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2022年6月24日 (金)

柴田未崎騎手引退

JRA初の双子騎手としても知られる柴田未崎が今月限りで騎手を引退することが報じられた。わけあってデビューから贔屓にしていた騎手のひとり。1996年3月のデビューだから、その付き合いは27年間に及ぶ。JRA通算3171騎乗で積み上げた勝利は94。この数字だけを見れば、苦労の方が多い騎手人生だったかもしれないが、それでもここまで長くやれたことは立派だ。本人も「最高の時間を過ごせた」とコメントしている。寂しくないと言えば嘘になる。それでもまずはお疲れ様と言いたい。

Misaki2

同期に福永祐一、 和田竜二らがいる「花の12期生」として双子の兄・大知とともにデビュー。1年目から12勝、18勝、19勝と着実に勝ち星を積み重ねた。しかし、その後は成績が低迷。重賞は未勝利。1999年のスイートピーSをフレンドリーエースで勝って挑んだオークスが唯一のクラシック騎乗。2011年には一度騎手を引退し、調教助手に転じたこともある。

Misaki1

調教助手に転じた直後のことだった。兄の大知騎手が11年と12年の中山グランドジャンプを制覇。さらに13年にはマイネルホウオウでNHKマイルCで平地GⅠ初制覇を果たす。その活躍ぶりに彼が刺激を受けないはずはない。もともと11年の騎手引退時には、不完全燃焼のまま辞めてしまったことを自分でも悔やんでいたという。

2014年の正月。我が家に届いた一通の年賀状は今も忘れない。差出人は美浦・斎藤誠厩舎所属だった柴田未崎助手。きれいな文字で書かれたその文面は例年にも増して長かった。前年秋のJRA騎手試験の1次試験を受験したこと。見事合格を果たしたこと。そして今は騎手復帰へ向けての最終関門、2次試験に向けて鋭意準備中だということ。デビューから注目してきた騎手が再びターフに戻ってくる。私にとってこれほどの喜びはない。

だからその年の7月27日福島9R栗子特別を7番人気・ヴァンデミエールで彼が勝った時、私は競馬場で泣いた。未崎騎手も泣いたていた。競馬で泣いたことなど何年振りだっただろうか。

「どこまでできるか分からないんですけど、自分で納得できるまでやりきりたいんです」

Misaki3

4、5年前に東京競馬場で会ったとき、本人はそう言っていた。それ以後は会えてない。復帰後は8年で12勝。普通の騎手なら少ないが、彼の置かれた立場からすれば十分のような気もする。果たして本人はどう思っていたのか。「成績は伴わなかったけど、やりきったという感覚はあります」というコメントもあった。「やりきった」という言葉にまた泣きそうになる。ラストライドは日曜阪神最終レース。所属厩舎ハクサンライラックへの騎乗を最後に鞭を置く。宝塚記念が終わったあと、ぜひとももう1レース注目していただきたい。

 

 

***** 2022/6/24 *****

 

 

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