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2022年6月 1日 (水)

新梅田食道街探訪

念願かなって「新梅田食道街」デビューを果たした。

阪神競馬場に向かう道中、絢爛豪華な阪急梅田駅の建物の済に、ちょこっと空いた謎の通路。これまでは気付くこともなかったが、そこはまるでハリーポッターに登場する「9と3/4番線」のごとき異世界への入り口。ひとたび足を踏み入れれば、わずか数秒で昭和へのタイムスリップし、ディープな大阪を味わうことができる。

まずは「松葉」へ。若いころは梅田の地下街から地上に上がる階段下の店舗によく行った。阪神競馬遠征時の楽しみ。ありがたいことにアルミ缶のソースも復活している。立ち飲みだが客は思ったより少ない。若鶏の串カツが有名だが、私としてはマグロがいちばん美味い。これはソースではなく、七味ポン酢でいただく。中はレアよりは火が通った程度のほんのり柔らかな食感。これはビールが進む。串カツ5本と生ビール2杯で次へ。

続いて「大阪屋」へ。もちろん1階の立ち飲み。お店のイチオシだという「どてミックス」は、白味噌ベース。長年継ぎ足し続けているという煮汁にトロリとした食感の牛すじの旨味が凝縮されていてレモンチューハイに抜群の相性。ただし混み合ってきたので、チューハイ1杯で早々にお会計。

Kinpai_20220603225901

続いては本日のハイライトの「金盃」。大井の名物重賞ではない。日本酒の名店。もちろん立ち飲み。カウンターにでっかい「白鶴」の樽が置いてあって、注文のたびに店主がそこから汲んだ酒を注いでくれる。樽の木の香りがなんともかぐわしい。ここのオススメは「エッグ」。小さな土鍋にふつふつ煮たった生玉子が2つ。かき混ぜて少し置くと、余熱で箸でつまめる固さになる。半熟状態をちょいとつまんで食べるのだが、これに店のもう一つの看板メニューの焼き味噌を合わせるとなお美味い。驚くことに客の半数以上が女性だ。あまりうるさくしゃべると、店主が樽をガンガン叩いて注意するのが面白い。3杯か4杯飲んで次へ。もうこのあたりから記憶が怪しい。

Egg

4軒目は立ち飲みの聖地とも言われる「北京」。コロナ禍以前は、店内が混雑してくるとカウンターに並ぶ客が斜め半身の姿勢となり、場所を詰めて飲み続ける光景がしばしば見られたらしい。その姿が男性コーラス「ダークダックス」に似ているから、この立ち飲みスタイルを「ダーク」と呼んだ。客が自発的に場所を詰めあう「ダーク」は、大阪の立ち飲み酒場作法。しかしコロナ禍の今では十分な距離を取って立つことが求められており、「ダーク」を見ることもない。

東京にも立ち飲みはある。だが、大阪の立ち飲みは「店全体が相席」という雰囲気に近い。むろん客層も価格も微妙に違う。すべてが安くて美味い。新梅田食道街では店と客との大阪人気質が激しくぶつかり合う、まさにワンダーランドだった。

 

 

***** 2022/6/1 *****

 

 

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