022/7/23 *****

 

 

 

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2022年7月22日 (金)

はじめての和歌山

7月に入って一日たりとも休みを与えられずまさに馬車馬のごとく働かされていた私を神様が不憫に思ったのか、突然まとまった休みが転がり込んできた。今日から日曜の夕方までオフ。せっかくだからどこかへ行こう。というわけで、昨夜は旅先探しで大忙しだった。

休みの条件は大阪府とその隣接府県から出ないこと。つまり、大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山のどこかにいろということだが、天気予報を見たら和歌山だけが晴れマーク。あとは軒並み天気が悪い。

実は生まれてこのかた和歌山県に足を踏み入れたことがない。なぜか。それは和歌山県には競馬場もウインズもないから。紀三井寺競馬場が存続していれば間違いなく訪れていたはずだが1988年に廃止。紀三井寺で24連勝したあとにオールカマーに出走したカンテツオーや帝王賞馬トムカウントが走った競馬場に一度訪れて見たかった。

ともたれ、どうせ行くなら和歌山のいちばん奥まで行ってやろうと熊野までやって来た。いちばん奥と言っても大阪の隣県であることに変わりはない。特急に乗れば2時間くらいで着くだろうと考えていた私は紀伊半島のスケールをナメていた。なんと4時間もかかるという。ならばとハードカバーを3冊持参してこちらも準備万端。天王寺では満席だった車内も、紀伊勝浦では私一人になっていた。

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バスに乗り換えて那智山へ向かう。ここも乗客は私だけ。すると運転手さんが突然「滝見えまーす」と叫んだ。その威容に思わず「おー」と叫ぶ私。「滝なんてどうせ水が落ちてるだけ」。若い頃はその程度にしか考えていなかった私がまさか滝を見て声を上げるとは。そのこと自体に驚いた。

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那智の滝については恥ずかしながら何も知らない。「那智」と聞けば数年前に亡くなった野沢那智さんを思い浮かべるタチである。映画「ダイハード」シリーズでブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーンの吹き替えでお馴染み。あるいは野沢直子さんの叔父と言った方が分かりやすいか。私世代は声優というより深夜ラジオ「パックインミュージック」のパーソナリティーの印象の方が強い。

そしてなにより野沢那智さんは馬主だった。個人名義でも持たれていたが、お兄さんがユーワホースクラブの代表をされていたこともあり、ユーワの印象が強い。クラブ会報にコラムも連載されていたし、会員の親睦パーティーにもいらしていたと思う。私自身はラジオパーソナリティーとしての野沢那智さんのファンだったから、喜んで走りもしない馬にじゃんじゃん出資した苦い思い出がある。

ミスターシービー、ビゼンニシキ、トウショウボーイ、そしてオグリキャップ。私がユーワで出資した種牡馬のラインナップだが、このうちJRAで唯一勝ってくれたのがビゼンニシキというのもなかなか興味深い。ちなみにジョッキーは若き日の田中勝春だった。そんな彼もまだまだ現役続行中。エヒトで七夕賞を勝ち、今週は小倉で中京記念に乗る。意外なことに夏の小倉は初参戦だいう。私も和歌山初参戦中。歳を重ねても初めてのことはまだまだたくさんある。

 

 

***** 2022/7/22 *****

 

 

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2022年7月21日 (木)

その手は桑名の

月曜の話の続き。桑名駅から北東に1キロほど。揖斐川の堤防近くに暖簾を掲げる「川市」は、朝11時半の開店直後から観光客と地元の常連客で賑わっていた。

ハマグリと餃子が美味いと評判の老舗うどん店。ハマグリはともかく、うどん屋さんで餃子推しも珍しい。地元の常連さんはみな餃子を注文していたから、よほど美味しいのだろう。ただ、こちらは時間の都合もあり断念して「ハマグリ鍋うどん」のみをオーダー。ダシを「味噌」と「すまし」からチョイスできるのは名古屋圏ならではであろう。ただお店の人によれば、「ハマグリ鍋なら絶対に“すまし”がお勧め」とのことなので、素直に従うことに。待つこと15分。グツグツと煮えたぎる土鍋が目の前に運ばれてきた。

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蓋を開けると湯気が凄い。その一杯に圧倒された。ハマグリの圧倒的なまでの存在感。そして鼻腔を突き抜ける香しさ。これは美味い。いや、まだ食べる前だが、美味いに決まっている。

うどんに使うのは比較的小ぶりのハマグリだという。それでも私からすれば標準サイズ。身はプリプリで、噛めばじゅわっと旨味が湧き出てくる。その旨味をたっぷり吸ったうどんも負けてない。極太の麺はこのダシで煮込んだもの。大阪のうどんに慣れ切った私からすれば若干固くも感じるが、名古屋の味噌煮込みうどんのからすればむしろ柔らかい。それがまたこのダシに合う。「ハマグリうどん」というメニュー自体は、春先になると多くのうどん店で見かけるが、一度この「ハマグリ鍋うどん」を食べてしまったら他の店で注文できなくなりそうだ。

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「その手は桑名の焼きハマグリ」が、単なるダジャレに収まらず、本当に食えなくなった時期があった。つい最近のことだ。

東海道の宿場町として栄えた桑名の街は、木曽川、長良川、揖斐が伊勢湾に流れ込む汽水域に面しており、豊かに身の詰まったハマグリが育つ。江戸時代には歴代将軍にも献上され、街道沿いの店で売られる焼ハマグリは東海道の名物だった。

だが、戦後は経済成長に伴う沿岸開発で漁場環境が悪化。年間3000トンを誇った漁獲高は1995年には800キロにまで落ち込んだ。もはや絶滅寸前と言っていい。

それでも稚貝放流と徹底した資源管理を続けたことで、今では年間200トン前後まで漁獲量が回復したという。それでも高級品であることには変わりはない。

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帰り際にもう一軒と立ち寄った店では、メニュー表に「当店は畜養ハマグリを使用しています」との注意書きがあった。それでも敢えて焼きハマグリを注文。これはこれで美味しい。旅の食事は思い出も一緒に味わうもの。ハマグリの街でハマグリを食べること自体にも、ちゃんと意味がある。


 

 

***** 2022/7/21 *****

 

 

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2022年7月20日 (水)

夢のオールスター

MLBオールスターゲームに今年も大谷翔平選手が先発出場。ナショナルリーグの先発投手カーショウとの対戦に息を飲み、アメリカンリーグのヒメネスとアンダーソンの二遊間が繰り出した見事なダブルプレーには思わず声が出た。スタントンが特大の同点アーチを放ってMVP。「オールスター」だから当たり前なのだが、次から次へとスター選手が出てきて、観ているだけなのに息を入れる暇がない。さすが本場のオールスターは違う。

「ナショナルリーグの大投手カール・ハッベルとアメリカンリーグの本塁打王ベーブ・ルースの対決が見てみたい」

1933年、アメリカのひとりの少年が、新聞社にこんな手紙を送った。リーグの異なる二人のスター選手が対戦するとすれば、それはワールドシリーズ以外にあり得ない。だが、少年の夢は叶って、シカゴ万国博覧会の関連行事として実施されたのがオールスターゲームの始まりだ。ファン投票で選ばれることは真のスターの証明であり、メジャーリーガー最高の名誉のひとつとされる。

日本でも1951年から実施され、「夢の球宴」などと呼ばれてきた。だが、ファン投票1位で選出されながら出場を辞退する選手が相次いだり、起用法に対して不満を述べたり、相手投手に露骨な「ストレート勝負」を要求するなど、近年は「夢」の部分に陰りが出てきた感が否めない。

やはり、年2、3試合も行われることがオールスターゲームの権威を失墜させているのだろう。しかしながら、オールスターには選手の年金の財源確保という重要な役割も隠されている。梅雨や台風の心配のある時季でもあり、雨天中止という事態にでもなれば、それこそ財政逼迫の危機にも繋がりかねない。

Arima

競馬の有馬記念が、プロ野球のオールスター戦に範を取って創設されたことは有名だが、それ以前にもプロ野球の手法を倣って人気を博したレースがあったことをご存じだろうか。

それは有馬記念の7年前、1949年に創設された「読売カップ」。なんとこのレース、アラブによる東西対抗戦の形式を取っていた。当時のプロ野球といえば、まだ1リーグ制の時代。オールスターゲームも行われていなかったが、ペナントレース終了直後に行われる東西対抗ゲームは非常に人気があり、読売カップはそこに着目したと言われる。

1着賞金は30万円。日本ダービーが60万円だったことを思えば、アラブとしては破格の賞金である。しかもダービー同様に内閣総理大臣賞まで贈呈されるとあれば、ビッグネームが参戦しないはずもない。「アラブの怪物」と呼ばれたタマツバキが参戦した1951年春には、日本ダービーに次ぐ2位の売り上げを記録した。つまり、皐月賞や菊花賞といったクラシックはもとより、古馬最高峰のレースである天皇賞よりも馬券が売れたのである。アラブであれサラであれ、番組に工夫が凝らされ、出走メンバーが充実すれば馬券が売れることを示した好例であろう。コロナ禍がもたらした売り上げ増加に沸く競馬界だが、こういう時にこそ足元の番組を見つめなおしたい。

 

 

***** 2022/7/20 *****

 

 

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2022年7月19日 (火)

白馬伝説

昨日の話。桑名駅から国道258号線を北へ7キロほど走ると、やがて左手に白い大きな鳥居が見えてくる。クルマは鳥居をくぐってさらにその先へ。1~2分ほどで多度大社に到着した。

古来より神は馬に乗って降臨すると言われるほど神と馬との関係は深い。とくにここ多度山には幸運をもたらす白馬が住んでいるとされ、その白馬が願いごとを神様に取り次ぎ、人に幸福をもたらすという伝説が受け継がれてきた。

Shinme

急峻な階段を登ると本物の白馬が目に飛び込んでくる。境内の入り口広場で参拝客を見守っているのは神馬(しんめ)の「錦山号」。目の肥えた競馬ファンならすぐに芦毛のサラブレッドだと気付くに違いない。現役時代の競走名はエイシンオンワード。ヘクタープロテクター産駒の28歳馬である。そこまで高齢に見えないのは、手入れが行き届いている証。氏子の方が毎日欠かさずお世話しているそうだ。とくに参拝に来た子供たちに大人気。あるいは若さの秘訣は子供と接する機会が多いことかもしれない。

神馬舎を後にして本殿へと向かう。蒸し暑い陽気だったが、境内の奥は不思議と涼しい。静寂の中、社殿の裏を流れ落ちる滝の音がだんだん大きくなってきた。本殿の前に足を踏み入れた途端、歴史や伝統という言葉だけでは語り尽くせない、神秘的な空気が広がっていることに気付く。ザーザーという滝の音。そして遠くから聞こえる馬のいななき。このような場所なら白馬伝説が誕生しても不思議ではない気がする。

Taki

芦毛馬や白毛馬が競馬ファンのみならず、競馬を知らぬ人々さえをも魅了してしまうことはよく知られた事実。年齢と共に灰色から純白へと変貌する芦毛馬や、その毛色が誕生するメカニズムすら判明していない白毛馬に、我々人間が得も言われぬ神秘性を感じてしまうのは、ある意味当然の帰結であろう。

Parking

帰り路にもう一度神馬舎を訪れた。100円のお賽銭を投じるとニンジンをあげることができる。その食いつきぶりはとても28歳とは思えぬほど。しかるのちに手を合わせて「今日の馬券が当たりますように」と唱えた。昨日はこのあと名古屋競馬場に向かったのである。ただ、「もう1日早くここを訪れていれば、函館記念で白毛のハヤヤッコも買えたのにな」などと考えたのは余計だった。そんな邪な人間の願いを、錦山号が神様に取り次いでくれるはずもない。我々競馬ファンは、来月21日に札幌で繰り広げられる新たな白毛伝説に注目しよう。

 

 

***** 2022/7/19 *****

 

 

 

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2022年7月18日 (月)

国内全競馬場制覇、再び

中央・地方を合わせた全競馬場踏破は遥か昔に達成してしまったので油断があったのかもしれない。いつの間にか未踏の競馬場が一箇所増えていることに気付かなかった。そう、それは今年4月に移転オーブンした名古屋競馬場。旧競馬場には正月の名古屋記念で別れを告げておいたが、新競馬場への挨拶をすっかり忘れていた。折しも休日。しかも重賞・名港盃。そこに古豪カツゲキキトキトが参戦するという。初訪問を果たすなら今日であろう。カツゲキキトキトが記念すべき通算30勝目を挙げるのなら、ぜひこの目で観ておきたい。考えるより早く早朝の近鉄特急ひのとりに飛び乗った。

新幹線や新快速ではなく近鉄を選んだのにはワケがある。もちろん近鉄特急ひのとりのプレミアシートがとてつもなく快適であることも理由のひとつ。それにも増して、新しい名古屋競馬場はとにかく遠い。最寄り駅の近鉄蟹江駅から約10キロ。とても歩ける距離ではない。名古屋駅から連絡バスも出ているが、高速道路経由で40分もかかる。

もともとトレセンだったところを競馬場に改修しただけ。周辺は倉庫が立ち並ぶ港湾部である。普通なら人が集まる立地ではない。そもそも移転計画では深夜の無観客開催も視野に入っていた。2000台分もの広大な無料駐車場は、「来るならクルマで」という主催者からの無言のメッセージであろう。

そんな主催者の意図を汲んで私もクルマで行くことに。すると名古屋より三重県の桑名から向かった方が近いことに気が付いたのである。それで近鉄利用というワケ。実際、桑名駅前から20分で競馬場に着いた。名古屋競馬場だから名古屋から向かうのが当然と思いがちだが、その手は桑名の焼きハマグリ。桑名で降りれば名物のハマグリも食べられる。

新名古屋競馬場は思いのほか狭く、思いのほか混雑していた。

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スタンドは門別のそれを3階建てにした規模感。1階スタンド内に座席は無く、2~3階は指定席と馬主席だから、一般客は暑さを覚悟の上で屋外席に座るか、スタンド内で立ち続けるしかない。今日の場合はそのどちらも人で埋まっていた。馬券の券売機もJ-PLACEばりに少ない。実際に土日は「J-PLACE弥富」として営業しているわけだが、設置基準をそちらに寄せた可能性もある。ともあれ、無駄に広かった旧名古屋競馬場を知る人には、ことさら狭く感じられるに違いない。

名港盃は7番人気の伏兵ペイシャシオンが、2周目3コーナーから動いて先頭に立つと、後続の追撃を凌いで重賞初制覇を果たした。

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ストロングリターン産駒の4歳牡馬。格下ながら初めての重賞挑戦で結果を出すあたりが、いかにも夏の重賞らしい。

期待したカツゲキキトキトは9番人気で8着。ペイシャシオンとは対照的にこれが51戦目の重賞出走だった。2016年の東海ダービー馬も9歳。「キトキト」は富山弁で「いきいきして元気のいいさま」を表す言葉だが、パドックやかえし馬の雰囲気からは、かつての覇気が感じられなくなりつつある。「ひのとり」の如き復活を願ってやまない。

 

 

***** 2022/7/18 *****

 

 

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2022年7月17日 (日)

関西の夏と言えば

関西の夏と言えばハモと祇園祭。今日は京都で祇園祭のハイライト、山鉾巡行が行われた。新型コロナの影響で昨年、一昨年と巡行は中止。3年ぶりの復活に京都は大勢の観光客で賑わっているらしい。私も今すぐ河原町に行って祇園祭の空気とハモを味わってみようかと思ったが、コロナ禍であるなしに拘わらず人込みが苦手なタチである。となれば別の方法で関西の夏を満喫するしかない。

そこで向かった先は仁川。「フランケル」のうどんがどうしても食べたくなった。阪神は開催していない。それは分かっている。それでもこの時季限定の「ハモ天ぶっかけ」を味わうなら非開催の今しかない。それがもどかしい。今の小倉開催は中京開催の代替だが、1週くらい阪神でやってもらえないものか。中京記念なんてサマーマイルシリーズなんだから、ちゃんと1600mでやった方が良くありませんか?

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ともあれ「ハモ天ぶっかけ」は期待に違わぬ出色の美味さであった。揚げたてフワフワのハモ天が5切れ。うどんのトッピングなのに抹茶塩と梅肉が付いてくるところが泣かせる。ツユに浸して食べるのも美味いが、抹茶塩も捨て難い。むろん梅肉との組み合わせこそが王道であることも事実。馬券を買う前からこんなに悩むことになるとは思わなかった。

食べ終えたら馬のいない阪神競馬場に向かう。関西は久しぶりの夏空。

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ハモの食べ方で悩んだので馬券は悩まず買いたい。ということで函館記念の馬券はコチラ。

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つまり祇園祭ならぬ「ギベオン祭」ですな。いや、決してふざけているわけではない。重賞2勝に加えGⅠ2着の実績はここでは一枚上の存在であろう。近走は成績を伴っていないが、宝塚記念後に放牧に出る予定だったところが、あまりに回復が早かったので続戦。重馬場の金鯱賞でデアリングタクトを破った実績もある。

―――と淡い期待を抱きながらレースを見守ったが、好スタートから早々に好位を取ったにも関わらず、向こう正面で早くも後退。その止まり方が心房細動にも見えたので心配になったが、クラブによれば検査の結果は異常無しとのことでとりあえず一安心。私の単勝が迷惑をかけたのだとしたら、ギベオンの出資者でもある山本昌さんに申し訳ない。

祇園祭は来週日曜「後祭」の山鉾巡行でクライマックスを迎えるが、壊れて使われていなかった曳山「鷹山」が久しぶりに巡行に復帰すると話題になっている。その「久しぶり」というのが196年ぶりだというからすごい。さすが京都は歴史の振り幅が違う。こうなったら来週は休み明けの馬を狙うことにしよう。

 

 

***** 2022/7/17 *****

 

 

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2022年7月16日 (土)

バケツをひっくり返したような

東北から九州の広い範囲で雨が続いている。今朝も雨音で目が覚めた。「朝雨馬に鞍置け」は、朝の雨はすぐにあがるから外出の用意をしろという意味の諺だが、朝から大粒の雨が降ったりやんだりして、きっぱり降り止む気配がない。これでは出かけようにも二の足を踏んでしまう。

昨日は東京出張。2時間滞在でとんぼ返りした。行きの新幹線から見た車窓もずっと雨。小田原あたりは窓の外が見えないほどの猛烈な雨である。「えらいこっちゃ。新幹線止まるで」なんて冗談半分で言ってみたりしたが、この時点ではまさかホントに止まるなどと思っているはずもない。帰路の東京駅の惨状を目の当たりにして、ようやくオノレの能天気さに気付いた。1時間程度の遅れで運行再開してくれたのは幸運だったとみるべきだろう。それでも新大阪到着は深夜。終電はとうに過ぎていた。

新幹線を止めたのは、小田原付近で観測された1時間に58ミリの「滝のような雨」だったという。滝にも大小様々あろうが仮に那智の滝レベルだとすれば、新幹線とてひとたまりもあるまい。もちろんこの数字は基準値を超えているそうだ。ならば文句も言えない。

ところで、「滝のような雨」といった雨の強さを表す言葉は、気象庁によってきちんと分類され、使い分けられていることをご存知だろうか。

10~20ミリ=やや強い雨。「ザーザー降り」「足元が濡れる雨」
20~30ミリ=強い雨。「土砂降り」「傘を差しても濡れる雨」
30~50ミリ=激しい雨。「バケツをひっくり返したような雨」
50~80ミリ=非常に激しい雨。「滝のような雨」
80ミリ以上 =猛烈な雨。「息苦しさを感じる雨」

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「バケツをひっくり返したような」もよく大雨の喩えに使われるが、実際にバシャっとバケツをひっくり返したあのイメージと雨の強さは結びつきにくく、用語としてもいささか長い。そこで最近はさらに分かりやすい表現として、「車のワイパーを速くしても見づらい」とか「寝ている人の半数ぐらいが雨に気づく」という表現が使われるようにもなったけど、車のワイパーとか寝ている人というのもそれぞれなので、さらに混迷の度合いは深まっているという声も聞く。

ちなみに冒頭に馬が登場する雨に関する諺を紹介したが、もっとも有名なところでは「夏の雨は馬の背を分ける」であろう。夏の夕立は馬の背の片側だけを濡らすほど狭い地域で降るという喩えだが、最近の夏の雨はそういう潔さがに欠ける部分があるように思えてならない。私が子供の頃は、暑い夏の午後になると「ひと雨降れば涼しくなる」とよく言ったもの。一気にザーッと降ったと思ったら一転、嘘のようにカラリと晴れ上がる夕立は、ひとときの涼しさをもたらす自然の清涼剤だった。

しかし近年の夏の雨は湿った空気が居座ったところに流れ込む寒気によってもたらされるせいか、ずっと同じ場所で降り続けるしつこい雨であることが多い。「馬の背を分ける」こともなく、ようやくやんだと思っても蒸し暑さはしっかりと残る。ゲリラ豪雨などという風情の無い呼び名が定着してしまうのも、致し方あるまい。これを書いている今日も雨で新幹線の運転見合わせのニュースが届いた。明日は傘の心配をせずに出歩けるだろうか。

 

 

***** 2022/7/16 *****

 

 

 

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2022年7月15日 (金)

夏を熱くさせるのは

JRAの開催は夏のローカル真っ盛り。こうなると紙馬券派は場外に頼るしかない。先週日曜はパークウインズ京都競馬場のお世話になった。

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街中のウインズではなく競馬場に向かったのは、馬場にこだわりたい気持ちがきっと心のどこかにあったのだろう。とはいえ、そこは馬のいない競馬場である。わびしい。切ない。暗い。だが、そんな気持ちで眺めているゆえだろうか、逆にモニター画面の中で走る馬たちの気迫が漲っているのが分かる。こちらはエアコンの効いたスタンドの中に座っているはずなのに、画面越しに現地の暑さと人馬の熱さが伝わってきて、見ているこちらも思わずアツくなってしまう。それで昔の夏競馬の“匂い”を思い出した。

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夏競馬をアツくさせる存在がしばしば牝馬であるのは、今も昔も変わりあるまい。ダイナオレンジ、ニフティニース、センゴクヒスイ。猛暑をものともせず健気に走る彼女たちを画面越しに見ては、すごいすごいと熱を上げていた。その後、競馬が中央場所に戻ってくれば、それまで画面越しに見ていた彼女たちを、今度は目の前で見ることができる。それでまた熱が上がったのか、ついつい大きく張り込んで泣きを見た。夏の思い出は、秋も深まらぬうちに、苦い思い出に変わる。その繰り返しだった。

「夏馬」の多くは「ローカル巧者」などとも呼ばれる。だが、本当にそうなのだろうか。デビューが遅れたり、デビュー後にひと頓挫あってクラシックを棒に振るかして、絶好調の時季がたまたま夏になった。そういうこともあろう。そこでポンポンと2つくらい勝ったとする。絶好調ならば、なくもない。こりゃあ、今後の活躍が楽しみだ。秋は大きいところを狙わせよう。きっと周囲はそう考える。

だが、競走馬の調子のピークはそんなに長続きするものではない。疲れも出てくる。調子が落ちてきたところに「大きいところ」に挑むのは、馬にとってはただの災難であろう。案の定大敗して、すっかり調子を崩してしまったりする。「夏馬」とか「ローカル巧者」などと呼ばれた馬でも、実は「暑さが好き」とか「平坦が好き」というわけではないのかもしれない。だとすれば馬にとってはいい迷惑だ。画面越しに馬を見ていると、いろいろな物事を考える。現場にいては、そこまでの余裕はない。

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かつて夏の競馬開催は画面越しに見るものだった。それが少なくとも私の決まりであり、さればこそ、遥かなる競馬場に対する憧憬の念も募ったのである。場外で見る夏競馬を嘆いてはいけない。遠くにいることで見えてくるものも、きっとある。

 

 

***** 2022/7/15 *****

 

 

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2022年7月14日 (木)

明太子スパゲティ―を作ろう

今夜は自宅で明太子スパゲティーを作って食べた。「作って」と言っても、パスタを茹でて、できあいのソースで和えただけ。今や市販のパスタソースのレベルはお店にも引けをとらない。刻み海苔だって付いている。最近のは温める必要もない。ボロネーゼ、カルボナーラ、ナストマト、ペペロンチーノ、カニクリームにジェノベーゼと種類も豊富。緊急事態宣言が出ていた頃は文字通り毎晩食べた。折しも新型コロナは第7波の山にさしかかったばかり。再びタラコスパのお世話になる日々が訪れるのだろうか。

Pasta

タラコや明太子を麺と和えて食べるという発想は我が国独自のものであろうが、そのはじまりが、うどんではなくスパゲティーであったことは正直意外だ。うどん好きとしては若干の出負け感を禁じ得ない。明太子クリームうどんの美味さを思えばなおさらだ。

スパゲティーは昭和30年代に日本の食卓に広まったが、その食べ方はナポリタンかミートソースの二者択一という時代が長く続いた。昭和50年頃になって、その両巨頭に割って入ってきたのが、当時「たらこ和え」と呼ばれたタラコスパゲティー。カルボナーラでもペペロンチーノでもなく、和風の創作メニューが先に流行るあたりは、いかにも日本らしい。

スパゲティー専門店「壁の穴」で常連客の持ち込んだキャビアをパスタに混ぜたら、ことのほか美味しかった。とはいえキャビアをメニューに組み込むにはコストがかかりすぎる。もっと手軽にできるものはないか―――と店のスタッフが追究した結果、タラコに辿り着いたという。

ただ、当時タラコと言えば、焼いて食べるものと相場が決まっていた。それを茹でたスパゲティーに生のまま和えるのだから、最初は客に気持ち悪がられたこともあったに違いない。それでも、ここまで市民権を得たのは、その美味さに普遍性が認められた証拠であろう。ほどよい塩味をまとったタラコの旨味とバターのコク。そのお客のオーダーがなければ、この奇跡のコラボレーションに出会うことはなかったかもしれない。

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そして明太子。タラコを唐辛子などに漬け込んだこの商品は、福岡の名物として爆発的にヒットしたが、この味を生み出した川原俊夫氏は製法特許を取らなかったことで知られる。「明太子は総菜。作り方を隠しても仕方ない」と考え、希望者には惜しみなく製法を教えた。そのおかげで、今や日本を代表するご飯の伴である。明太子スパゲティーがメジャーになったのも、キャビアと違って明太子が手軽に手に入るおかげ。明太子スパゲティーのファンを自負するひとりとして、「壁の穴」の常連客氏とそのスタッフ、そして明太子を世に広めた川原俊夫氏には頭が上がらない。

 

 

***** 2022/7/14 *****

 

 

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2022年7月13日 (水)

ダブル・ダービー

今日行われたジャパンダートダービーは4番人気のノットゥルノが優勝。手綱を取った武豊騎手はこのレース最多の4勝目を挙げるとともに、ドウデュースで制した日本ダービーとの「Wダービー制覇」を達成した。ちなみに両ダービーの同一騎手制覇は2度あるが、いずれも武豊騎手というのも興味深い。

2002年 武豊 タニノギムレット・ゴールドアリュール

2005年 武豊 ディープインパクト・カネヒキリ

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今年の場合は騎手だけでなく種牡馬も「Wダービー制覇」を為した。これは史上初の出来事。とはいえ種牡馬ハーツクライとしては、Wダービー云々より鬼門だったダートGⅠタイトルをついに獲得したことが大きいのではないか。何かと記録づくめのJDDとなったが、そこにしっかりと名前を残すあたりはいかにも武豊騎手らしい。

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ドウデュースもノットゥルノも米国のスピードタイプの母系にハーツクライという血統構成。だからであろうが、ノットゥルノもデビューの舞台は芝だった。昨年12月25日の阪神芝1800m戦。しかし4着に敗れた。次走の芝2000m戦も着外に敗れ、3戦目からダートに。そこからはダートばかりを使われて(3,2,0,0)だからダートが合わぬはずもない。しかし、その血統構成を見ればやはりもう一度芝での走りを観てみたくなるのもファンの心情というもの。Unbridled's Songの牝馬にハーツクライの組み合わせは、芝GⅠ2勝のスワーブリチャードと同じ。今後のレース選びにも注目が集まる。

武豊騎手の次の重賞騎乗予定は土曜の函館2歳ステークス。手綱を取るクリダームはデビュー戦の勝ちっぷりからしても1番人気に推される可能性が高い。その父はハーツクライだ。

 

 

***** 2022/7/13 *****

 

 

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2022年7月12日 (火)

秋の3歳馬にも注目を

今年も「3歳秋のチャンピオンシップ」が実施されると発表があった。

「3歳秋のチャンピオンシップ」を知らぬ人のために解説する。8~9月に行われる各地方競馬場の3歳主要重賞競走を勝った有力馬が10月の盛岡・ダービーグランプリへと集結し、地方競馬の3歳王者の座を争うシリーズ。具体的には王冠賞(門別)黒潮盃(大井)、岐阜金賞(笠松)、黒潮菊花賞(高知)、サラブレッド大賞典(金沢)、不来方賞(盛岡)、園田オータムトロフィー(園田)、戸塚記念(川崎)、西日本ダービー(園田)、ロータスクラウン賞(佐賀)のいずれかを制し、さらに10月2日のダービーグランプリに勝つと、ステップレースのランクに応じたボーナスゲットというわけである。

とはいえ一般的に3歳馬のチャンピオン決定戦は上半期に終えるのが世界の潮流。地方競馬とて例外ではない。そのために5月から6月にかけて各地でダービーが行われるのだし、明日のジャパンダートダービーはその総決算でもある。それを下半期にもう一度やるというわけ。「秋の」と付け足さざるを得なかった名称も込みで、このシリーズに違和感を覚える人もいるかもしれない。

だが、もともと地方競馬のダービーは夏以降に実施されることが多かった。晩成血統であったり、2歳時に不慮の故障をしてしまったり、あるいは体質が弱かったり―――。地方にやってくる馬の中には、2歳や3歳の春から全能力を発揮できないような馬が少なくない。だからレース体系もそれに合わせる必要があったのである。

かつて宇都宮で行われていた北関東ダービーなどは11月の施行が長く続いたほど。たとえ遅デキでも、焦ることなく夏から秋の目標に向けてゆっくりと力を付けていくことが可能だった。それが地方競馬の存在意義のひとつだったと言っても過言ではあるまい。

ところが2006年に「ダービーWEEK」が創設されると、全国各地のダービーが春シーズンに前倒しされた。こうなると地方であっても早い時期からたくさん走って賞金を積み重ねる必要に迫られる。

2006年から13年間にわたり岩手ダービーとして行われていた「ダイヤモンドカップ」は、05年まではごくありふれた特別戦だった。それに突然「岩手ダービー」の副題を付けて「ハイ皆さん、今年からこのレースをダービーとします」と言われて簡単に受け入れられるだろうか。実際、秋に行われる不来方賞こそ岩手3歳最高の栄誉と今なお信ずるファンや関係者は少なくない。

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すでに廃止されてしまったが、高崎競馬場で行われていた高崎ダービーは、毎年ちょうど今頃に行われていた。なにせ全国屈指の猛暑県の7月である。猛烈な暑さにクラクラになりながら見るダービーは正直言って辛い。写真は1997年の高崎ダービーを勝ったアイコマシルバー。この年のダービーもとてつもなく暑かった。だが、その暑さゆえに、四半世紀が経った今もその印象は私の脳裏に強烈に焼き付いたまま。明日は春シーズンの総決算・ジャパンダートダービーが行われる。しかし、地方の3歳戦はこれからが暑い。

 

 

***** 2022/7/12 *****

 

 

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2022年7月11日 (月)

夏の芝を懸命に駆けるエヒト

昨日の七夕賞は6番人気のエヒトが快勝。「混戦」との前評判を嘲笑うかのように、直線独走で後続を2馬身半も突き放した。

田中勝春騎手はマイスタイルの函館記念以来3年ぶりの重賞勝利。その間に彼も50歳の大台を超えていた。これが今年の5勝目。とはいえ、こういうところで存在感を示すあたりはさすがと言うほかはない。勝利騎手インタビューで「久しぶりだなー、これ」と切り出して笑いを取るのもベテランならでは。ともあれ同年代の騎手の活躍は嬉しい。

そのインタビューで彼は「厩舎から調子の良さは聞いていたし、かえし馬で精神面の成長も実感できた」と語った。エヒトには新馬戦と本栖湖特別で騎乗したことがあるから、その時と比較したのであろう。ちなみに勝春騎手はエヒトの母ヒーラにも騎乗して勝ったことがある。そう考えれば、エヒトの初重賞制覇が彼によってもたらされたのは必然という気がしないでもない。2002年からはイーグルカフェとミデオンビットの手綱で連覇を達成。勝春騎手は七夕賞とも相性が良い。

Ehito

エヒトの平井裕オーナーにとっては、これが嬉しいJRA重賞初勝利となった。ツイッターを開設されていることはファンの間では有名な話。その投稿からは溢れんばかりの馬への愛情がひしひしと伝わってくる。仕事中の私に直電で「エヒトが勝った!」と教えてくれたのは私の娘だった。実は娘もフォロワーの一人。まるで自分のことのように喜んでいたが、そうした方は案外たくさんいらっしゃったのかもしれない。

Shimen

本来なら今日は新聞休刊日のはずだった。だが、参院選挙のおかげで通常通り新聞が発行されることに。スポーツ紙とて例外ではない。七夕賞のプレゼンターを務められた女優の見上愛さんは「夏の芝を懸命に駆けるエヒトの姿に感動しました」と語った。こうしたコメントも活字として多くの人の目に触れることになる。そういう意味ではエヒトは「持っている」。次はサマー2000シリーズのチャンピオンを目指して、夏の芝を駆けてほしい。

 

 

***** 2022/7/11 *****

 

 

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2022年7月10日 (日)

続・投票の不思議

今日は参院選の投票日。最近では投票締め切りの20時と同時に大勢が判明する。多くは順当な結果。しかし中には「えっ? コイツが?」というような当確報道に面喰らうこともなくはない。人間の投票行動は時に意外な結果をもたらす。それは先月22日付「投票の不思議」にも書いた。

ところで、昨日から七夕賞のオッズをチェックしていて、おかしなことに気付いた。

こちらは七夕賞の前売り枠連オッズ。

Waku_20220710165401

注目していただきたいのはプリマヴィスタとトーラスジェミニが入った7枠ゾロ目のオッズ。7-7は55.3倍を示している。

ところがこちらは同じレースの馬連オッズ。

Uma_20220710165402

プリマヴィスタとトーラスジェミニの⑬-⑭は281.7倍。枠連7-7と全く同じ組み合わせであるにも関わらず、そこにはなんと226倍ものオッズ差が生じているのである。

理由は分かる。七夕にちなんで枠連7-7が売れるのはいつものこと。ただ、今年は人気薄の馬が揃ったからこんなおかしなオッズが生じたのであろう。馬券とて投票ごとであることに変わりはない。えてしてこういうおかしな現象も起きる。

だが、考えようによってはこれは美味しい状況だ。特に枠連は「7-7」が馬の評価以上の売れ方をしているのだから、それ以外の組み合わせは本来よりお得なオッズになっている。ならば勝負は枠連。特にその7枠が気になる。プリマヴィスタは53キロが魅力。トーラスジェミニに至っては昨年の七夕賞優勝馬ではないか。

シメシメとほくそ笑みつつ参院選と七夕賞の投票に向かった。参院選の投票内容は控えさせていただくが、七夕賞の投票内容はご覧の通り。

Baken1

枠連7枠流し。ただし7-7は買わず馬連⑬-⑭。ま、当然ですね。

しかし、結果は8枠エヒトが突き抜けて完勝。2着は枠ヒートオンビートで、7枠の出番はなかった。枠連7-7に票が偏ったことに気付いても、勝ち馬を見つけられなければ話にならない。

Baken2

しかし実はこんな馬券も買っているんですな。本当なら千円買う予定だったけど、オッズの異変に気付いてしまったおかげで百円しか買えなかった。反省。でも百円とはいえ買った自分を褒めてあげたい。もちろん勝ったエヒトも褒めてあげよう。

 

 

***** 2022/7/10 *****

 

 

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2022年7月 9日 (土)

一夜明けて

話は一昨日の木曜夜に遡る。諸事情これありで、翌金曜の午後に埼玉の父親宅に行くことになった。もちろん翌日は休日ではない。朝からいったん仕事場に行き、バタバタになりながら各方面と調整を済ませて、新幹線も予約した。これでヨシ。梅田でうどんでも食べてからのんびり行こうか。そう思った正午前に奈良から耳を疑うようなニュースが飛び込んできた。

そこから再びバタバタが始まる。帰省はいったん白紙。なのにこういう時に父親が電話に出ない。募るイライラ。事件現場からは次々と暗い情報が伝えられてくる。「やるせない」。この一言に尽きる。結局、新幹線に乗ったのは19時過ぎ。父親宅に到着したのは日付が変わって今日になってから。それでも今回の事件に比べれば些細な出来事に過ぎない。

安倍元首相が凶弾に倒れて一日が過ぎたが、テレビは変わらず事件を報じている。当たり前だ。いずれ歴史の教科書にも載る。小泉純一郎氏に同行して北朝鮮に向かったときの映像が流れた。このとき安倍氏は官房副長官。若い。当時、このニュースを見ながら「この人物はいずれ宰相の座に着く」と確信した。なぜかはわからない。どれほど才覚に恵まれた政治家でも宰相の座を射止めることが極めて難しいことは承知している。とはいえ、ダービー馬のオーナーになることはもっと難しい。海外にはそんな名言を残した歴史的政治家もいる。

Abe

安倍元首相は2007年の日本ダービーを夫婦で観戦された。昭恵夫人がウオッカの単勝を的中して話題にもなっている。

現職首相のダービー観戦は安倍氏が3人目だった。内閣総理大臣賞を提供していることを思えば意外に少ない。2002年には安倍氏を北朝鮮に連れて行った小泉氏が観戦に訪れた。勝ったタニノギムレットはウオッカのお父さんだから話としてはよくできている。さらに小泉氏の前となると1958年の岸信介氏。つまり安倍氏の祖父。勝ったのはダイゴホマレだった。

ちなみに2007年のダービーで、安倍氏はウオッカの複勝を的中している。購入の根拠を問われると、「奥さんが買ったから」と答えた。ともあれ複勝というあたりが、いかにも政治家らしい。実際、競馬は難しいと感じたらしく、「先が読めないのは政治と同じ」とも言っている。政治も競馬も「まさか」は日常茶飯事。しかしこの手の「まさか」は二度と起こして欲しくない。

 

 

***** 2022/7/9 *****

 

 

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2022年7月 8日 (金)

夢のセミリタイア

この歳になると自分の周囲でもセミリタイア宣言をして地方に移り住む知人がぽつぽつと現れるようになる。3月には東京の知人が55歳になったのを機に退職して山梨・大月に移住。そしてつい先日は大阪で知り合った人がアッサリ仕事を辞めて長野・安曇野に行ってしまった。ちなみに当人は安曇野とはいっさいのゆかりを持たない。ただ、これまで何度か旅行で訪れて「良いところだな」という印象を抱いていたのだそうだ。

それにしても「セミリタイア」である。なんと優雅な響きであろうか。

私など下手すりゃ週七で仕事場に軟禁されることも珍しくない。文句が言えないのは辞められないからである。たまの休みも競馬場で過ごすことがほとんど。数日先の未来すら描くことができぬ日々。彼とは仕事の同期だったり同級生であったはず。なのにこの差はいつ生まれたんだ?

ともあれ長野県の安曇野界隈は移住先として高い人気を誇るらしい。数年前にNHK朝の連続ドラマ「おひさま」の舞台になったことも一因だとか。名物のそばとワサビを味わい、北アルプスを眺めながら田園地帯を散歩し、歩き疲れたら湧き水で喉を潤す。そんな生活に憧れる気持ちは、都会の薄汚れた空気を吸って生きる私には痛いほどわかる。

「そんなこと言っても、どうせ競馬が無けりゃ生きていけねぇんだろ!」

そんなご指摘は甘んじて受けよう。だが、かつてこの土地にJRAの場外馬券発売施設を作る動きがあったことをご存知だろうか。リタイア後の移住者を客層として見込んだのだとしたら、なるほど頷ける話でもある。だが、「風光明媚なこの土地に馬券売場は相応しくない」という地元住民の強固な反対を前に立ち消えとなった。その結末もやむ得まい。そんなJRAと相容れない土地柄でありながら、実は安曇野界隈は日本有数の競馬の盛んな土地でもある。

ただし、ここで言う「競馬」とは、いわゆる「草競馬」。隣の大町市にある仏崎観音寺は馬の守護寺として古くから地元民に愛されてきた。例祭には地域の人々が馬を曳いて参拝に訪れ、境内の馬場では農耕馬による奉納草競馬も行われてきたという。今では、市内を流れる高瀬川の河川敷に場所を移した観光草競馬として行われ、大町市初夏の風物詩となっているそうだ。

「そうだ」と書くからには、私はこれを直接見たことはない。なぜかというと、例年日本ダービーの行われる5月の最終日曜日に実施されるからで、熱心な競馬ファンであるほど足を運ぶことは難しい。この日程はおそらく偶然なのだろうけど、「実はそのように徹底している」という深読みもできる。ただし、新型コロナの影響で昨年も今年も中止された。来年も開催される保証はない。

安曇野市でも秋に草競馬が行われていた。ただ、数年前に廃止になっている。とはいえ市内の乗馬施設「安曇野ホースランド」には、2004年のユニコーンSを勝ったトップオブワールドも繋養されているから競馬と縁がないわけではない。ちなみに大月からウインズ石和まではクルマで30分。私ならそちらを選ぶ。いや、どうせなら石和に住むわな。

 

 

***** 2022/7/8 *****

 

 

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2022年7月 7日 (木)

星に願いを

今日は七夕。七夕の当日に行われた七夕賞は58回の歴史の中で5回しかない。もちろんJRAの話。今日は川崎でも「七夕賞」という条件戦が行われたが、これは毎年行われているわけではない。

ともあれ七夕賞といえば荒れる重賞の代名詞。1979年から2004年まで1番人気馬「26連敗」の大記録を破るとしたら、やはり七夕賞しかないように思える。だが、その難解さを生み出す要因の一つ「最終週の荒れた馬場」は2012年を最後に消滅。開幕2週目の痛みの少ない馬場で行われるようになって10年になる。それでも、2018年にはブービー人気のメドウラークが快勝。最低人気のパワーポケットが3着に飛び込んで、3連単256万馬券が炸裂した。この10年間で1番人気の優勝は二度しかない。荒れる七夕賞は健在だ。

Fukusima1

それにしても福島の馬券は難しい。ハンデ戦であろうがなかろうが関係なく荒れる。こういう競馬に慣れている福島の競馬ファンの目は鋭い。「これは万馬券だろう」と思うような組み合わせの決着が、案外な低配当にとどまったりする。

先週土曜、開幕初日の福島5レースは圧倒的1番人気のグラスヴィガーが飛んで、馬連は単勝オッズ12倍のナックブレイブと23倍のブーケファロスの組み合わせ。筆者はこれを100円持っている。うはっ! やった! これは万馬券に違いない! ひょっとしたら150倍くらいつくかも!?と色めいたのもつかの間、83倍の払戻発表を聞いて肩を落とした。みんな上手いなぁ。

福島に関してはこの手の話が列挙に暇がない。タニノハローモアが勝った1968年のダービーは単勝39倍、枠連57倍の大穴決着。にもかかわらず福島場外の的中者が多く、払い戻し用の現金が不足して競馬場側が銀行にSOSを発する事態になっている。余談だが、この年のダービーも7月7日に行われ、「七夕ダービー」と呼ばれた。

ともあれ、そんな福島のファンがありきたりの番組で満足するはずがない。七夕賞における1番人気連敗記録は、難解なレースを好む福島のファンの誇りでもあろう。

Fukushima2

福島の馬券師たちを相手に馬券を争っても、とても勝てる気などしない。収支にこだわるなら、小倉や函館を主戦場にするべきなのだろう。七夕賞を的中させたという記憶もない。それでもついフラフラと福島の馬券を買ってしまう。懲りない性格なのである。今年こそ七夕賞の馬券が当たりますように!

 

 

***** 2022/7/7 *****

 

 

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2022年7月 6日 (水)

ネット投票の功罪

週末の日本を混乱に陥れたauの通信障害のおかげで先週日曜は早朝から仕事場に向かう羽目になった。KDDIによれば、影響を受けたのは3915万回線に及ぶという。規模に時間を掛けあわせた影響度としては史上最大。異なるキャリアのユーザーである私ですら休日出勤という形で影響を受けていることを思えば、あながち誇大な表現とも思えぬ。

Umeda

対応がひと段落したところで、雨の中をウインズ梅田に向かった。遅い朝メシのついでに宝塚記念で買ったオーソリティ絡みの馬券の返還払戻金を受けるため。普段なら競馬場で払い戻すが、今週からJRA開催はローカルに移っている。この先しばらく競馬場に行く予定はない。

ウインズは思いのほか混雑していた。宝塚記念でオーソリティを買っていた人がこんなにも多いのか。こういうとき私のような紙馬券派は多少困るが、炎天下を走る人馬を思えば、これくらいの手間は甘んじて受け入れることにしよう。

そういう私も一応はIPATの権利は持っている。その昔は宝くじより確率が低いと言われる抽選をかいくぐり、貴重な貴重な「電話投票権」を得た。以後数十年になるが、最近ではほとんど使わない。アカウントが削除されないよう、思い出したようにたまに買う程度だ。

「電投」すなわちネット投票をやらない理由はひとつ。面白くない。その一言に尽きる。

私の周囲に麻雀をやらずにネットの麻雀ゲームばかりしている奴がいる。昼夜を問わず、まさに寝る間を惜しんで没頭している。「そんなに麻雀が好きなら、雀荘に行こう」。ある日、そう誘ってみた。だが彼は首をヨコに振る。人と卓を囲むのは気疲れする。わざわざ雀荘に行くのも面倒くさい。手軽がいちばん。だからゲーム―――。彼はそう言うのである。

競馬においても、首都圏や関西圏に住んでいながら競馬場や場外に行った経験も持たず、ただひたすらネットばかりで馬券を買っている人がいるが、そういう人を見ると思わず麻雀ゲームの彼を連想してしまう。ゲームと違ってカネを賭けている。そう言われるかもしれない。とはいえ、レースのたびに財布から出て行くお札を見ることはなかろう。それを「手軽」と喜ぶのは悪くないが、目に見えぬ口座の上で金が出たり入ったりしているだけなら、少なくともプレイ中の感覚はネットゲームと変わりあるまい。それであとから請求(追加入金の必要)がやって来る。

そこだけを切り取ればネット投票とノミ屋には、大差がないことに気付く。ノミ屋も基本は口張り。その場でカネのやり取りは発生しない。客はそれを「手軽」と喜ぶが、実はそれは胴元が意図的に仕組んだ手法でもある。手軽だからこそ、客はたいして考えもせずホイホイと馬券を買ってしまう。それであとからとてつもない請求が来る。両者の違いは違法か合法か。大きな違いではあるが、その程度かという気もする。

財布に残った千円札の、その最後の1枚を出す瞬間に脳裏を駆け巡る思い。そして、ごくごく稀に払戻機から出てきた札束を掴んだときのあの感触―――。

バクチを打ち続ける中にあって、もっとも大事なこと。それはカネの有難味を分かっているかどうかではあるまいか。それがなければあらゆるバクチは単なるゲームに成り下がる。と同時に、バクチで身を滅ぼすことも覚悟しなければなるまい。

そこまで考えてハタと気づいた。日曜にウインズが混雑していた理由は、ひょっとしてauの通信障害の影響ではあるまいか。ネット投票ができなければ、大半のファンはウインズに来るしかない。携帯がなかった当時を知る人間とすれば当たり前の光景だが、それが当たり前ではない時代になったのであろう。KDDIの社長は「補償を検討する」と言っていた。「買う予定の馬券が買えずに損した」などと言われたら、いったいどうするのだろうか。

 

 

***** 2022/7/6 *****

 

 

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2022年7月 5日 (火)

台風4号接近中

台風4号が日本列島に上陸。九州、四国に大雨をもたらした雨雲は、明日関東にかかるという。

明日行われるスパーキングレディーカップは台風と少なからぬ因縁がある。2017年は1日違いで台風3号の直撃を逃れたが、2002年は台風6号の影響をモロに受けた。競馬開催は中止。スパーキングレディーカップのみ翌木曜に順延の措置が取られている。そうでなくても雨に祟られることが多いレースだが、梅雨どきに行われるレースゆえこればかりは仕方ない。

「梅雨どきに牝馬の体調を保つのは大変。一晩で調子がガラッと変わるよ」

そんな話を厩舎関係者からよく聞かされたものだ。女性ホルモンの繊細な働きが、気温とか気圧とか湿度の微妙な変化に影響を受けるのかもしれない。そういえば我が家の家人も梅雨どきは怒ってばかりいる。気象に気性が左右されるのなら、馬も人も同じであろう。私などは、てっきり洗濯物が乾かなくてイライラしているのかと思ってた。それがまた家人を怒らせる。

ともあれ、そんな難しい季節でありながら、狙ったレースにピタリと照準を合わせて出走させる陣営の努力は半端ではない。ゆえに梅雨どきの装鞍所は、ピリピリと殺気立っている。牝馬だけのレースならなおさらだ。なにせ川崎には牝馬限定重賞が多い。エンプレス杯、関東オークス、スパーキングレディーカップ、ローレル賞、そしてロジータ記念。川崎に牝馬限定重賞が多い理由の一つとして、古くから多くの名牝が活躍してきた歴史が挙げられる。

1951年のオークスを勝ったキヨフジはもともと川崎でデビューを果たした。中央競馬の歴史上、初めて地方出身のクラシックホースとなったことでも知られる。また、南関史上最強の牝馬ロジータは、1989年に牝馬として初めて南関東三冠競走(羽田盃、東京ダービー、東京王冠賞)を制しただけに留まらず、川崎記念や東京大賞典など南関東のビッグタイトルを総なめにした。ホクトベガが後続を18馬身も突き放した1995年のエンプレス杯はもはや伝説になっているし、白毛のアイドル・ユキチャンが、2008年の関東オークスで白毛馬初の重賞制覇を果たしたことは、まだ記憶にも新しい。

スパーキングレディーカップは今年で26回を数えるが、JRAとの交流重賞になったのは2年目から。そのレースを勝ったのは地元南関東のホクトロビン(父・ブランコ)だった。副題にもなっているホクトベガを彷彿とさせる大捲りでJRAのシルクフェニックス以下を一蹴。佐藤祐樹騎手が手にした唯一のダートグレード勝利でもある。

Sparking

JRA在籍経験を持たぬ生粋の地方馬の勝利は、このホクトロビンを最後に途絶えている。地方馬の奮起を期待したい。台風4号は温帯低気圧に変わったが、明日の関東は雨予報のまま。道悪競馬は避けられなそうだ。

 

 

***** 2022/7/5 *****

 

 

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2022年7月 4日 (月)

負担重量48キロ

今日付けの日刊スポーツを読んでいて「おや?」と思った。この記事についてである。

Nikkan

☆最軽量 負担重量48キロでの重賞勝利は、01年カブトヤマ記念のタフネススター、08年マーメイドSのトーホウシャインに続く3度目で最軽量タイ記録。

いや、ホッカイノーブルのステイヤーズSは48キロだったはず。野平祐二調教師の管理馬で、師が生前よくそのレースぶりを振り返っていた。ほかにもフジミツルが1955年の日経新春杯を、さらにダイニテンランが1966年の目黒記念をそれぞれ48キロで勝っている。「グレード制導入後としては」を書くスペースがなかったのかもしれないにせよ、この手の記録の扱いには細心の注意が欲しい。

ハンデ戦は負担重量を調整することにより能力差の均等化をはかり、レースを面白くするのが目的。ただし、弱い馬を軽くするといっても限界がある。テイエムスパーダの場合、それまで4戦連続で国分恭介騎手が手綱を取り2勝を挙げていたが、CBC賞で課されたハンデは48キロ。国分恭介騎手の体重は52キロだから乗ることができない。おけげで今村聖奈騎手に手綱が回ってきた。ハンデ戦は弱い馬ばかりでなく、若い騎手にとってもチャンスの場だ。

現在、JRAの規定ではオープン級が48キロ、条件級では50キロを下限としている。これは騎手に過度の減量負担をかけないための措置。だが例外もある。

2017年9月30日の中山6レースは平場の500万条件戦。芝2200m。むろんハンデ戦ではない。それでも藤田菜七子騎手を背に出走したカスタディーヴァの負担重量は47キロと、異例の軽さとなった。

なぜか。57キロの基本重量から、まず牝馬なので2キロ減、3歳馬がマイルを超える距離で古馬と対戦する際のアローワンスで3キロ減、さらに南半球産馬に対する特典で2キロ減、最後に見習記号▲の藤田菜七子騎手が乗れることでさらに3キロ減、都合10キロが減量されて47キロでの出走が可能となったのである。現代の騎手の体格事情を勘案すれば、下限ぎりぎりいっぱいであろう。

ただ昔はもっと軽いハンデもあった。サラブレッドに挑戦して45キロのハンデをもらったアングロアラブがいる。それが1964年のダイヤモンドSで7着だったリンドウ。騎乗したのは町田精生騎手と記録が残る。勝ったキクノヒカリとの差は1秒8だった。ハンデに助けられたとはいえ、3頭のサラブレッドに先着したのだから大健闘であろう。ちなみに、このレースにはガゼールターフも47キロで出走していた。騎乗した大崎昭一騎手は減量に苦労したに違いない。

藤田菜七子騎手はプロフィールに「45.6キロ」とあるから、47キロでも乗ることはできるよう。しかし、実際のレースでは逃げて10着に敗れた。勝ったストロングレヴィル54キロとの差は6馬身。斤量差については俗に「1キロ=1馬身」とも言われる。だから10キロなら10馬身かと言われれば、決してそうはならない。軽量化によって動きが変わるという一面は、確かにある。しかし勝ちきるのは難しい。48キロでの重賞勝利が過去に「6頭」しかいないことが、その事実を裏打ちしている。

 

《余談》

Diva

47キロの出走例として紹介したカスタディーヴァは、白毛で話題となったアオラキのお母さん。ご覧の通りお母さんも白毛でした。アオラキは新馬戦で4着に敗れたが、お母さんもデビュー戦は10着。初勝利は4戦目だった。長い目で見守りたい。

 

 

***** 2022/7/4 *****

 

 

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2022年7月 3日 (日)

31秒7の衝撃

「600の通過は……、さんじゅう、いちびょう、なな!?」

実況アナウンサーはその時計が信じられなかったのか、ターフビジョンに表示された数字をひと桁ずつ確認するように伝えた。今日行われたCBC賞。その勝ち時計1分5秒8にももちろん驚いたが、私もテンの3ハロンの時計に衝撃を受けたひとりだ。

多くの1200m戦がそうであるように、このレースでも先手を主張するであろう馬は少なくなかった。真っ先にゲートを飛び出したのはスティクス。メイショウチタンと大外ファストフォースが負けじと追いかける。テイエムスパーダは先行争いにワンテンポ遅れた。それでも今村聖奈騎手が押してハナを主張。だがスティクスも譲らない。それが驚くべき激流を呼んだ。

過去の1200m重賞で前半3ハロンに31秒台が記録されたことはない。これまでの最速記録は2007年と10年の北九州記念で記録された32秒1。向こう正面から緩やかな下り坂が続く小倉競馬場は前半の時計が速くなりやすい。しかし、32秒1のペースを記録した2頭の逃げ馬はともに後半は大きく失速して大敗している。それが競馬だ。だから騎手としてはハナを主張したくても、32秒台前半で逃げるような真似は怖くてできない。

2007年 北九州記念
タニノローゼ(中村将之) 32.1-37.2 1分9秒3 15着

2010年 北九州記念
ケイティラブ(野元昭嘉) 32.1-36.0 1分8秒1 13着

今日の競馬でテイエムスパーダの手綱を取って31秒8(公式記録は訂正された)で逃げた今村聖奈騎手は怖くなかったのだろうか。終わってみれば上がりも34秒0だから馬にはある程度余力が残っていたことになる。2番手に控えたスティクスの上がりは35秒0。上がりでテイエムスパーダを上回ったのは2頭しかいない。3馬身半の結果はむろんハンデの恩恵もあるだろうが、騎手の果たした役割も少なからずある。ただ、中山ではこうはいくまい。

Red

今村聖奈騎手の初重賞制覇は素晴らしいニュースだ。多くのメディアも大きく取り上げている。だが、私としては種牡馬レッドスパーダの重賞初制覇にも注目したい。メイショウボーラーと並ぶタイキシャトルの数少ない後継種牡馬。その産駒が、4世代目にしてようやく重賞タイトルを獲得した意味は小さくなかろう。今村聖奈騎手も種牡馬レッドスパーダも、真価発揮はまだまだこれからだ。

 

 

***** 2022/7/3 *****

 

 

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2022年7月 2日 (土)

うどんの日

今日7月2日は「うどんの日」です。みなさん、ご存じでしたか?

夏至から数えて11日目は、二十四節季をさらに三分割した七十二候のひとつ「半夏生」(はんげしょう)にあたる。この時季、讃岐では田植えのお終わる頃合いで、農家はうどんを打って、田植えを手伝いに来た人をもてなす風習があった。「うどんの日」はそれにちなんで香川県の団体が制定したのだが、国内はもとより地元讃岐でも認知度はそれほど高くないという。

なぜか。そもそも讃岐では毎日が「うどんの日」なのである。「今日はうどんの日だからうどんを食べよう」なんて意識が芽生えるような土壌ではない。讃岐のうどん文化の根強さをあらためて思い知らされる。

だけど、讃岐人ではない私にとっては特別な日。それで朝からうどんにした。阪神福島駅から歩くこと3分。「うどん讃く」は朝7時から暖簾を掲げているありがたい一軒だ。

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ちなみに「讃く」と書いて「さんく」と読む。「うどんさんく」なんて聞いたら、「はて? “ウドン”なんて種牡馬いたっけ?」と勘違いするのは競馬ファンだけであろう。そもそもここの地名が「福島」というのも気になる。駅名の「阪神福島」なんて競馬場そのものじゃないか。

Sanku

すだち醤油うどんを注文。先に食券を買って、カウンターで受け取って、空いている席に座るシステム。麺が茶色に見えるのは胚芽が練りこまれているから。醤油をひと回しして一気にすすると、麦のかぐわしい香りとスダチのさわやかな香りが馬体を併せて立ち上ってくる。エッジの立った、コシの強い麺は喉越しも痛快。調子に乗って肉ぶっかけも注文。うどんの日ならこれくらいしてもバチは当たるまい。

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堂島川を渡って中之島へ。

今日の福島初日のメインはTUF杯だが、1995年のこのレースにドージマムテキが出走していたことを思い出した。当時はハンデ戦。58キロを背負って5着に敗れたが、秋の京王杯オータムハンデは55キロで快勝している。

Dojima

この暑さではそう長くも歩いていられない。5分も歩くとクラクラしてくる。散歩には厳しい季節になってしまった。暑さから逃げるように大阪中之島美術館へ。今は「モディリアーニ展」の真っ最中だ。モディリアーニのみならず、ピカソやシャガール、藤田嗣治など、20世紀初頭のパリで活躍した他の画家の作品も展示しているという。ひょっとしたら競馬を描いた作品もあるかもしれない。

―――と思って覗いてみたのだが、残念ながら競馬絡みの作品はなし。でも涼しい館内のおかげで汗は引いた。散歩を再開。土佐堀川を渡って江戸堀というエリアに到達すると、「うどん居酒屋江戸堀」というお店を見つけた。うどんの日の続きはここにしよう。

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ひやかけを注文。美しい黄金色のダシに浮かぶ麺は先ほどの店をしのぐ極太麺で、かつコシも強烈。噛むのにも一苦労する。聞けば、客からは「剛麺」と呼ばれているとか。とはいえ肌はあくまでも滑らかですすりにくいということはない。何よりダシが秀逸。このあたりは大阪の底力を感じる。ちなみに大阪では10月28日が「おだしの日」らしい。さすがの感がある。

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***** 2022/7/2 *****

 

 

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2022年7月 1日 (金)

夏の牝馬はいずこ

夏の牝馬はいったいどこに行ってしまったのだろう―――?

尋常ならざる灼熱の太陽に焼かれながら、ふとそう思った。

2006年に始まったサマースプリントシリーズは、11年までの6年間ですべて牝馬がチャンピオンに輝いてきた。その後2年は牡馬にその座を譲ったが、14年からは牝馬が3連覇。11年間で牝馬の9勝2敗の成績は、「夏は牝馬」の格言を見事なまでに具現してきたのである。

風向きが変わったのは17年。この年のアイビスサマーダッシュを制したラインミーティア(牡7)がサマースプリントチャンピオンに輝くと、昨年までの5年間はすべて牡馬がタイトルを制してしまった。

なぜ牝馬が夏に強いとされるのか。よく言われるのが「子どもを産むから」というもの。馬に限らず男より女の方が環境の変化に対する順応力は高い。ほかにも「馬体の大きい方が、熱を放出しにくいから」という説がある。一般的に牝馬の方が牡馬より小さい。太っている方が夏バテしやすいから、体の小さな牝馬が有利になるというもの。私自身夏バテが激しいから、これにはなんとなく説得力を感じる。

しかし、かつては氷柱に扇風機が普通だった厩舎の暑さ対策も、最近はすっかり様変わりした。今はで冷房完備の厩舎は珍しくない。遠征先の馬房にも、こんなポータブルクーラーを持ち込むことができるから、昔のように露骨な夏負け症状を呈している馬を見ることも少なくなった。

Coler

折しもJRAでは、福島、新潟、中山、中京、小倉の各競馬場の馬房に冷房を設置することが報じられたばかり。JRAは競走馬への負担を軽減するため暑熱対策に力を入れている。パドックへのミスト装置の設置のほか、パドック周回の短縮や、装鞍所への集合時間を遅らせるなどの対策を取ってきた。牡馬の成績が上がったのは、こうしたJRAの暑熱対策の賜物―――とする仮説は、しかしまだ不十分であろう。それなら、牝馬と牡馬が互角の成績であるはず。夏の牝馬の成績が落ちてきた理由の説明にはならない。

ひょっとしたら「冷え性」ではあるまいか。人間でも女性の方が圧倒的に冷房に弱い。我が家でもエアコンの設定温度で言い争いになることがしばしば。3人の女に言い負かされて我慢を強いられるのは、言うまでもなく家庭内でただ一人の男の私である。だが、「設定温度低すぎ!」と言えない牝馬は、冷房に体調を崩して得意の夏が逆に苦手になってしまっているのかもしれない。

もちろん調教師だって冷房の使い過ぎには注意している。屋外との温度差に警鐘を鳴らす声も少なくない。そう思えば私のように冷え性になるほど設定温度を下げることはあるまい。

 

 

***** 2022/7/1 *****

 

 

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