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2022年5月15日 (日)

大河への道

朝から京都の城南宮を訪れた。

「城南宮」とは平安城の南に鎮まるお宮の意で、平安遷都の西暦794年の創建と伝えられる。平安時代後期には白河上皇や鳥羽上皇によって、城南宮を取り囲むように城南離宮が造営されて院政の拠点となると、城南宮は離宮の鎮守として一層崇められた。幕末ファンには鳥羽伏見の戦端が開かれた地として有名。昨年の大河ドラマ「晴天を衝け」にも登場している。

競馬ファンには馴染みが薄いかもしれないが、「流鏑馬発祥の地」と聞けば少しは興味が湧くだろうか。1096年に白河上皇が始めたのが嚆矢とされる。1221年、時の後鳥羽上皇は北条義時討伐のため、流鏑馬の武者揃えの名目で城南宮に武士を集めた。これが承久の乱の始まり。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の終盤のヤマ場にもこのシーンが登場するかもしれない。

Goshuin

城南宮の神苑は「源氏物語花の庭」と呼ばれているらしい。源氏物語の主人公・光源氏は、四季の庭を備えた大邸宅「六条院」を造り、季節の移り変わりを愛で様々な遊びを行った。白河上皇はこの「六条院」に触発されて、この地の造営取り組んだ。これにちなみ城南宮では源氏物語ゆかりの花を随所に植栽している。ちなみに来年の大河ドラマ「光る君へ」は源氏物語を生んだ紫式部の人生がテーマだ。

Kakitubata

今はカキツバタが盛り。しっとり濡れたような群青の花びらは、昔は染色の材料にもなり「書き付け花」と呼ばれたことがその名の由来だという。天に向かって突き刺すような鋭利な葉は、かつて城南宮に集った武士の刀を連想せずにはいられない。先日のカキツバタ記念を勝ったイグナイターなどはさしずめ地方の野武士であろう。

今日は歩くと決めている。白河天皇陵や鳥羽天皇陵などに立ち寄りつつ藤森神社を目指す。だが、1時間ほど歩いた住宅街で道に迷ったことを悟った。周囲を見渡すと一軒のうどん店が暖簾を掲げているではないか。その名も「大河」。その名の由来は分からないが、道を尋ねるついでに一杯引っ掛けていこう。

Taiga

道を尋ねる目的で入ったこの店が、近年稀に見る大当たりになるとは思わなかった。注文したのは初来店の方におススメだという「大河盛り」。冷たいぶっかけに、揚げたての海老・鶏・竹輪の天ぷらが付いてくる。この天ぷらが滅法美味いのだが、それよりもやはり麺が違った。

Taiga2

「なんじゃこりゃ!?」

実際に声に出してしまったかもしれない。それぐらい驚いた。びよーんと伸びる柔軟性と噛めばクンと押し返してくるコシのバランスが絶妙。この美味さを表現するのに適当な言葉が見つからない。慌てて店内を見まわしたら「池上製麺所」の麺箱が。あとで聞いたら、主人はうどん好きなら知らぬ人はいない伝説の「るみばあちゃん」の最後のお弟子さんだそうだ。まさか京都の住宅街で讃岐の神髄に出会えるとは思わなかった。道を尋ねている場合ではない。

食べながら悔やんだ。私にしては珍しく「並盛」にしていたのである。それを悟られたのか、主人から「足りましたか?」と訊かれてしまった。まさか足りぬと答えるわけにはいかない。それで「また来ます」と応じた。そして道を尋ねた私のために店の外に出て、丁寧に道案内までしてくれたのである。美味い上に親切。これまで数百のうどん店を訪れた私だが、ここ以上のお店を私は知らない。「大河」を名乗るだけのことはある。今日の散歩は間違いなくここが目的地だった。

 

 

***** 2022/5/15 *****

 

 

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