イワシミズと聞けば思い出す
日曜のこと。京都競馬場からの帰途、ふと思い立ちって石清水八幡宮に立ち寄ったのは一昨日書いた通り。予報では夕方から雨だった。しかし降り出すまでにはまだ余裕がありそう。ならば、あの源頼朝も厚く信仰した勝運の神様に参拝し、安田記念で私が密かに応援するロータスランドの必勝を祈願するのも悪くない。何より15分おきに発車するケーブルカーの時間にちょうど良いタイミングであった。
「徒然草」の第52段「仁和寺にある法師」に石清水八幡宮が登場する。曰く、年寄りの法師があるとき思い立って八幡宮への参拝に出かけ、「素晴らしかった」と得心して帰ってきた。しかし、実は山の麓にある末社を見ただけで、山頂の本殿を見ていなかったというのがオチである。今なら山頂近くまで3分でケーブルカーが運んでくれるから、肝心の本殿を見そびれる心配はまずあるまい。
「はちまんさん」として親しまれる石清水八幡宮は、標高142mの男山全体が境内になっている。平安初期の創建で、平安京の南西「裏鬼門」に位置することから、都の守護、国家鎮護の社として崇敬された。特に、武家として名をはせた清和源氏が八幡神を氏神としたため武神として広く信仰を集めたという。室町時代には6代将軍を決定する歴史的なクジ引きの舞台にもなった。その本殿は私が想像していたよりも大きく、美しく、立派。感心しながらロータスランドの勝利を祈願する。
私は自分のことで神頼みはしないが、他人のことに対してはその限りではない。ロータスランドは友人の生産馬ということもあり、デビュー当時から注目していた。昨年の須磨特別では出走馬の大半を社台グループ生産馬が占める中、唯一頭の非社台グループ生産馬のロータスランドが勝って喝采を叫んだ覚えがある。
その当時から比べると最近は馬体の充実ぶりが著しい。どんどん大きくなって、どんどん重厚感を増している。関屋記念を勝ってサマーマイルシリーズのチャンピオンとなり、京都牝馬Sは56キロを背負いながら1分19秒台の好タイムで重賞2勝目をマークした。目下の充実ぶりならGⅠにも手が届くかもしれない。そう感じた高松宮記念があわやの2着。得意のマイルに戻ればこの相手でも……と、勝手な期待が膨らんだのも無理はあるまい。
結果は11番人気で10着。もっと積極的に乗って欲しかった———。ミルコには恨み言のひとつも言いたくなるが、終わったことはもう忘れよう。石清水八幡宮の神様を以てしても、できることとできないことがある。
ところで競馬ファンが石清水と聞いて思い出すのは、マチカネイワシミズもしくは石清水ステークスで異論はあるまい。前者はダビスタでお馴染み。後者は1月の京都で行われていた3勝クラスによる芝の短距離戦。ジャングルポケットの引退式のために訪れた2003年の京都で、このレースを観る機会を得た。勝ったのはブライアンズタイム産駒のボールドブライアン。この翌週に連闘で東京新聞杯を勝つことになるこの馬の勝負服も、ロータスランドと同じ小林英一HDの服色だった。
***** 2022/6/8 *****
| 固定リンク
« 神様不在のダービー | トップページ | 梅雨競馬 »
「競馬」カテゴリの記事
- ディープインパクトと子と孫と(2023.06.04)
- 西に輝く一番星(2023.06.03)
- 岐阜羽島探訪記(2023.06.02)
- 鳴尾競馬の記憶(2023.06.01)
コメント